うさりく先生の陸上教室

 

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陸上競技に関する情報や基礎知識を発信します。陸上競技を始めた人、もっと知りたい人、また、指導者の皆さんにも参考になるブログです。

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駅伝の繰り上げスタート

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駅伝に関する記事です。今回は繰り上げスタートについて。

 

大迫傑 決戦前のランニングノート (文春e-book)

 

「繰り上げスタート」、よく耳にするのが箱根駅伝(正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」)です。繰り上げスタートのために「母校のたすきがつながらない」ということがあります。

本記事にでてくる中継線などについては、過去の記事を参照してください。 

 

駅伝のルール、日本陸上競技連盟駅伝競走規準(以下「駅伝競走基準」)には繰り上げスタートについて次のように書かれています。 

繰り上げスタート
1. 走者の中継所への到着がはなはだしく遅れた場合、繰り上げスタートを行うことができる。その条件は競技会前に各チームに公表する。
2. 繰り上げスタートは、審判長または中継所主任の指示で行なう。この場合、中継線をスタートラインとする。

 

「走者の中継所への到着がはなはだしく遅れた場合」、多くは先頭の選手より遅れた場合をいいます。

遅れが大きくなると、交通規制時間の問題、競技会によっては会場施設の利用時間、また例えば中学生の部、一般の部というように複数部門の駅伝がありスタート時刻が異なるときは次のスタートへの影響というように繰り上げスタートを行う理由はいくつかあります。

繰り上げスタートを行う可能性がある大会では、繰り上げスタートを行うのは何区で先頭の選手(チーム)がその区間をスタート(厳密には前区間の選手が中継線に到達)してから、何分経過すると繰り上げスタートになると各大会で決められています。

例えば、先頭の選手(チーム)が中継線に到達してから20分経過後に繰り上げスタートを行うならば、前区間の走者がその20分経過までに中継線に到達していないチームは一斉に繰り上げスタートを行います。

その時のスタートラインは中継線です。

ときどきあるのが間に合うかぎりぎりの時、間に合うようならその時たすきを受け取る次走者は中継線上を含む進行方向に移動し、たすきの受け渡しを行わなければなりません。


間に合わなければ、繰り上げスタートとなります。前走者からたすきを受け取れない、つまりたすきが途切れてしまうときです。

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

駅伝の記録計測・順位の判定

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駅伝で使われるたすき(襷)についての記事を書きましたが、今回は駅伝での記録計測や順位の判定についてです。

 

 大迫傑 決戦前のランニングノート (文春e-book)

 

駅伝は、日本独自の競技で、日本陸上競技連盟駅伝競走規準(以下「駅伝競走基準」)という日本陸上競技連盟日本陸上競技連盟競技規則(以下「陸連競技規則」)とは別に定めた基準に則って実施します(駅伝競走基準に掲載されていないことは陸連競技規則や大会独自の規則に則っとります)。

基本的にはマラソンなどの記録計測と順位の判定と同じ、次の記事のとおりです。 


規模の大きな大会では、トランスポンダーシステムが使用され、計測用チップナンバーカード(通称「ゼッケン」)に装着、ナンバーカードは胸面につけます。

2018年1月1日に開催の「ニューイヤー駅伝 in ぐんま~第62回全日本実業団対抗駅伝競走大会~」もこのタイプです。その競技注意事項には次のように記載されています。

「ナンバーカード」は、主催者が用意し、選手1人に5枚(チップ装着1枚、通常のもの4枚)配布する。
選手はナンバーカードをユニフォームの胸背両面に折り曲げることなく付ける。チップの装着されたものは胸面に、通常のものは背面に付ける。

ナンバーカードが選手1人に5枚なのは、ユニフォームの胸と背、一番上に着用するウェアーの胸と背、荷物に付けるためです。

たすき(襷)にトランスポンダーシステムの計測用チップが装着されていることもあります。

ストップウォッチによる計測もあります。

そして駅伝競走基準では順位の判定や記録の計測について、

競技者がフィニッシュラインまたは中継線に到達したときの着順を判定する。
競技者がフィニッシュラインまたは中継線に到達したときのスタートからの時間を計測する。

と記載され、更に、

中継の着順判定およびタイムの計測は、前走者のトルソーが中継線に到達した時とする。

となっています。

つまり、トルソー(胴体の頭、首、腕、脚、手または足とは区別される)のいずれかの部分がフィニッシュライン中継線スタートラインに近い端の垂直面に到達したことで決まります。

これはトラック競技のフィッシュと同じです。

また、ここで記載の中継線とは次区間の選手が待っているライン、そこから進む方向20mの間でたすきの受け渡しを行わなければなりません。

トルソーの到達で決まるため、規模の大きな大会では、トルソーに近いナンバーカードにトランスポンダーシステムの計測用チップが装着されるようになってきているのです。

従って、1区スタートラインから2区の中継線まで区間最終区はその最終区の選手が待つ中継線からフィニッシュラインまで区間他の区(2区から最終区の前までの区)は自身が待つ中継線から次走者が待つ中継線まで区間です。

記録の計測や順位の判定はトルソーの位置で決まるのであって、たすきの位置ではありません。

数年前に行われた大学生の駅伝で、1区の1位(区間賞)争いを行っているふたりの選手、ひとりはたすきを持つ手を伸ばして2区の中継線に到達し直ぐに2区の選手にたすきを渡し、もうひとりはたすきを持つ手を伸ばさず2区の中継線に到達し2区の選手にたすきを渡すのが遅かったのですが、手を伸ばさない選手のトルソーが早く中継線に到達していたのでその選手が区間1位、しかし選手を進行方向正面から見ているテレビ放映の実況のアナウンサーにはたすきを先に渡した手を伸ばして中継線に到達した選手が区間1位に見えたようで、思わず区間1位と2位を逆に言ってしまいました。

見る位置により順位が異なるように見えてしまった例です。

 

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第20回全国小学生クロスカントリーリレー研修大会(小学生の駅伝全国大会)開催


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日本陸上競技連盟が主催する第20回全国小学生クロスカントリーリレー研修大会開催。

 

大迫傑 決戦前のランニングノート (文春e-book)

【謎解き動画(小学生向け)】

 

日本陸上競技連盟が主催する第20回全国小学生クロスカントリーリレー研修大会が、12月10日、大阪の万博記念公園特設コースで開催されます。

参加するのは各都道府県代表チームと開催地 (大阪) から推薦され、主催者が認めた計50チームです。 

 

その参加資格、予選会、予選会でみた応援のルールやマナーなどは、次の記事をご覧ください。 
第20回全国小学生クロスカントリーリレー研修大会は実業団駅伝でも強豪チームである日清食品グループ陸上競技部を有する日清食品ホールディングス株式会社が協賛、バックアップする大会です。

夏に開催される全国小学生陸上競技交流大会も同様。その予選会では参加賞として日清食品の商品も配布されました。 

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夏の大会に関する記事 


第20回全国小学生クロスカントリーリレー研修大会は12月9日に研修会が行われます。その研修会は、インスタントラーメン発祥の地である大阪府池田市池田市民文化会館で行われます。

 

以下、関係リンクです。

 

大会の要項はこちら(PDF)、

http://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1204-1.pdf


日程や出場チームはこちら、

www.nissin.com

 

出場チーム、選手名の一覧(2017年11月21日時点)はこちら(PDF)、

http://www.jaaf.or.jp/files/upload/201711/20_200449.pdf

 

クロスカントリーリレーに参加しない選手が出場する友好タイムトライアルレース(1.5km)の出場予定選手はこちら(PDF)、

(男子)http://www.jaaf.or.jp/files/upload/201711/20_200530.pdf

(女子)http://www.jaaf.or.jp/files/upload/201711/20_200600.pdf

 

アクセスの詳細はこちら、

www.expo70-park.jp

 

万博公園の園内マップはこちら(PDF)、

http://www.expo70-park.jp/sys/wp-content/uploads/21fef3aa514ca135d8c21edccd01942d.pdf

 

競技結果(リザルト)は以下のサイトに掲載、

日本陸上競技連盟(大会情報ページ)

www.jaaf.or.jp

大阪陸上競技協会サイト内リザルトページ

http://www.oaaa.jp/results/nichi_H29.html

 

全国小学生クロスカントリーリレー研修大会は走路がクロスカントリーコースですが、小学生の駅伝全国大会ということです。

 

チームのたすき(襷)をつなげ!がんばれ小さなアスリート!

 

 たすき(襷)のはなし

記録計測や順位の判定について  

2017/12/12 リンク部分リザルトの掲載「予定」の「予定」を削除、「記録計測や順位の判定について」の記事紹介を追加

 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

駅伝、たすき(襷)に関するルール

f:id:usariku:20170423225103p:plain各地で駅伝が開催されています。選手はたすき(襷)をつなぐため懸命に走ります。マラソンとは異なる独特な雰囲気です。そのたすきについて。

 

大迫傑 決戦前のランニングノート (文春e-book)

 

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駅伝、もう世に知れ渡っていますが日本で生まれた競技です。
そのため国際ルールがありません。海外でも「EKIDEN」と呼ばれます。

日本陸上競技連盟は独自に「日本陸上競技連盟駅伝競走規準」(以下「駅伝競走規準」)という規準を設け、各主催者はこの基準に則って運営します。

この基準に掲載されていないことについては日本陸上競技連盟競技規則、大会独自の規則がある場合は各大会の大会規定や競技注意事項に記載のとおり競技は行われます。

このことを示す内容として、各大会の競技注意事項に「本大会は、〇〇 年度日本陸上競技連盟競技規則・同駅伝競走基準ならびに本大会申し合わせ事項に基づいて実施する。」というように記載されています。

 

この駅伝のたすき、何でも良いというものではありません。

駅伝競走規準では(以下、基準の引用は一部抜粋等あり)、

たすきは布製で長さ1m600~1m800、幅6㎝を標準とする。
たすきをチームが持参する競技会では、事前に大会本部におい
て承認を得なければならない。


布製であることや大きさが定められており、主催者が準備する場合やチームが持参する場合など大会 により異なります。

「母校のたすき」や「伝統あるたすき」とよく言われる大会は、チームが持参する大会です。

そしてたすきの掛け方にも定めがあります。 

たすきは、必ず肩から斜めに脇の下に掛けなければならない。 


たすきはずっと手に持って走ったり、首からぶら下げて走ったりしてはけないのです。定めどおりにしていないと失格になることもあります。


また、たすきの受け渡しにも定めがあります。

中継線は幅50㎜の白線で示す。たすきの受け渡しは、中継線から進行方向20mの間に手渡しで行わなければならず、中継線の手前からたすきを投げ渡したりしてはならない。たすきを受け取る走者は、前走者の区域(中継線の手前の走路)に入ってはならない。


受け渡しができる場所は、次走者が待っているところにある中継線と呼ばれるラインから進行方向に20mの間です。

手渡しで行い、投げたりしてはいけません。

中継線の手前、前走者の区間(区域)に入ってもいけません。

この駅伝競走基準に抵触し失格となった例が2015年1月18日に開催された「第20回全国都道府県対抗男子駅伝大会」での愛知県チーム、前走者は中継線前でフラフラになりはいつくばって、手を伸ばして待つ次走者に何とかたすきを渡そうと、最後はたすきを前に放り投げ、次走者がつかみ走り出してしまいました。

厳しすぎるという声も上がりましたが、トラック競技のリレーでのバトンパスでも、手で受け渡し、投げ渡したりしてはいけないとなっているのと同じで、投げたりしている間は誰も持たずに走ってることになり、競技の距離を満たさず、場合によっては走るのより速くなるということです。
トラック競技のリレーでバトンを投げるのはいけないのは明らか、長い距離を走ったからといって認めるわけにはいかないのがルールです。

 

 

 

 

たすきは肩から斜めに脇の下に掛けて走らなければならないのですが、当然たすきの受け渡しの際には外して手に持たなければなりません。

たすき渡しに際して、前走者がたすきを外すのは中継線手前400mから、次走者がたすきをかけるのは中継後200mまでをおおよその目安とする。

と駅伝競走基準には記載されています。 

これは明確な距離ではなく目安です。

しかし大会によっては、競技注意事項などでこの距離を明示していることもありますので選手は気をつけるように。

選手が重みを感じつながれる「たすき(襷)」、そのたすき自体やたすきの受け渡しにも定めがあるのです(意味は違いますが、たすきに重さの規定はありません)

 

前述のたすきを投げた例、投げた選手が気付き拾い、投げた所に戻り、正しい方法で受け渡しを行っていれば、失格とはなりません。
競技役員は気付いても競技中ですので教えられません。選手を手助けする行為、助力になります。 
駅伝競走基準の記載、

競技者は競技中、いかなる助力も受けてはならない。  

 

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自転車の走行、ルールを守り譲り合いの気持ちを ~マラソンや駅伝など~

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いよいよ駅伝、マラソン、ロードレースの本格的なシーズンです。毎週どこかで大会が開催されていますが、そこで起こるトラブル、自転車の走行について。

 

 

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年に何回か、マラソンやロードレース、駅伝の主催者として運営に関わりますが、そこでよくあるトラブルがあります。自転車の走行です。

テレビで放映しているようなマラソンや駅伝は国道や都道府県道、市道など(以下「一般道」と言う)を交通規制し、自動車やオートバイだけでなく歩行者、自転車などが通行できなくなります(1車線や片側車線のみの規制、一部横断可能箇所などはある)。

ときどき「町内マラソン大会」といった規模の大会でも白バイが先導し交通規制をしていることもあります。

他にマラソンや駅伝が開催される場所として多く使われるのが「河川敷道路」です。

写真のような光景です(写真はスタート直後)。

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一般道は国土交通省や各自治体が管理していますが、大きな河川、国土交通省が管理している河川敷道路は「緊急用河川敷道路」と呼ばれる、地震等災害時に物資等を輸送するための道路です。

普段は一般の人がジョギングや散歩、サイクリングなどに使用できるようになっています(工事などの事情で通行できない部分もある)。

そこを使用して行うマラソンや駅伝などは、国土交通省から使用許可を得て開催するのですが、いつ緊急時となるかわからないなどにより占有使用ができません

大会開催中にも自転車や歩行者などが通行します。河川敷の施設(野球場やゴルフ場など)に出入りするための自動車が横断することもあります。

本題ではないのですが、まずランナーの皆さんには占有使用ができないコースであることを認識して頂いて、時には横断する自動車のために止まっていただくことがあるということをご理解いただきたいのです。

自動車の横断をさせないと河川敷に入る外の一般道が大混雑になることがあります。
また、河川敷施設の利用者が利用時間に間に合わなくなることもあります。

主催者としては河川敷にある関係施設には、事前に大会開催について説明し、河川敷施設利用者にも伝えて頂くようにお願いしているのです。


ここからこの記事の本題です。

河川敷道路を走る自転車です。

ラソンや駅伝などで使用するため国土交通省から使用許可を得ても道路幅の半分程度は空けることになっているのですが、スタートやフィニッシュ、折り返し地点などではランナーは道路に広がることがあります。

そうなることは国土交通省も理解しており、そのような所では自転車は道路の端などを通行してもらうように誘導し、時には柵やロープなどで通行区分を明確に分けることで通行できるようにします。

大会開催の2週間以上前には、マラソン大会が開催されることの告知看板も河川敷道路の一般道から出入りできる場所を中心に自動車だけでなく自転車でもわかるように各所に立てます。

しかし残念ですが大会を開催すると自転車利用者からランナーが邪魔(じゃま)だという苦情が多数寄せられます。

この緊急用河川敷道路はサイクリングロードではありません

自転車優先ではないのです。

しかも制限速度は一般的に時速20kmです(国土交通省の各河川事務所が制限速度を決めていてほとんどが最高速度時速20km)。

ラソンなどのトップランナーは時速20km前後のスピードで走っています。
つまり自転車の制限速度とほぼ同じ速度です。

そのトップランナーを軽く抜き去るスピードで走っていく自転車が実に多いのです。

 

選手の進む距離と比べると倍以上のスピードの自転車も多数います。

 

確かに河川敷道路は信号の無い距離も長く、比較的道路も整備され、自転車のコースとしても最適なのかも知れません。

 

おまけにマラソン大会などを行っている時は、普段自動車の侵入や自転車の速度を減速(ほぼ停止に近い状態)させるために設けられ閉鎖されているゲートが開いています。

 

普段、ほぼ停止に近い状態にまで速度を落とさなければならないゲートが開いているのを知っていてわざわざそこを狙って走りに来る自転車もあるようです。

われわれが主催者として大会前に距離の計測や既に計測されている5km毎や1km毎のポイント、折り返し地点の確認作業、告知看板の取り付けなどの際には、自動車で河川敷道路を走ることもあるのですが、通行許可を受け、車体には許可車両であることがわかる貼り紙をし、低速度で走るのですが、それをかなりのスピードで抜き去る自転車は多く、ゲートを開けたとき(計測の自転車や自動車が通過直前に開け、通過直後に閉める)に猛スピードで通過しようとする自転車もいます。

自転車は車両です。もし歩行者に接触するなどケガをさせたら大きな事故として扱われます。

もしマラソンなどが行われていないときなどは、子供が自転車に乗る練習をしていたり、三輪車に乗る小さな子供がいるときもあります。

 

全ての自転車がこのような危険な走行をしているわけではありません。

ルールやマナーを守り走行している自転車もあります。

ラソンや駅伝などを開催することでルールやマナーを守って走行している自転車にはランナーを気にして頂いたりなどのご迷惑をお掛けすることもあり、ご理解ご協力には感謝しています。

しかしルールや譲り合いの気持ちを持たない自転車にはかなり困惑しています。

国土交通省もこのルールを守らない自転車が絶えないことには頭を痛めているようで、以前テレビで取り上げられたこともあります。

事故が起きてからでは遅いのです。

お互いにルールやマナーを守り、譲り合いの気持ちを持って、ランナーは大会に臨み、自転車は走行してもらいたいものです。


私が関わることがあるマラソン大会などは河川敷道路の使用許可を得、要所に競技役員を配置し、規模によっては交通整理のためのガードマンも配置します。コース上を所管する消防署の協力も得て救急車や消防車を配置してもらうこともあります。

しかし、中には河川敷道路の使用許可を得ず、消防署にも協力を求めず、コース途中に関係者を配置しないマラソン大会なども多数あります。
ラソン大会などに参加をする方は十分注意してエントリーするように。

 

過去の関係記事 

 

 

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トップアスリートの人柄 ~飯塚翔太選手~

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前回の記事ではトップアスリートの人柄として塚原直貴氏の人柄を記事にしましたが、今回は飯塚翔太選手(ミズノトラッククラブ)についてです。

 

     

 

前回の記事では、大手スポーツ新聞社の記者の方の「陸上競技のトップアスリートの競技力は記録や順位として明確になりますが、まだまだ人柄までは知られていない選手が多い」という話を聞き、トップアスリートの塚原直貴氏の人柄を紹介しました。


 

今回は本ブログにも何度か登場して頂いている飯塚翔太選手です。

11月に行われた飯塚翔太選手による「スピードアップ講座」では小学生の部と中高生の部がありました。

その講座に関する記事です。


その小学生の部の参加者からの質問コーナーで参加者に飯塚選手から「みんなには、憧れの人はいる?」と逆質問がありました(同じ質問をされ「小学校低学年の時は、手からビームが出る人が憧れだった。ロックマンです」と人気ゲームのキャラクターを挙げ、小学5,6年生のころにはいなかったと答えた後の逆質問)。
ここは「飯塚選手」と答えると大人たちは期待しましたが、返ってきた答えは「桐生選手」、4×100mリレーのリオ五輪銀メダル、世界陸上ロンドン銅メダルも、日本人初100m9秒台には勝てず、「そうだよね。今度桐生に会うから、(小学生から人気だったと)言っとくね」と苦笑いで返しました。
恐らく普通なら「そこはオレじゃないの」と言うところですが、この時の相手は小学生、その質問した子が恥ずかしい思いをしないように気遣った回答だったのでしょう。

また、この講座では、リオの銀メダル、世界陸上ロンドンの銅メダルを、参加している小中高生だけでなく、引率の保護者などにも触っても持っても良いと飾りました。

後でミズノの関係者から聞いたのですが、めったにさわれるものではないから多くの人にさわってもらいたいと思っているようで、メダルにはかなり傷もあり、あるメダリストと並べて見せることがあった時に世界陸上の銅メダルはすでに色が変わっていたそうです。

もちろん指導の内容も独自のものも多くすばらしいのですが、子供たちとは友達のように接し、時にすごいパフォーマンスを見せ、多くのスキンシップ(きちんと女子には行わないようにしていました)、ときどきわざと間違って見せたり、盛り上げることも上手く、小さな子供にも気遣いができる選手です。

ますますファンが増えたと思います。

特に小学生の部ではお母さんにも人気があった飯塚選手です。

本当に競技だけでなく、その人柄も素晴らしい!!

 

 

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トップアスリートの人柄

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あるスポーツ新聞社の記者の方と話をする機会がありました。選手の人柄を記事にしたいとおっしゃっていました。

 

     

 

ある大手スポーツ新聞社の陸上競技担当の記者の方と話をする機会がありました。
陸上競技の選手の競技力は記録や順位として明確になりますが、まだまだ人柄までは知られていない選手が多いということでした。

最近でこそ時々テレビに出演する選手もいますが、野球やサッカー、柔道、レスリング、バレーボールなど他のスポーツに比べればまだまだ少なく、出演する選手も限られています。

私も競技役員や選手の引率として、国民体育大会や日本選手権などの大きな大会の場での、サブトラック(補助競技場)や選手控室などで日本を代表する選手の様子を見る機会があり、競技後の選手同士の会話や選手と報道関係者とのやりとり、競技役員である私に対する選手の態度などから、この選手こんな人なんだと感じることがあります。

ある選手が東京都にあるナショナルトレーニングセンター(日本代表クラスの選手しか使用できない施設)の陸上競技場で練習している様子を見ることがありました。
ヒョウ柄のタイツで上半身は裸、かなりヤンチャに見えましたが、その後、ある大会で競技役員であった私にそのヒョウ柄スタイルからは想像もつかないほど紳士的な態度で、わざわざ確認せずに勝手に行って良いようなことまで、行って良いかと尋ねてきました。言葉使いも丁寧です。

またその選手、全国的な大会の100mで残念ながら準決勝で終わり、決勝に進出できなかった時、準決勝の競技後多くの報道関係者を集めてインタビューを受けていたのですが、その時間の長いこと、30分以上は話していました。

実はその時、報道関係者は決勝に進出した選手のインタビューも行いたかった様子でしたが、その選手たちは決勝に向けた準備があります。とにかくすぐにダウンやケアを行いたいはずです。そのことをわかっていない報道関係者はインタビューをしたがります。

でもそのことを良くわかって決勝に進出する選手にかわりインタビューを引き受けている姿、ある意味「神対応」です。

この選手、塚原直貴氏です。

2008年の北京オリンピックの4×100mリレーで銅メダルに輝いた日本代表チームの第1走者、100mの自己記録は10秒09、日本を代表するスプリンターでした。

2016年度をもって富士通陸上競技部を退部、引退し、今年(2017年)6月に出身地である長野県で開催された第101回日本陸上競技選手権大会混成競技内で引退レースを行いました。

北京オリンピックの銅メダルは金メダルを獲得していたジャマイカチームの選手がドーピングの検体の再検査で禁止薬物の陽性反応が出たため2017年に銀メダルに繰り上げとなっています。


塚原氏、選手時代にはかなりヤンチャに見えた選手ですが、とっても良い人柄だと私は思います。

 塚原直貴選手引退レースの様子は次のブログです。 

sports.jp.fujitsu.com

 

今後もスポーツに関わり、「目指すは、松岡修造さんみたいなさわやかな感じ、ですかね。」とのことです上記ブログより引用)

ご活躍を!!

 

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動画でフォームを確認 ~注意!!~

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ビデオカメラやスマートフォン等で動画が簡単に撮影でき、その動画でフォームの確認を行うことがあると思いますが、その際に注意を必要とすることについて。

 

     

 

 

数年前まで定期的に指導していたある選手、専門種目は100m、進学先の学校の陸上競技部に入部したため、たまに指導を受けに来たときに見る程度になりました。

その選手、スタートを苦手としていましたので、次に指導する機会があれば試させてみようと考えていたことがありました。

その後それを試す前にその選手の競技を見る機会があったのですが、私が試そうと考えていたことができていて、まだ違和感があるもののこれまでよりはスタートが良くなっていました。

そこで気になるのが、誰に指導を受けたのかということです。

本人に確認しました。
どうやら学校の顧問ではなく、お世話になっている病院のリハビリの先生に競技会のビデオ(動画)を見てもらいアドバイスを受けていたようです。
その動画は100mのレースでフィニッシュ付近のスタンドから撮影したものでした。

確かにスタートは良くはなった、でもまだ不十分で違和感がある、そのとき変えたのは地面につく手の位置です。

しかしそれ以降、スタートの合図(号砲)の前に身体が静止していないとして注意(結果的には口頭注意で全員にグリーンカード)を 受けることが起きるようになりました。

その注意を受けたレースの動画をみました。確かに身体が静止していない。厳密にいうと「set(用意)」の姿勢で後ろ脚が動いてて静止しないというものでした。 
競技を見て違和感を感じたのはこの点です。

実際にその選手の練習をみる機会が訪れました。

スタート練習、選手の前方から見ていると、やはり「set(用意)」の姿勢で後ろ脚が不安定、次は横からみました。

原因は直ぐにわかりました。
スターティングブロックのフットプレート(次の写真の足を置く黒い部分)に後ろ足がしっかりのっていません。

次の写真は、スタートの合図(号砲)が鳴って選手がスタートした瞬間。
黄色丸内はスターティングブロックを蹴って足がフットプレート(足を置く黒い部分)から離れようとしているところ(後ろ足)。同じ選手の逆の足(赤色丸内のオレンジ色のスパイク)はまだスターティングブロックのプレートにのっています(前足)。

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私が見ている選手、「set(用意)」の姿勢で後ろ足のつま先がスターティングブロックのフットプレートにわずかに触れている程度です。

上の写真で例えるなら、黄色丸内の足をそのまま下にずらし、つま先がスターティングブロックのフットプレートのトラック面との境辺りに触れている状態です。

「On your marks(位置について)」の合図の後、「set(用意)」合図の前も同様です。

通常、「On your marks(位置について)」の合図の後ではつま先部分がスターティングブロックのフットプレートに触れて(のって)いて、「Set(用意)」の合図でつま先以外の部分がフットプレートにのるような形になるものです。上の写真での赤丸内のような状態です。

もし足がフットプレートに触れていなければルールに反することになります。


このことに関するルール、

「On your marks(位置について)」の合図の後、競技者は自分の割当てられたレーン内のスタートラインの後方の位置につく。両手と少なくとも片膝がグラウンドに、両足はスターティング・ブロックと接触していなければならない「Set(用意)」の合図で競技者は手とグラウンド、足とスターティング・ブロックのフットプレートとの接触を保ちながら、速やかに最終のスタート体勢に構えなければならない。

 

また、最悪は不正スタート(通称「フライング」)と判断される可能性もあります。次のルールです。

Set の後、最終のスタートの姿勢になってから号砲までの間に次の動きを確認した場合、不正スタートとする。
ⅰ)静止することなく、動いたままスタートした場合。
ⅱ) 手が地面から、あるいは足がスターティングブロックのフットプレートから離れた場合。

 

そこで即対応を行いました。

まず、「On your marks(位置について)」の合図の後の姿勢(setの前の姿勢)で足のつま先をフットプレートに完全にのせるようにしました。
ルールの「スターティング・ブロックのフットプレートとの接触」は回避できましたが、この状態で「Set(用意)」の姿勢をとってもフットプレートにのっているのはつま先辺りだけで、不安定なままです。

次の策、フットプレートの傾斜角度を変えてみます。
角度を1段階だけ急にしました。

上の写真、黄色丸内のスターティングブロックのフットプレートと手前の選手のフットプレート、わずかですが手前の選手の方の角度が急です。このタイプのスターティングブロックの1段階の角度の違いです。

こんどは「Set(用意)」の姿勢でフットプレートに足の裏がしっかりのり動くことなく安定した状態です。

別の方法も試します。

フットプレートの角度を戻し、今度はフットプレートを前に移動させます。

上の写真、スターティングブロックの左右のフットプレートの間にフットプレートを固定する支柱があります。この支柱に溝(切れ込み)が多数ありますが、これがフットプレートを前後に動かし固定するものです。

溝1つ分前に移動させました。フットプレートにしっかり足がのっていないのはフットプレートが後ろ(遠い)と考えることもできるからです。

しかしこの時は、手と足の距離がわずかですが近くなったために「Set(用意)」の姿勢で窮屈(きゅうくつ)で腕にかかる負担も増えたと選手が感じたため、フットプレートの前後移動はさせず元の位置のままにしました。

結局はフットプレート角度を1段変えただけでその選手のスタートは各段に良くなりました。

わずかな違いですが選手によっては大きな違いなのです。

実は私、現役時代かなりスタートにこだわりました。今のようにインターネットもなければ専門書もない時代です(専門書は大きな書店にはあったのかも知れませんが目にしたことはありませんでした)。あったのは今も存在する陸上競技専門の月刊誌やその別冊くらいです。とにかく試行錯誤の繰り返しでした。高校3年生のときには当時の100mの高校記録保持者とレースする機会が多かったのですが、スタートで負けたことはありませんでした。フィニッシュでは数メートル差をつけられましたが・・・

この記事で取り上げた選手、ビデオ(動画)を見てもらってアドバイスを受けていましたが、そのアドバイスをした方に実際に目で見てもらってはいなかったようです。

また、アドバイスも手を着く位置のことだけで、それにより影響が出そうなところまでのアドバイスは受けていません。

このアドバイスで結果的にスタート時の重心が少し前方に移動したため、足がしっかりスターティングブロックのフットプレートにのらなくなったのです。


ビデオなどの動画でフォームを確認することは悪いことではありません。
静止画やコマ送り、スロー再生、その場で再生できるなど役立つこともあると思います。

しかし、今回の記事のようなことになってしまうこともあります。

見たいポイントにもよりますが、実際に目で前後左右から選手は見てもらい、指導者は見てあげることも重要であると思います。

 

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フォームを直したい ~飯塚翔太選手のスピードアップ講座~

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飯塚翔太選手によるスピードアップ講座が開講されました。その講座中で飯塚選手が語った印象に残った言葉などについて。

 

     

 

11月23日に東京にあるエスポートミズノ飯塚翔太選手(ミズノトラッククラブ)によるスピードアップ講座が開講されました。

小学生の部と中高生の部の2部が開講され、講座はビデオ撮影OK(但しネット配信NG)でした。

そのビデオを見ることができました。

 

まず今回の中高生の部の講座、屋内のイベントスペースで行われ、多くを走ることができないため、スピードアップにつながる補強を中心とした練習方法の紹介と実践が主なメニューでした。

 

補強といっても普段良く見かけるものはほとんどなく、身体のどこを鍛えるのか何に役立つのか、それを正しく行うためのチェック方法の説明などもあり、参加した選手には新たな練習方法を知ることができる良い機会だったのではないでしょうか。

 

その中高生の講座で私の印象に残った飯塚選手が語った言葉などがあります。

 

走っている時に姿勢を意識するのは難しい。今回行っているような補強運動などを行い身体に刺激を与えてから走ると変化がでる」という言葉です。


また、その言葉も解説してくれました。「脚を流さない、腰の位置を高くするなどフォームを直すには、走るだけでは直らず、姿勢を正すための補強運動を行ってから走ると変化がでる」と。

 

実はこの日の内容は、正しい姿勢で足が地面をしっかりとらえられるようになる、正しい姿勢で素早い動きを行うことなどを目的としたものでした(これも飯塚選手が練習途中で説明)。

神経系(反応)の練習もありました。

普通なら「脚が流れない様に意識して走れ」ということが多いのですが全く異なる考え方です。


ここで紹介したのは極一部ですが、たいへん実のある講座です。

 

 

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リレーのマーカー(テープ)、急いではがす?

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本ブログで一番閲覧が多いのがリレー関係の記事です。トラックシーズンはほぼ終わりになりましたが、今回もリレーに関する内容です。
4×100mリレーなどで使用するマーカー(テープ)、前走者が次走者の貼ったものをはがすことが多いのですが、これは急いではがさなければならないものなのか?ということについて。

 

     

 

4×100mリレーなどで使用するマーカー(テープ)は前走者が次走者の貼ったものをはがすことが多いのですが、次走者にバトンパスを終えた後レースを見届けていると「急いでテープをはがして」と競技役員が促す風景を見ます。

確かに競技会によっては競技日程(タイムテーブル)、競技進行の状況などにより、競技役員の立場としては、行われているレース終了後直ぐに次のレースの準備に取り掛からなければならないこともあり急いではがしてほしいときはあります。

でも走った選手にしてみれば、自分のチームがフィニッシュするまでレースを見届けたいのは当たり前のことですよね。

「急いでテープをはがして」と言われても、必ずしも急ぐ必要はないと私は思います。

でもいつまでも立ち止まってレースを見ているのは・・・

ですからレースを見ながら次走者が貼ったテープの方へ移動すれば良いのです。

競技役員によっては「なぜ?」と思うほど急がせる人がいますが、「レースを見ながらで良いのでテープをはがすよう移動してください」(これ実際に急いでほしい時に私が言う言葉)と言われていると思ってください。

前のレースの(途中棄権を除く)最終チームがフィニッシュするまでは競技中で次の組の選手はレーンに入れません。

今年の第101回日本陸上競技選手権リレー競技大会(日本選手権リレー)の4×100mリレーの予選を見ましたが、前組のレースの最終チームがフィニッシュしたら、直ぐ次の組の選手にマーカー(テープ)を貼る準備をさせていることがありました。
前の組のテープをはがす選手と次の組のテープを貼る準備をする選手が多数同時にレーン上にいる状態です。

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特に第3走者は第4走者にバトンを渡し、次走者がフィニッシュまでの時間は短いですし、第3走者自身も次走者を追うように走ることがありますのでテープをはがしに戻るのに時間がかかることがあります。

もしそのような状況になったらテープを貼る準備、足長(足数、歩数)を数えている次の組の選手のじゃまにならないよう、また選手と接触しないように注意して、すみやかにテープをはがしましょう。


選手にはチームのレースをしっかり見て、レース後にバトンパスのことなどをチームの仲間で確認してほしいと思います。 

 

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リオ・オリンピックや世界陸上ロンドンの競技場にあった見慣れないライン

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リオデジャネイロオリンピック世界陸上ロンドン大会での陸上競技場に見慣れないラインがメインストレート上にありました。

 

 

 

リオデジャネイロオリンピック世界陸上ロンドンなどが開催された陸上競技場のメインストレート上に引かれていたライン、次の写真の黄色矢印が指すライン、日本の競技場では見かけません。※日本に1か所もないかは未確認、写真はイメージ(合成写真)です。

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何のラインでしょう?

即答できる人はかなりの陸上競技通です。

ラインの少し左側の1レーンから5レーンまでに引いてあるラインは4×400mリレーの第3、第4走者のテイク・オーバー・ゾーンの入口、右側の数字右横のラインはフィニッシュラインです。

4×400mリレーの第3、第4走者のテイク・オーバー・ゾーンの入口からフィニッシュラインまでの距離は10m。

見慣れないラインはフィニッシュラインまではそれ(10m)より少し短く、弧(こ)を描いています。


このライン、1レーンではフィニッシュラインより 9m344 スタートライン寄りにあります。


400mトラック4周と9m344で1609m344、これは1マイル、このラインは1マイル競走スタートラインです。

メートル法を採用している日本では馴染みがありませんが、ヤード・ポンド法の歴史が深い地域では1マイル競走が行われることがあるのです。

ですからスタートラインがあります。※その地域でも全ての競技場あるとは限りません。

日本で「マイル」と言えば4×400mリレーのことがほとんど。4×400m=1600m≒1マイルだからマイルリレーです。

1マイル競走、きちんと日本記録もあります。

男子が3分58秒89(1996年)、女子が4分34秒81(2002年)。どちらも日本国内で樹立された記録です。

この1マイル競走、地域や時代によっては1500mより盛り上がった競技です。

本記事の写真はイメージ(合成写真)ですが、リオデジャネイロオリンピック世界陸上ロンドン、今年4月にバハマで開催された2017ワールドリレーズ(世界リレー選手権)の競技場には1マイル競走のスタートラインがあります。

動画サイトなどでこれらの大会で行われたトラック競技を見れば1マイル競走のスタートラインを確認することができますよ。

  

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陸上競技場、トラックのレーンの幅はなぜ1m220(1m250)?ハードルの高さはなぜ細かい?

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陸上競技場、トラックのレーンの幅は1m220や1m250です。
前々回の記事でそのことに触れています。 

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なぜ1m220や1m250なのか。

 陸上競技場のトラックのレーン、その幅は1m220または1m250です。

日本国内では1m250であったのが2010年4月以降に新設するあるいは全面改修するトラックでは1m220とすることになっています。


さてその1m220や1m250はなぜその値になったのか・・・

 

現在はメートル(m)法に則り、ルールは全てメートルで記載されていますが、メートルを用いるようになる以前に、フィート(ft)で計測され、規格が決められたものがあります。

そのひとつがレーンの幅で、4フィートで決まった長さです。4フィートは 1m219215、つまりをメートルにしたとき1m220になったのです。

では1m250は?

1レーンは4フィート、1m220としましたが、多少の幅を持たせるとして当時の国際ルールでは1m220~1m250とされました。

日本国内ルールでは少しでも幅が広い1m250に統一し、一方国際ルールでは1m220になっていきました。

そして近年、日本国内でも国際規格に合わせた1m220になってきているのです。

また、1m220だとトラック全体(面積)も小さくなり、土地の広さや工費の面でも好影響があるのも1m220の採用を後押ししています。特に工費の面では大きなコストダウンにつながります。


同様にフィートで計測された高さや長さが規格となっているものの代表例です。

ハードルの高さ、
1m067は3.5フィート、
0m914は3フィート=1ヤード、
0m838は2.75フィート、
0m762は2.5フィートからきています。

110mハードルのハードル間の距離の9m14は30フィート(=10ヤード)、1台目のハードルまでの距離13m72は45フィート(=15ヤード)からきています。

特にハードルの高さ、覚えにくいと思いますが、それはフィートで計測したものをメートルに換算したためです。


そうです。陸上競技の長い歴史の中で、長さや高さを決めた当時がフィートでの計測、それをメートルに換算したものが今も残っているのです。

 

  

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男女混合4×400mリレー

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今後注目される種目、男女混合4×400mリレー
2018年3月6日一部追記、削除(赤字部分)

 

 

2017年6月9日、国際オリンピック委員会はスイス・ローザンヌの理事会で、男女混合4×400mリレー2020年東京オリンピックの正式種目に採用とすると発表しました。

 

男女混合4×400mリレーの編成ルールは、男女各2名、走順に定めはない、つまり男子の走順、女子の走順はチームで自由に決めて良いということが、今確認できている限りでは全てです(各競技会の要項での定め)。


参考記事 

www.usariku.com

 

男女混合4×400mリレーは、今年(2017年)4月に開催された「2017ワールドリレーズ(世界リレー選手権)」でも実施されました。

日本に関しては、9月9日にフランスで開催された国・地域対抗戦のデカネーション(2017/アンジェ)大会で実施された男女混合4×400mリレーに日本代表チームが出場しています。

 

その後国内の大会でも実施されるようになり、10月28日の第101回日本陸上競技選手権リレー競技大会(日本選手権リレー)では 東京 2020 オリンピック特別対策種目として、U18男女混合4X400mR(高校1・2年生による都道府県を代表する混合チーム)が実施されました。

 

私が把握しているだけですが、国内では他にも、
10月14日に福島県で開催の第6回東邦カップふくしまリレーズ、
11月5日に静岡県で開催の第8回エコパトラックゲームズ
で行われています。

その気になる結果ですが(Mは男子、Wは女子)、

・世界リレー選手権での1位は、バハマ(走者:M・W・W・M)3分14秒42
・デカネーションでの日本代表チームは 3分27秒88(佐藤 M富士通・奥村 W共愛学園高校・武石 W東邦銀行・木村 M四電工)
・日本選手権リレーでの1位は、福岡県チーム、3分31秒70(今泉M・金W・河北W・花岡M)
・ふくしまリレーズでの1位は、福島選抜、3分23秒83(武石 W東邦銀行・記野 M東邦銀行・青木 W東邦銀行・渡部 M・城西大)
・エコパトラックゲームズでの1位は、静岡県大学選抜、3分26秒90(小川 M常葉大・杉浦 W青山学院大・伊谷 W駿河台大・加藤 M早稲田大)

 

現時点での日本最高記録は、ふくしまリレーズで福島選抜が記録した3分23秒83です。
エコパトラックゲームズでの静岡県大学選抜の記録も日本大学最高記録、
日本選手権リレーでの福岡県チームもU18の日本最高記録ではないかと思います。

 

これらの記録は選抜チームによるものですが、ある大会の競技結果をみると、単独高校で3分33秒37、単独高校の日本高校最高記録かもしれません。 

 

この中のある大会で実際にレースをみましたが、男女の走順の違いにより抜きつ抜かれつの面白いレースでした。

今年のトラックシーズンはほぼ終わりになり、男女混合4×400mリレーが実施される競技会もほとんどないと思いますが、来年度のトラックシーズンでは多く競技会で実施されるのではないかと思います。

あちらこちらで日本最高記録がでるのでは・・・

中学生で実施するかは主催者次第ですが(今年実施されたある大会では中学生と高校生の混合チームも出場しているようです)、高校以上では男女別の4×400mリレーだと男女それぞれ4名の選手が必要ですが、それぞれ2名いれば出場できます。

もしかすると、日本最高とはいかなくても、各カテゴリーの各都道府県最高記録などを狙えるチャンスがあるかも知れませんね。

オリンピック種目になる、陸上競技にも「MIX(ミックス)」の時代がやってきました。
ルール上では「男女混合」は「ユニバーサルuniversal)」という性別のカテゴリー、性別のカテゴリーは「男子(men’s)」「女子(women’s)」「ユニバーサル(universal)」の3種です。

男女混合4×400mリレーは既に実施されていますが、2018年3月3日時点では「世界記録」や「日本記録」として公認される種目にはなっていません。
本記事中の「最高記録」は公認の日本記録等とはならない「最高記録」です。
しかし今後「世界記録」や「日本記録」として公認される種目になる可能性はあります。
「世界記録」や「日本記録」となる時、過去にさかのぼって認められる場合があるため、公認大会で当該種目を実施する主催者は記録された結果を「新記録」として申請できるように結果資料等の保存をしておく必要があります。

  

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陸上競技場、トラックのレーンの幅は?

f:id:usariku:20170423225103p:plain陸上競技の競技場のトラック、多くが1周400mですが、レーンの幅にも決まりがあります。

 

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陸上競技場のトラック、多くが1周400mです。中には1周200m、250m、300mという競技場もあり、公認競技場として認められていることもあります。

陸上競技場のトラックにはレーンがありますが、レーンの幅にも決まりがあります。


「公認陸上競技場および長距離競走路ならびに競歩路規程」というルールには、 

1レーンの幅は1m220又は1m250

と記載があります。

「トラック競技」に関するルールには、

400mまでのレースにおいて、各競技者は、幅50㎜の白色のラインで区切られた、右側のライン幅を含む最大幅1m250のレーンを走らなければならない。すべてのレーンは同じ幅でなくてはならない。

という記載があり、更に、

〔国内〕 2010年4月1日以降に建造されたトラックおよび走路を全面改修するトラックに関しては、上記のレースのために、レーン幅は1m220(±0.01m)とする。
〔国際-注意〕  2004年1月1日以前に建造されたトラックに関しては、上記のレースのために、レーンの幅は1m250でもよい。

と記載されています。「上記のレース」とは400mまでのレースです。

 

レーンの幅は競技場が建造された時期、トラックを全面改修した時期などによって異なります。

私がルールを知ったころには1m250しかなかったのですが、今は1m220というルールもあり、個人的には1m220のレーンの競技場は新しいトラックだというイメージです。

では、この3cmの差、はたしてどの程度の差なのか・・・

先日ある競技会である競技場に2年ぶりに行きました。
その前日練習でのこと。

トラック脇で選手の練習を見ているとトラックに何か轍(わだち)のような跡が。
次の写真、上側が進行方向。

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ピンときました。レーンの幅を変えたのだと。

この競技場、昨年春に公認の継続更新を行っています。その時にレーン幅を1m250から1m220に変えたのでしょう。レーンの数は以前から9レーン。

全レーンをみると次の写真のとおりです。ちょっと見にくいかもしれませんが。

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2レーンから外の各レーンに跡があります。レーンラインが内側に移動したことになります。2レーンでは3cmですが、9レーンの内側では24cmの移動です。
写真の左上曲走路部分の9レーンの外側と下の直走路部分の9レーンの外側に緑色の濃い部分がありますが、これが1m250のときのトラックの外側です。

内側400mは同じ位置ですが、外側は全体に縮んだトラックになったということになります。

ということは、レーンに分かれてスタートする競技の曲走路にあるスタートラインやテイク・オーバー・ゾーンなども2レーンより外側のレーンでは移動しているはずです。

次の写真は400m、9レーンのスタート位置、黄色矢印のところに以前のスタートラインを消した跡がありました。

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レーンの幅、1m250と1m220の違いを明らかに比べることができました。

1レーンでは3cmですが、全体ではこんなに影響があると感じることでした。
※選手が走る距離は当然ですがかわりません。トラックの全体像としてとらえた感想です。  

  

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フィールド競技で3回無効試技でも6回の試技ができるとき

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フィールド競技(走高跳棒高跳を除く)では、3回試技を行った後、上位8位までの選手が後3回試技を行える競技会があります。そのような競技会で最初の3回の試技が全て無効試技(ファール)でも後3回試技が行えることがあります。

 

 

ある競技会での投てき競技、ある選手かなり好調なようで自己記録を大幅に上回る試技が続きましたが、残念ながら3回の試技全てが無効試技(ファール)でした。

投てき競技での無効試技(ファール)の多くは、試技が行えるエリアの外に試技中に出てしまうというものです。よくあるのは投げた後、勢い余って投てき方向に足をエリア外に踏み出してしまうことです。

詳細はここでは省略しますが、エリアから出る位置によって無効試技となることもあります。不慣れな選手に多い無効試技です。

この競技会でのフィールド競技(走高跳棒高跳を除く)では3回試技を行った後、上位8位までの選手が後3回試技を行えます。

このとき3回の試技全てが無効試技(ファール)だった選手、3回目の試技を終えた時点では「記録なし」です。

この選手の指導者、顔見知りの方です。私の直ぐ近くで観戦していて、選手にときどき指示も与えていました。きちんとルールに則った指示の与え方です。

選手は上位8位までが行える残り3回の試技に進めないものとして荷物を整理しだしました。

選手の指導者も終わりだという様子です。


「あれっ、ちょっと待ってください。」、指導者に声をかけ、プログラムを確認。

「後3回投げられますよ。選手にも伝えてあげてください。」

 

選手数は15名前後、しかし実際には複数部門が同時に競技を実施しており、その3回無効試技の選手が出場している部門の選手数は4名でした。

 

ルールでは(一部略)、

走高跳棒高跳を除き・・・略・・・競技者が8人以下の場合には、各競技者に6回の試技が許される。
前半の3回のラウンドで有効試技が一つもない競技者も、後半の試技が許されるが、その試技順は有効試技のある競技者の前とし、複数いる場合は当初のスタートリスト順とする。

 

このときの3回の無効試技はまさにこのルールに該当します。

出場選手数が8名以下の場合は例え3回目までの試技が全て無効試技でも、後半3回の試技が行えるのです。※2017/11/15「に満たない」を「以下の」に修正

投てきの競技役員はルールを知っているので選手に説明することなく3回無効試技の選手も加えて後半の試技順を選手に告げました。

4回目以降の試技を行いましたが、はやり一旦集中力が落ちたためか、前の無効試技になった3回の試技と比べパフォーマンスが落ちました。

このケース、ルールを知っていれば最初から6回の試技ができるとわかっていたはずです。

もし知っていたら、結果に影響があったかもしれまん。 2017/11/21脱字追加

自分が出場する競技のルールは知ってから競技にのぞみましょう。

 

  

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