うさりく先生の陸上教室

 

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リレーのバトンを受け取る走者はゾーン内から走り出すこと

f:id:usariku:20170423225103p:plain4×100mリレーと4×400mリレーのバトンパス(受け渡し)については、既に記事で書きました。その中でも少し触れていることですが、ルール上失格となってもおかしくない行為が結構無意識のうちに行われているようなケースがありますので今回はそのことを詳しく書きます。
※2018年度規則(ルール)修改正に伴う修正(赤字部分、打消し部分)

 

リレーのバトンパス(受け渡し)全般についてのルールは次の記事で確認してください。

 

 


2018年度規則(ルール)の修改正により次に記載の加速ゾーンはなくなりました。
そのことに関係する記事、 



ルールに次のような記述があります。

すべてのバトンパスにおいては、テイク・オーバー・ゾーン外から走り出してはならず、そのゾーンの中でスタートしなければならない。この規則に従わなければ、そのチームは失格となる。

 

4×100mリレーでは第1走者以外のチームの走者はテイク・オーバー・ゾーンの前10m以内のところから走り始めてもよい。この延長した範囲を示すために、各レーンに明瞭なマークが表示されなくてはならない。もし競技者がこの規則に従わない場合、そのチームは失格となる。

 

このルール、4×100mリレーに関することで下図の加速ゾーンから走り始めてもよいということです。

 

選手が走り始めてよいのはテイク・オーバー・ゾーンの入口のラインから。ラインは入口に含まれますので踏んでも構いません。


 

でも踏み越えてスタート方向に出てはいけません
ラインはレーン全体に引かれていませんが、ラインのない部分もラインがあるとみます
ルールには「もし競技者がこの規則に従わない場合、そのチームは失格となる。」と記載されています。つまりテイク・オーバー・ゾーンの入口のラインよりスタート方向に出て走り始めたときは失格になります。


しかし、多くの選手が次の写真のように立っています。

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確かにつま先の地面についている部分はテイク・オーバー・ゾーン上げた踵(かかと)はゾーンの外(スタート寄り)、このまま走り出せば問題ないのですが、走り出す瞬間に踵が地面につく選手がいます。これはゾーンの外(スタート寄り)から走りだしたとして失格になります。

他に走り出す瞬間に一歩スタート寄りに下がる選手やじわっじわっと下がる選手もいます。

細かいことかも知れませんが、加速できる距離がルールより長くなるからNGです。

先日競技会で審判員を行った際、踵がつきゾーンの外(スタート寄り)から走り出す選手を数名見ました。選手はレースの前にマーカー(テープ)を貼り、走り出す練習を行います。その時見つけて注意をしました。レース中ではないので失格にはなりません。その際、踵がついていると自覚がない選手が結構いました。無意識のうちに行っているようです。

無意識でもレース中なら失格です。

もし踵がつくならその分を考慮して立たなければなりません。普段の練習でも確認してほしいと思います。
自分ではわからないものです。チームメイトに見てもらうことも必要でしょう。

 
次は4×400mリレーで見かけることです。

まずルール(一部略)、

4×400mリレーのすべてのバトンパスにおいては、テイク・オーバー・ゾーン外から走り出してはならず、そのゾーンの中でスタートしなければならない。この規則に従わなければ、そのチームは失格となる。


4×100mリレーのような加速ゾーンはありません。テイク・オーバー・ゾーンのみです。

第2走者のテイク。オーバー・ゾーンの例

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テイク・オーバー・ゾーンの入口のライン上からから出口のラインの手前の縁(ライン上は含まない)までの間で走り出さなければならないのですが、前走者、チームメイトが400mを頑張って走ってくる姿に声援をし、ついついテイク・オーバー・ゾーンの入口のラインをスタート寄りに踏み越してしまうことがあります。

これも無意識に行ってしまうことが多いのでしょう。

これは練習で直るというものではないと思います。しっかり自覚してレースに臨むしかありません。

 

次に記載することはこの記事のテーマ「ゾーン内から走り出すこと」とは異なりますが、良い見本ですので紹介します。

4×400mリレーのルール(一部略)

4×400mリレーの第3、第4走者は審判員の指示に従い、前走者が第2曲走路入り口を通過した順序で、内側より並び待機する。その後、待機している走者は、この順序を維持しなくてはならず、バトンを受け取るまで入れ替わることは認められない。違反した場合は、そのチームを失格とする。


4×400mリレーの第2走者から第3走者と第3走者から第4走者へのバトンパスは、レーンが分かれていないので、次走者は前走者が第2曲走路入り口(1レーンの200mスタート地点=400mトラックの半周の地点)を通過した順序で並び、その後前走者の順位が入れ替わっても、次走者は入れ替わってはならないということです。

下のイメージ、テイク・オーバー・ゾーン入口の ● のところに内側(1レーン側)から順に並びます。

 

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 更にルール、

4×400mリレーも含めたどのリレー競走においても、レーンが使用されていない場合は、次走者は、他の走者の進行をじゃまするために妨害したり押しのけたりしないならば、走って来るチーム走者が近づくにつれてトラックの内側に移動できる。4×400mリレーの場合には、次走者は第170条20で規定された順番を維持する。もし競技者が、この規則に従わないならば、そのチームは失格となる。


4×400mリレーの第2走者から第3走者と第3走者から第4走者へのバトンパスのために次走者がテイク・オーバー・ゾーンの入口にルールに則った順で並んでいますが、内側のチームがバトンパスを完了するなど、走路があいたときには、内側に詰めても構わないということです。

ただし、並び順をかえることはできません

これが実践できている例が次の写真です。
内側(右)から2番目の3レーンで待っている選手、内側では先行チームのバトンパスが行われようとしています。

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先行チームが過ぎ、内側が空いたので、2レーンに移動しました。左手を出している選手です。

 

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2レーンを走ってきた前走者からバトンを受け取ろうとしています。

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これはルールに則った正しい動きです。
前走者が外にふくらむことなく走ってこられます。

よく見かけるのが、内側が空いていて、前走者も内寄りを走れるのに、内側につめない選手です。ルールに反することではありませんが、前走者は斜めに走ってくることになりますし、次走者もバトンを受け取ったらすぐ曲走路なので急に内側に入ることになります。もったいないと思います(写真の外側2選手は、前走者同士が争い、外寄りを走ってくるのでOKです)

ルールを知り、有効に利用して良い結果を出しましょう。

 

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