うさりく先生の陸上教室

 

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全中、最終日最終競技、4×100mリレー

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全中、平成29年度全国中学校体育大会・第44回全日本中学校陸上競技選手権大会は、最終競技4×100mリレーで幕を閉じました。

 

 

 

 

平成29年度全国中学校体育大会・第44回全日本中学校陸上競技選手権大会(以下「全中」)は、中学新記録というすばらしい記録が樹立された男子4×100mリレー決勝で3日間の幕を閉じました。

その4×100mリレーの男女それぞれの優勝校、共に加速ゾーンの使い方が工夫されていました。

選手の競技力などを適切に見極め、その上で練習を積み重ねてきた選手、指導者の努力の結果だと思います。おめでとうございます。


本ブログではこれまでリレーやその他陸上競技に関するルールについての記事を書いてきました。

全中の4×100mリレー決勝におけるルールの適用などを検証してみました。

尚、この検証はNHKが放映したテレビ映像を観て行ったものです。

競技運営やルールに関することがでてきますが、この全中の競技、既に確定しているため後からこのことが問われ結果がかわることはありません。

 

バトンパスのルールに関する記事 

バトンパスで目についたのは、特に女子に多かったのですが、前走者と次走者が近付き過ぎた状態(通常「詰まったバトンパス」と言います)でのバトンパスです。

恐らく次走者の走り出しが 遅い、前走者の後半の失速が大きかったなどが原因だと推測します。

そのため、テイクオーバーゾーンに入ってすぐのバトンパス開始になっている、言い換えればテイクオーバーゾーン手前でのバトンパス開始で失格になりそうなチームもありました。
このきわどいバトンパスは絶対に避けるべきだと思います。

 

優勝した女子チームの第3走者から第4走者からのバトンパスもそうでした。

 

全体的に日本代表男子チームなどがよく言う「攻めのバトンパス」にはなっていません。

しかし、確実性を重要視してわざわざ詰まったバトンパスを行うこともあります。前走者と次走者が離れすぎて前走者が追いつけないことを回避するためです。

また、全中のように予選、準決勝、決勝が全て異なる日であるために、選手のコンディションなど微妙な変化の調整が難しいことが原因である可能性もあります。

全中の予選と準決勝でバトンパスでの失格により姿を消したチームが男子5チーム、女子2チーム、全チームの7%強の数でした。これを多いと見るのか少ないと見るのか・・・

 


他のルールに関して気になった事項は、4×100mリレー決勝だけでも数点ありました。

多くは競技運営側のことでもありますが、ルールということでは選手も知っておくべきことです。

これらも過去記事に書いたことです。

まず広告に関する規定に関して、 


女子4×100mリレー決勝でスパッツ(タイツ)とランニングパンツの重ね着を行っている選手がいました。

スパッツとランニングパンツ両方のメーカーのロゴが見えているのはルールでNGです。

この選手はきちんとスパッツのロゴの部分にテープを貼り見えなくしていました。正しい対応です。

しかもこのテープ、黒色でスパッツと同色、貼っていることが目立ちません。

通常は招集(点呼)の際などに競技役員が確認します。違反を見つけた場合テープなどを貼ることもありますが、黒のテープを準備していることはありません。白色系や専用のテープ(主催者のロゴ入りなど)です。

もし、競技運営者側で複数色のテープを準備していたならば細かな配慮、中学生の大会では良い対応だと思います。

選手(学校)で準備したものならば、ルールを知り、招集時などに競技役員から指摘され動揺することがないよう考えたすばらしい対応です。

 

 

全中では4×100mリレー決勝の競技前に、世界陸上やオリンピックの時のようにゲートから出てくる方法で出場チームの紹介が1チーム毎にありました。

このこと自体は問題ではありません。

第2走者から第4走者の多くがレースで使用する粘着テープ(マーカー)をユニフォームなどに貼り付けています。

そのテープの長さ、かなり短い・・・

全中では、テープ(マーカー)は主催者が準備します。そのことは競技注意事項に記載されています。

テープの大きさルールでは 40cm×5cm以内、40cmより短いのは違反ではなく、選手が短いものを望んだ、あるいは自分で切ったなら問題ないのですが、どのチームも同じ位の長さでした。

先日開催された世界陸上の日本チームの紹介の際に選手がユニフォーム(おなか辺り)に貼っています。ジャマイカチームも貼っています。動画などで確認してください。

大人の選手でもユニフォームの左右いっぱいに近い長さです。

全中では、それほど長くないのが一目でわかります。

トラックに貼ったものを見るとレーンの幅が1m25または1m22なのでその4分の1程度、30cmあるかないかです。

もし運営者が準備した長さのままならば明らかに長さが足りません。ルールに則った対応をすべきです。

テープについては他にも問題がありました。

貼る場所です。

ルールでは「自分のレーン内」と記載されています。


レーン内側のラインにテープが触れてはいけないのです。 このテープが内側のラインに触れているチームが複数ありました。

貼った後に確認に来る競技役員もいませんでした。 


チーム紹介などの演出で会場を盛り上げるのも大切なことです。

しかしスポーツはルールがありそれに則って行わなければならないものです。

 

最近私が競技役員として関わった多くの大会では、テープの長さや貼る位置を確認し、誤っていれば直させている競技役員が多数います。

 

その競技役員同士の話によく出てくるのは「競技会に出場するならルールを知ってから」ということです。

 

この全中の競技、確定しているため後からこのことが問われ結果がかわることはありません。

もし、そうしていたチーム(学校)があればこれからは正してほしいと思います。

現にきちんとルールに則り行っているチーム(学校)も多数ありますので・・・ 

 

 

 

 

全中の競技結果などは次の記事(リンク集)で。 

   過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain