うさりく先生の陸上教室

 

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陸上競技に関する情報や基礎知識を発信します。陸上競技を始めた人、もっと知りたい人、また、指導者の皆さんにも参考になるブログです。

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小学生のリレーのバトンパスについて・・・

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小学生が参加できる競技会も多数あり、全国大会(全国小学生陸上競技交流大会)も開催されています。どの大会でももっとも盛り上がる種目が4×100mリレーです。 

 

 

 

リレーのだいご味はバトンパス(バトンの受け渡し)、応援している方も上手くいけばホッとし、危なそうなときはドキッとします。選手も上手くいったときは気持ちの良いものです。
そのバトンパス、バトンを受け取る次走者が走り出し、加速しながらバトン受け渡す、渡す前走者と次走者が手を伸ばしながら受け渡す(利得距離)ことでタイムを縮めます。 

小学生のリレーは4×100mリレーです。その小学生リレーのバトンパスの方法、一般的なオーバーハンドパス、アンダーハンドパス以外にオーバーハンドパスの特殊型を見かけます。今回はその特殊型ことについてです。

まず本題の前に、オーバーハンドパスとアンダーハンドパス、利得距離についての復習です。

オーバーハンドパス、アンダーハンドパス、利得距離とは

アンダーハンドパス(受け渡し)のイメージ

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オーバーハンドパス(受け渡し)のイメージ

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f:id:usariku:20170423184004p:plain 利得距離

上の写真のオーバーハンドパスは腕が伸びています。つまりこの腕の伸びている分はバトン自体は移動していますが選手は走らずに済む距離となります。この距離を利得距離といいます。
言い換えると4×100mリレー、距離は400mですがこれはバトンが移動する距離です。仮に人が歩いて進みバトンパスを止まって、渡す方と受け取る方の両方が腕を伸ばして行うと、その腕を伸ばした距離分だれも歩いていないことになりますよね。つまり人は合計400m歩いていないのです。 
これは走っている時も、腕を伸ばしてバトンパスを行っているなら同じで、400mは走っていないことになります。この走っていない距離が利得距離です。

この利得距離が大きいほど記録は短縮できるのです。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain アンダーハンドパス

上の写真のように、アンダーハンドパスは次走者がうでを下方向に出し、前走者は下からすくい上げるようにバトンを渡します。次走者はうでを後方に大きくは伸ばさず、走っているフォームを大きく崩すことがないため走る速度が落ちにくく、次走者の手もぶれにくくバトンを確実に受け渡しし易いということがメリットと言われています。
しかし、次走者が腕を後方に大きく伸ばし、バトンを渡す前走者が腕を前方に大きく伸ばすということがないため、利得距離が少ないという欠点もあります。
上の写真を見てわかるとおりアンダーハンドパスの方が腕を伸ばす長さが短く利得距離が少ないのです。

f:id:usariku:20170423184004p:plain オーバーハンドパス 

下の写真のように、次走者がうでを後方に伸ばし、前走者は次走者の手に押し付けるようにバトンを渡します。両者がうでを伸ばせるほど利得距離を大きくとることができ、記録短縮につながります。

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しかし、次走者はうでを後方大きく伸ばしながら走るため、加速しにくいことがあるということがデメリットと言われています。

 

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小学生のオーバーハンドパスの特殊型

よく見かけるものがふたつあります。

f:id:usariku:20170423184004p:plain 手(うで)を横に上げる

バトンを受け取る次走者の手の上げ方が通常と異なります。

手(うで)を横に上げるのです。次の写真で確認してください。
わかりにくいかも知れませんが影をみると両走者かなり横並びに近くなっています。つまり次走者の手は横方向に上がっているのです。

横に手を上げたバトンパス

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 後ろに手を上げたバトンパス 

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横に手を上げるバトンパス、中学生でも時々見かけます。

ではなぜ横に上げるのか。
それは手(うで)が上げ易く、うでを動かないようにし易いからです。

後ろに上げ動かさないようにするのと横に上げて動かさないようにするの、どちらがやり易いかはその場でも確認できます。行ってみてください。

次走者のうでがあまり動かなければ渡す前走者も渡し易く、確実に受け渡しが行える可能性が高いからです。

しかし、デメリットもあります。

利得距離が得られないことです。
それと手を横に出すためレーンの幅を次走者が広くとってしまい、前走者がとなりのレーンに入っしまう可能性が高くなることです。
前走者がとなりのレーンに入っているのは何度も見たことがあります。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 加速ゾーン(ブルーゾーン)をまったく使わない

バトンを受け取る次走者が走り出すことができるのは、加速ゾーンまたはテイク・オーバー・ゾーン内からとルールで決まっています。
そしてバトンパスはテイク・オーバー・ゾーン内で行わなければなりません。


もうひとつの特殊型、まったく加速ゾーン(ブルーゾーン)を使わないことです。

これは小学生に限らず、前走者と次走者の走力差が大きい時に行うことはあり得ます。
加速ゾーン内でバトンの受け渡しが始まってしまう可能性があるときです。そうなるとルールに反しますので回避するため加速ゾーンを使わない、あるいは全部は使わないなどしなければなりません。

しかしここで言う特殊型は理由が異なります。

次走者が走り出したら直ぐ渡す、前走者も次走者がさほど加速していないため追いつけないということも少なく、この方が簡単に確実に渡せる可能性が高いからです

しかし次走者が加速を始めた直後に渡している、つまりまだ加速できるのに渡しているということになります。

小学生に見る特殊型のバトンパスは良いのか?

バトンパスの特殊型をふたつ説明しました。
このふたつは、必ずしも同時に両方が行われているとは限りません。どちらか一方のみを行っていることもあります。

これ以降は個人的な考えです。

個人的にはこの特殊型、好ましくないと考えます。

4×100mリレーは次走者が可能な限り加速し、できる限り利得距離を伸ばし、記録を良くすることに意味があります。それがバトンパスを極めることです。
それがより確実に行えるように練習するのです。

小学生だからその加速や利得距離よりやり易さを優先しているなら将来につながりません


中学生のある学校のリレーチームの選手が、手は横に出すものだと他のメンバーに言っていることがありました。小学生の時教わった方法を伝えているのだと思います。


上にある写真の手を後ろに出している選手も小学生です。
小学生でもできています。

私も小学生の指導を行いますが、何度も繰り返し練習を行うことで形になってくるものです。

加速ゾーンの使用は、全てを使うとテイク・オーバー・ゾーンに入る前にバトンパスを行ってしまう可能性があります。

そのため、加速ゾーンの入口(ルールでは「助走マーク」)の青いラインを前走者が通過したら次走者が走り出すポイントにして、マーカー(テープ)を次走者が待つ(立つ)位置にする方法をとることがあります。その例が下の写真です。
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前走者が通過し走り出すポイントと次走者が待つ(立つ)位置の距離は、通常、靴(くつ)で何足長(何足分)として測る(数える)ものなのですが、この場合は加速ゾーンの入り口(助走マーク=青いライン)から走る進行方向に向かって何足かを数えマーカー(テープ)を貼ります。

 

ルールではマーカー(テープ)を貼って良いのは1か所で利用目的までは定めていません。ですから待つ位置に使っても構いません。

マーカーの位置で次走者は待ち(立ち)、加速ゾーンの入口の助走マーク(青いライン)を前走者が通過したら走り出す

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但し、本来のバトンパスオーバーハンドパスやアンダーハンドパスを指導し、選手が身につけ、利得距離や加速などの違いを理解した上で、確実性を重視し特殊型を行うなら構わないと思います。それを作戦とするならそのチームの考え方です。


 
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