うさりく先生の陸上教室

 

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第1位決定戦 ~走高跳・棒高跳のジャンプオフ~

f:id:usariku:20170504075658p:plain日本選手権の女子走高跳、第1位決定戦ということを行っていましたが、どのようなものなのですか?

 

走高跳棒高跳の高さを競う種目はたびたび同記録、同順位になることがあります。

まず、走高跳棒高跳の高さを競う種目(ルールでは垂直跳躍)には、

競技会が始まる前に審判員主任は、競技者に最初の高さと、優勝が決まって一人だけになるまで、あるいは第1位決定のための競技者が決まるまでの、各ラウンド終了後に上げられるバーの高さを告知しなければならない。
(第181条1)

というルールがあります。
これは、競技の最初の高さとその後何cmずつバーを上げるかを競技会が始まる前に決めて告知しなければならないということです。
例えば走高跳で、競技の「最初の高さが1m65、次から1m70、1m74、1m77、1m80、1m82で以降は2cmずつ」というようにです。
告知はほとんどの場合、競技注意事項への記載で行われます。

そして競技の結果、同順位となったとき 

第1位に関する場合を除き、同成績の競技者は同順位とする。

というルールで第1位以外の同成績は同順位となります。

第1位の扱いをルールでは、 

第1位に関して、これらの競技者間のジャンプオフは、事前に公表された競技会で適用される競技規則の中で、あるいは競技会開幕後、しかしその種目開始前に技術代表、技術代表が指名されていない場合は審判長によって、実施しないとの取り決めがない場合は第181条9に従って行われる。

としており、簡単にいうとその種目の競技開始前までに第1位決定戦(これを「ジャンプオフ」といいます。第1位決定のための試技を行うことです)を行わないと決められていない限りは第1位決定戦を行うということです。行う場合の方法は次のルールに則って行わなければなりません。

但し、該当する競技者全員がこれ以上跳躍を行わないと決めたときジャンプオフを行わないとなり同成績で第1位となります。

第181条

ジャンプオフ(第1 位決定戦)
9. ⒜  当該競技者は決着がつくまで、あるいはすべての当該競技者がこれ以上跳躍しないと決めるまで、すべての高さで跳躍しなければならない。
⒝ 各競技者の各高さでの跳躍は1回とする。
⒞ ジャンプオフは当該競技者が最後に越えた高さの第181条1によって上げた次の高さから始める。
⒟ もし決着がつかない場合、すなわち二人以上の競技者が成功した場合はバーを上げ、全員が失敗した場合はバーを下げ、その上げ下げの幅は走高跳で2㎝、棒高跳で5㎝とする。
⒠ もし跳躍しない競技者がいた場合は自動的により高い順位になる権利は剥奪される。その結果一人の競技者だけが残った場合は、たとえその高さを試みなくとも、その競技者が勝者となる。

ジャンプオフでは、当該競技者は決着がつくまでか、あるいは全ての当該競技者がこれ以上跳躍しないと決めるまでは、パスなどできず、全ての高さで跳躍を行わなければなりません。

各高さでの跳躍は1回です。

ジャンプオフを行う前、同順位となった際に最後に跳べた高さの次の高さ(前述のルール第181条1によって決まった高さ)からジャンプオフは始めます。

その高さを跳んだ競技者が2名以上いるときはバーを上げ、全員失敗したときはバーを下げます。その上げ下げの幅は走高跳は2cm棒高跳は5cmです。

もし跳躍しないという競技者がいたらその選手は高い順位になることはできず、その結果残りの競技者がひとりとなった場合は、その一人となった競技者はその高さを試みなくても第1位となります。

例えば、A・B・Cの3選手が1m77の記録で第1位、同順位となったとします。
この3名でジャンプオフを行います。
1m77の次の高さは1m80です。この高さを3人が1回ずつ跳びます。
AとBが跳べ、Cが跳べなかったとします。これでCの第3位が決まります。
AとBが跳べたので2cm上げて1m82に挑戦します。
両名ともに跳べました。更に2cm上げて1m84にします。
今度は両名跳べませんでした。2cm下げて1m82にします。
Aが跳べ、Bが跳べませんでした。
これでAの第1位、Bの第2位が決まりました。

このように最後のひとり、つまり第1位がひとりになるまで繰り返します。

ジャンプオフで跳んだ記録がジャンプオフ開始前の記録を上回った時は、

競技成績
各競技者はそれぞれが行ったすべての試技のうち最もよかった記録で評価されるものとし、走高跳棒高跳の場合、同成績となった競技者が1位決定のために行った追加試技も含む。

というルールで上回った記録が競技結果となります。


昨日の日本選手権の女子走高跳、1m77で第1位が2名となりました。その後のジャンプオフ、次の高さの1m80で決着がつきました。1m80を跳んだ仲野春花選手(早稲田大学)が見事優勝となりました。おめでとうございます。

ジャンプオフ、時には2名なのに10回以上上げ下げを繰り返すこともあります。
観ている方は面白いのですが、やる方はかなり疲れ、精神的にもきつそうです・・・

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