うさりく先生の陸上教室

 

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200m日本記録保持者~末續慎吾選手~

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第16回世界陸上競技選手権大会(2017 世界陸上ロンドン)でサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(東京陸協)が日本人では7大会14年ぶりに決勝に進出し、第7位という成績を収めました。14年前に決勝を走ったのは・・・

 

 

 

 

世界選手権200m14年前決勝を走ったのは末續慎吾選手です。
 
200m日本記録末續慎吾選手(樹立当時の所属:ミズノ、1980年6月生、37歳)が、2003年6月の日本選手権で樹立した 20秒03(風力+0.6m/秒)です。

200mの日本歴代2位の記録は飯塚翔太選手(ミズノ)の 20秒11(風力+1.8m/秒)、これまで日本選手で20秒10を切ったのは末續慎吾選手だけなのです。
 
日本記録を樹立したその年2003年に開催された世界選手権パリ大会の200mではオリンピック・世界選手権を通じて短距離種目(ハードル種目を除く)で日本人初のメダル、第3位に輝きました。
 
この時の決勝の記録は 20秒38(風力+0.1m/秒)、準決勝での記録 20秒22(風力+ー0.0m/秒)は世界選手権日本人最高記録です。

末續選手の100mの自己最高記録は 10秒03(風力+1.8m/秒)山縣亮太選手と同じ日本歴代4位、2008年北京オリンピックの4×100mリレーで銅メダルを獲得しています(その後上位チームのドーピング違反で銀メダルに繰り上がっています)。

 

 長期休養を経て現役選手として国体にも熊本県代表選手で出場するなど活躍していましたが、今年日本選手権に9年ぶりエントリーし、予選ではサニブラウン・アブデル・ハキーム選手と同組で走りました。

 

末續選手、世界選手権であり得ない注意・・・

末續選手が3位に輝いた世界選手権パリ大会では、世紀の誤審ともいわれている出来事がありました。

末續選手がその年に記録した20秒03は世界選手権パリ大会時点でのシーズン世界ランキング3位、世界選手権では競技開始前から他国の選手にマークされる存在でもありました。

世界選手権の決勝でのこと。

 「位置について」(実際にはフランス語)の合図の後スタートの姿勢になりましたが、そのとき両膝(ひざ)が地面についていることをルール違反だとして片膝だけを地面につくよう注意されスタートのやり直しとなりました。

末續選手のスタートはロケットスタートと呼ばれ、「位置について」後のスタート姿勢では両膝がほとんど並び(左右の足の位置は前後3cm程度の差)、どちらも地面に着いているという独特な姿勢です。

1回目の注意後の2回目スタートでも末續選手は同じ姿勢をとりました。再び注意されスタートのやり直しとなりました。

両手を広げ「理解できない」というようなポーズをとりましたが、今度はスターティングブロックを少し調整、明らかに右膝が地面から離れている姿勢にかえました

スタートの号砲、明らかに末續選手本来のロケットスタートではありません。

リアクションタイム(号砲からの反応時間)も決勝に出場した選手中7番目で下から2番目という悪さでした。

この判定大きな疑問があります。

まず、注意されたのは決勝だけです。
決勝までに、一次予選、二次予選、準決勝と3回競技を行っています。その際も同じスタートの姿勢でしたが注意はありませんでした。

つまり同じ競技会中に判定基準がかわったということです。

他国のコーチから競技役員に違反ではないかと確認があったとも言われています。

 

このような状況でのレースでしたが、見事な3位、4位との差は100分の1秒と僅差の勝利です。

 

このスタート時の姿勢についてルールに明記されています。

 「On your marks(位置について)」の合図の後、競技者は自分の割当てられたレーン内のスタートラインの後方の位置につく。両手と少なくとも片膝がグラウンドに、両足はスターティング・ブロックと接触していなければならない。

 

そうです。「少なくとも片膝がグラウンドに接触していなければならない」のです。

両膝が地面に接触していてはいけないとは書かれていないのです。

しかも2回の注意を行ったのは異なる競技役員、複数の競技役員がルールを正しく理解していなかったのです。

この判定については後日競技役員が誤審を認めたそうです。

末續選手自身はレース後のインタビューでは「これまで注意されたことがないが気にせず、勝負にこだわった」「レース後半では脚がつりそうになったが日本代表として絶対勝つという気持ちで走った」という旨のことを言っています。

 

この強い気持ちが見事な結果につながったのです。
 

 
現在日本男子の4×100mリレーチームがオリンピックや世界選手権で活躍していますが、4×100mリレーが世界で通用するようになってきた日本代表チームの初代メンバーのひとりが末續選手です。今のリレーチームがあるのも末續選手達の活躍があったからこそです。

 
37歳になった現在でも、現役選手として日本選手権の参加資格を得て出場し競技している姿、若い選手は目標としてもらいたと思います。 

 

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