うさりく先生の陸上教室

 

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陸上競技に関する情報や基礎知識を発信します。陸上競技を始めた人、もっと知りたい人、また、指導者の皆さんにも参考になるブログです。

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2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)解釈の訂正 ~リレー編(オーダー用紙提出)~

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2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)では2017年度規則から解釈が訂正されたこともあります。リレーのオーダ―用紙提出について。 

    

 

 

 

2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)では2017年度規則からの解釈の訂正(明確化)もあります。リレーのオーダ―用紙提出について。

2017年度日本陸上競技連盟競技規則では、

リレーチームの編成は、各ラウンドの第1組目の招集完了時刻の1時間前までに正式に申告しなければならない。それ以後の変更は、最終招集時刻までに主催者が任命した医務員の判断がない限り認められない。各チームは申告された競技者がその順番で走らなければならない。
この規則に従わなければ、チームは失格となる。

という記載でした。

2018年度日本陸上競技連盟競技規則では、

リレーチームの編成は、各ラウンドの第1組目の招集完了時刻の1時間前までに正式に申告しなければならない。
一度申告したらその後の変更は、招集完了時刻までに主催者が任命した医務員の判断がない限り認められない。各チームは申告された競技者がその順番で走らなければならない。
この規則に従わなければ、チームは失格となる。
〔注釈〕
招集完了時刻前であっても、一度申告した編成の変更(オーダー用紙の差換え)は認められない。
医務員の判断による変更は出場選手の変更のみ認められ、編成(走る順番)の変更は認められない。

という記載になりました。 

 

招集完了時刻前であっても、一度申告(提出)した編成の変更(選手の入れ替え、走順の変更など)は行えません。

医務員の判断による変更は出場選手の変更(入れ替え)のみ認められ、編成(走る順番)の変更は認められません。

2017年度規則の「それ以後」の「それ」がオーダー用紙提出締切時刻とも受け取れました。そこを「一度申告したらその後」と記載し、再提出(申告)のことだと明確にしました。
また、医務員に認められた変更も選手の入れ替えだけで、走順の変更は行えないことも注釈で明確にしました。

競技会で、オーダー用紙提出締切時刻前だからといって、内容(選手入れ替えや走順)の変更を申し出て来ることはよくありました。
2017年度競技規則ではそれを認めて良いかの解釈が曖昧でしたが、2018年度競技規則では明確になりました。

オーダー用紙の提出のタイミング、早くても構いませんが、医務員に認められた選手の入れ替えを除く変更は行えないことを念頭に・・・

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)追記 ~リレーのマーカー~

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2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)では2017年度規則に追記された事項もあります。リレーのマーカー(テープ)に関する追記について。

    

 

 

 

2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)では2017年度規則からの追記もあります。

今回は、4×100mリレーなどで、前の走者が走ってきて、次の走者が走り出すタイミングを決めるためなどにレーン上に貼る、マーカー(粘着テープ)について。

 

あのマーカー(テープ)、自分と隣のレーンの境目の内側のラインに少しでもかかっていたらNG、サイズは最大40cm×5cmであることなど過去の記事でも紹介しています。www.usariku.com

 

マーカー(テープ)に関する規則(ルール)は守られていないという以前に知られていない場合が多いのです。

オリンピックなどの大規模国際大会でさえルールに則っていないことがありました。

www.usariku.com  

 

ルールでは(一部略)、 

レーンでリレーを行う場合、競技者は大きさが最大50㎜×400㎜のテープをマーカーとして1カ所、自らのレーン内に貼ることが許される。それ以外のマーカーの使用は認められない。

と記載されています。

自らのレーン内に貼ることが許される」、つまり内側のラインは含まれないということです。

2018年度規則(ルール)では、次の文言が追記されました。

規則に違反している マーカがあれば、規則に合わせるよう、あるいは剥がすよう 、審判員は当該競技者を指導する。指導に従わない場合は、審判員が剥がさなくてはならない。
〔注意〕悪質な場合、第145 条2を適用することができる。

 

次の記事はマーカーが内側のラインに触れていることを審判員が注意し、規則に合わせるようにさせているところ、審判員が指導している様子です。 

www.usariku.com

 

しかし、このように指導し是正させることは行われてきていない大会も多数あるように感じます。
その理由として審判員の人数が足りないことが考えられます。また競技進行の都合上時間的な余裕がないこともあったのでは・・・
もちろん少ない人数、厳しい時間の中でも、きちんと確認、指導している審判員もいます・・・

2018年度規則(ルール)修改正で、テイク・オーバー・ゾーンの長さが30mになったリレー種目があります。それに伴い加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)もなくなりました。

これによりテイク・オーバー・ゾーンの入口の審判員がマーカーを貼る場所に近くなり、これまでよりマーカーが規則に合っているか確認し易くなったと思います。

追記された規則(ルール)、

規則に違反している マーカがあれば、規則に合わせるよう、あるいは剥がすよう 、審判員は当該競技者を指導する。指導に従わない場合は、審判員が剥がさなくてはならない。
〔注意〕悪質な場合、第145 条2を適用することができる。

これは審判員が行うことについての規則(ルール)ですが、審判員が「剥がさなくてはならない」ことも明記されました。
また、悪質な場合は規則第145条2、警告や失格の対象にもなり得ることが記載されました。

これまでも、マーカーのサイズや数、貼る位置などは規則(ルール)にあったことですが、実際には守れていないことが多かったことです。
特に貼る位置・・・
規則に反している時に指導しても理解できない選手やなかなか直さない選手も時々います。
時にはこれまで注意されたことがないと言い出す選手も・・・
審判員が貼る位置を直したりすることはありません。
今後は場合によっては審判員に剥がされることもあり得ます。

レース直前に指導されること自体、集中力や各選手のルーティーンなどにも影響することです。

マーカーのサイズや数、貼ることができる場所などの規則を知って、審判員による指導を受けないのが望ましいことです。 

 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)修改正 ~リレー編(20m→30m)~

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2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)では2017年度規則からの修改正や解釈の明確化などがあります。
まずリレーに関することについて。 

    

 

 

2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)では2017年度規則からの修改正や解釈の訂正、明確化などがあります。今後そのポイントを紹介する記事を書く予定です。

まず今回は、リレーに関するいくつかあることの中、既に2017年12月の記事でも書いていますが、バトンパスが行えるテイク・オーバー・ゾーンが20mから30mになることについてです。

過去の記事掲載時点では不明だったことなども追記しています。

改正後のルール、

第170条
3. 4×100mリレーと4×200mリレーの全走者間およびメドレーリレー第1走者と第2走者間、第2走者と第3走者間のテイク・オーバー・ゾーンは30mとし、ゾーンの入口から20mが基準線となる。

ゾーンは、走る方向においてスタートラインに近い端を基点とする。レーン内で行われる各バトンの受け渡しについて、担当する競技役員は、各競技者が正しいテイク・オーバーゾーンの位置にいることを確認する。また、その競技役員は第170条4(マーカーの数とサイズ)が確実に遵守されるようにしなければならない。

〔注釈〕ただし、4×200mRで第3走者の途中からレーンがオープンになる場合は、第3走者と第4走者間のテイク・オーバーゾーンは20mとなる。

 

この変更、屋外で行われる競技会が対象です。室内競技のリレーでは変更ありません。

メドレーリレーでは、第1走者が100mで第2走者が200m、第3走者が300mの場合です。

メドレーリレーの第3走者と第4走者間(第3走者が300mで第4走者が400mの場合)、4×200mリレーで第3走者の途中からレーンがオープンになる場合の第3走者と第4走者間、×400mリレー、それ以上の距離のリレーでは20mのまま変更ありません



次の図、改正前後のイメージ図です。左側(2017年度まで)のものが右側(2018年度から)のようになります。

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ルールに記載の「基準線」とは上図のテイク・オーバー・ゾーン内にある白線(横線)のこと(赤矢印)、左の改正前はテイク・オーバー・ゾーンの中央(入口から10m)でしたが右の改正後の場合はテイク・オーバー・ゾーンの入口から20m にあります。

2017年度のルールでは「基準線」ではなく「センターライン」と呼ばれていました。
20mのテイク・オーバー・ゾーンの中央、センターだったからです。

「基準」とは、例えば4×100mリレーではスタートラインから第1走者と第2走者がバトンパスを行うテイク・オーバー・ゾーンのこの白線までが100m、その白線から第2走者と第3走者がバトンパスを行うテイク・オーバー・ゾーンにある白線までが100mというように、スタートラインから100m毎を示す位置(線、距離)のことです。

テイク・オーバー・ゾーンが20mから30mになるといっても、どの方向に長くなるか明記しなければなりません。前後に5mずつ長くしても30mです。

そのことを明確にしているのが「ゾーンの入口から20mが基準線となる。」という記述、基準線を基にあらわしています。ですからこの記述が、テイク・オーバー・ゾーンが30mになるのは、20mだったテイク・オーバー・ゾーンが入口より手前側、つまりスタートラインの方向に10m長くなることを意味しています。

でもこの「基準線」、引かれていない競技場もあります。
現実的には改正後ルールのテイク・オーバー・ゾーンの入口は改正前のルールの加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)の位置なりますので、既存の基準線がない競技場でも運営に支障はありません。

このルール改正に伴いトラック上のマーキング(ラインなど)もかわります。

テイク・オーバー・ゾーンの入口のマーキングが10mスタート方向に移動するということです(上図右側)。

既存の競技場ですぐに塗りなおしなどの対応ができない場合は改修工事などを行う際に変更していくことになります。

新しくマーキングされていない競技場では、変更されるまで加速ゾーンの入口の助走マーク(通称、ブルーライン)の位置がテイク・オーバー・ゾーンの入口です。
 

このルール改正、規則(ルール)上では前述の文字の記述(170条3項)のように記載されているのみです。図などはありません。

図や前述のテイク・オーバー・ゾーン入口のマーキングについての説明を見ると、これまでの加速ゾーンがなくなったように見えますが、規則(ルール、170条3項)には加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)についての記載がありません。

では、これまであった加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)はどうなるのでしょうか?

 

2017年度のルールには次のような記載があります(一部略)、

第170条
18. 4×100mリレーと4×200mリレーでは第1走者以外のチームの走者、メドレーリレーでは第2・第3走者はテイク・オーバー・ゾーンの前10m以内のところから走り始めてもよい


この条項で加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)の使用を規定していましたが、この条項の内容自体が2018年度ルールでは削除され、ルール上加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)の存在がなくなりました

ですから次のルール、

第170条
19. すべてのバトンパスにおいては、テイク・オーバー・ゾーン外から走り出してはならず、そのゾーンの中でスタートしなければならない。この規則に従わなければ、そのチームは失格となる。

リレーの際にテイク・オーバー・ゾーンの外で次走者がバトンパスのために走り出す(スタートする)ことは失格ということですが、2017年度までの加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)を使用できる場合は適用外がなくなり、全てのリレーに適用されることとなりました。
 

さて、ではなぜ30mになったのか・・・

 

まずバトンパスが正しく行われたかの判定をより正確にするためです。

バトンの受け渡しの際、競技役員は加速ゾーンとテイク・オーバー・ゾーンそれぞれの入口を見なければなりません。加速ゾーンの入口では、次走者が走りだすときに加速ゾーンの入口の助走ライン(ブルーライン)よりスタート方向のトラック上に足がでていないかなどを、テイク・オーバー・ゾーンの入口ではテイク・オーバー・ゾーンに入る前にバトンパスの行為が開始されていないかなどを見ています。

規模の大きな競技会ではビデオ判定という映像で録画したものを見て判定することがありますが、まだほとんどの競技会では競技役員が目で見ています。

30mにすることで、競技役員がこれまで2か所を見なければならかった部分が1か所になりますのでより正確な判定が行われることが期待できます。

そしてもう一つの大きな理由はルールが単純になり、選手だけでなく観戦している観客にもわかり易くなるということです。

 

テイク・オーバー・ゾーンに入る前にバトンパスの行為が開始されて失格になることは小中高校生などではよく起きています。受け渡しを行う選手の走力差が大きいとき、次走者の走り出しが遅すぎるとき、走力がないのに加速ゾーン全体を使用しているとき、ルールを理解していないときなどが主な原因だと想像します。

この失格、国際大会ではめずらしいケースですが、2016年のリオデジャネイロオリンピックで起きています。

それに関することは次の記事です。 

このオリンピックでの失格はレアケース、30mと決める際には国際大会に出場するレベルのチームでは10mの加速ゾーンを超えてのバトンパスが当たり前でルール改正による有利不利はなく、むしろ上記のような理由でメリットの方が多いということになったそうです。

この失格があっためアメリカからこのルール改正(20m→30m)の要求があったと思われることもあるようですが、実はこのルール改正を要求したのはオーストラリアだそうです・・・

テイク・オーバー・ゾーンが30m、選手の走力差があるときなどは戦略(走順)にも影響するかもしれません。例えば前走者より次走者の方がかなり走力があるときには、すぐ受け取ることができ次走者を長く走らせることができるなど・・・

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

競技会における広告および展示物に関する規定の徹底について

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日本陸上競技連盟が「競技会における広告および展示物に関する規定」の徹底を競技者の皆さんに呼び掛けています。

    

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日本陸上競技連盟が「競技会における広告および展示物に関する規定」の徹底を競技者の皆さんに呼び掛けています。

これは新たなルールではありません。これまでもあったルールです。

しかし、実際には守られていないことが多いのです。

本ブログでも、関係する記事を書いています。www.usariku.com

www.usariku.com

 

このルール、適用される競技会が決められています。ルールでは次のように記載されています。

〔 国内〕本規程は、以下のⅰからⅴの競技会に適用される。
ⅰ本連盟主催・共催競技会
ⅱ本連盟後援競技会
ⅲ テレビ放映またはインターネット等による不特定多数に公衆送信される競技会
ⅳアスリートビブスナンバーカード広告協賛を付した競技会
ⅴ その他大会要項において本規程の適用を定め競技会における広告および展示物に関する規程を適用する競技会

※2020年度競技規則改正で「ナンバーカード」の呼称は「アスリートビブス」にかわりました。

 

本連盟主催・共催競技会、つまり日本陸上競技連盟主催、共催競技会、イ ンターハイ・全日中・国体・U20U18日本選手権、ジュニアオリンピックなど多数の大会が該当します。
その他大会要項において本規程の適用を定め競技会における広告および展示物に関する規程を適用する競技会」に該当する競技会も増えていますので、大会要項は必ず目を通しましょう。

ロゴやブランド名などの数、大きさ、その位置など、かなり細かい規定があります。

前述の過去の記事でも関係することを書いていますので是非参照してください。

この規定に関して、次のような経験がある人も多いのでは・・・

競技役員にロゴやブランド名の部分にテープを貼られる。
写真の選手は胸のブランド名がサイズオーバーでテープを貼られています。
日本陸上競技連盟主催大会です。

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競技で着用するものでテープで隠しきれない、テープが貼れない場合は着替えるように言われることも。これはTシャツやタイツなどとユニフォームの重ね着でよくあることです。
時にはペットボトルのラベルをはがされることも。

競技会によってはこの広告に関する規定を丁寧に選手に知らせていることもあります。次の写真は2017年夏に山形県で開催されたインターハイでの例です。

競技者招集所の前に商標に関する看板がありました。

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看板の各部アップ。日本陸上競技連盟の「競技会における広告および展示物に関する規程」に掲載の資料を引用しているようです。

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もし規定に反していたら各自で対応できるようにもなっていました。

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選手の中には招集時に競技役員に注意をされたりすると動揺する人もいます。

この山形インターハイのように自分で確認、対応できるのはとても良いことだと思います。

またルールには次のような記載もあります(一部略)。

広告は、本規程で認められた競技者の衣類上への表示方法でのみ許可される。
競技者との連携による広告は、ボディーペインティング、刺青、宝石、染髪、髪の毛を剃ること、その他のあらゆる形態での広告の表示を含めて禁止する。

規定に見合った広告は競技者の衣類上への表示方法でのみ認められます。
ですから、気合を入れて髪の毛を短髪にし、一部を剃りこんで、製造会社のロゴにすることなどはNGです。

 

ここからは選手の皆さんへのことではありませんが・・・

日本陸上競技連盟は「競技会における広告および展示物に関する規定」の徹底として競技者の皆さんに呼び掛けを行っており、選手に厳しいと思われがちですが、競技場内でよく見る広告ボードなどにも規定があります。
例えば、100mのスタート地点の後方にある看板、

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ルールでは、

100m(110mH)のスタート後方に特別の広告ボードを1枚置くことができるが、地面に設置しても、地面からもち上げて設置してもよい。
この広告ボードの高さは1.5m以内とし、幅はトラックの幅以内とする。このボードには、最大2社まで併記することができる。

と規定されています。

バックボード、表彰台の背後のボードや選手にインタビューする時の背後のボード、インタビューボードなど呼ばれることもあるものですが、ルールでは、

表彰台の背後、ミックスゾーン内、記者会見場内に設置されたバックボードには、競技会名、競技会ロゴ、スポンサー名/ロゴ(1社もしくは複数)、ならびにまたは各国陸連の名称/ロゴ(ウェブサイトアドレスを含む)を表示することができる。それぞれの表示の高さは30㎝以内とする。

掲示内容や高さの制限があります。

 

また競技役員にも規定があります(関係部分抜粋)。

上半身の衣類の製造会社名/ロゴは、1ヵ所表示することができる。そのような表示は文字の高さ4㎝以内、トータルのロゴの高さは5㎝以内で、面積40㎠以内の長方形とする。
役員の下半身の衣類に表示されている広告または他の表示は、本規程で定められた競
技者に対するものと同じ要件を満たさなければならない。


そして競技役員は他の競技会で支給された衣類を異なる競技会では着用できません。
ラソン大会などではスタッフジャンパー、夏場の大会では大会ロゴ入りポロシャツなどが支給されることもありますが、開催年や開催回数なども入っており、他の競技会では着ることができない1日(1大会)限りのウエアであることが多いのです。


競技会における広告および展示物に関する規定、改正は行われてきていますが、今日昨日できた新たな規定ではありません。

春先の競技会、寒いことも多いため重ね着をして上半身の衣類にロゴふたつ、下半身の衣類にロゴふたつは本当に多く見かけます。

ルールはルールです。
「知らなかった」は通じません。

文字やデザイン豊富な衣類が増えましたが、購入の際には注意を・・・

 

 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

 

 

男子マラソン日本新記録・・・世界との差は?

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東京マラソン2018で設楽悠太選手(ホンダ)が2時間6分11秒という日本新記録を樹立しました。世界との差は?

    

    

 

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2002年シカゴで高岡寿成(当時所属カネボウ、現カネボウ監督)が樹立したマラソン日本記録2時間6分16秒を2018年2月25日に開催された東京マラソン2018で設楽悠太選手(ホンダ)が5秒更新、2時間6分11秒という日本新記録を樹立しました。

井上大仁選手MHPS)も2時間6分54秒という日本歴代4位の記録、一度のレースで2時間6分台を日本人2名が記録したのも初めてです。

※本記事の記録や順位などは2018年3月2日時点のものです。国際陸上競技連盟(IAAF)のホームページに掲載のデータに基づいています。

この2時間6分11秒は世界歴代88位の記録、マラソン世界記録は、2時間2分57秒、世界記録との差は3分14秒、まだ大きという声をよく聞きます。

日本記録、高岡氏が2時間6分16秒を樹立した2002年時点の世界記録は2時間5分38秒、世界記録との差は38秒、当時世界歴代4位の記録でした。

日本マラソン黄金時代と言われた頃、例えば1983年時点では瀬古利彦氏が世界歴代3位、世界記録との差は20秒宗猛氏が世界歴代5位宗茂茂氏が8位、世界歴代8位以内に日本の選手が3名もいました。

タイム差やこのような黄金時代と比べれば、世界との差は大きいと見えます。
また、2002年の高岡氏の記録が長年更新されなかったことから低迷しているといわれてきました。

では、日本のマラソンは本当に世界から遅れをとっているのでしょうか?

世界の地域(エリア)別歴代1位の記録および樹立日が次の表です。

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アジア記録は東京マラソン2018の設楽選手の記録、歴代2位は高岡氏の記録です。
ヨーロッパ記録は昨年2017年12月に更新されていますが、それまでの記録は2000年に出された記録です。

アフリカを除く地域(エリア)はアジア(日本)と同様に記録が伸びていないのです

設楽選手の2時間6分11秒は世界歴代88位ですが、歴代87位までの国別人数が次の表です。

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世界歴代87位(87名)を国別でみるとケニア48名、エチオピア34名合わせると82名もいます。
ロッコも地域(エリア)でみるとアフリカです。

アメリカの選手1名は北アメリカ地域の歴代1位、2002年の記録、ブラジルの選手1名は南アメリカ地域の歴代1位、1998年の記録、ノルウェーの選手1名はヨーロッパ地域の歴代1位です。


日本マラソン黄金時代と言われた例えば1983年時点、瀬古氏が世界歴代3位で1位2位共にオーストラリアの選手でした。

その時点の世界歴代87位(87位が2名で計88名)の内、ケニアの選手、エチオピアの選手はそれぞれ2名、計4名です。88名(世界歴代87位)に占めるケニアエチオピアの選手の割合は約4.5%です。

高岡氏が世界歴代4位の日本記録を樹立した2002年時点の、世界歴代1位の選手はアメリ2位ケニア3位ブラジルの選手でした。

世界歴代86位(86位が3名で88名)の内、ケニアの選手は30名、エチオピアの選手は8名、88名に占めるケニアエチオピアの選手の割合は約43%です。

設楽選手が世界歴代88位の2018年3月2日時点、ケニアの選手は48名、エチオピアの選手は34名合わせて82名、87名に占めるケニアエチオピアの選手の割合は約94%です。
しかもケニアエチオピアを除く国の選手で2時間6分を切った選手はいません

日本のマラソン「世界との差」と言われますが、実際にはケニアエチオピア2ヵ国との差です。

東京マラソン2018での設楽選手の更新した日本記録、仮に現役選手を40歳未満と想定し、世界歴代記録から40歳以上の選手を除くと次表・・・

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日本記録は世界で77番目、ケニアエチオピアを除くと2時間5分48秒のノルウェーの選手に次ぐ記録です。


東京マラソン2018のレース後に放映されたあるテレビ番組で、2時間5分台、4分台も視野に入っていると設楽選手は語っています。

まさにその記録が世界と戦える記録とも言えるのではないでしょうか。

今後の日本男子マラソン界、注目したいと思います。 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

 

東京オリンピック 陸上競技の聖地は?

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2020年東京オリンピックパラリンピックのメインスタジアム、陸上競技が実施される新国立競技場の工事(準備)が急ピッチで進んでいます。
陸上競技の聖地は?

     

 

      

2018年1月28日現在の新国立競技場です。

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しかし、新国立競技場はオリンピック後「球技専用」に改修するという基本方針を2017年11月に政府が正式決定しています。

陸上競技界では「聖地」と呼ばれていた旧国立競技場(国立霞ヶ丘競技場)にかわる「聖地」について、東京都調布市にある東京スタジアム味の素スタジアム)にするという話もありましたが・・・

その味の素スタジアムの写真です(2018年1月撮影)。

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この味の素スタジアムの前を走る国道20号線甲州街道)のまさにその地点が・・・

 

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1964年東京オリンピックのマラソンの折り返し地点です。

そこには平和の象徴のハトをイメージした「1964TOKYOマラソン折返し地点」と刻まれた高さ1.5メートルの石碑もあります。

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しかし、この味の素スタジアム、現在は陸上競技(公認大会)には使えません。公認競技場としての更新(5年毎の検定)を行っていないのです。

味の素スタジアムでは2013年に日本選手権や「スポーツ祭東京2013」として国民体育大会陸上競技や全国障害者スポーツ大会の陸上競技が開催されましたが、大規模な陸上競技大会が開催されたのはその年が最初で最後となりました。

その2013年の日本選手権や国体では隣接する西競技場(陸上競技場)が補助競技場として使われましたが、現在は味の素スタジアムと西競技場の間に「武蔵野の森・総合スポーツプラザ」という運動施設(2020年東京オリンピックではフェンシングなどの会場)ができ、西競技場が補助競技場という雰囲気もなくなりました。

 

陸上競技の大規模大会に1年しか使用されなかった味の素スタジアムとオリンピック後に球技専用に改修される新国立競技場、陸上競技にとっては同じ運命だと感じました。

2020年東京オリンピック後の陸上競技の聖地は・・・どこ???

 

関連リンク

味の素スタジアム

西競技場 | 施設ガイド | 味の素スタジアム

武蔵野の森総合スポーツプラザ

 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

 

 

陸上競技における事故防止・安全対策

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陸上競技における練習や大会での事故防止や安全対策についてです。
過去にも主に大会時の安全対策について記事を書いていますが再度記事にします。

     

      

 

 

2017年に痛ましい事故が起きました。部活の練習中に投てき物が他の部活の生徒にあたるというものです。

陸上競技では、投てき物や全力で走っている選手など危険なものや場面がたくさんあります。

陸上競技における練習や大会での事故防止や安全対策については、日本陸上競技連盟も安全対策についてガイドブックや動画を公開しています。

今回はそれらの紹介などです。

f:id:usariku:20170423184004p:plain 陸上競技安全対策ガイドブック

http://www.jaaf.or.jp/rikuren/pdf/safetybook.pdf

PDF形式でダウンロード可能です。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 陸上競技安全対策ガイド動画

www.jaaf.or.jp

 

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 本ブログで過去に取り上げた「安全」に関する記事

日本陸上競技連盟が公開しているものとは少し違う目線でみたものです。 

 


 

過去にはある大会で報道関係者が立ち入り禁止エリアに入り、数メートル横にやり投げのやりが着地したということもあります。

小学生の大会でのウォーミングアップ中に選手同士が接触し、ひとりがケガで競技に出場できないことも・・・

もっと痛ましい事故も多々起きています。

 

本記事で紹介した内容、競技会運営者、競技役員、指導者、選手、学校関係者、保護者、報道関係者など全ての方に見て頂きたいものです。 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

 

 

今春発売予定、ニシ・スポーツの新商品

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陸上競技関連用品を取り扱っている株式会社ニシ・スポーツから今春気になる新商品が発売される予定です。

  

ニシ・スポーツ (NISHI) ストップウォッチ(SVAS005) F3051A [分類:ストップウォッチ] 送料無料

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まず、株式会社 ニシ・スポーツに関する過去の紹介です。 



今春発売予定の新商品、まずその全体写真です。

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この記事で紹介する写真や説明は2017年10月時点のものです。品名、目的、特徴、価格等は変更となる場合もあります。現在カタログ等は作成中とのことです。

写真テーブル上左側:タイマー(レースクロック)、写真テーブル上中央:電子音ピストル(シグナル)、写真右側三脚のもの(写真では2組):光電管(クロックセンサー)です。

 

それぞれの説明です。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain タイマー(レースクロック)

電子音ピストル(シグナル)と光電管(クロックセンサー)と連動し作動します。リモコン付きでタイマー単体での使用も可能です。

秒単位や100分の1秒単位の切り替え、メモリー機能などもあります。

f:id:usariku:20180122083654j:plainf:id:usariku:20180122083746j:plain f:id:usariku:20180122084427j:plain

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 電子音ピストル(シグナル)

光電管(クロックセンサー)と連動します。
スピーカー、ピンマイク付き、紙雷管を入れる手間がなくなります。紙雷管の購入が不要です。
これも単体での使用ができます。

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f:id:usariku:20170423184004p:plain 光電管(クロックセンサー)

電子音ピストル、タイマーと連動します。
三脚はカメラ用のものでも代用可能です。

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写真左:赤外線が出る部分、写真右:赤外線の反射板

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※各機器同士の接続は有線ケーブルです。 

 

商品単体でも使用可能なものがありますが、組み合わせるとまるで競技会での速報値表示と同等のことができ、しかもタイマーはメモリー機能付きです。

競技会での速報値表示については次の記事


光電管(クロックセンサー)2組を2か所に置けば、加速走のスタート、ストップの計測も可能とのことです。

マネージャーがいない部活、イベントなどでの簡易計測、用途は様々です。

 

お問い合わせ先:お問い合わせ | 株式会社ニシ・スポーツ

 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

 

 

ペースランナー(ペースメーカー)

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長距離走、特にマラソンでみられるペースメーカー、先頭選手を引っ張る役目が知られていますが、一般のいわゆる市民ランナー向けのフィニッシュ時間(設定時間)毎のペースメーカーが身近な存在になってきました。 

    

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長距離走、特にマラソンでみられるペースメーカー、先頭の選手をハイレベルかつ一定のペースで引っ張る役目の走者で、レース序盤から選手同士がお互いにけん制し過ぎてペースが上がらない、ペースが乱れるなどが減り、場合によっては選手の風よけになるなど、先頭の選手の負担を減らすことにもつながります。 このペースメーカーは、高記録を出させることを目的に導入されます。

 

大会によっては、一般のいわゆる市民ランナー向けのフィニッシュ時間毎のペースメーカーが身近な存在になってきました。

大規模大会でなくても採用する大会が増えてきています。


このペースメーカー、ペースランナーと呼ばれることもあります(以下「ペースランナー」)。

 

ペースランナーは例えばフルマラソンの場合、3時間、3時間半、4時間・・・と概ね30分毎に設定されたフィニッシュタイムになるように、ほぼ一定のペースで走ります。

 

選手はペースランナーを目安に走ることにより、自身の目標タイムに挑戦します。

 

ペースランナーは、バルーン(風船)を頭につけたり、合わせてビブスなどで他の選手と区別がつくようにしています。

 

次の写真、あるハーフマラソン大会のペースランナー、頭にバルーン、ビブスに時間が書いてあります。このハーフマラソンでは制限時間は3時間、1時間40分、2時間、2時間半のペースランナーが配置されていました。写真のバルーンをつけている4名がペースランナーです。

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ペースランナーがいる大会で注意することがあります。

ひとつの設定タイムに1名しかペースランナーがいない大会があります。どの程度このような大会があるかは不明ですが確かに存在したのを知っています。
これはかなり危険です。ペースランナーは設定タイムより良い記録を持っている人が努めますが、もし急な体調不良などが起きた時には1名だとペースランナー不在となる場合があります。
もしペースランナーを目安とするなら、同じ設定タイムに複数名が走っている大会を選ぶようにしましょう。 

ペースランナーはその設定タイムより良い記録で走ることができる力を持っているため、最後までほぼ一定のペースで走ります。

競技力や経験にもよりますが、後半のペースが落ちる選手は、前半は余裕を持ってペースランナーを目安にできるスピードで走りましょう。前半からついていくのが精一杯なら上手く引っ張ってもらえれば良いのですが、多くの選手が後半かなりつらくなります。

ペースランナーはほぼ一定のペースで走るということを知って目安にしましょう。

そして、マラソンのコース審判員などを行っていて見かけることが多いのですが、ペースランナーの周りは人が多くなる傾向があります。

そのため走りにくい、給水がうまく取れないなどの事態が起きることがあります。

可能ならば少し後方に離れて走るのが良いと思います。
そして後半から終盤にかけて余裕があれば一気に前に出て先を目指しましょう。

ペースランナー、目安にするなら上記のようなことも考慮して、上手く利用しましょう。

最近では東京マラソンのように「完走サポートランナー」と呼ばれる、関門ギリギリのタイムで走るランナー達が、リアルタイムに「見える関門」となって、選手の完走をサポートする大会もあります。


ペースランナーを目安とすることなく1km毎の表示がある大会を選んで、自身でタイム(ラップタイムなど)を確認しながら走るのも良いと思います。

 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

 

 

アンチ・ドーピング(反ドーピング)

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ドーピングに関する国内初の事件が起きました。他競技ですが、陸上競技でもドーピングは問題となることが過去何度も起きています。ドーピングについての基礎知識などについて。

     

 

 

ドーピングに関する日本国内初の事件が起きました。ライバル選手の飲食物に禁止薬物を入れるという事件です。

陸上競技でもドーピングは問題となることが過去多数起きています。ドーピングについての基礎知識などについてです。

尚、本記事は正確性を重視し、日本アンチ・ドーピング機構等の関連機関公表の資料の引用やリンクを行っています。その関連資料やリンク情報は記事掲載時点では2017年のものです。

 

ドーピングとは、

ドーピングとは、競技力を高めるために薬物や方法などを使用したり、それらの使用を隠したりする行為 です。スポーツの精神に反するとして、禁止されています。

ドーピングが禁止されている理由

フェアプレイの精神に反する
ドーピングはルールで禁止されています。そのため、ドーピングという行為は、フェアプレイの精神の一つであるルールを守るということに反する行為です。

健康を害がいする
ドーピングを行うことによって、身体や精神に重い副作用がおこりえます。アスリートの健康を守るために、ドーピングは禁止されています。

反社会的行為
ドーピングは社会に大きな悪影響を及およぼす反社会的行為であることから、禁止されています。

 

ドーピング検査には、

競技会検査:参加する競技会で行われる検査
競技会外検査:競技会検査以外のドーピング検査(自宅やトレーニング場所で実施される)

 の2種類があります。

陸上競技の競技会でも大規模大会の多くでドーピング違反がないか検査が行われています。

ドーピング検査が行われる競技会では、DCO(Doping Control Officer:ドーピング検査担当者)やシャペロン(Chaperone:フランス語、その意味は女性に付き添う介添えの女性など)と呼ばれる競技役員がおり、検査通告を受けた検査対象選手はドーピング検査室に到着するまで、シャペロンやDCOの目の届く範囲で行動しなくてはいけません。

検体のすり替えなどを防ぐためでもあります。

そしてドーピング検査(詳細は下記の「アンチ・ドーピングガイドブック」などを参照してください)。

 

身近なもの、何気なく使う風邪薬でもアンチ・ドーピング規程(反ドーピング規定)に違反してしまうことがあります。

 

ドーピングに関するガイドブック、アンチ・ドーピング機構が公開している資料「アンチ・ドーピングガイドブック」(PDF)です。

http://www.realchampion.jp/assets/uploads/2013/03/7faecbf2913bb0027d4cd6d7c06904a9.pdf

 

日本陸上競技連盟の医事委員会も、「アンチ・ドーピング情報」をサイトで提供しています。

www.jaaf.or.jp

 

アスリートに向けてアンチ・ドーピング機構が作成した特設サイトです。 

 

www.realchampion.jp

 

アンチ・ドーピング機構は、アンチ・ドーピングの知識を持った薬剤師をスポーツファーマシストとして認定しています。 全国に約6000人いるスポーツファーマシストに直接相談できるよう検索サイトを提供しています。 

スポーツファーマシスト会員検索

 

しかし、病気などの治療のために禁止薬物を使用しなけらばならないこともあり得ます。

その際は、TUE(治療目的使用に係除外措置) 事前申請という手続きにより競技出場を認められることがあります。

TUEが認められるには、次の条件を満み たすことが必要です(TUE申請承認条件)。

①治療上、使用しないと健康に重大な障害を及およぼすことが予想される
②治療上使用した結果、健康を取り戻す以上に競技力を向上させる効果を生まない
③他に代えられる合理 的な治療法がない
④ドーピングの結果生じた副作用ようの治療ではない

 

2017年度、国内のTUE事前申請が必要な競技会は次のとおりです。(一覧に掲載されていない競技大会においてもドーピング検査は実施されます。)

・第72回国民体育大会「愛顔つなぐえひめ国体」≪本大会≫
・第101回 日本陸上競技選手権 50km競歩
・第19回 長野マラソン
・第7回 高橋尚子杯 ぎふ清流ハーフマラソン
・GPシリーズ第1戦(混成競技)※大会名未定
・第65回 兵庫リレーカーニバル(GP2)
・第51回 織田幹雄記念国際陸上競技大会(GP3)
・第33回 静岡国際陸上(GP4)
セイコーゴールデングランプリ陸上 2017
・第101回 日本陸上競技選手権 混成
・第101回 日本陸上競技選手権
・第31回 北海道マラソン2017
・第65回 全日本実業団対抗陸上競技選手権
・第56回 全日本50km競歩高畠大会
・第101回 日本陸上競技選手権 リレー
・第3回 さいたま国際マラソン
・第71回 福岡国際マラソン
・第37回 大阪国際女子マラソン
・第72回 香川丸亀国際ハーフマラソン
・第67回 別府大分毎日マラソン
・第101回 日本選手権 男子・女子20km競歩
・第101回 日本選手権クロスカントリー競走
・2018 東京マラソン
・第73回 びわ湖毎日マラソン
・2018 名古屋ウィメンズマラソン
・2018 アジア選手権20km競歩 兼 第42回全日本競歩美大

 

ドーピングを行うことによって、身体や精神に重い副作用がおこりえます。アスリートの健康を守るために、ドーピングは禁止されています。これはトップアスリートだけでなく全てのアスリートに通じることです。

※病気などの治療のために禁止薬物を使用することを望ましくないと言っているものではありません。医師や薬剤師に相談してください。

 

アスリート、コーチなどの指導者はもちろん、選手の保護者の皆さんも基本的な知識を知る必要があると思います。


 

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マラソン・ロードレースでの給水などについて ~その2(陸王)~

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ラソンやロードレースなどの道路競走では水やスポンジおよび飲食物供給所(給水所)が設けられ、スペシャルドリンクと呼ばれる選手自身が持ち込む飲食物を給水所に置くことができることを先の記事で書きましたが、今回はその飲食物(スペシャルドリンク)に関することです。(2017年12月まで放映されたTBSドラマ「陸王」でも見られたシーンも関係します)。
2018年度ルール改正に伴う追記、削除があります(赤字部分、打消し部分) 

    

  

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先の記事、 

www.usariku.com

 

 

日本陸上競技連盟競技規則の道路競走に関する規則(2017年度版)には次のような記載があります(関係部分抜粋)。

〔国内〕  競技者が他の競技者の飲食物を摂った場合、審判長は、それが1回目の違反であれば警告とすべきで、2回目の違反があった競技者は失格させる。失格となった競技者は速やかにコース外に出なければならない。

この記載、実は訂正があります。

「摂った」は摂取することですが、この部分は、奪い取るの「取る」が正しい表現です(日本陸上競技連盟担当者確認済み)。

供給所のテーブルに置いてある選手が持ち込んだ飲食物(以下「スペシャルドリンク」)を取ることの記載です。

スペシャルドリンクが置いてあるテーブルには看板(国際大会などでは国別に置いてあり国旗付きの看板であるときもあります)などが設置され、選手に自分のスペシャルドリンクがどこにあるのかわかるようになってます。

また、選手は自分のスペシャルドリンクの容器に自分のものだとわかるように装飾物などを付けることもあります。

上記の規則(ルール)は、そのスペシャルドリンク「テーブルに置いある他の選手のスペシャルドリンクを取る」行為のことです。

それを1回行うと警告2回行うと失格ということです。

2017年12月に最終話を迎えたTBSドラマ「陸王」で選手同士がスペシャルドリンクを渡す場面があり、その行為が違反行為ではないかという話題がインターネット上にもありましたが、違反ではありません。

ルールには選手間の受け渡しが違反行為であるという記載はありません。

 

2018年度規則(ルール)改正で次のような記載になりました。

〔注意〕 飲食物や水、スポンジをタート地点から持ってきたり、主催者が設置した供給所で受取っている限りにおいては、競技者はそれらを他の競技者から受取ったりあるいは手渡してもよい。
但し、ある競技者が一人または複数の競技者にそのような方法で繰り返し飲食物の受渡しを行う場合は、規則に違反した助力と考えられ、警告を与えたり失格としてよい。

選手間での受け渡しは違反行為ではないのですが、ルールの太字部分、ある選手が繰り返し行うことを規則違反、助力とみなし、警告や失格としてよいとなりました。

ここからは想像ですが、その理由を考えてみました。
テーブル上のスペシャルドリンクを取る際は、他の選手との接触、転倒などの可能性も多く、テーブルに近い位置に移動し、時には速度を落とさなければならないこともあります。走るペースを乱されることになることも。
このようなことを回避するため、例えば同じ所属の選手間で特定の選手にはドリンクをテーブルから取らせず、他の特定の選手が代わりに取り、自身で取らない選手に渡すことが行えます。自身で取らない選手はペースを乱さず、選手間の接触や転倒のリスクも減ります。つまり、ある特定の選手に良い結果を出させるために、他の選手が意図的に協力できてしまします。
このような行為を禁止するためにできたのがルールの太字、但し書きの部分ではないかと想像します。
あくまでも想像ですが・・・

※赤字部分、打消し部分:2018年度ルール改正に伴う追記や削除箇所 

 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

 

 

駅伝の当日メンバー(エントリ―)変更

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箱根駅伝東京箱根間往復大学駅伝競走)など駅伝競走で「当日メンバー(エントリー)変更」を行うことがあります。
予定選手の不調?それとも作戦?・・・

 

大迫傑 決戦前のランニングノート (文春e-book)

 

トラック競技のリレーは、申し込み時典でオーダー(走順)までは決めず、競技会当日にオーダー(走順)を最終決定できますが、駅伝競走では異なることがあります。


多くの駅伝競走の申し込みは各区の選手を決めた上で行います。申し込み時には走順を決めなければならないのです。ただし、補欠の選手も申し込みができ、選手交替(メンバー変更)は可能です。

そのメンバー変更に条件がある場合が多いのです。

例えば、1月に開催される箱根駅伝東京箱根間往復大学駅伝競走)、メンバー変更について開催要項には次のように記載されています(2018年1月開催の大会資料より引用)。

メンバー変更
1) 往路、復路とも、当日レース開始1時間10分前に受け付ける。
2) 正競技者と補欠競技者の交替は4名までとする。
3) 変更は正競技者と補欠競技者との交替のみとし、正競技者間での区間変更は認めない。

ここで注目するのが 3) の記述、予め決められた各区の選手と補欠の入れ替えだけが可能なのです。

各区の間での変更は認められていません。例えば1区と5区の予め決められていた選手間の変更というようなことです。


出場予定の選手がケガなど(不調)で出場できないとき、補欠の選手が交替できます。

その不調による交替について、
例えば、全日本実業団対抗駅伝競走大会ニューイヤー駅伝)では(2018年1月開催の大会資料より引用)、

選手が故障や病気等のため出場できなくなった場合、補欠をその区間の交代として起用することができる

全国中学校駅伝大会全国高等学校駅伝競走大会では(2017年12月開催の大会資料より引用。両大会をまとめたため一部編集)、

必ず医師の証明が記載された走者変更証明書と走者変更届を大会当日の〇定められた時刻までに大会総務(学校受付)に提出すること。なお、大会当日オフィシャルドクターの診察を受けてもよい。

と不調の選手の交替と定めています。

全国中学校駅伝大会全国高等学校駅伝競走大会では医師などの証明も求められています。

これらの大会でも認められているのは予め決められた各区の選手と補欠の入れ替えだけです。


箱根駅伝全日本大学駅伝対校選手権大会(開催地:三重県)では、選手の不調については記載がありません。


ここからの部分は個人的な意見です。
メンバー変更時に提出する書類に医師の診断証明などの記載が必要な場合がある大会でも要項や競技注意事項に記載がない場合もあるかも知れないのですが、もし医師の証明が必要ないなら、好調な選手を補欠にし、当日不安な区間の選手と交替させることもできてしまいます。大会により各区の距離やコース条件(起伏や風など)が異なることもありますので、それも考慮しての交替が。
それはもしかすると作戦?と思ってしまいます。



このメンバー変更、日本陸上競技連盟駅伝競走規準には規定がありません。大会により異なることがあります。

中には各区の間での選手変更を認めている場合も。

私が関わることがある駅伝大会、大会要項及び競技注意事項に、

申込締め切り後のメンバー変更(区間の変更&競技者の変更)は認めない。
当日のメンバー変更(補欠の起用)は、競技者受付時に受け付ける。

との記載があります。つまり区間内の選手の交替は行えないと。
実際に大会当日この変更を申し出るチーム引率者がかなりいます。

トラック競技のリレーとは異なることがあります。

駅伝大会に申し込むときは確認の上申し込みしましょう。

 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)

f:id:usariku:20170423225103p:plain第94回箱根駅伝東京箱根間往復大学駅伝競走)が開催される。

知らない人もかなり多い様である・・・ 

 

大迫傑 決戦前のランニングノート (文春e-book)

 

知っていますか?箱根駅伝は関東大会です

大学3大駅伝と呼ばれるのが出雲全日本大学選抜駅伝競走(開催地・島根県)、全日本大学駅伝対校選手権大会(開催地・三重県)、箱根駅伝東京箱根間往復大学駅伝競走)です。

もっとも注目されているのが箱根駅伝東京箱根間往復大学駅伝競走)ではないかと思います。

でも、箱根駅伝を除く2大会は全国大会ですが、箱根駅伝は関東大会なのです。

主催は関東学生陸上競技連盟

そのため日本陸上競技連盟のホームページの大会情報のページにに箱根駅伝はありません。

 

2017年に開催された先日行われた出雲全日本大学選抜駅伝競走では上位9位までが関東の大学、全日本大学駅伝対校選手権大会は上位15位までが関東の大学、その結果をみると箱根駅伝は全国大会といっても良いのかもしれません。

先日開催された女子の大学日本一を決める富士山女子駅伝全日本大学女子選抜駅伝競走)の優勝は立命館大学(京都)、上位校は各地の大学が混在しています。

男子は関東の大学に高校時代活躍した選手が集中しているともいえるのです。

その中で頑張っているのが多田修平選手(2017年世界陸上ロンドン・男子4×100mリレー第1走者・銅メダリスト)で注目をあびた関西学院大学兵庫県)、出雲全日本大学選抜駅伝競走ではアメリカ選抜のアイビーリーグ選抜1チームを加えて10位です。

箱根駅伝も全国大会にという声もあるようですが・・・

そうなるとのも面白いかもしれないと個人的には思います。

 

箱根駅伝の公式サイト

http://www.hakone-ekiden.jp/

 

 

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マラソン・ロードレースでの給水などについて

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ラソンやロードレースなどの道路競走では水やスポンジおよび飲食物供給所が設けられます。一般的にまとめて給水所と呼ばれることが多いものです。今回は給水などについて。 

    

  

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日本陸上競技連盟競技規則の道路競走に関する規則では、道路競走の標準となる距離は10㎞、15㎞、20㎞、ハーフマラソン、25㎞、30㎞、マラソン(42㎞195)、100㎞およびロードリレーとなっています。
本記事はこれらに適用されるルールに関してです。

まず給水所、道路競走のルールでは、水・スポンジおよび飲食物供給所水・飲食物供給所と記載されています。以下ルールの記載(必要部分のみ)とその説明です。

供給所の場所など、 

⒜ 水その他の飲食物はスタートとフィニッシュ地点に用意しなければならない。
⒝ 全ての種目において、約5km間隔で給水所を設けるものとする。10kmを超える種目の場合、水以外の飲食物も給水所で提供することができる。
〔注意〕ⅰ  種目の特性、気象条件、大多数の競技者の健康状況を踏まえ必要性が認められる場合、競技ルート沿いに一定間隔でより多くの水・飲食物供給所を設けることができる。
ⅱ 気象状況によっては体勢が整えられる場合に、ミストステーションも用意して良い。


スタート地点、フィニッシュ地点、そしてコースの約5km間隔で設けなければなりません。

また、例えばコースの起伏が激しいなどの種目の特性、暑いといった気象条件、大多数の競技者の健康状況に配慮する必要があると判断したときはより多くの供給所をコース沿いに一定間隔で設けることができます。

10kmを超える種目では水以外の飲食物も供給できます。

夏のマラソンなどで最近多く見られる、ミストステーションも競技中に水がなくなる、出なくなるなどきちんと使用できるものであるなら設置してもよいことになっています。2014年度のルール修改正でこのことが明記されました。

では、飲食物を提供するとき何をだして良いのか、

⒞ 飲食物には、飲料、エネルギーサプリメント、食品、その他の水以外のものを含めることができる。組織委員会は、状況に基づいてどの飲食物を提供するかを決定する。

組織委員会とは大会運営者などと考えてください(以下本記事中は同じ)。

具体的な物はルールでは示されていません。大会運営者が決めます。


選手自身による飲食物の持ち込みについて、

⒟ 飲食物は通常、組織委員会が提供するが、組織委員会は、競技者が自分で飲食物を用意することを認めることができる。
その場合、競技者は、どの供給所で自分の用意した飲食物を受け取るか指定しなければならない。

いわゆるスペシャルドリンクというものです。運営者が認めることが前提なので全ての大会で誰もが自由にということではありません。

例えば2018 年(平成30年)2 月25日に開催の「東京マラソン2018 」の「エリート 募集要項」を見ると、

スペシャルドリンク受付 ※ 希望者のみ
2月25日(日) 6:00~7:00 京王プラザホテル
※ 容器は各自で準備のこと(装飾物を含めたサイズ:直径8cm、高さ35cm まで)

と記載されています。

まず「エリート」とは(同要綱より引用)、

参加資格
(1) 次の①・②・③の条件を満たす競技者
①2017 年度日本陸上競技連盟登録競技者
②2018 年2 月25 日現在満19 歳以上の者
③国内外の公認競技会で2015 年2 月1 日以降申込期日までに下記の公認記録を出した者
男子 マラソン2 時間21分以内、ハーフマラソン1 時間01分00 秒以内、10000m 28分00秒以内
女子 マラソン2時間52分以内、ハーフマラソン1 時間11分00 秒以内、10000m 32分00 秒以内
(2)日本陸上競技連盟が推薦する男女競技者
(3)日本陸上競技連盟が招待する外国・国内男女競技者

その人数は(同要綱より引用)、 

定 員 男女計100 人 

です。

その名のとおりエリート、選ばれた競技者、その競技者たちだけがスペシャルドリンクの持ち込みができるのです。

この東京マラソンの場合はスタート時刻(午前9時10分)の2時間10分前までに指定の場所(京王プラザホテル)で運営者に預けます。
また競技者はどの供給所で受け取るか決めて渡さなければなりません(この記載は要項にありませんがルールで定められています)。


 

数千人程度が参加する日本陸上競技連盟公認のマラソン大会を運営することがあります。
その際にルールに則り供給所を設け、大会要項や競技注意事項でその位置や供給物の記載も行っているのですが、大会後に参加した競技者から、ある特定の食べ物や飲み物がほしかった、時には「あるのが当たり前だ」という声が上がります。

気持ちはわかりますが、競技者全ての要望に応えるのは困難です。

日本陸上競技連盟公認大会に参加するときは、まずルールを知り、どこで何が供給されるか大会前に調べる、わからなければ運営者に問い合わせた上で大会に臨むことが、好レースにつながるのではないかと思います。

大会準備、競技者にも大切なことです。 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

 

 

走幅跳・三段跳のナンバーカード(アスリートビブス)は背または胸につけるだけでもよいのか?

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日本陸上競技連盟競技規則は国際陸上競技連盟規則(IAAF規則)に準拠しているのですが、中にはおかしな記載になっていることがあります。そのひとつ、走幅跳三段跳のナンバーカードのつけ方についてです。

2019年11月、国際陸上競技連盟(IAAF)はワールドアスレティックスWorld AthleticsWAに名称変更されました。
2020年度の競技規則改正で「ナンバーカード」は「アスリートビブス(ビブス)」に呼び方がかわりました。
本記事中では一部を除き旧名称で記載しています。 

    

  

 

日本陸上競技連盟競技規則(以下、JAAF規則)は、IAAF規則に準拠し記載され、

日本陸連独自に追加したもので、国内競技にのみ適用する事項を〔国内〕、
・IAAF規則の注意であり、国内競技でも適用する事項を 〔注意〕、
・IAAF規則に記載されているが、国内競技には適用しない事項を〔国際〕、
・IAAF規則の注意であるが、国内競技には適用しない事項を〔国際-注意〕
として追記されているものです。

しかし、走幅跳三段跳でのナンバーカードを背または胸につけるだけでもよいのかについては記載が通常と異なるのです。

まず、その経緯、

2012年度時点までは跳躍種目の中で棒高跳走高跳の競技者だけがナンバーカードを背または胸につけるだけでもよかったのです。

2012年度のJAAF規則でも、

棒高跳走高跳の競技者は、背または胸につけるだけでもよい。

と記載されており、IAAF規則も同内容の記載でした。

2013年度JAAF規則には修改正があり、 

跳躍競技の競技者は、背または胸につけるだけでもよい。 

と記載され、棒高跳走高跳の競技者だけに限らず、跳躍競技走高跳棒高跳走幅跳三段跳の競技者がJAAF規則では対象となりました。

ところが、IAAF規則では、 

棒高跳走高跳の競技者は、背または胸につけるだけでもよい。

かわっていないのです。

つまり、国内競技では「跳躍競技走高跳棒高跳走幅跳三段跳)」、IAAF規則に則った国際競技会では「棒高跳走高跳」だけなのです。

通常JAAF規則は(〔注意〕〔国際-注意〕は省く)、

①IAAF規則(JAAF規則準拠部分)
②〔国内〕日本陸連独自に追加したもので、国内競技にのみ適用
③〔国際〕IAAF規則に記載されているが、国内競技には適用しない

という形式で書かれていますが、①の部分が「棒高跳走高跳(IAAF規則)」、「跳躍競技(JAAF規則)」というようにIAAF規則とJAAF規則での共通項目として①に記載されるべき内容が異なってしまったのです。

しかも、JAAF規則では②〔国内〕や③〔国際〕の追記もありません。

 

その後IAAF規則は2017年度までそのままかわっていません。


JAAF規則は2014年度に、

〔国際〕 走高跳棒高跳の競技者は、背または胸につけるだけでもよい。

とう記載が追記され、IAAF規則に記載されているが、国内競技には適用しない事項として、走高跳棒高跳の競技者は、背または胸につけるだけでもよいということを加えました。

JAAF規則2017年度までこのままです。

 

2017年度まで国内大会は「跳躍種目」、IAAF規則に則る国際大会では「走高跳棒高跳」が続いています。

2016年のリオデジャネイロオリンピックや2017年の世界陸上ロンドン大会の走幅跳三段跳の写真や動画などをみると確かに競技者は背中にもナンバーカードを付けています。

 

ではこれからは・・・

既に2017年11月1日より適用されているIAAF規則では、これまで「the High Jump and Pole vault,」(走高跳棒高跳)だった部分が「the Jumping Events」(跳躍種目)に修改正されています。

JAAF規則と同じ意味合いになります。

合わせて2018年度よりJAAF規則も

 

〔国際〕 走高跳棒高跳の競技者は、背または胸につけるだけでもよい。 

という但し書きがなくなるのだと想像します。 

個人的な感想ですが、IAAF規則がJAAF規則に歩み寄った、あるいはIAAF規則が修改正を誤っていたのではなかと思えてしまう事柄です。

 

タイトルに対する結論ですが、走幅跳三段跳のナンバーカードは国内競技、国際競技に関係なく、背または胸につけるだけでよいということです。

但しこれは義務ではありません

国内の競技会などでときどき見る光景、跳躍種目とトラック種目に参加の競技者で、跳躍種目の競技途中や終了後直ぐにトラック種目の競技時刻になるときがあります。トラック種目の競技場所に移動してきた際、背中のナンバーカード(アスリートビブス)がついていないことがあります。これはNGです。忘れる心配があるなら背中ナンバーカード(アスリートビブス)を付けて跳躍種目に出場しましょう。

2019年11月、国際陸上競技連盟(IAAF)はワールドアスレティックスWorld AthleticsWAに名称変更されました。
2020年度の競技規則改正で「ナンバーカード」は「アスリートビブス(ビブス)」に呼び方がかわりました。
本記事中では一部を除き旧名称で記載しています。 

 

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