世界選手権が開幕されますが、マラソンも競技にあります。マラソン愛好家の方には興味ある競技です。そのマラソンなど、暑い日が続くこの時期に既に冬の大会のエントリーが始まっています。ときどきマラソンやハーフマラソンにエントリーを考えている人にどの大会が良いかと尋ねられます。実はこれとっても難しい質問です・・・
コース種類は2つ
まずマラソン大会(フルマラソン42.195km)やハーフマラソン大会(21.0975km)は大きく分けて2種類の大会があります。
日本陸上競技連盟(以下「日本陸連」)の公認コースで行われる公認大会と日本陸連の公認コースではない大会です。
日本陸連公認コースはルールに則り計測されたコースです。
その計測の詳細は次の記事をご覧ください。
公認大会であるためには日本陸連の公認審判員が競技役員を行っているなどの条件も満たし、コースの距離や記録の計測なども精度が高い大会です。
私が運営に関わる河川敷で行なわれる日本陸連公認コースの大会、土手の工事の影響などでコースが何度も変わりました。その都度計測のやり直しです(ほとんどが一部ですが、コースの半分以上の変更もありました)。
参加者の皆さんに、コースがよく変わるとご指摘を受けることがありますが、それはきちんと計測した結果なのです。
記録の計測については次の記事をご覧ください。
一方、日本陸連の公認コースでない大会での距離計測の方法は陸上競技のルールに則る必要がないため、どのように計測しているか、どこまで精度が高いかはわかりません。
中には日本陸連の計測方法に準拠した計測を行っている大会もあります。
多くの大会が精度が高いと信じたいのですが、次のようなケースも実在します。
ある大会の運営関係者にコース計測について話を聞くことがありました。その方、日本陸連公認コースのこと自体を知らなかったのです。ある川の河川敷道路(車が通行できる公道ではない)で行われる大会で「国土交通省に河川敷道路の使用許可を得ているから問題ない」という的外れな回答でした。道路で大会を開催するときには関係官公庁、警察、自治体などの許可を得るのは当然です。
コースの精度については「走路の右側を走る人と左側を走る人で距離がかわることがあるので誤差があるのは仕方ない」という考え方でもありました。
当然ですが、ルールでは(一部抜粋)、
コースは競技者の使用が許される道路として区分されている個所の最短距離を測定する。コースの長さは種目の公式距離より短くてはいけない。
というような規定もあり、走路のどこでを計測しても良いというわけではありません。
コース計測のルールも知らないわけですから距離の精度が高いとは思えません。
また、他のいくつかの主催者に距離の計測方法を尋ねたところ、ローラー計測計やロードカウンターなどと呼ばれる車輪に持ち手が付いたような計測器で測定しているというケースがありました。
この種の機器、多くは建築現場や道路工事での使用を目的としています。
特に道路表面のように凹凸があるところでは誤差が大きくなる可能性が高いためマラソン大会などの距離計測には向いていないと言っている製造メーカーもあります。
機器の誤差を示しているメーカーもありますがこれは完全に平坦なところで計測した場合の誤差で、道路のようなところでは凹凸以外にも小石があるだけでも誤差は増えるということです。その誤差も長い短いはその時々で異なることがあるそうです。
そのような計測器で計測している大会もあるのが現実です。
また、そのような計測器を使用していて機器自体の誤差や路面状態による誤差を把握していない主催者もありました。
尚、誤差に関することもルールに規定があります。
競走(歩)路の距離における許容誤差はプラス(+)0.1 %以下とし、マイナス(-)は認めない。
距離が短いことは認められず、長くても0.1%以下です。
大会のイベント性など
大会にもイベント性が高く、コース途中飲食物供給所に果物や菓子類があったり他にも色々なお楽しみがある大会、競技志向が高く派手なイベントはなく、コース途中の給水所にも水しかないような大会もあります。
給水に関してルールでは、
全ての種目において、約5km間隔で給水所を設けるものとする。10kmを超える種目の場合、水以外の飲食物も給水所で提供することができる。
と記載されており、給水所は水だけでも構わないのです。
イベント性が高い大会は公認大会でない傾向が高いと感じます。
公認大会では競技志向が高く派手なイベントはないタイプのものと、イベント性の高いものの両方が存在します。
しかし、公認大会でイベント性が高い大会でも実は競技志向が高い部分も含まれています。
例えば東京マラソン、エリート(準エリートを含む)の部と一般の部に分かれています。前者をエリートランナー、後者を市民ランナーと位置付けし、スタートから5km刻みに何時までに通過する選手はエリートランナー、何時以降は市民ランナーと目安を決めています。
競技役員もエリートランナーに対しては陸上競技のルールに則り見ていますが、市民ランナーには楽しく安全に走れるように配慮して見ています。
お祭りの雰囲気がある大会になっていますが、それは市民ランナーに対してです。
テレビで観ていてもエリートランナーがバナナを食べている、沿道からお菓子などをもらっている姿はありませんよね。
参加目的をはっきりさせる
イベント重視で楽しく走ればそれだけで良い、記録もさほど重要ではなく、距離の精度などにもこだわらない人は公認大会ではないイベント性の高い大会を選べば良いと思います。
走る以上はきちんとした記録を計りたいという人は距離の精度も高い公認コースでの公認大会を選ぶべきです。
公認大会ではないイベント性の高い大会でも距離計測をきちんと行い、記録精度も高い大会もあるようです。イベント性と記録を重視するなら必ず大会事務局などに、距離の計測方法などを確認するようにしてましょう(インターネット大会エントリーサイトで確認できることもあるようです)。
公認大会でない大会で、実際には距離が数十メートル、時にはそれ以上異なっていたとすれば、記録に大きく影響することは容易に想像できます。
どの程度公認コースでの大会があるか?
最近はインターネットでエントリーを行う大会がほとんどです。
マラソン大会などの申し込みが行えるある大手インターネット大会エントリーサイトで調べてみました。
この記事記載時点でエントリーが行える今年12月に開催される大会を対象に、
国内では
マラソン(フルマラソン42.195km)が24大会、その内公認コースである大会は2、
ハーフマラソン(21.0975km)が48大会、その内公認コースである大会は7、
関東では
マラソン(フルマラソン42.195km)が16大会、その内公認コースである大会は0、
ハーフマラソン(21.0975km)が32大会、その内公認コースである大会は3、
東京では
マラソン(フルマラソン42.195km)が8大会、その内公認コースである大会は0、
ハーフマラソン(21.0975km)が18大会、その内公認コースである大会は2、
でした。
実はこれだけしか公認コースで開催される大会はないのです。
マラソンブームで多くの大会が開催されています。
参加目的を決め、それに合った大会を選ぶようにしましょう。
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