マラソンやロードレースなどの道路競走では水やスポンジおよび飲食物供給所が設けられます。一般的にまとめて給水所と呼ばれることが多いものです。今回は給水などについて。
日本陸上競技連盟競技規則の道路競走に関する規則では、道路競走の標準となる距離は10㎞、15㎞、20㎞、ハーフマラソン、25㎞、30㎞、マラソン(42㎞195)、100㎞およびロードリレーとなっています。
本記事はこれらに適用されるルールに関してです。
まず給水所、道路競走のルールでは、水・スポンジおよび飲食物供給所や水・飲食物供給所と記載されています。以下ルールの記載(必要部分のみ)とその説明です。
供給所の場所など、
⒜ 水その他の飲食物はスタートとフィニッシュ地点に用意しなければならない。
⒝ 全ての種目において、約5km間隔で給水所を設けるものとする。10kmを超える種目の場合、水以外の飲食物も給水所で提供することができる。
〔注意〕ⅰ 種目の特性、気象条件、大多数の競技者の健康状況を踏まえ必要性が認められる場合、競技ルート沿いに一定間隔でより多くの水・飲食物供給所を設けることができる。
ⅱ 気象状況によっては体勢が整えられる場合に、ミストステーションも用意して良い。
スタート地点、フィニッシュ地点、そしてコースの約5km間隔で設けなければなりません。
また、例えばコースの起伏が激しいなどの種目の特性、暑いといった気象条件、大多数の競技者の健康状況に配慮する必要があると判断したときはより多くの供給所をコース沿いに一定間隔で設けることができます。
10kmを超える種目では水以外の飲食物も供給できます。
夏のマラソンなどで最近多く見られる、ミストステーションも競技中に水がなくなる、出なくなるなどきちんと使用できるものであるなら設置してもよいことになっています。2014年度のルール修改正でこのことが明記されました。
では、飲食物を提供するとき何をだして良いのか、
⒞ 飲食物には、飲料、エネルギーサプリメント、食品、その他の水以外のものを含めることができる。組織委員会は、状況に基づいてどの飲食物を提供するかを決定する。
組織委員会とは大会運営者などと考えてください(以下本記事中は同じ)。
具体的な物はルールでは示されていません。大会運営者が決めます。
選手自身による飲食物の持ち込みについて、
⒟ 飲食物は通常、組織委員会が提供するが、組織委員会は、競技者が自分で飲食物を用意することを認めることができる。
その場合、競技者は、どの供給所で自分の用意した飲食物を受け取るか指定しなければならない。
いわゆるスペシャルドリンクというものです。運営者が認めることが前提なので全ての大会で誰もが自由にということではありません。
例えば2018 年(平成30年)2 月25日に開催の「東京マラソン2018 」の「エリート 募集要項」を見ると、
スペシャルドリンク受付 ※ 希望者のみ
2月25日(日) 6:00~7:00 京王プラザホテル
※ 容器は各自で準備のこと(装飾物を含めたサイズ:直径8cm、高さ35cm まで)
と記載されています。
まず「エリート」とは(同要綱より引用)、
参加資格
(1) 次の①・②・③の条件を満たす競技者
①2017 年度日本陸上競技連盟登録競技者
②2018 年2 月25 日現在満19 歳以上の者
③国内外の公認競技会で2015 年2 月1 日以降申込期日までに下記の公認記録を出した者
男子 マラソン2 時間21分以内、ハーフマラソン1 時間01分00 秒以内、10000m 28分00秒以内
女子 マラソン2時間52分以内、ハーフマラソン1 時間11分00 秒以内、10000m 32分00 秒以内
(2)日本陸上競技連盟が推薦する男女競技者
(3)日本陸上競技連盟が招待する外国・国内男女競技者
その人数は(同要綱より引用)、
定 員 男女計100 人
です。
その名のとおりエリート、選ばれた競技者、その競技者たちだけがスペシャルドリンクの持ち込みができるのです。
この東京マラソンの場合はスタート時刻(午前9時10分)の2時間10分前までに指定の場所(京王プラザホテル)で運営者に預けます。
また競技者はどの供給所で受け取るか決めて渡さなければなりません(この記載は要項にありませんがルールで定められています)。
数千人程度が参加する日本陸上競技連盟公認のマラソン大会を運営することがあります。
その際にルールに則り供給所を設け、大会要項や競技注意事項でその位置や供給物の記載も行っているのですが、大会後に参加した競技者から、ある特定の食べ物や飲み物がほしかった、時には「あるのが当たり前だ」という声が上がります。
気持ちはわかりますが、競技者全ての要望に応えるのは困難です。
日本陸上競技連盟公認大会に参加するときは、まずルールを知り、どこで何が供給されるか大会前に調べる、わからなければ運営者に問い合わせた上で大会に臨むことが、好レースにつながるのではないかと思います。
大会準備、競技者にも大切なことです。