うさりく先生の陸上教室

 

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リレーのバトンパスで多いミスなど ~バトンを渡す前走者編~

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リレーのバトンパス、ときにはミスしてしまいます。今回は4×100mリレーでバトンを渡す前走者が起こすミスについてです。

※2018年3月13日、2018年度規則(ルール)改正に伴う修正(赤字、打消し)

 

 

 

まずバトンパスに関するルール、次の記事で確認してください。 


ここでは、渡す前走者が起こすミスについて書きますが、ミスがそのまま失格となる場合とそうでない場合があります。

一番多いのがバトンを受け取る次走者に追いつけないこと。
次走者の走り出しが早い時もありますが、前走者が疲れる向かい風が強いなどで大きく失速する場合もよくあります。大きな失速は特に小学生や中学生の初心者(以下まとめて「初心者」と書きます)に見られます。

仮に次走者が早く走り出しても、次走者は走る方向を見ているため前走者の様子はわかりません

ですから前走者は追いつけない時はとにかく早く大きな声をだすことです。
待って」「早い」など予め言葉を決めておきましょう。

初心者は声を出さず、追いつこうと頑張ってしまうことが多いです。
加速する次走者、失速する前走者、ますます追いつけなくなります。
追いかけっこでもそうですが、追いつけそうでない時はかなり早くにわかります。
とにかく早く声を出しましょう。

また初心者に多いのですが追いつき渡せるタイミングに「はい」など手を出してもらうための合図を行わないことがあります。そのまま追いかけ結局渡せなくなります。
追いついていないと思っている、あるいはもっと近づいた方がよいと思っていることもあるようです。渡すのは手を伸ばした状態が有利(利得距離が長い)なのに、その理解が足りないようです。

練習で4人そろって流し(全力走ではない70~80%程度のスピード)ながらバトンパスを行うことがあると思いますが、オーバーハンドパスの場合、その際に前走者のうでがしっかり伸びていないのを多々見ます。前走者、次走者ともにうでが伸びている状態で行うようにしましょう。次走者には前走者との距離がわかりません。前走者が距離を調整(スピードを調整)します。渡す感覚、受け取る感覚を身に着けることが目的の練習です。そこできちんとできていなければ練習になりません。但し時には近づいて渡す練習も行いましょう。本番でそのような状態になることもあるからです。但しその練習だと意識して行うこと。大切なのは前走者が感じる次走者までの距離感を身に着けることです。

 

次走者にすぐに追いついてしまう時があります。
次走者の走り出しが遅いときもそうですが、前走者の体が良く動く、追い風が強いなど前走者がスピードにのって走ってくることでも追いつきます。
次走者のスピードが上がるのに合わせ前走者がスピード調整することで対応しますがこのようになってしまった時は、(テイク・オーバー・ゾーンに前走者の手が入ったら)直ぐ渡すようにします。多くの次走者、バトンを受けてからスピードが増す傾向にありますので。

次走者にすぐに追いついてしまいそうな時、極まれにしか見かけませんが、前走者が「行け」など声を出しているチームがあります。予めその様な時声をかけると決めておけば、それも有効な手段でしょう。

追いつけない、すぐ追いついてしまう、どちらの場合もバトンパスはテイク・オーバー・ゾーン内で行わなければ失格です。

失格かどうかはバトンの位置で見ます。身体の位置で見るのではありません。
テイク・オーバー・ゾーンの入口(スタート寄り、入口のライン上はゾーン内)より手前で追いついてしまっても、次走者にバトンを触れさせないよう待ちます。

そして、テイク・オーバー・ゾーンの出口より先(フィニッシュ寄り、出口のライン上はゾーン外)では、前走者がバトンに触れていてはいけません。

そうならないようにするために、大事なのは早く大きな声を出すことです。

それから、バトンを落としてしまうミス、多いのは次走者が持つ前に放してしまうミス。接近し過ぎて渡せないこともよくあります。オーバーハンドパスの場合、気を付けるのは次走者の手にしっかり押しつけること。次走者の手の出し方も要注意、特に低い位置で手のひらを上に向けるのは前走者はかなり渡しにくいです。

押しつけるように渡す

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バトンパスに集中し、内側のラインを踏む、となりのレーンに入ることがあります。
曲走路で内側のラインを踏む、あるいは踏み越すのは失格です。
曲走路の外側のレーンに入る、あるいは直走路でもとなりのレーンに入って、他のチームを妨害したら失格です。
自身のバトンパスが終わった後でも他のチームを妨害したらダメです。

 

バトンパスは、とにかく練習や大会などで経験を積むことが大切です。
次の記事に書いていることも重要です。 


大会当日の選手の調子や天候(風、雨など)によってもバトンパスのタイミング(次走者が走りだすポイントなど)は変わります
練習や選手同士のコミニュケーションを大切にタイミングについて確認しましょう。

バトンパスでのミスや失格で多いのは、テイク・オーバー・ゾーンの出口の先で渡すこと(オーバーゾーン)で、次走者の走り出しが早いなどが原因なのはよくあることですが、次走者は走る方向を見ているため前走者の様子はわかりません。バトンを渡せるかは前走者の判断や対応が重要なのです。


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