うさりく先生の陸上教室

 

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日本選手権から世界選手権へ。男子4×100mリレーはどうなるか。

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第101回 日本陸上競技選手権大会 兼 第16回世界陸上競技選手権大会(2017 /ロンドン)代表選手考競技会が終了、世界選手権の第1次日本代表選手発表が行われました。 注目された男子100mと200m、その代表選手も発表、世界選手権では個人種目も注目されますが4×100mリレー注目される種目です。

今回はその4×100mリレーについてです(リレー種目の派遣は、国際陸上競技連盟より参加有資格国の発表後に決定)。

 

 

 

短距離100mの代表選手(記録は資格記録)
サニブラウン アブデル ハキーム(東京陸協)10秒05
多田 修平関西学院大10秒08
ケンブリッジ 飛鳥Nike10秒08

短距離200mの代表選手(記録は資格記録)
サニブラウン アブデル ハキーム(東京陸協)20秒32
飯塚 翔太(ミズノ)20秒40

リレーの代表選手(記録は資格記録)
桐生 祥秀東洋大10秒04(100m)
藤光 謙司(ゼンリン)20.47(200m)
※リレー種目の派遣は、国際陸上競技連盟より参加有資格国の発表後に決定

各選手の資格記録は、日本選手権終了時点の今シーズン最高記録。
飯塚選手の100mの今シーズン最高記録は、10秒08です。

今シーズン最高記録の上位4名の記録は、
10秒04、10秒05、10秒08、10秒08、
合計、40秒25
100m平均10秒0625 です。

一方、昨年のリオデジャネイロオリンピックの日本代表選手のオリンピック時点のシーズン最高記録
山縣 亮太 10秒05
飯塚 翔太 10秒06※ 200mの記録を2で割った記録(100mより良いため=日本陸上競技連盟発行の陸上競技研究紀要でも同様の考え方)
桐生 祥秀 10秒01
ケンブリッジ 飛鳥 10秒10
合計、40秒22、
100m平均10秒0550、

昨年の日本選手権時点では、山縣選手10秒06 で他の選手は同記録、
合計、40秒23
100m平均10秒0575 です。

 

それぞれの日本選手権時点のシーズン最高記録上位4名の合計を比較すると、
昨年リオデジャネイロオリンピック代表選手)40秒23
今年(ロンドン世界選手権代表選手)40秒25
ほぼ同記録、わずか100分の2秒昨年の方が速いだけなのです。

 

f:id:usariku:20170504075658p:plain先日の日本選手権の100mでは、過去最高レベルのメンバーと盛り上がっていたのにほぼ同記録、昨年の方がわずかですが速いのですね?どういうことなのですか?

 

世界選手権の代表に選出される条件のひとつ100mの参加標準記録10秒12を切っている選手が日本選手権前まで4名いて、日本選手権の予選の記録でサニブラウン選手も加わり5名となりました。世界選手権に派遣される100mの人数枠は3名なので、その枠争いがし烈であったということです。
また100mの9秒台に手が届きそうな選手も多数となったために注目されたということです。

リレーはどんなに好記録を持っている選手が多くても、実際に走ることができるのは4名です。
その4名の比較なので昨年の方がわずかですが速いということです。

昨年のリオデジャネイロオリンピックの4×100mリレーでは全選手最高の走りができたため銀メダルというすばらしい結果になりました。
次の記事にリオデジャネイロオリンピックのリレーでの各選手のすばらしい走りについて書いています。 


ではリオデジャネイロオリンピックでのバトンパスはどうだったでしょう。世界一のバトンパスと言われていますが、あるバトンパスの評価方法では日本代表チームを上まわるチームがいました。バトンパスの方法が異なるのですが記録で上まわっていることには違いありません。そのことは次の記事です。 


では今年の世界選手権でのリレーはどうなるでしょうか?

ここからは個人的な考察です。

まず日本代表チームとして最も大きなことは、リオデジャネイロオリンピックですばらしい結果を出した経験です。この経験を活かし更にレベルアップした練習、バトンパスが行われることでしょう。

選手層の厚さ、日本選手権時点のシーズン最高記録で見ると、上位5名までが10秒08です。しかも3名が10秒08、この5名の中から4名が選ばれる可能性が高い、つまり選ばれるためには 他の選手より秀でている何かが必要になります。

最終オーダー(リレーのメンバーとその走順)はこれから世界選手権までの結果、世界選手権の個人種目での結果、バトンパスの技術、世界選手権時の調子など様々な要素で決まることになると思います。ここでも過去にないようなし烈なメンバー争いが展開されるものと想像します。今よりレベルアップが必要なのは選手自身が一番感じていることでしょう。

中でもサニブラウン選手、昨年までとは別人のような身体つき、そして軸がしっかりした走りになっています。課題だったスタートも良くなっており、まさに伸び盛りです。世界大会優勝の経験もあり更なるレベルアップが大いに期待できる選手です。
気になる点としては、世界選手権では個人種目の100mと200mの後にリレーがあります。200mで決勝まで進んだ場合、中1日でリレーです。他のリレーメンバー候補選手は個人1種目のみまたは個人種目がない選手です。サニブラウン選手は疲労回復など身体のケアが大きな課題になると思います。

多田選手も急成長してきた選手です。世界大会での経験という面での不安があります。
多田選手の低い鋭いスタート、一般的には低いスタートでは腹筋などの筋力への負荷が大きくなり、そのため後半の失速率が高くなることが多いといわれています。その克服が課題でしょう。
世界選手権の個人種目でどの程度のパフォーマンスが見せられるかも注目点です。

他の選手に関しては昨年のリオデジャネイロオリンピックを始め経験豊富です。後は世界選手権時に調子のピーク(頂点)を上手く合わせられるかということでしょう。


バトンパスに関しては、昨年オリンピックを経験したメンバーは良かった点や課題を身をもって体験しているのですから、それを活かすことが期待できます。

サニブラウン選手バトンパス、一部報道では上手くないといわれています。昨年までの高校のチームでのバトンパス、実際に競技場で何度か見ましたが確かに上手くないように見えます。

例えばバトンを受け取るとき思い切った加速ができていないように見えることもあります。でもそれは違うと私は思います。サニブラウン選手が所属していた高校、いわゆる強豪校でリレーでも好成績を出しています。でもサニブラウン選手ほどの走力、他のチームメンバーと差があります。そこに思い切れない事情があったのではないかと思います。

バトンを受け取る走者の走力と渡す走者の走力差が大きいとき、最悪追いつけないということが起きます。それを回避する安全策をとったとも考えられます。

日本代表チームでは走力差を心配する必要はありません。
更に今年のサニブラウン選手は昨年までと違い、加速力もかなり向上しています。
日本代表チームの中でのバトンパス、当然練習が大いに必要ですが、全く心配ないと思います。

多田選手に関しては、所属する大学が採用しているバトンパスが日本代表と同じアンダーハンドパス。今年関西大学新記録(39秒11)を樹立したチームです。その第2走者を務めておりバトンを受ける渡すの両方の経験も豊富です。
日本代表チームと比べるとチーム走力はかなり落ちますが、走力差がほとんどない日本代表チームでのバトンの方がやり易いのではないかと思います。

 

選手層が厚く走力やバトンパス技術の更なる向上も期待できる世界選手権日本代表チームリオデジャネイロオリンピックを上まわる記録は大いに期待できると思います。 

 

世界選手権男子4×100mリレーは大会9日目現地時間で8月12日10時55分に予選、21時50分に決勝(日本時間、予選8月12日18時55分、決勝8月13日5時50分) が予定されています。

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