うさりく先生の陸上教室

 

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過去にもあった!男子100m、追い風参考ながら日本記録を上まわる記録

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多田修平選手(関西学院大学)が6月10日に開催された2017日本学生陸上競技個人選手権大会(個人インカレ、Shonan BMW スタジアム平塚)の男子100m準決勝で追い風4.5mの追い風参考記録ながら9秒94をマークしたのは記憶に新しいことですが、過去にも追い風参考記録ながら日本記録をもっと上まわる記録が出ていました。

 

 

 

多田選手の記録は日本記録を0.06秒上まわる記録、桐生祥秀選手(東洋大学)が2015年3月にアメリカのテキサス州で開催された大会で3.3mの追い風参考記録ながら日本記録を0.13秒上まわる9秒87を記録、ケンブリッジ飛鳥選手(ナイキ)が4月にアメリカのフロリダ州5.1mの追い風参考記録ながら日本記録を0.02秒上まわる9秒98を記録しましたが、過去には追い風参考記録ながら日本記録を0.26秒上まわる記録がありました。

 風力(追い風参考)については次の記事・・・


それは1979年10月に開催された国民体育大会(以後「国体」)でのこと、実はこの国体、台風が直撃し時にはその暴風雨の影響を受ける中で行われました。

その大会の陸上競技で中止になった競技は10年ぶりに復活したロードレースのみです(今はロードレースはありません)。

日本記録を上まわるといっても9秒台ではありません。当時の男子100mの日本記録10秒48、この国体の7.9mの追い風で出された記録が10秒22というものです。これを記録が公認される追い風2.0mに換算すると10秒46に相当、当時の日本記録を上まわる数字がでてきます。

なお、この時の選手の自己記録は10秒52、この国体の10日程後にその記録を出しています。当時の日本記録にかなり近い記録(0.04秒差)でした。

この大会では追い風9.9mというレースもありました。

これほどの強風、フォームを乱し逆に走りにくくなることもあります。国体に出場するほどの競技力がある選手でも良し悪し様々だったようです。

 

今年6月には女子100mH(ハードル)の木村文子選手(エディオン)が追い風参考ながら日本記録を上まわる12秒99を出すなど、男子100m以外にも風のために公認記録とならない幻の日本記録がときどき出ます。

 

「追い風参考ながら」という言葉を聞いた時、ふと台風の中の国体を思い出しました。

記録を調べようとしたのですが、国体を主催する日本体育協会では決勝の記録のみで風力表示もない資料しか残っておらず、日本陸上競技連盟も過去の国体の記録は持ってなく、開催県の陸上競技協会でも確認できなかったために国立図書館で調べました。

まず当時の開催県の地方新聞を閲覧しましたが、決勝記録のみで風力表示なし、デジタル化資料の中に陸上競技マガジンを見つけ探したところ見つかりました。
手作業でスキャニングしたと思われるものですが目次もついておりその作成には相当な労力を要したと思われます。
上記の国体の予選から決勝まで全ての結果を見ることができました。

その他にもなつかしい選手の写真や記事、記録などが多数ありました。
(私自身の記録も確認することができました←カテゴリーとは関係なし)

 

国立図書館の所在地は、
東京本館(〒100-8924千代田区永田町1-10-1)
関西館(〒619-0287京都府相楽郡精華町精華台8-1-3)
です。
満18歳以上の方であれば、だれでも入館・利用が可能です(子様を同伴しての入館はできません)。
利用方法や休館日など、詳しくは国立図書館のホームページでご確認ください。

 

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