競技前にウォーミングアップを行い、身体と心の準備を行いますが、競技前に身体を冷やしてしまったりしてパフォーマンスが発揮できないということがないように。
今回の記事のテーマ、ある程度意識の高い選手にしてみれば当たり前のことです。しかしできていない選手も多数います。そうしたくてもできない選手もいます。
8月に開催された世界陸上ロンドン大会の男子4×100mリレー決勝でボルト選手が走っている最中に脚を痛めて途中棄権となったことは記憶に新しいことですが、それは競技前の選手控え場所が寒く、そこでユニフォーム姿で長く待たされて身体が冷えてしまったことが原因でもあるとも言われています。
4×100mリレー日本代表選手の帰国後のインタビューでも控え場所が寒く、身体を冷やさないように体を動かしていたと言っています。
またその時海外の選手は身体が冷えてしまってから体を動かす傾向にあったとも。
選手は着衣していたかったのにそうできなかった状況だと想像します。
規模の大きな大会では、選手は競技場内に入る際にはまだジャージなどを着ていて、スターティングブロックのセットなどの後選手紹介直前に脱衣することが多いのですが、昨年のオリンピックや今年の世界選手権のリレー決勝のようなチーム紹介が行われたために早くにユニフォーム姿にさせられているということでしょうか・・・日本代表チームがリオデジャネイロオリンピックでは「侍(さむらい)」ポーズ、世界陸上では「お辞儀(おじぎ)」を行ったチーム紹介です。
2017年9月4日補足
国際陸上競技連盟(IAAF)主催の国際大会では基本的に脱衣をさせてからスターティングブロックのセットや試走などを行わせるようになったそうです。日本陸上競技連盟の担当者からの話です。
日本では春先や秋の大会ではかなり気温が下がることがあります。
そのような中で自分のレースまで時間があるのに早くからユニフォーム姿になっている選手を見かけます。
小中学生だけでなく高校生にも。
ウォーミングアップの効果を失うことにもなります。
しかしたいへん残念ですが、せっかく選手がきちんとしていても、競技役員がかなり早くに選手をユニフォーム姿にさせ、並ばせ時には座らせている光景を見ることがあります。
これはルールで定められたことではありません。
ルールに記載されていないことを補完するためにある、競技役員向けの運用マニュアル(ハンドブック)には、
5分前
400mまでの種目(4×400mリレーを含む)では スターティングブロックをセット、試走させる。
3分前
1500m~10000mの競走(競歩)では脱衣を指示。
2分前
1500m~10000mの競走(競歩)ではスタートラインに並ばせる。
レーンを使用する競走(800m以下、4×400mリレーを含む)の場合、脱衣を指示し、ただちに集合線に並ばせる。
1分30秒前
競技者の集合を再確認後,スタート準備完了をアナウンサーに連絡。
連絡を受けたアナウンサーは競技と選手の紹介を行う(中長距離種目や競歩で選手数が多い時はスタート後に選手紹介を行う場合もある)。
アナウンス終了後
スターターはスタート合図を行う。
と記載されています(一部略または追記)。
詳しくは過去の記事で説明しています。
これはスターティングブロックをセット、試走してからトレーニングウエアなどを脱衣する、どちらかというと規模の大きな大会でのことです。
多くの大会ではトレーニングウエアなどを脱衣後にスターティングブロックをセット、試走を行います。
この運用の違いや選手紹介の有無などにより異なりますが、トレーニングウエアなどを脱衣し、競技を行う衣類(姿)になるのは自分の競技開始の5分以上前ということはありません。
私は指導者や引率者の立場で大会に参加するときは、選手にあまりにも早くに競技役員から脱衣を指示されたときは、ハンドブックの記載を理由に着衣を認めてもらうよう指示することがあります。その時の気温などを考慮しての指示です。
競技役員の立場なら早くに脱衣をさせないようにしています。
基本は「アスリートファースト」。選手がベストパフォーマンスを発揮できるようにすることです。
選手自身も常にその場の状況を考え、競技に臨みましょう。