うさりく先生の陸上教室

 

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「腰ナンバーはやや後ろにつける」のには理由がある

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トラック競技に出場する競技者は、腰ナンバーをつけますが、なぜつけるのか、どうつけるのかについての説明です。

 

 

 

腰ナンバーはルール上には出てこないものです。その呼ばれ方も様々です。腰ナンバー腰ナンバーカード腰番腰ナンバー標識など。いずれも意味は同じです。

本記事では腰ナンバーと書きます。

腰ナンバーとは


下の写真、関東インカレ4×100mリレー第4走者の時の桐生祥秀選手です。
黄色の〇で囲まれたものが腰ナンバーです。レーンで分かれて行う(スタートする)競技ではレーン番号と同じ数字です。

 

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ほとんどの腰ナンバーは布でできています。四隅を安全ピンでとめるものや裏面が粘着シートになっていて貼り付けるものがあります。

 

この腰ナンバーについて、競技注意事項では次の例のように記載されています。それぞれ異なる競技会で記載されていた内容です(一部改編あり)。

・トラック競技に出場する競技者には、写真判定⽤の腰ナンバーを貸与するので、パンツの右側、やや後ろにつける。

・腰ナンバーを 1枚受け取り出発までに右臀部やや後方に付ける。

・腰ナンバーは競技者係で受け取り、右腰につけて最終コールを受ける。

・トラック競技に出場する競技者は、腰ナンバー(2枚)をパンツ両側、やや後ろにつけること。

・トラック競技出場者は、腰ナンバーを招集所で受け取り両腰につける。

・トラック競技のみ腰ナンバー(2枚)を受け取る。

・トラック競技出場者は、写真判定用の腰ナンバーを招集所で受け取り、下半身の横(左右後方)につけること。リレー競技については、4×100mは第4走者のみ左右後方に、4×400mは第2と第3走者は右側に、第4走者は左右後方につけること。

中には記載のない競技注意事項も時々見かけます。

この腰ナンバー、いくつかの例にも書かれていますが、写真判定で使います。

写真判定についての詳細はこちらの記事をご参照ください。 


次の写真が写真判定で使われる画像(モニタ表示)の例です。

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先頭の選手、身体の位置だけを見ていると3レーンにも見えますが、前足の位置や影の位置で4レーンとわかります。経験を積むとすぐわかるのですが、より精度を高めるため、腰ナンバーでも何レーンの選手か確認を行います。

この画像(モニタ表示)で各選手のトルソーの位置を合わせて記録を確定します。
この作業を行うのが写真判定員という競技役員です。

レーンで分かれてスタートを行わない競技、1500m以上の競技では、スタートラインの内側から整列する順番に合わせた番号がふられた腰ナンバーをつけます。オーダー順と呼ばれ、プログラムに記載の順番です。

 

腰ナンバーの数

 

先に例示した競技注意事項を見てください。

その中で、
1枚、右側右腰などの記載がある場合の腰ナンバーは1枚です。
2枚、左右両腰などの記載がある場合の腰ナンバーは2枚です。

1枚の時は、スタートからフィニッシュに向かって右側からのみ写真判定のための撮影を行っているときです。

下の写真、右側スタンドの上にある建物が写真判定室と呼ばれるカメラ(拡大写真がカメラの例)などが設置されているところで、こちら側から撮影したものが上の「写真判定で使われる画像(モニタ表示)の例」のようになり、写っているのが右側につけた腰ナンバーです。

 

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上の写真の左側、フィニッシュラインの内側にあるのも写真判定用のカメラ(黄色枠内、上の枠が拡大したもの)、こちらから撮ると、上の「写真判定で使われる画像(モニタ表示)の例」と左右対称になった、スタートからフィニッシュに向かって左側から撮影したものができます。
このカメラで写るのが左側につけた腰ナンバーです。

つまり腰ナンバーはフィニッシュラインの内側にもカメラがあれば2枚で左右、なければ1枚で右側のみにつけるのです。

より精度を高めるため、規模の大きな大会では左右両方から写真を撮ります。

 

競技注意事項の例にもありますが、4×400mリレーでは第2と第3走者も腰ナンバーをつけることがあります。これは写真判定のためではありません。
4×400mリレーでは第1走者と第2走者はレーンに分かれてバトンパスを行いますが、第2走者から第3走者と第3走者から第4走者のバトンパスはレーンに分かれていません。前走者が200m地点を通過した順番で次走者はテイク・オーバー・ゾーンの定められた位置に内側から順番に並びます。その200m地点を通過した順序は競技役員がその地点で見て、次走者が待つ位置にいる競技役員にインカム(トランシーバー)で伝えます。その時、胸につけたナンバーカードの数字やユニフォーム(色やチーム名)を見て伝えるのでは誤りが起きる可能性が高くなります。そのため腰ナンバーを利用しその番号で伝えているのです。

ただしこの方法、必ず採用しているとは限りません。規模の小さな大会では採用しないことも多々あります。

腰ナンバーをつける位置

 

例に示した競技注意事項のいくつかにはつける位置の記載があります。
・腰のやや後ろ(後方)
・臀部やや後方
・下半身の横(後方)
というような表現です。

そうです。やや後方につけるものなのです。
次の写真の選手、腰ナンバーの数字の位置とパンツのラインをみるとほぼ真横か極わずか前につけています。

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しかし、姿勢によっては次の写真のように読み取れなくなります。
この状態でフィニッシュすると写真判定用の画像でも読み取れない状態です。

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ですから、多くの競技注意事項に書いてあるように後方、あるいはやや後方なのです。
上の読み取れない例の写真でも、やや後方なら読み取れます。

競技注意事項に記載がなくてもやや後方につけましょう。

 

800m以上の競技ではフィニッシュのとき選手はレーンに分かれていません。周回や着順を見る競技役員もいますが、写真判定では上の「写真判定で使われる画像(モニタ表示)の例」のようにレーンと選手は結び付きません。判定の精度、速度を高めるためにも腰ナンバーはきちんとつけましょう。  

 

ついでに

 

腰ナンバー、安全ピンでつけるタイプのものは競技後返却する場合が多いです。
返却用のかごなどが置いてあることがあります。
返却する際に、安全ピンを閉じず、針が出たまま返却する選手が多数います。補助員などが対応してくれる場合は構わないですがそうでない場合、安全ピンは必ず閉じてください。その後、腰ナンバーや安全ピンをかごから取り出す人がいます。手に刺さることもよくあり危険です。借りたものを返す時は借りた時の状態で。
競技後で疲れていてできないなら近くにいる競技役員に申し出てください。
 

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