駅伝で使われるたすき(襷)についての記事を書きましたが、今回は駅伝での記録計測や順位の判定についてです。
駅伝は、日本独自の競技で、日本陸上競技連盟駅伝競走規準(以下「駅伝競走基準」)という日本陸上競技連盟が日本陸上競技連盟競技規則(以下「陸連競技規則」)とは別に定めた基準に則って実施します(駅伝競走基準に掲載されていないことは陸連競技規則や大会独自の規則に則っとります)。
基本的にはマラソンなどの記録計測と順位の判定と同じ、次の記事のとおりです。
規模の大きな大会では、トランスポンダーシステムが使用され、計測用のチップはナンバーカード(通称「ゼッケン」)に装着、ナンバーカードは胸面につけます。
2018年1月1日に開催の「ニューイヤー駅伝 in ぐんま~第62回全日本実業団対抗駅伝競走大会~」もこのタイプです。その競技注意事項には次のように記載されています。
「ナンバーカード」は、主催者が用意し、選手1人に5枚(チップ装着1枚、通常のもの4枚)配布する。
選手はナンバーカードをユニフォームの胸背両面に折り曲げることなく付ける。チップの装着されたものは胸面に、通常のものは背面に付ける。
ナンバーカードが選手1人に5枚なのは、ユニフォームの胸と背、一番上に着用するウェアーの胸と背、荷物に付けるためです。
たすき(襷)にトランスポンダーシステムの計測用チップが装着されていることもあります。
ストップウォッチによる計測もあります。
そして駅伝競走基準では順位の判定や記録の計測について、
競技者がフィニッシュラインまたは中継線に到達したときの着順を判定する。
競技者がフィニッシュラインまたは中継線に到達したときのスタートからの時間を計測する。
と記載され、更に、
中継の着順判定およびタイムの計測は、前走者のトルソーが中継線に到達した時とする。
となっています。
つまり、トルソー(胴体の頭、首、腕、脚、手または足とは区別される)のいずれかの部分がフィニッシュラインや中継線のスタートラインに近い端の垂直面に到達したことで決まります。
これはトラック競技のフィッシュと同じです。
また、ここで記載の中継線とは次区間の選手が待っているライン、そこから進む方向20mの間でたすきの受け渡しを行わなければなりません。
トルソーの到達で決まるため、規模の大きな大会では、トルソーに近いナンバーカードにトランスポンダーシステムの計測用チップが装着されるようになってきているのです。
従って、1区はスタートラインから2区の中継線までが区間、最終区はその最終区の選手が待つ中継線からフィニッシュラインまでが区間、他の区(2区から最終区の前までの区)は自身が待つ中継線から次走者が待つ中継線までが区間です。
記録の計測や順位の判定はトルソーの位置で決まるのであって、たすきの位置ではありません。
数年前に行われた大学生の駅伝で、1区の1位(区間賞)争いを行っているふたりの選手、ひとりはたすきを持つ手を伸ばして2区の中継線に到達し直ぐに2区の選手にたすきを渡し、もうひとりはたすきを持つ手を伸ばさず2区の中継線に到達し2区の選手にたすきを渡すのが遅かったのですが、手を伸ばさない選手のトルソーが早く中継線に到達していたのでその選手が区間1位、しかし選手を進行方向正面から見ているテレビ放映の実況のアナウンサーにはたすきを先に渡した手を伸ばして中継線に到達した選手が区間1位に見えたようで、思わず区間1位と2位を逆に言ってしまいました。
見る位置により順位が異なるように見えてしまった例です。