インターハイ(全国高等学校陸上競技対抗選手権大会)、
高校生にとっては国内最高峰の競技会です。
毎年7月末から8月初めにかけて開催されます。
2017年度は山形県、天童市(山形県総合運動公園)で開催されます。
インターハイへの道のりは長く険しい道のりです。
都道府県を細分化した支部(地区)予選(学校数の少ない県ではこの予選がない場合もあります)から都道府県大会へ、その上の地区大会へ、そしてインターハイへと上の大会に勝ち進まなければなりません。
今日はその長い道のりをひとつひとつ見ていきます。
インターハイに近い上位大会から下位大会の順に書いあります。
インターハイに出場するには?
日本全国を11地区に分けて予選会(地区大会)
北海道、東北、北関東、南関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、北九州、南九州以上の11地区です。
それぞれの地区大会で各種目6位(走高跳、棒高跳は6名)までインターハイに出場することができます。
ただし、競歩競技は4位まで。
混成競技は3位までと各地区4位~6位の選手の中から全国上位5人が出場権を得ます。
各地区大会に出場するには?
上で述べた地区大会に出場するには、条件はその地区により違うことがあります。
ここでは南関東大会(千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)を例に挙げます。
各都県予選会(一般的には「都大会」や「県大会」と呼ばれる)で、次の順位の者が南関東大会に出場できます。
混成競技・競歩種目・女子三段跳・女子ハンマー投・・・4位まで
女子棒高跳・・・4名まで
それ以外の各種目・・・6位まで
都道府県大会に出場するには
学校数が多い都道府県では、各都道府県をさらに細分化し、都道府県大会への出場権を得るための予選会を開催しています。
その細分化した範囲を「〇〇支部」、「〇〇地区」などと呼びます。
学校数が多い東京都を例に挙げます。
東京都の場合、6つの支部(1支部~6支部)に分けており、
各支部予選会で、各種目8名・リレーは8チームまで都大会に出場できます。
ただし以下の種目は参加標準記録に到達していれば直接都大会に出場できます。
(男子) 110mH 400mH 3000mSC 5000mW 棒高跳 ハンマー投 八種競技
(女子) 100mH 400mH 5000mW 4×400mR 棒高跳 三段跳 ハンマー投 七種競技
ここで出てくる参加標準記録とは、
決められた期間内に決められた公認記録を出していれば、都大会に直接出場できるということ。
該当するほとんどの種目が支部予選会でも行われ、標準記録突破の最後の機会となります。
参加標準記録はほとんどの場合予選会やその上位大会の大会要項に書いてあります。大会要項は顧問の先生の手元にあるはずなので先生に聞けば分かります。
ネットで自分で調べたいときは都道府県によってそれぞれですが、
高体連や各都道府県の陸上競技協会のホームページで確認できることもあります。「都道府県名 高校 陸上 要項」で検索するとたいていヒットします。
それから、ほとんど該当者はいませんが、支部予選会当日に全国レベルの大会に出場する者は予選会に出られなくても直接都大会に出場できる場合があります。
「6位」と「6名」との違い
皆さんお気づきでしょうか。
ここまで、都道府県を細分化した支部(地区)予選から都道府県大会へ、その上の地区大会へ、そしてインターハイへと上の大会に勝ち進む条件をお話してきました。
その条件の中に、「6位まで」とか「6名まで」という異なる記述がありましたね。
実はこの記述の違い、とても重要な意味があるのです。
自分の出る種目が「〇位まで」なのか「〇名まで」なのかは,大会要項や競技注意事項に書いてあります。
大会要項や競技注意事項はよく読みましょう。
「6位まで」の意味
同順位という判定があります。
トラック種目なら、タイムが1000分の1秒まで同じ場合です。
だから、例えば6位の選手が2名いるという事態も起こり得るのです。
このような時、6位までの人数は7名です。
上の大会に行かれる条件が「6位まで」とあれば、人数の制限ではないため7名全員が出場権を得ます。
「6名まで」の意味
「6名まで」とあれば6名しか権利を得ることができません。
例えば 6位が2名いたら、6位までの人数は7名、6位の内1名にしか権利が与えられないのです。
誰に権利が与えられるかは次のように決められます。
*フィールド種目
決勝競技に引き続き、該当者だけによる出場権決定のための試技(競技)を行います。
*トラック種目
予選会期日内に、該当者だけによる出場権決定のためのレースを行うこともあります。
これでも決まらない場合や、出場権決定のためのレースが実施できない場合は、該当者による抽選で出場権を得る人を決定することもあります。
再レースを行うのか、抽選で決めるのかといった決め方は、大会の総務や審判長が最終決定します。
各大会(予選会)で上位大会の出場権が決まるのですが、出場の権利を得た選手が上位大会への出場を辞退(出場権を放棄)した場合は、出場権を得られなかった次点の選手が繰り上がり、出場権を得ることもあります。
ただしこれはめったに見かけないケースです。
競技役員として感動に立ち会う
春も本番、各地で予選会が行なわれ、インターハイへの長い道のりが始まっています。競技役員として、若者たちが上を目指して繰り広げる熱いドラマを目の当たりにし、私もたくさん感動をもらっています。
今年の予選会では出発係を任されました。
競技開始時刻に合わせて選手の最終点呼をする、
選手にスタートの準備をさせスタートラインに並ばせる、
スターター、監察員(競技中に違反行為がないか見る役員)、写真判定員(記録計測を行う役員)など全ての役員の準備が整ったのを確認し、アナウンサーにインカム(トランシーバー)で連絡する。
これでやっと全てのスタートの準備が整います。
アナウンサーがレースや選手の紹介を行い、いよいよスターターがスタートの合図を出します。
"On your marks"
ぐっと空気が引き締まります。
出発係はこれからレースに臨む選手の一番近いところにいる競技役員。
選手の緊張感が伝わってきます。
選手が位置についたときにスタートラインに触れていないかなどを見るのも出発係の役目です。
スタートした選手を見送り、無事フィニッシュしたらほっとするものです。
スタートのやり直しなどがあればグリーンカード(注意)を出します。
不正スタートで失格の選手には、なぜ失格なのかを説明した上でレッドカードを出します。
これは正直とてもつらい役割です。役員として冷静に行っていますが、その選手の無念を思うと胸が痛みます。
競技役員をしているとこのように時にはつらい思いをすることもあります。でもやはり感動的なシーンに多々立ち会うことができるのが競技役員の醍醐味でしょう。
今回の予選会でも多くの感動シーンに出会いましたが、中でも女子の4×400mリレーのあるレースはすばらしいものでした。
リレー種目はスタート地点がフィニッシュ地点なので、出発係はその両方を目の当たりにします。
この種目は順位(人数)で上位大会への出場権を得るのではなく、標準記録を突破すれば出場権を得る種目でした。
標準記録突破は記録との戦いです。
今回の予選会が標準記録突破のためのラストチャンスでした。
あるチーム(学校)が標準記録突破を掛けたレースの様でした・・・
ここからは実況中継風に書かせていただきます。
・・・さあ、最終第4走者が最後の直線に入ってきました。
ラスト約80mです!
フィニッシュ地点に置かれたタイマーは時を刻みます。
走り終えた3人、第1走者から第3走者は、
タイマーと走者の両方を見ながら必死の応援です!
苦しい練習も共に乗り越え、ここまでバトンをつないできました。
いま、フィニッシュ!
タイマーの表示は・・・速報値は、標準記録を僅かに突破しています!
さあ、確定結果はまだ出ない。
果たして標準記録を超えているのか・・・
・・・確定値が表示されました!見事標準記録突破です!
選手たちは抱き合い、涙を流し喜んでいます。
日頃の練習が報われた瞬間です!
競技役員だって冷静を装っていますが感動します。
若者たちのこの様な瞬間に立ち会えるのは陸上競技を愛する人間にとって、幸せな瞬間ですね。