小学生や中学生を指導している時、この子は陸上競技を楽しんでいるのだろうかと疑問に思うときがあります。
今回は、少しスポーツ心理学っぽいことも含め、選手のやる気(動機づけ)や保護者の接し方について書きます。
動機づけ=やる気
やる気を持って練習や競技会に臨んでいますか?
よく耳や目にするのは・・・「えーっ」「やだぁ」、そして、おしゃべり・遊び
練習する、競技会に出場するという「行動」には何らかの理由、つまり「動機」が存在します。
行動は同じであっても、行動の理由、すなわち動機は異なることがあります。
その動議づけ、おおきく分けてふたつあります。
・内発的動機づけ(自ら進んでやる!!)
「なんだろう、面白そう」(好奇)、「もっとうまくなりたい」(有能さ)
・外発的動機づけ(やらされている・・・)
「怒られたくない」(恐怖・不安)、「認められたい」(承認)
動機づけ=やる気⇒目標⇒成功
「動機」があり「行動」を起こしますが、「行動」の目指すところが「目標」です。
内発的動機づけ(自ら進んでやる!!)では、
「なんだろう、面白そう」、「もっとうまくなりたい」ということから、
「行動」を起こし、
「わかった!楽しい」、「できた!」という目標に到達するのです。
外発的動機づけ(やらされている・・・)では、
「怒られたくない」、「認められたい」ということから、
「行動」を起こし、
「失敗しないこと」、「目立たないこと」、「他者から賞賛を受けること」ということが到達する目標になるのです。
目標への到達が、成功した(うまくいった)と感じることにつながります。
「内発的動機づけ」であろうが、「外発的動機づけ」であろうが、「目標」への到達が「うまくいった」と感じるときです。
成功の捉え方
「考えや気持ちが目指す方向」を「志向」といいます。
★「上達、努力」などを目指す「課題志向」、これは「自分を基準」に成功を捉えることです。
・練習に一生懸命取り組めた
・難しいことができるようになる
・もっと練習したい
・新しいことに挑戦する
・活動自体が楽しい、やりがいがある
・困難に直面したときも継続する
・例え競技会で結果が良くなくても新たな課題を見つけ努力を繰り返す
★「勝利、賞賛、他者より優れていること」などを目指す「自我志向(じがしこう)」、これは「他者の評価や優劣を基準」に成功を捉えることです。
・他の人よりうまくできた
・自分が一番いい記録、成績
・友達や先生からほめられる
・報酬がないと行動が生じない
・行動が長続きしない
・結果が得られないとあきらめる
・指導者が見ていないと怠ける
成功の捉え方・志向と動機づけ
「課題志向」は「内発的動機づけ」と強い関係を持ち、「自我志向」は「外発的動機づけ」を強める要因です。
より望ましいとされる競技への取り組みは「内発的動機づけ」によるところが大きく、上達や進歩、あるいは挑戦こそが成功です。
ジュニア選手の志向性は親の志向性に影響を受けやすく、小学生の頃にはすでに形成されているともいわれます。保護者の極端な勝利へのこだわりや特に金銭や物品などの物理的報酬(「競技会で勝ったら、これを買ってあげるね」など)は選手本来の内発的な意欲を奪ってしまいます。
では「外発的動機づけ」は悪いのでしょうか?
きっかけは外発的動機づけでも内発的動機づけに移行していくことがあります。結果として望ましい姿になったといえます。
まとめ
こどもは興味があること、楽しいことをやりたいのに、親はこどもに期待し、記録や結果(順位)を求めている。
これは絶対にNGです。
保護者はコーチや評論家ではなく、「応援者」です。応援者としてできることは次のことです。
★見守る:保護者が見ていてくれれば、子供は安心し、守られている安心感が勇気となり、挑戦につながっていきます。
★励ます:大会などで子供自身が納得しない結果となることもあります。結果だけを見るのではなくそこまでの頑張りなどを認めてあげ励ましてあげましょう。
★褒める:大会などの結果が良かったときはもちろん、普段の頑張りなども褒めてあげましょう。誉められれば、楽しいと感じ、継続の力となります。
★支える:規則正しい日常生活、食事、健康管理などは親だからこそサポートできることです。
保護者は選手(こども)の応援者、このことを忘れず接しましょう。