うさりく先生の陸上教室

 

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2020年度・競技規則(ルール)修改正

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2020年度の競技規則(ルール)の修改正のうち主に競技者に関係するものを抜粋しました。

 

 


2020年度の競技規則(ルール)の修改正。主に競技者に関係するものの抜粋です。

尚、本ブログの過去の記事では、旧規則(ルール)に則った記載があります。

本記事に関係する内容の場合は、本記事を照らし合わせてご覧ください。

まず、競技用の靴に関する競技規則(ルール)の修改正です。競技規則の記載は以下のとおりです(関係部分のみ抜粋)。

第143条(TR 5) 服装、競技用靴、アスリートビブス

競技用靴
2. 競技者は、裸足でも、また片足あるいは両足に靴を履いて競技をしてもよい。競技の時靴を履く目的は、足の保護安定とグランドをしっかり踏みつけるためである。
靴は、競技者に不公平となる助力や利益を与えるものであってはならな い。靴はどのようなものであっても、陸上競技の普遍的精神に合致し合理的かつ無理なく入手できるものでなくてはならない。
この要件を満たすため、2020年4月30日以降、靴はいかなるものであっても、当該競技会の少なくとも4か月前には店舗またはオンラインショップ等にて市販され、どの競技者でも購入が可能になっていなければ競技会では使用できない。この要件を満たさない靴はすべて試作品とみなされ、競技会では使用できない。

2020年4月30日以降に販売される競技用の靴は、店舗やオンラインショップ等でだれでも入手できる市販のもので、出場する競技会の4か月前には市販開始されていなければなりません。

猶予
13. WAによる書面での追加通知があるまで、競技会で使用される靴は
⒜ 本項⒝が遵守され、靴の全長または靴の長さの一部のみかどうかにかかわらず、炭素繊維または同様の特性を持つ、または同様の効果をもたらす別の材料で作られた複数の剛性プレートまたはブレードを含んではならない。
⒝ スパイクを靴の外側下面に取り付ける場合にのみ、1つの剛性プレートまたは他の機構を追加することができる。
⒞ 靴底は最大厚さ40㎜以下でなければならない(スパイクを含む靴は、靴底の厚さは最大30㎜以下でなければならない)。
〔注意〕
ⅱ .  本項1号の「1つの剛性プレートまたはブレード」は、複数のパーツで構成される場合があるが、それらのパーツは、平行ではなく(例:個々のパーツは互いに上に積み重ねない)、1つの平面に連続して配置しなければならない。

靴底の厚さは最大40mm以下(スパイクを含む靴は最大30㎜以下)でなければなりません。
また、炭素繊維または同様の特性を持つ、または同様の効果をもたらす別の材料で作られた「剛性プレートまたはブレード」を複数含んではなりません。1つ(1枚)は良く、複数パーツで構成される場合は1つの平面に連続して配置され、重なるような構造であってはならないとしています。
尚、スパイクを靴の外側下面に取り付ける場合にのみ、1つの剛性プレートまたは他の機構を追加することができます(スパイク固定のためのもの)。

 

2019年11月に国際陸上競技連盟(IAAF)の名称が変更され「ワールドアスレティックス」(英文:World Athletics)になりました。競技規則に記載の「WA」はその略です。

 

ナンバーカードの呼び方がかわります。

第143条(TR 5) 服装、競技用靴、アスリートビブス

修改正前 

 7 .ナンバーカード 

修改正後 

 7. アスリートビブス(ビブス) 

呼称がアスリートビブスに統一されることになりました。
「ゼッケン」という言い方も正しくありません。
「ナンバーカード」であった2019年度も「ゼッケン」と記載されている大会要項や競技注意事項が時々ありました。
2020年度も旧呼称などで記載される資料があるかも知れません。逆に正しいのですが「ビブス」のみの記載で、「何?」と思うことがあるかも知れません。
覚えておきましょう。

 

第144条(TR 6)競技者に対する助力

・・・下記については、助力とはみなされず許可する。

(g)競技役員や主催者によって任命された者による、立ち上がったり医療支援を受けたりするための身体的な手助け

(h)電子掲示や類似の器具による、関連する記録も含めた競技の経過時間の提示。

下線部が追記されました。助力とはみなさず許可されることです。(h)についてはこれまでもフィニッシュ付近や電光掲示板等に提示(表示)されることがありました。全選手に公平に提示されていたのでこれまでも規則違反ではありませんでしたが、改めて規則に明示されたものです。

 

第162条(TR 16)スタート

7. 競技者は、最終の用意の姿勢をとった後、信号器の発射音を聞くまでスタートを開始してはならない。競技者が少しでも早く動作を開始したとスターターが判断したときは(第1296を適用することを含む)、不正スタートとなる。スタートの開始とは以下のように定義される。

(aクラウチング・スタートの場合、結果的にスターティング・ブロックのフットプレートから片足または両足が離れようとしている、あるいは地面から片手または両手が離れようとしているあらゆる動作

(b)スタンディング・スタートの場合、片足または両足が地面から離れようとする結果になるあらゆる動作

もしスターターが信号器の発射音の前に、ある競技者が動き始めて止まらずにスタートの開始に結び付く動きを開始したと判断した場合も不正スタートと判断しなくてはならない。

【注意】

競技者による上記(a)(b)以外のあらゆる動きはスタート動作の開始とみなさない。但し、そのような動作は、不正スタート以外での警告または失格処分の対象になる場合がある。

下線部のとおり、スタートの定義が明文化されました。内容に変更はありません。
Set の合図で確実に身体を静止するようにしましょう。

また、クラウチング・スタートでは、「スターティング・ブロックのフットプレートから足が離れようとしている」という記載があります。
つまり、スタート前の姿勢ではスターティング・ブロックのフットプレートに足が接触していなくてはならないのです。
競技規則にも明記されています(この部分は2020年度の修改正ではありません)。

「On your marks(位置について)」の合図の後、競技者は自分の割当てられたレーン内のスタートラインの後方の位置につく。両手と少なくとも片膝がグラウンドに、両足はスターティング・ブロックのフットプレートと接触していなければならない。

ここでいう「足」はスパイク(シューズ)も含まれます。スパイクのピンも。
近年スタートの「On your marks(位置について)」の合図の後、競技役員が選手の後方を歩き、何か見ている様子をみることがあります。
足がスターティング・ブロックのフットプレートに接触しているかの確認を行っているのです。
実際には接触していない選手がかなりいます。注意しても理解できない選手も。

注意されて足の位置をずらす。クラウチング・スタートでは大きな影響にもなり得ます。
競技に出場する以上きちんと規則は知っておきましょう。

 

第168条(TR 22)ハードル競走

6. ・・・加えて競技者はつぎのことをすると失格となる。
(a)ハードルを越える瞬間に、足または脚がハードルをはみ出て(どちら側でも)バーの高さより低い位置を通ったとき。
(b)手や体、振り上げ脚の上側で、いずれかのハードルを倒すか移動させたとき。

(c)直接間接を問わず、レース中に他の競技者に影響を与えたり妨害するような行為や他の規則に違反する行為で、自分のレーンやそのレースの他の競技者のレーンのハードルを倒したり移動させたりしたとき。

ハードル競技の失格について下線部の記載が追加されました。

 

第170 条(TR 24) リレー競走

4.【注釈】 バトンパスが開始され、バトンパスが完了しない状態でバトンを落とした場合には、バトンは渡し手(前走者)が拾わなくてはならない。バトンパスが完了し、受け手(後走者)が唯一の保持者となった後にバトンを落としたら、受け手が拾わなくてはならない。

この注釈が追記されました。

2019年度までの規則では、バトンが受け手(後走者)に触れ、受け手が唯一の保持者(渡し手を離れ、受け手だけが持っている状態)になるまでの間に落としたバトンは渡し手、受け手のどちらが拾っても構わないというものでしたが、2020年度の規則では「渡し手が拾う」になりました。

 

第187条(TR 32)総則-投てき種目

2【国内】 技術総務が特に決めない限り、投てき種目に出場する競技者はどの種目であっても、2個まで個人所有の投てき物の使用(持ち込み)が認められる

この記載が追記されました。
投てき種目の持ち込み可能な個人所有の投てき物は、競技会により定めることがよくあります。大会要項や競技注意事項などで確認しましょう。

 

規則(ルール)知って競技会や記録会に臨む。大切なことです。

 

 

 

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