うさりく先生の陸上教室

 

うさりく先生の陸上教室

陸上競技に関する情報や基礎知識を発信します。陸上競技を始めた人、もっと知りたい人、また、指導者の皆さんにも参考になるブログです。

MENU

2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)修改正 ~リレー編(20m→30m)~

f:id:usariku:20170423225103p:plain

2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)では2017年度規則からの修改正や解釈の明確化などがあります。
まずリレーに関することについて。 

    

 

 

 

2018年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)では2017年度規則からの修改正や解釈の訂正、明確化などがあります。今後そのポイントを紹介する記事を書く予定です。

まず今回は、リレーに関するいくつかあることの中、既に2017年12月の記事でも書いていますが、バトンパスが行えるテイク・オーバー・ゾーンが20mから30mになることについてです。

過去の記事掲載時点では不明だったことなども追記しています。

改正後のルール、

第170条
3. 4×100mリレーと4×200mリレーの全走者間およびメドレーリレー第1走者と第2走者間、第2走者と第3走者間のテイク・オーバー・ゾーンは30mとし、ゾーンの入口から20mが基準線となる。

ゾーンは、走る方向においてスタートラインに近い端を基点とする。レーン内で行われる各バトンの受け渡しについて、担当する競技役員は、各競技者が正しいテイク・オーバーゾーンの位置にいることを確認する。また、その競技役員は第170条4(マーカーの数とサイズ)が確実に遵守されるようにしなければならない。

〔注釈〕ただし、4×200mRで第3走者の途中からレーンがオープンになる場合は、第3走者と第4走者間のテイク・オーバーゾーンは20mとなる。

 

この変更、屋外で行われる競技会が対象です。室内競技のリレーでは変更ありません。

メドレーリレーでは、第1走者が100mで第2走者が200m、第3走者が300mの場合です。

メドレーリレーの第3走者と第4走者間(第3走者が300mで第4走者が400mの場合)、4×200mリレーで第3走者の途中からレーンがオープンになる場合の第3走者と第4走者間、×400mリレー、それ以上の距離のリレーでは20mのまま変更ありません



次の図、改正前後のイメージ図です。左側(2017年度まで)のものが右側(2018年度から)のようになります。

f:id:usariku:20180311043737j:plain

 

ルールに記載の「基準線」とは上図のテイク・オーバー・ゾーン内にある白線(横線)のこと(赤矢印)、左の改正前はテイク・オーバー・ゾーンの中央(入口から10m)でしたが右の改正後の場合はテイク・オーバー・ゾーンの入口から20m にあります。

2017年度のルールでは「基準線」ではなく「センターライン」と呼ばれていました。
20mのテイク・オーバー・ゾーンの中央、センターだったからです。

「基準」とは、例えば4×100mリレーではスタートラインから第1走者と第2走者がバトンパスを行うテイク・オーバー・ゾーンのこの白線までが100m、その白線から第2走者と第3走者がバトンパスを行うテイク・オーバー・ゾーンにある白線までが100mというように、スタートラインから100m毎を示す位置(線、距離)のことです。

テイク・オーバー・ゾーンが20mから30mになるといっても、どの方向に長くなるか明記しなければなりません。前後に5mずつ長くしても30mです。

そのことを明確にしているのが「ゾーンの入口から20mが基準線となる。」という記述、基準線を基にあらわしています。ですからこの記述が、テイク・オーバー・ゾーンが30mになるのは、20mだったテイク・オーバー・ゾーンが入口より手前側、つまりスタートラインの方向に10m長くなることを意味しています。

でもこの「基準線」、引かれていない競技場もあります。
現実的には改正後ルールのテイク・オーバー・ゾーンの入口は改正前のルールの加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)の位置なりますので、既存の基準線がない競技場でも運営に支障はありません。

このルール改正に伴いトラック上のマーキング(ラインなど)もかわります。

テイク・オーバー・ゾーンの入口のマーキングが10mスタート方向に移動するということです(上図右側)。

既存の競技場ですぐに塗りなおしなどの対応ができない場合は改修工事などを行う際に変更していくことになります。

新しくマーキングされていない競技場では、変更されるまで加速ゾーンの入口の助走マーク(通称、ブルーライン)の位置がテイク・オーバー・ゾーンの入口です。
 

このルール改正、規則(ルール)上では前述の文字の記述(170条3項)のように記載されているのみです。図などはありません。

図や前述のテイク・オーバー・ゾーン入口のマーキングについての説明を見ると、これまでの加速ゾーンがなくなったように見えますが、規則(ルール、170条3項)には加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)についての記載がありません。

では、これまであった加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)はどうなるのでしょうか?

 

2017年度のルールには次のような記載があります(一部略)、

第170条
18. 4×100mリレーと4×200mリレーでは第1走者以外のチームの走者、メドレーリレーでは第2・第3走者はテイク・オーバー・ゾーンの前10m以内のところから走り始めてもよい


この条項で加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)の使用を規定していましたが、この条項の内容自体が2018年度ルールでは削除され、ルール上加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)の存在がなくなりました

ですから次のルール、

第170条
19. すべてのバトンパスにおいては、テイク・オーバー・ゾーン外から走り出してはならず、そのゾーンの中でスタートしなければならない。この規則に従わなければ、そのチームは失格となる。

リレーの際にテイク・オーバー・ゾーンの外で次走者がバトンパスのために走り出す(スタートする)ことは失格ということですが、2017年度までの加速ゾーン(通称「ブルーゾーン」)を使用できる場合は適用外がなくなり、全てのリレーに適用されることとなりました。

 

さて、ではなぜ30mになったのか・・・

 

まずバトンパスが正しく行われたかの判定をより正確にするためです。

バトンの受け渡しの際、競技役員は加速ゾーンとテイク・オーバー・ゾーンそれぞれの入口を見なければなりません。加速ゾーンの入口では、次走者が走りだすときに加速ゾーンの入口の助走ライン(ブルーライン)よりスタート方向のトラック上に足がでていないかなどを、テイク・オーバー・ゾーンの入口ではテイク・オーバー・ゾーンに入る前にバトンパスの行為が開始されていないかなどを見ています。

規模の大きな競技会ではビデオ判定という映像で録画したものを見て判定することがありますが、まだほとんどの競技会では競技役員が目で見ています。

30mにすることで、競技役員がこれまで2か所を見なければならかった部分が1か所になりますのでより正確な判定が行われることが期待できます。

そしてもう一つの大きな理由はルールが単純になり、選手だけでなく観戦している観客にもわかり易くなるということです。

 

テイク・オーバー・ゾーンに入る前にバトンパスの行為が開始されて失格になることは小中高校生などではよく起きています。受け渡しを行う選手の走力差が大きいとき、次走者の走り出しが遅すぎるとき、走力がないのに加速ゾーン全体を使用しているとき、ルールを理解していないときなどが主な原因だと想像します。

この失格、国際大会ではめずらしいケースですが、2016年のリオデジャネイロオリンピックで起きています。

それに関することは次の記事です。 

このオリンピックでの失格はレアケース、30mと決める際には国際大会に出場するレベルのチームでは10mの加速ゾーンを超えてのバトンパスが当たり前でルール改正による有利不利はなく、むしろ上記のような理由でメリットの方が多いということになったそうです。

この失格があっためアメリカからこのルール改正(20m→30m)の要求があったと思われることもあるようですが、実はこのルール改正を要求したのはオーストラリアだそうです・・・

テイク・オーバー・ゾーンが30m、選手の走力差があるときなどは戦略(走順)にも影響するかもしれません。例えば前走者より次走者の方がかなり走力があるときには、すぐ受け取ることができ次走者を長く走らせることができるなど・・・

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

//トップに戻るボタンの設定
//トップに戻るレンジの設定