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リオデジャネイロ・オリンピックの男子4×100mリレー決勝、山縣選手から飯塚選手へのバトンパスから学ぶ

f:id:usariku:20170423225103p:plainリオデジャネイロ・オリンピックの4×100mリレー決勝、日本チームの第1走者山縣選手と第2走者飯塚選手のバトンパスについて思うことです。

 

リオデジャネイロ・オリンピックの4×100mリレー決勝での日本チームの活躍は本当に素晴らしかったです。

そのレース中、第1走者の山縣選手から第2走者の飯塚選手へのバトンパスの際に、少したつき(すぐに手にバトンが収まらなかった)がありました。そのために、テイク・オーバー・ゾーン(バトンゾーン)の出口にかなり近い位置でバトンパスが完了したことについてです。

あくまでも個人的な見解です。

ときどきあのバトンパスはミスだと言う人がいますが、私はそうは思いません。

その理由はレース後の各選手のインタビューにあります日本陸上競技連盟ホームページ「リオ五輪帰国後インタビュー」より)


山縣選手は、「ヤバい、(飯塚)先輩の手と合わない。」みたいな感じであったと語り、一方飯塚選手は、「ちょっと(バトンを受けるまでの間が)伸びたくらいに思っていました。山縣と僕であんなにわしゃわしゃなっているっていうのは全然記憶にない。」と語っています。

更に山縣選手はそのバトンパスで「減速はしなかったので、ロスはなかったと思います。」と、第4走者のケンブリッジ飛鳥選手も、「4走のところからわかりましたよ、もたついてるの。“あーっ”と思って。でも、普通に行ったから…。」と語っています。

このインタビュー、たいへん貴重な内容です。

実はリレーのバトンパス前走者(バトンを渡す走者)は全てが見えており、感覚的に渡せる、渡せない(追いつけない)、渡すのがうまくいかないなどが分かるのですが、次走者(バトンを受け取る走者)は走り出したら全く前走者の様子が分からないのです。
そうです、飯塚選手には山縣選手の動きは分からないのです。

次走者が分かるのは、マーカー(前走者がそこに到達すれば走りだすというポイント)などに前走者が来る前に走り出してしまったと自覚があるときや、逆に走り出しが遅かったと自覚があるときくらいです。しかし、この場合も前走者が同じ感覚とは限りません。

山縣選手は飯塚選手の手と合わないと感じながらもしっかり走れている(渡せる位置にいる)ので渡すことに集中していたはずです。

飯塚選手は、渡されると信じて走っていたのです。「ちょっと(バトンを受けるまでの間が)伸びたくらい」と思っていても、スピードを落とすとことはしていません。バトンを受け取る手もバトンが収まるまでしっかり固定させています。

これは簡単そうですがなかなかできないことです。

トップ選手は1秒間に10m程度進むスピードで走ってきます。バトンパスはわずか2秒強の間に行われることで、スピードの速い選手同士であるほど短時間で行わなければならないのです。
日本チームの選手たちには、経験、競技力、練習、そして信頼関係があったからこそバトンはつながったのです。

確かに、もたつくことなくスムーズに渡していればそれに越したことはないのですが、バトンを受け取る飯塚選手がもたついていると感じていなかったのですから、それはミスではありません。

インタビューで飯塚選手も語っていますが、後で映像を「見て改めて、“かなり攻めたバトンだったんだな”と…。」思ったそうです。このことからも絶妙なバトンパスであったと思います。

※「攻めたバトン」とは安全に確実に渡すのではなく、次走者は走り出しを早くし加速の速度を上げ、前走者が渡せるぎりぎりのところでバトンパスを行うということで、そこまでしなければ決勝では勝負できないと判断し、とった策。

飯塚選手は山縣選手のことを信じ全力で加速しました。その結果、他の強豪国の選手と互角の走りができたのです。

  



f:id:usariku:20170418121827p:plain バトンパスで意識してほしいこと

★前走者(バトンを渡す走者)は、もし追いつけないなど渡せないと判断したら、できる限り早く「待って」や「早い」と声をかけます。早く言えば次走者は急激に速度を落とすことなくわずかに速度を落とすことで渡せる場合があります。

★次走者は、前走者が「待って」や「早い」と声をかけない限り、渡してもらえると信じ、全力で加速します(次走者が誤って前走者がマーカーに到達する前に走り出したと自覚があっても関係なしです)。

★次走者は前走者からの「はい」などの合図で手を出したら、自分の手にバトンが収まるまで手を動かさないことです(仮に一瞬手にバトンが当たっても、手でバトンを探すような動きはしないこと。動いている手にバトンを渡すのは難しくなります)。

★次走者に前走者がすぐに追いついてしまった時は、テイク・オーバー・ゾーン内で確実にバトンが渡せるまで、次走者は並走するあるいは多少スピードを落とすなどその時の状況に応じた対応しましょう。

本番で意識するのは難しいことです。普段の練習ではどの様な状況でも、とにかくバトンを渡すことを心掛けましょう。

次の記事も参考に・・・ 

 

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