日本陸上競技連盟競技規則は国際陸上競技連盟規則(IAAF規則)に準拠しているのですが、中にはおかしな記載になっていることがあります。そのひとつ、走幅跳と三段跳のナンバーカードのつけ方についてです。
2019年11月、国際陸上競技連盟(IAAF)はワールドアスレティックス(World Athletics:WA)に名称変更されました。
2020年度の競技規則改正で「ナンバーカード」は「アスリートビブス(ビブス)」に呼び方がかわりました。
本記事中では一部を除き旧名称で記載しています。
日本陸上競技連盟競技規則(以下、JAAF規則)は、IAAF規則に準拠し記載され、
・日本陸連独自に追加したもので、国内競技にのみ適用する事項を〔国内〕、
・IAAF規則の注意であり、国内競技でも適用する事項を 〔注意〕、
・IAAF規則に記載されているが、国内競技には適用しない事項を〔国際〕、
・IAAF規則の注意であるが、国内競技には適用しない事項を〔国際-注意〕
として追記されているものです。
しかし、走幅跳と三段跳でのナンバーカードを背または胸につけるだけでもよいのかについては記載が通常と異なるのです。
まず、その経緯、
2012年度時点までは跳躍種目の中で棒高跳と走高跳の競技者だけがナンバーカードを背または胸につけるだけでもよかったのです。
2012年度のJAAF規則でも、
と記載されており、IAAF規則も同内容の記載でした。
2013年度のJAAF規則には修改正があり、
跳躍競技の競技者は、背または胸につけるだけでもよい。
と記載され、棒高跳と走高跳の競技者だけに限らず、跳躍競技(走高跳・棒高跳・走幅跳・三段跳)の競技者がJAAF規則では対象となりました。
ところが、IAAF規則では、
とかわっていないのです。
つまり、国内競技では「跳躍競技(走高跳・棒高跳・走幅跳・三段跳)」、IAAF規則に則った国際競技会では「棒高跳と走高跳」だけなのです。
通常JAAF規則は(〔注意〕〔国際-注意〕は省く)、
①IAAF規則(JAAF規則準拠部分)
②〔国内〕日本陸連独自に追加したもので、国内競技にのみ適用
③〔国際〕IAAF規則に記載されているが、国内競技には適用しない
という形式で書かれていますが、①の部分が「棒高跳と走高跳(IAAF規則)」、「跳躍競技(JAAF規則)」というようにIAAF規則とJAAF規則での共通項目として①に記載されるべき内容が異なってしまったのです。
しかも、JAAF規則では②〔国内〕や③〔国際〕の追記もありません。
その後IAAF規則は2017年度までそのままかわっていません。
JAAF規則は2014年度に、
とう記載が追記され、IAAF規則に記載されているが、国内競技には適用しない事項として、走高跳・棒高跳の競技者は、背または胸につけるだけでもよいということを加えました。
JAAF規則は2017年度までこのままです。
2017年度まで国内大会は「跳躍種目」、IAAF規則に則る国際大会では「走高跳と棒高跳」が続いています。
2016年のリオデジャネイロオリンピックや2017年の世界陸上ロンドン大会の走幅跳や三段跳の写真や動画などをみると確かに競技者は背中にもナンバーカードを付けています。
ではこれからは・・・
既に2017年11月1日より適用されているIAAF規則では、これまで「the High Jump and Pole vault,」(走高跳と棒高跳)だった部分が「the Jumping Events」(跳躍種目)に修改正されています。
JAAF規則と同じ意味合いになります。
合わせて2018年度よりJAAF規則も
という但し書きがなくなるのだと想像します。
個人的な感想ですが、IAAF規則がJAAF規則に歩み寄った、あるいはIAAF規則が修改正を誤っていたのではなかと思えてしまう事柄です。
タイトルに対する結論ですが、走幅跳・三段跳のナンバーカードは国内競技、国際競技に関係なく、背または胸につけるだけでよいということです。
但しこれは義務ではありません。
国内の競技会などでときどき見る光景、跳躍種目とトラック種目に参加の競技者で、跳躍種目の競技途中や終了後直ぐにトラック種目の競技時刻になるときがあります。トラック種目の競技場所に移動してきた際、背中のナンバーカード(アスリートビブス)がついていないことがあります。これはNGです。忘れる心配があるなら背中ナンバーカード(アスリートビブス)を付けて跳躍種目に出場しましょう。
2019年11月、国際陸上競技連盟(IAAF)はワールドアスレティックス(World Athletics:WA)に名称変更されました。
2020年度の競技規則改正で「ナンバーカード」は「アスリートビブス(ビブス)」に呼び方がかわりました。
本記事中では一部を除き旧名称で記載しています。