熱中症対策としての水分補給の記事に「スポーツにより運動強度や運動の継続時間、運動環境などが異なり、水分補給の方法も違ってくることがある」と書いてありましたが、どういう意味なのでしょうか?
こちらの記事では、陸上競技の練習を2~3時間程度行う場合の水分補給と限定して書きました。休憩を入れながらもしっかりした内容のハードな練習が前提です。
競技を限定したのは、スポーツにより運動強度や運動の継続時間、運動環境などが異なり、水分補給の方法も違ってくることがあるからです。
簡単に説明しますと、短時間に激しい運動か、激しくはないが長時間をかけて行う運動とでは適切な水分補給の方法が異なるということです。
直射日光が当たる、体育館内で蒸すなどの練習場所の環境も関係します。
運動のタイプ別水分補給の方法
「短時間に激しい運動」タイプ
バスケットボールの試合やサッカーの試合などは、短時間にかなり激しい動きをするスポーツです。発汗が多いだけでなくエネルギーも消費します。
市販のスポーツドリンクを薄めず飲むことを推奨します。
市販のスポーツドリンクは成分表示で確認できますが、ほとんどのものが100ml中、ナトリウムが40mg程度入っています。塩分濃度にすれば0.1%程度です。
必要とする塩分濃度は0.1~0.2%ですから、それをクリアしています。
(「食塩相当量0.1g」(約0.1%)というような表示のものもあります。)
また、エネルギー補給のために糖分4~8%程度を含んだものを摂る必要があります。糖分は、成分表示では炭水化物と表示されている場合が多く、ほとんどが2~5g(約2~5%)、中には6%を超えるものもあります。
十分なエネルギー補給が行えます。
陸上競技の練習もこのタイプに当てはまります。また陸上競技の大会の時(トラック競技)も、アップから競技までの運動量を考えると、水分補給の方法は「短時間で激しい運動」タイプと同じと考えて良いでしょう。
「激しくはないが長時間をかけて行う運動」タイプ
このタイプの運動には、野球の試合が挙げられます。
バスケットボールなどの様に常に動き回っていることはなく、静止時間や攻撃時にベンチに座れる(日陰の場合もある)ときもあります。
特に1日に数試合行う様な場合、市販のスポーツドリンクを飲み続けると糖分の摂り過ぎになることがあります。
そのため、薄めて飲むということを行うこともあるようですが、やはり薄めるのはすすめません。スポーツドリンクは体内に吸収しやすような成分、濃度を考慮してつくられているのに、その濃度を変えてしまうと体内への吸収が適切に行われなくなるからです。
スポーツドリンクによる糖分の摂り過ぎが心配されるときの対応策としては、麦茶などと併用する方法があります。
また最近では糖分を抑えたスポーツドリンクも市販されています。
例えば、「アクエリアス・ゼロ」。
塩分は約0.1%と他のスポーツドリンクとかわりません。一方炭水化物は0.7gと一般的なものの2~5gと比べるとかなり少量です。
この様なものを使い分けて飲むのも良いと思います。
アクエリアス・ゼロの成分表示(記事記載時点)
アクエリアスの成分表示(記事記載時点)
運動時以外、日常の水分補給の方法
スポーツとは関係しませんが、最近日常的な飲み物としてスポーツドリンクを飲むことがあると聞きます。
熱中症対策としてこまめに水分と塩分の補給を行うようにという呼びかけに答え、スポーツドリンクを選ぶ人がいるようです。
日常生活ではスポーツをしているときと比べ、発汗量やエネルギーの消費量が少ない傾向があります。
スポーツドリンクばかりでは、糖分(炭水化物)の摂取量が多くなる可能性があります。やはり麦茶などとの併用をおすすめします。
また、お茶の種類によっては利尿作用の高いものもあるようです。
せっかく水分補給を行っているつもりなのに水分の排泄量が増え、結果として水分不足となることもあるようです。
水分補給と聞いて水ばかりを飲む人もいるようです。これでは塩分補給になりません。水だけでは体液の濃度も薄くなり、ふらつきや吐き気を起こすことも・・・
水分補給は重要です。適切な補給を行いましょう。