競技会で800m競走(以下「800m」)に初めて出場する選手、指導者の皆さんに確認しておいていただきたいことです。
1周400mの競技場での競技会で初めて800mに出場する中学生や高校生などにスタートのことなどのルールを知らないで出場してくる選手が多数います。
スタートについて
スタートはレーンに分かれて行います(セパレートレーン)。
競技会によっては、レーンに分かれないグループスタートを行う場合もありますが、中学生以上の競技では大半がレーンに分かれてのスタートです。この記事はレーンに分かれて行うスタートについてです。
スタートラインは、競技場により異なりますが、青または白/緑です。ただし1レーンは白のみです(フニッシュラインと同じライン)。2レーンより外のスタートラインは次のイメージです。
800mのスタートラインの辺りは、他の競技、400m(400mH)、4×400mリレーのスタートライン、4×400mリレー第2走者のテイクオーバーゾーンなどラインが多数あります。ときどき異なるラインに着く選手がいますので間違えないようにしましょう。
また、競技会によっては、ひとつのレーンに二人の選手が入ることがあります。その場合は競技役員から指示がありますのでそれに従いレーンに入ります。
このことはルールに規定があります。次の記載です(一部略)。
800m競走は、それぞれのレーンで1人または2人の競技者が走ってもよい。
つぎのラウンドに進出する競技者の数が増えた場合を除いて、このスタート方式は予選にのみ適用することが望ましい。
競技者数よりレーン数が多い場合は、常に、内側のレーン(1レーンに限らず)を空けることが望ましい。
800m競走においては、決勝を含めて何らかの理由により利用できるレーン数より競技者が多い場合、審判長は複数の競技者をどのレーンに入れるか決定しなければならない。
小学生のときに陸上競技の800mを行っている選手、小学生ではほとんどの大会でスタートはレーンに分かれずに行うグループスタートで行うためその違いを理解していないことがあります。
自分のレーンを離れられるとき
レーンに分かれてスタートを行ったとき、曲走路の終わりで自分のレーンを離れることができます。一般的にはオープンになると呼ばれます。
このことに関するルールです(一部略、編集)。
ブレイクラインは、トラックの第1曲走路の終わりに引かれた第1レーン以外のすべてのレーンを横切る幅50㎜の円弧のラインである。競技者がブレイクラインを確認しやすいように、ブレイクラインやレーンラインとは違う色で、高さ150㎜以下のコーンまたは角柱(50㎜×50㎜)を各レーンとブレイクラインの交差する直前の各レーン上に置かねばならない。
国内競技会では、800m競走は、第1曲走路の終わりにマークされたブレイクラインまでレーンを走る。競技者はこのブレイクラインから自分のレーンを離れることが許される。
本規則に違反した場合、その競技者、リレーの場合はそのチームは失格となる。
自分のレーンを離れることができるのは、トラックの第1曲走路の終わりに引かれたブレイクラインと呼ばれる緑のラインのところです。スタートし曲走路が終わった地点です。
そこにはラインが引かれている以外にマーカーと呼ばれるものが置かれています。ルールに記載の「コーンや角柱」に該当するものです。
ブレイクラインの位置のイメージ図。
ブレイクライン(緑のライン)と直前に置かれたマーカーの写真。
1レーンは最も内側で自分のレーンを離れることないためブレイクラインは引かれていません。
選手はこのマーカーの先、ブレイクラインから自分のレーンを離れることができます。ここがオープンになる地点ということです。
このブレイクラインより手前(スタート寄り)で自分のレーンを離れ内側のラインを踏むあるいは内側のレーンに入ったときは失格です。これは走る距離が短くなった、実質的な利益があったためです。
外側のレーンに離れて他のレーンの選手を妨害していない場合は失格とはなりません。
スタートで、ひとつのレーンに二人の選手が入った場合もブレイクラインまでは自分のレーンを走ります。
スタートの方法
400mを超えるトラック競技では、「On your marks(オン・ユア・マークス:位置について)」の合図でスタートラインまで進み、スタートの姿勢になり静止します。スタートラインは踏んだり踏み越したりしてはいけません。
身体が静止せず動いている場合はスタートのやり直しとなります。
全選手が静止したら号砲です。
「Set (セット:用意)」の合図はありません。
身体を静止させない選手がよくいます。腕(うで)がブラブラしているのもダメです。
最後に
この記事に書いたこと慣れた選手にとっては当たり前のことかもしれません。
しかし、競技役員として中学や高校の1年生が多数参加している記録会などでスタート前の選手にスタートやブレークライン(オープンになる地点)などのことを把握しているか確認すると知らない選手がかなりいます。説明することもよくあります。
競技に出場する以上はルールを知って競技に臨んでほしいと思います。
また、指導者の方も指導している選手が競技会に出場するならば、ルールを覚えさせた上で出場させてください。
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