400m以下のトラック種目で、スタートのやり直しがあるとき、選手はもちろん観ている人もドキドキするときがありますよね。
不正スタート(通称「フライング」)、注意・・・
※この記事の内容は2017年度日本陸上競技連盟競技規則(ルール)に基いたものです。
ここでは400m以下のトラック種目、混成競技を除く場合のスタートのやり直しについて書きます。
やり直しとなるケース
スターターの信号器の合図(発射)から更に1回以上合図(発射音・号砲)があり、走るのを止められ、やり直しとなるケース(複数号砲が鳴るケース)。
スターターが信号器を発射する前にやり直しとなるケース。
号砲が複数回鳴って走るのを止められるケース
特にドキッとするのは号砲が複数回鳴って走るのを止められるケースですが、その原因は主に、不正スタート、号砲の直前に選手の身体が動いた、機械の不調です。
これには大きな違いがあります。
不正スタートは失格、レッドカード(下の写真、赤黒カード)。
号砲の直前に動いた場合は注意、機械の不調は単純なやり直し、グリーンカードです。
不正スタートの説明は次の記事をご覧ください。
良く言われるのが、選手の身体が動いたのを確認したならスターターは信号器の発射をとどめるべきだと。
本来はそれが最善なのですが、スターターが今にも信号器を発射しようとしている時なら間に合わないことがあります。またスターターからは見えず、リコーラー(リコールスターター、スターターを補助する役目)が見つけることもあり、複数回鳴るときがあります。
このスタートのやり直し、原因により天と地の差です。スタートチーム(スターター、リコーラーと出発係)が集まり協議している間はドキドキしますね。
スターターが信号器を発射する前にやり直しとなるケース。
これもその原因によって大きな違いがあります。
まず、選手が号砲が鳴る前に、前に出てしまった時。他に原因がなければ号砲前にスタートの動作を開始、手が地面から離れ、あるいは足がスターティングブロックのプレートから離れてしまって不正スタートです。
手が地面から離れていなく、足もスターティングブロックのプレートから離れていないときでも、明らかにスタート動作を開始したとみなされた時も不正スタートです。
但し原因が他にあるときがあります。
スターターが信号器を発射する前に選手(必ずしも前に出てしまった選手とは限りません)の身体が動いたと判断したため信号器を発射しなかった時は、スタートチームの判断で注意となることもあります。
他にも、機械の不調、スターターの声が選手に聞こえなかった(静粛が保ててない)、信号機の合図の前に選手の身体が静止せず動いた、選手がスタートの姿勢に入るのが遅かったなどです。これらは全てグリーンカードです。
グリーンカードやレッドカード(赤黒カード)その提示とアンナウンス
不正スタートで失格の場合は該当選手に出発係が口頭で理由を説明しレッドカード(赤黒カード)を該当選手に提示し選手にその場を離れるよう伝えます。レーンナンバー標識の赤い札を立てます。
その時のアナウンスは、「〇レーンが不正スタートと判断されたので失格となります」という内容のことを言います。その際に失格となった選手のレーン番号を伝えます。
グリーンカードの場合、原因が選手にない時、例えば機械の不調、静粛が保てていないなどは、全員にグリーンカードを提示します。
この時のアナウンス、「ただ今のは不正スタートではありません。機械の不調で、スタートをやり直します。」、「ただ今のは不正スタートではありません。スターターの声が選手に聞こえなかったので、スタートをやり直します。スターターが台に上がったら、お静かに願います。」という内容のことを言います。
グリーンカードで、原因が選手にある場合、信号器の合図の前に選手の身体が静止せず動いた、選手がスタートの姿勢に入るのが遅かったなどは、該当選手に出発係が口頭で注意し、全員にグリーンカードを提示します。
該当選手のみに向かってグリーンを提示することを昨年度まで行っている場合がありましたが2017年度よりなくなりました。
この時のアナウンス、「ただ今のは不正スタートではありません。スタート合図の前にきちんと静止しなかったので、スタートをやり直します。」、「ただ今のは不正スタートではありません。スタートの態勢に入るのが遅かったので、スタートをやり直します。」という内容のことを言います。
以前は注意を受けた選手のレーン番号を言っていることがあったのですが2017年度より言わなくなりました。
グリーンカード(注意)の場合、確かに選手に原因があっても、全員に注意であることを提示するので、原因となった該当者には口頭注意のみとなりました。
不正スタートや注意(グリーンカード)、必ずしも1レースでひとりとは限りません。複数名が不正スタートとなる場合や注意を受ける場合もあり得ます。
観戦している人には見ているだけではわからないことがあるかも知れませんが、レッドカード(赤黒カード)やグリーンカードの出し方、アナウンスの内容などをよく見、よく聞いてみてください。