世界陸上競技選手権大会、100mが終わりました。
日本人選手の活躍やボルト選手の100mラストランが注目されましたが陸上競技の短距離種目を行っている人にはいろいろと学べたこともあったと思います。
私が参考になったことのひとつが短距離(100m)のスタート前の準備です。
スタートのルールなどに関する記事は次のものを参照ください。
日頃競技会で出発係という、選手にスターティング・ブロックのセットや試走の指示、選手を集合線に並ばせる、「On your marks」の合図での手のつき方などが正しいかを確認、スタートのやり直しがあったときにはグリーンカードやレッドカード(赤黒カード)を出すなど競技直前の選手に直接接する審判員を行うことが多くあります。
その審判員を行っているときによく見かけるのが、スターティング・ブロックのセット後の試走に時間を掛け、長い距離を走る選手が多いことです。
スターティング・ブロックをセットすること自体は慎重に行って構わないことです。
世界選手権ではメジャーでスタートラインからの距離を計っている選手もいました。
問題はこの後の試走です。
これは、セットされたスターティング・ブロックが正しくセットされたかどうかを見るためで、実際にスターティング・ブロックを使いスタートを試し、そのまま少し走ることです。
ここで本番と同じようにかなり長い時間を掛けスタート姿勢(「On your marks」から「Set」の姿勢になるまで)になり、かなり力の入ったスタートを行い長い時は50m以上、60m、70m程度も走る選手をよく見かけます。
長く走ってスタートラインに戻るのもゆっくり歩き遅い選手がいます。
これは良くないです。あくまでもブロック合わせです。
既に準備ができて待っている他の選手に迷惑ですし、大会進行の妨げにもなるのでやめてもらいたいです。
指導者の立場で言うと、力強いスタートで長い距離を走る、これはかなり筋力を使うのでやらせなくない行為です。
大会によってはこの時間をたっぷりとってあり、行うこと自体は問題ない場合もありますが、逆に「スターティング・ブロックをセットした際に走れる距離は〇〇m以内にすること」などと競技注意事項に記載し長く走ることを禁止している場合もあります。
世界選手権での選手たちのこの様子を注視してみました。
ほとんどの選手、軽くスタートし、長くても40m程度しか走りません。それもゆっくりと。中には20m~30m程度しか走らない選手も多数いました。
トラック上45m前後の地点に長い距離を走ることを制止するための競技役員を配置していましたが、そこに達する選手はほとんどいませんでした。
各選手、スターティング・ブロックの確認をしているのです。
世界のトップアスリートのこの様な試走、ぜひ見習ってもらいたいものです。