今日は、大会に行ったら注意すること、安全面についてです。選手だけでなく、指導者の方、引率者の方、それから競技役員の皆さんにも読んでいただきたいです。
とにかく競技場で事故を起こさないということが最も重要なことです。
うさりく先生に、競技役員、指導者、選手の経験から思ったことを聞いてみました。
事故はウォーミングアップ中に起こりやすい
事故で多いのは接触事故です。
大変残念なことですが、過去には取り返しのつかない事故も発生しています。
選手同士の接触、引率者や付き添いとの接触、時には競技役員と接触することもあります。
子どもから大人までが参加できる大会では子どもと大人が同時に練習することもあり大変危険な場面がみられます。
大会での練習はいつどこで?
練習は、サブトラックと呼ばれる補助競技場で行われます。
中には補助競技場が使えない、あるいは無い競技場もあり、実際に競技が行われている競技場内(主に第1曲走路の途中からバックストレート)で行なわなければならないこともあります。
※東京都には、補助競技場がある競技場はひとつもない!
練習に関しては、競技注意事項に「練習について」などの項目でその大会でのルールが書かれていることがあります。
規模の大きな大会では、練習に関する事項だけで数枚の冊子になっていることも。
いつ、どこで、何の練習ができるのかが書いてあります。
例えば補助練習場の1~2レーンは周回練習に、
5~6レーンはスタート練習に、
〇〇時~△△時まで7~8レーンはハードル練習に使うなど。
もっと細かに規定している場合もあれば、大まかな記述の場合もあります。
事前に競技注意事項を読んでいない選手、指導者、引率者がかなり多いと感じています。
練習に関することだけでなく、その大会のみに適用される大事な規則なども書かれています。
最近では、大会主催者のホームページなどで、大会の数日前に競技注意事項が掲載されることもあります。
皆さん、タイムテーブル(競技日程)はいつもしっかりチェックしますよね。
競技注意事項はタイムテーブルと同様、もしかしたらそれ以上に大切です。
何しろ規則が書かれているのですから。
事前に必ず競技注意事項などを確認しましょう
わからないことは競技役員に確認し、絶対に勝手な判断をしてはいけません
練習のときのマナー
当たり前のことなのに、守れていないことをよく見かけます。
残念ですが指導者自身が守れていないこともあります。
選手の皆さんへ
・レーンを横切るときは安全を確認してから。
走り終えた直後にこの注意を怠りがちです。
・レーンを逆走(歩くことも)しない。
・レーンを占有しない。
指導者・引率者の皆さんへ
・小学生以下の子どもや初心者が練習する場合は必ず見守る。
選手が走り出す所だけでなく、走り終わる所にも人を配置し安全に配慮することが大切です。
・選手を見るためにレーンに入った場合、選手が走り終わってレーンの外に出たら自分も速やかに外に出る。
指導者、引率者がいつまでもレーンに留まり、他の選手が練習できないということがあります。
・練習を見るときは選手が練習しているレーンに立つ。別のレーンを占有しない。
指導者、引率者が立っているレーンでは誰も練習できません。
練習のときのマナーが守られていない時、競技役員として注意することがあります。
だいたいの指導者・引率者の方は理解し協力してくれますが、中には理解を得られず、逆に怒り出す指導者や引率者もいます。
また、その場では注意を聞いてくれた指導者の方が別の大会で同じマナー違反をしているのを見たこともあります。残念なことです。
競技役員はあくまでも、選手の安全のため、大会を円滑に進行させるために注意をしています。
選手を指導する立場であることを自覚していただき、理解、協力してほしいものです。
お互いに譲り合い、気を配って気持ちよく。
そして事故の無い大会にしなければなりません。
曲走路と直線の交わる地点が危ない!
事故の起きるのが多い場所は第1曲走路の終わり(第2コーナー)です。
曲走路を走ってくる選手に気付かずに直線を走り出す選手がいるからです。
その場所で4×100mリレーのバトン練習が行われることも多く、たいへん危険です。
大会によってはその地点で接触が起きないよう、コーンやバーを置いていることもあります。また、競技役員を配置していることもあります。
しかしそれを無視して(たぶん止まり切れずに)走ってくる選手もいるので、最終的には自分で自分の身を守るしかありません。
注意を怠らないようにしましょう。
「〇レーン来まーす!」の声かけにも工夫を!
これは、選手、指導者・引率者だけでなく、
競技役員にも伝えたいです。
インターハイに繋がる地区大会に引率指導者として行った時のエピソードを紹介します。
ここで上位であればインターハイに出場できるという大切な大会です。
練習は補助競技場で行え、安全面もかなり配慮されていました。
補助競技場は6レーンのトラックです。
曲走路の走路外(選手が移動などで歩く部分)の一部が狭く、歩く人と曲走路を走る選手がかなり接近する場所がありました。
そこ(曲走路)を選手が走る時には競技役員がハンドマイクで
「6レーン来まーす」と声かけも行っていました。
それなのに外を歩く人が走路から離れず、6レーンを走る選手と接触しそうな場面が何回か起きていました。
競技役員は歩く人が聞いていないと思っていたようですが、そうではなくて他に理由があったのです。
通常大会が行われる競技場は8レーンまたは9レーンのトラックです。
選手はその感覚を体で覚えています。
「6レーン来まーす」
の声を聞いて、それが一番外のレーンだと反射的に判断できなかったのです。
6レーンだと、数レーン内側のレーンだから危険はないという感覚なのです。
この場合、
「一番外のレーン来まーす」「一番外来まーす」
が適切な声かけでしょう。誰もが危険を察知し、大きく離れて歩くはずです。
私はその日は指導者の立場でしたが、競技役員の方に説明しました。その後
「一番外のレーン来まーす」「一番外来まーす」
というような声かけに変わり、安全面は向上しました。
このような、選手のもつ感覚や気持ちといった選手心理は、
選手の経験がないとなかなか理解することは難しいかもしれません。
選手や指導者の皆さん、リレーの練習や曲走路を走る練習では、走り出す選手が「〇レーン行きまーす」、バトンをもらう選手や指導者、近くにいる仲間が「〇レーン来まーす」と声かけすることがありますよね。
一番外のレーンで行うとき、「一番外のレーン行きまーす」「一番外行きまーす」あるいは「一番外のレーン来まーす」「一番外来まーす」といった声かけを行ってみてください。
練習中の選手を見守る指導者・引率者の方、
そして競技役員の皆さん、
いつでも選手の感覚や気持ちに寄り添って安全を確保してあげたいものですね。
参加選手が好記録を出すことも大事ですが、事故なく帰路につけることも重要なことです。
大会で応援するときのルールとマナーもご覧ください。