熱中症がニュースになる季節がやってきました。ニュースでも「熱中症の方が多数病院に搬送されました。こまめな水分補給を・・・」と熱中症対策を促していました。スポーツの時にも水分補給が重要だと思うのですが、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
普段陸上競技を指導している小中学生の保護者に機会があれば水分補給などについて説明しているのですが、その際に聞くのが「水分補給を」とよく聞くけど何をどの程度とれば良いのかわからないということです。
ご存知の方も多いと思いますが、その方は確認のつもりで読んでください。
今回の記事は、陸上競技の練習を2~3時間程度行う場合の水分補給についてです。
(休憩を入れながらの練習ですが、しっかりした練習内容です。ダラダラとした練習ではありません。)
競技を限定したのは、スポーツにより運動強度や運動の継続時間、運動環境などが異なり、水分補給の方法も違ってくることがあるからです。
練習中の水分補給のポイント
・飲み物は、市販のスポーツドリンク。
・飲料の温度は5~15度。
・飲水休憩を定期的にとるだけでなく自由飲水(自由に水分補給できる)環境を整える。「喉のかわき」に応じて自由に補給することで適量を補給します。
スポーツドリンクは薄めない!塩分も糖分も必要量含まれています。
市販のスポーツドリンクは、必要な塩分が適量含まれています。また体内に吸収しやすような成分、濃度でできています。
但し、薄めて飲むのはやめましょう。味が濃いなどの理由で薄めるということを聞く時がありますが、濃度をかえることになりますので行わないように。メーカーも薄めて飲まないことをすすめています。
粉末状のものを水で溶く場合も決められた水の量を守ってください。
塩分濃度は0.1~0.2%のものを選びます。市販のスポーツドリンクでは成分表示で確認できます。100ml中、ナトリウムが40~80mg入っていれば塩分濃度0.1~0.2%です。「食塩相当量0.1g」(約0.1%)というような表示のものもあります。
また、1時間を超える練習などではエネルギー補給のために糖分4~8%程度を含んだものをとるのも良いでしょう。成分表示では炭水化物と表示されている場合が多いです。
成分表示の例(記事記載時点のもの)
水だけを飲むことは避けましょう。発汗で塩分が体外にでます(汗がしょっぱいことは知っていますよね)。水だけでは塩分を補うことがでません。水だけの飲みすぎで、だるくなったり、吐き気がしたりすることもあります。残念ながら最悪の状態になった事例もあります。
水分補給=水ではありません。飴など塩分補給ができるものもありますが、それらの利用は練習後に。
飲料は凍らせない、冷やしすぎない
飲料の温度は5~15度、凍らすことは避けてください。
暑さ対策として凍らすことがあるようですが、体内に冷えたものを急に入れると腹痛を起こすなど、体調をくずす原因にもなります。
ちょっと余談ですが、ある日本トップクラスの短距離選手、練習以外の日常でも冷えたものを飲みません。ほとんどの場合常温です。飲み水で体内を冷やすことを徹底して避けるそうです。水分補給に「冷えは不要」というのがその選手の考えです。偉大な結果を出した選手です。
暑さしのぎのためのがぶ飲みはしない、他の方法で暑さ対策を
飲む量は個人差があります。発汗量に見合った量、体重減少が体重の2%以内に収まるようにするのが基本です。全体量は発汗量や運動継続時間により異なります。
自由飲水(自由に水分補給できる)をすすめますが、小学生の場合、のどの渇きより暑さしのぎのため、何度もがぶ飲みする子供がいます。その結果飲み過ぎで走れなくなることも。
暑さ対策はぬれタオルで顔を拭くなど異なる方法を行いましょう。
最近は冷感グッズもいろいろと発売されています。その様なものも活用しましょう。
帽子も有効ですが、かぶりっぱなしはやめましょう。熱が帽子内部にこもります。
ときどき帽子をとり、パタパタあおぎましょう。
体調の悪い時は無理をしない、エアコンの使い方にも注意
この時期、急に暑くなることがあります。身体が暑さに慣れていません。急に無理はせず徐々に身体を動かすことも心がけましょう。
体調が悪い時は練習を休むことも大切です。暑く、体調が悪い時に練習を行っても練習の良い効果は得られません。万全な体調で練習にのぞみましょう。
ここ数年、小学生を指導していて感じることがあります。
夏場の練習は夕方に行うことが多いのですが、練習に来るなり「暑い、暑い」と水分をがぶ飲み。練習が始まってからも同じです。
そして、体調不良となるケースもよくあります。
子供たちに、練習に来る前どこにいたかを聞くと、多くの子供は練習に来る直前までエアコンが効いた部屋にいたと・・・
エアコンの効いたところから暑い屋外、温度差は?練習場所に来た段階で暑さバテ、練習する状態ではありません。
練習前はエアコンを弱くする、練習場所に多少早く来てそこの暑さなどの環境に身体を慣らすことも練習の準備です。
小学生に教えても、次の練習時には忘れていることも多々。
保護者の方が指導できることのひとつです。こどもの安全のためでもあります。
熱中症、十分な準備や対策を行い「予防」をしましょう!!