うさりく先生の陸上教室

 

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陸上競技に関する情報や基礎知識を発信します。陸上競技を始めた人、もっと知りたい人、また、指導者の皆さんにも参考になるブログです。

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レーンに分かれて行うトラック競技の曲走路でのスタート

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レーンに分かれて行う400mまでのレース(4×200mリレー、メドレーリレーそして4×400mリレーの第1走者を含む)のうち曲走路でのスタートで、手をつく位置の誤りを注意することが最近増えているように感じます。

 

 

   

 

 

スタートに関するルールです(一部)。

400mまでのレース(4×200mリレー、メドレーリレーそして4×400mリレーの第1走者を含む)において、クラウチングスタートとスターティング・ブロックの使用は必須である。位置についた時、競技者はスタートラインおよびその前方のグラウンドに手や足を触れてはならない。「On your marks(位置について)」の合図の後、競技者は自分の割当てられたレーン内のスタートラインの後方の位置につく。

 

 

最後の部分に「競技者は自分の割当てられたレーン内のスタートラインの後方の位置につく。」と記載されています。

 

100mは110mH、100mHなど直走路でスタートす場合は選手が横に並んでいるので位置についたときとなりのレーンに入ることは少ないのですが、200mや400m、400mH、4×100mリレー、4×400mリレーなど曲走路でスタートを行う場合は選手は次の写真のように階段状に並びます。

4×100mリレーの第1走者

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外側のレーンの選手がいるのは前方です。

多くの選手はスタート直後を直線に走るようにスターティングブロックをレーン内の右寄りにセットします。

曲がって走るより直線に走る方が加速しやすいからです。次の写真の黄色矢印方向に走ろうとするのです。

4,5レーンの黄色矢印

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当然スタートの位置もレーン内の右寄りになります。

 

次の図は曲走路のスタート地点のイメージ図です。

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ルールに記載の「自分の割当てられたレーン内のスタートラインの後方」とは次の写真の青線の内側です(青線も含みます)。

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スタートライン左側(内側)のレーンラインは含まれず右側(外側)のレーンラインは「自分の割当てられたレーン内」に含まれます

 

右寄りにスターティングブロックをセットすれば、選手の「On your marks(位置について)」の合図の後の姿勢で右手をつく位置が右側のレーンライン(となりのレーンとの境目のライン)に近付きます。

 

ライン上には手をついても構いませんが、写真の赤楕円(だえん)付近に手をつく選手がいます。

しかし、ここは自分に割り当てられたレーン内ではありません。この部分(写真の赤楕円付近)に手をついてはいけないのです。

確かにとなり右側のレーンに真横に並んで選手はいません。となりの選手を妨害することにもなりません。曲走路の右側(外側)ですので走る距離が短くなることもないので問題ないと考える選手がいるようです。

でも実際には右側に行くほど、スタート直後に直線方向に走りやすくなり選手には実質的な利益があるとも考えられます。

 

また当然ですが、ライン上は境目が明確ではありませんが、写真右側にある赤矢印の部分スタートライン上ですので触れていけないところです。

 

先日行われたある競技会では、指先が出ている選手が数名いました。

中には手全体が出ている選手もいました。

これらはNGです。

 

自分の割当てられたレーン内のスタートラインの後方の位置につく」、きちんと守りましょう。

 

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競技会での小学生のスタート

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小学生の短距離走や4×100mリレー(第1走者)、ハードル競技のスタートは、ほとんど全ての競技会でクラウチングスタートでもスタンディングスタートでも構わないとなっています。赤字部分は2019年3月27日修正

 

 


全国小学生陸上競技交流大会(各都道府県の予選会を勝ち抜いてきた選手、チームが出場できる小学生の全国大会)の開催要項には、 

スタートはクラウチングスタートを原則とするが、スタンディングスタートも認める。 

と記載されています。

他の多くの競技会では、 

スタートはクラウチングスタートでもスタンディンググスタートでも構いません。 

というような記載が大会要項や競技注意事項にあるます。

小学生短距離走や4×100mリレー(第1走者)、ハードル競技のスタートは、ほとんど全ての競技会でクラウチングスタートでもスタンディングスタートでも構わないのです。

因みに中学生以上ではクラウチングスタートが義務付けられています。

 

この記事は小学生の短距離走や4×100mリレー(第1走者)、ハードル競技のスタートのことです。


クラウチングスタート

「On your marks(位置について)」の合図(小学生は日本語の場合が多い)の後、競技者は自分の割当てられたレーン内のスタートラインの後方(フィニッシュ方向に向かって手前)の位置につきます。両手少なくとも片膝(かたひざ)がグラウンドに両足はスターティング・ブロック(スターティング・ブロックを使用しないときはグラウンド)と接触していなければなりません。
「Set(用意)」の合図で競技者は手とグラウンド、足とスターティング・ブロックのフットプレート(スターティング・ブロックを使用しないときはグラウンド)との接触を保ちながら、速やかに最終のスタート体勢に構えます。
スターターは、すべての競技者が「Set(用意)」の構えで静止したことを確認した時点で、信号器を発射します。
これがクラウチングスタート、腰をかがめ、しゃがんだ姿勢からのスタートです。

 

スタンディングスタート

ルールでは「立位スタンディング・ポジション)」で行うスタートと表現されており、「On your marks (位置について)」の指示の後、競技者はスタートラインに近づき、スタートラインの後ろ(フィニッシュ方向に向かって手前)でスタート体勢をとります。
競技者はそのとき(片手または両手)がグラウンドに触れてはならず、そして足や手(片手または両手)がスタートラインやその前方のグラウンドに触れてはいけません
スターターは、すべての競技者が「Onyour marks(位置について)」の構えで静止したと確認した時点で、信号器を発射します。 


小学生短距離走や4×100mリレー(第1走者)、ハードル競技でのスタンディングスタートでは、「Set(用意)」の合図で上記のスタンディングスタートでの「Onyour marks(位置について)」の合図でスタートラインに近づいた後の構えをとります。
「Onyour marks(位置について)」の合図では、スタートラインに近づき、ラインの後方(フィニッシュ方向に向かって手前)の位置でラインに触れないように直立します。これが小学生の短距離走や4×100mリレー(第1走者)、ハードル競技でのスタンディングスタートです。

 

小学生のスタートでの誤り

多いのがスタートラインに触れること、「位置についての合図の後いつまでも静止しないこと、一度静止してから周りを気にして横を見たりすること、「用意の合図の後いつまでも静止しないことなどです。

普段の練習ではできていても競技会で緊張するとできないこともあります。
これらについては注意するとほとんどの選手が正そうとしてくれます。

またときどき見かけるのがクラウチングスタートをしようとしているようなのですが、「位置について」の姿勢で膝(ひざ)がグラウンドに触れていないこと、中腰の姿勢になっていることです。

このことを審判員として注意するのには多少配慮が必要です。
片方または両方の膝(ひざ)が地面についていないといけないといいうことまでは説明できますが、もし選手が片膝だけを地面につけようとした場合、どちらの膝とまでは言えないのです。

普通に考えると、後ろ側の脚の膝なのですが、ルールでは片膝の場合どちらの膝とまでは決められていません。

ですからこのようなときは、「つき易い方の膝」という言い方をします。


審判員はルールに反していることは注意しますが、ルールに反していないことを指導する立場にはありません


この審判員による指導についてスタンディングスタートでよく見ることで個人的には不正確だと思っていることがあります。
審判員も親切心でやっていることだとは思うのですが・・・ 

それはレース前の試走(スタート練習)のとき「用意」の合図で構える姿を肘(ひじ)をしっかり曲げて腕ふりを静止したかのような腕の形にするようにさせている審判員がいることです。

ルールには腕の形についての規定はありません。大切なのは構えて静止することです。
腕をリラックスさせた下がり気味でも、だらっと下げていてもその姿勢で静止していれば構わないのです。

でも実際にはスタートのやり方がわからない(忘れた?)選手もいます。
その選手に「位置について」の合図での姿勢、「用意」の合図での姿勢を説明しなければならないことがあります。

私もこの場所の審判員(出発係)を行うことがあるのですが、説明しなければならないときは「用意」の合図の後の腕は「しっかり構えても、下げても何でもやり易い形で良い。ただしその形でしっかり身体を静止させるように」ということをいくつかの姿勢を実際に見せながら説明します。
ポイントはルールに反することがなく選手がやり易いようにさせるということです。 

 


他にあったどちらかというとめずらしいケースです。
今年開催されたある小学生の競技会でのこと、その競技会もスタートはクラウチングスタートでもスタンディングスタートでも構わないというものでした。

ある小学6年生の選手が試走の際に立った姿勢から三点スタートを行いました。

三点スタートとは、両足と片手を地面につけ、クラウチングスタートの腰を上げた姿勢に近い態勢で行うスタートで、主に低い姿勢から走り出すスピード練習などのスタートで用いられるスタート方法です。

三点スタートは練習でのスタートです。
ルールに照らし合わせてもクラウチングスタートでもスタンディングスタートでもありません。

このとき審判員であった私はまず選手に質問です。

「競技本番でも今と同じスタートを行いますか?」

中には試走の際にはスタンディングスタート、競技本番ではクラウチングスタート行う選手もいます。ですからまず上記の質問です。

回答は「行う」ということでした。

そうなると手をつくことの説明です。

クラウチングスタートなら両手をつかなければならず、スタンディングスタートなら手をついてはいけないことを身振り手振りをつけて説明しました。

選手は「わっかた」と答え、私は「もう一度練習しますか?」と尋ねましたが、選手は「大丈夫」と言い行わなかったのでそのまま競技にのぞませました。

いざ競技、その選手はクラウチングスタートを行いました。
多少ぎこちないようには見えましたがルールに反してはいませんでした。

 

この選手はあるクラブチームから参加している選手だったのですが、このクラブチームの選手、他にもスタートラインに手や足が触れるなどで注意をされる選手が多数いました。


これは選手より指導者の問題です。

普段の練習からきちんと練習させてあげてほしいものです。

 

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第65回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会

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第65回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会が開催されています。先日100m9秒台で盛り上がった学生チャンピオンを決める第86回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)の次は社会人チャンピオンを決める大会です。この大会も100mなど見どころが満載です。

 

 

   

 


大阪のヤンマースタジアム長居第65回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会が開催されています。

男子100mには山縣亮太選手(セイコー)、藤光謙司選手(ゼンリン)、飯塚翔太選手(ミズノ)、ケンブリッジ飛鳥Nike、オープン参加)といった昨年のリオデジャネイロオリンピックや今年の世界陸上ロンドン大会で活躍した選手がエントリーしています。
その100mの予選24日午前10時35分競技開始です。

 

スタートリスト・競技結果(一般財団法人大阪陸上競技協会HP内)

競技別一覧表


競技日程

http://www.jita-trackfield.jp/jita/wp-content/uploads/2017/05/2017_Osaka_kyouginitei.pdf


大会公式サイト

www.jita-trackfield.jp

 

 

さてこの大会、個人的にすばらしいと思うことが行われています。

競技レベル向上に役⽴ててもらうことを目的にウォーミングアップ見学会が開催されています。募集人数も昨年の100名から150名に増えました。対象は関⻄地区の中学⾼校⽣とその指導者、見学種目は100m予選のウォーミングアップです。

大阪ガス陸上競技部監督の小坂田淳氏の解説もあります。


今大会のウォーミングアップ見学会参加募集資料

http://www.jita-trackfield.jp/jita/wp-content/uploads/2017/05/2017_Osaka_Wup_kengaku.pdf

注意:今回の募集は終了しています。

 

私も実際にこの見学会は見たことがないので詳しい内容はわかりませんが、募集資料を見る限りたいへん良い試みだと思います。


このような試み、今後各地に広まってほしいものです。

  

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陸上競技はマイナースポーツ? ~報道から見る陸上競技~

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桐生祥秀選手(東洋大学)が100m 9秒98(+1.8m/秒)というすばらしい日本新記録を樹立しましたが、報道各社もこのニュースを大々的に取り上げました。しかし中には誤った情報も・・・ 

 

 

   

 


福井県の福井運動公園陸上競技場で開催された第86回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)の男子100m決勝で、桐生祥秀選手(東洋大学)が日本人初の公認記録9秒台、9秒98(+1.8m/秒)というすばらしい日本新記録を樹立しました。

テレビ、新聞、webニュースなど様々なマスメディアでこのことが取り上げられました。

陸上競技が注目されるのは陸上関係者として喜ばしいことですが、中には誤った情報もありました。

陸上関係者にとっては当たり前のことなのですが・・・

あるテレビの情報番組では、

 

写真判定について「初めての9秒台なので1000分の1秒までしっかり見るように指示があった。」と出演者が説明していました。

タイムを計測するのではありません。写真判定システムが合成した選手の写真が画面に表示され、選手のトルソーの位置を判定するのです。そして判定すれば、このレースに限らず1000分の1秒まで計測されるのです。

詳しくは、次の記事です。 


また、風力について、「2m以上風が吹くと参考記録になってしまう。

スタートからゴールまで100m全体の風の平均値。」と司会者が説明していました。

まず追い風参考になるのは2m以上ではありません。2mは公認です。ですから正しくは2mを超える参考です。

そして、100mの風力計測計の位置はフィニッシュから50m手前の地点のトラックの内側で、計測時間はスタートの信号器の号砲から10秒間の、10秒間の平均風力です。

これについて詳しくは、次の記事です。 


更に『スタータは男子100m決勝では「吹き流し」を見ながら号砲を打った』とフリップを用い説明していました。

吹き流しの位置は風力計測器の近くややフィニッシュ寄りです。
特にこのレースのときは、走幅跳の結果表示盤が設置されていたためスタート地点から55m以上離れたところに置かれていました。

 

スタータがスタートの信号器を打つときや打つ直前に吹き流しを見ることはあり得ません。選手の動きを注視しています。この瞬間にも選手の動きによっては注意をしたり、不正スタートと判断することなどがあるからです。

しかもスタータから50mほど離れたほぼ真左の位置に吹き流しはあります。選手から目を離してその位置を見ることはあり得ません。

このときトラック外側で実施されていた走幅跳の助走路脇にも吹き流しがありますが、それでも目を離すことになります。

走幅跳の吹き流しとトラック内側の吹き流しの動きは必ずしも一致しているとは限りません。スターターならそのことは承知しているはずです。

 

最後に桐生選手が見事な記録を樹立した要因を「後半の伸び」と説明していました。

どの選手、あのボルト選手でさえ100mで後半伸びることはありません

このことも記事にしています。 

 

これに関する資料が 公益社団法人日本学生陸上競技連合から公開されています。

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資料提供 公益社団法人日本学生陸上競技連合

 

後半伸びているのではなく、後半の減速率が少ないのです。

 

ひとつの番組で少なくとも上記のような誤りがありました。

テレビの情報番組です。スポーツ担当者が関わっていないのでしょうか?

陸上競技を知った担当者がいないのでしょうか?

 

それとも陸上競技はマイナーなスポーツなのでしょうか?

残念な内容でした。

 

 

 

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桐生祥秀選手 9秒98 ~写真判定結果~

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桐生祥秀選手(東洋大学)が100m10秒の壁を破る 9秒98(+1.8m/秒)というすばらしい日本新記録を樹立しましたが、そのレースの結果を証明するのが写真判定結果の写真です。 

 

 

   

 


福井県の福井運動公園陸上競技場で開催された第86回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)の男子100m決勝で、桐生祥秀選手(東洋大学)が日本人初の公認記録9秒台、9秒98(+1.8m/秒)というすばらしい日本新記録を樹立しました。

樹立した競技会を統括する加盟団体日本陸上競技連盟に成績を速やかに連絡し、記録を確認するために必要な資料を揃え送付し日本新記録申請を行います。


その際添付する資料中に2枚の重要な写真があることは既に記事にしました。  

 

そこでも説明している写真判定システム(電気計時)の判定結果写真、フィニッシュの記録、すなわちトルソー(頭、首、腕、脚、手または足を除く胴体)がフィニッシュ地点に到達したした時の記録を証明するものです。

この実際のレースの結果写真を公益社団法人日本学生陸上競技連合様のご了解を得ましたので掲載します。

 

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 写真提供  公益社団法人日本学生陸上競技連合

 

 

写真判定システムのモニタ画面で判定を行うのですが、その画面には1000分の1秒まで表示されます。

確定した結果の写真が上のもので、そこでは100分の1秒になっています

桐生選手の9秒989秒971から9秒980の何れかです。 

写真判定結果の写真の下にある目盛りを見る限り、かなり9秒980に近い記録です。9秒978か9秒979だったのではないかと想像します。

公認記録では日本人初の9秒台、歴史が変わった瞬間を証明する写真です。

 

写真の先頭は桐生選手ですが2着は多田修平選手(関西学院大学)、多田選手も自己新記録の10秒07、日本歴代7位というすばらしい記録です。

 

写真判定装置による記録測定のことなどは次の記事で説明しています。 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

 

競技会の申し込み(エントリ―)は慎重正確に

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競技会に申し込み、競技会当日に申込内容に誤りがあったと申し出て来ることがあります。必ず受け付けられるとは限りません。

 

   

 


競技場で行われる競技会の申し込み(エントリ―)は、ほとんどの競技会で電子データ(エクセルなど)により行われています。

プログラムや競技会で使用する競技運営システムでの選手の氏名や学年、性別、エントリー種目などはその電子データに基づいています。

つまり、申し込みのデータをそのまま使用しているのです。

ですからプログラムに記載されている氏名などの誤りのほとんどは申し込み者側の誤りです。

この記事では申し込み者側に責任がある誤りについてのことです。

競技会によっては競技会当日、選手の氏名などの訂正を受け付けていますが、その訂正内容により受け付けてもらえないこともあります。

例えば、種目を誤って申し込みしたので変えてほしいということです。

この場合は基本的に受け付けてもらえないと考えた方が良いでしょう。

これを認めてしまうと、申し込みで種目を決めてもらっていることに意味がなくなります。

また、「誤った」という理由自体が事実であるか確認できないものでもあります。
実際にはないと思いたいことですが、申し込み後に他の種目に変えたくなったときに「誤り」を理由にすることもできます。

わかりやすい「誤り」は氏名や性別、選手の氏名や性別が証明できるときは「誤り」です。

ただし性別の誤りは種目変更になります。必ず受け付けてもらえるとは限りません。

最近ときどきあるのは、氏名の漢字が特殊な文字(JIS規格外)の場合の文字化け、申し込み者が自身のパソコンなどでは外字として登録しているものをそのまま申し込みのデータとして使用、プログラムや競技運営システムなどでは表現できず文字化けすることです。

中には種目変更などを受け付ける競技会もあります。

最終的に訂正を受け付けるかは主催者の判断によります。

先日、実際に情報処理関係の競技役員として競技運営に関わったある競技会で、申し込みで種目を誤ったので変えてほしいという申し出がありました。主催責任者の判断は「受け付けない」でした。
厳しいと思われるかもしれませんが、例外をつくると他を断れないということも理由のひとつです。

申し込み者側からみると一人だけかもしれませんが、競技会で多数となれば、競技会の運営自体に支障を来すこともあり得ます。

申し込みに際しては、慎重に、正確に。

 

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ゼロコントロールテスト ~日本新記録申請に添付の資料~

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桐生祥秀選手(東洋大学)が100m10秒の壁を破る 9秒98(+1.8m/秒)というすばらしい日本新記録を樹立しました。樹立した競技会を統括する加盟団体は日本陸上競技連盟に必要な資料を揃え送付しなければなりません。日本新記録の申請を行うのです。

 

   

 


福井県の福井運動公園陸上競技場で開催された第86回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)の男子100m決勝で、桐生祥秀選手(東洋大学)が日本人初の公認記録9秒台、9秒98(+1.8m/秒)というすばらしい日本新記録を樹立しました。

日本新記録を樹立した事実は誰もが知っていることですが、樹立した競技会を統括する加盟団体日本陸上競技連盟に成績を速やかに連絡し、記録を確認するために必要な資料を揃え送付しなければなりません。日本新記録申請を行わなければならないのです。

その際添付する資料がいくつかあります。その中に2枚の重要な写真があります。

1枚は写真判定システム(電気計時)の判定写真、フィニッシュの記録、すなわちトルソー(頭、首、腕、脚、手または足を除く胴体)がフィニッシュ地点に到達したした時の記録を証明するものです。

次のような写真です。(写真はイメージです)

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記録を証明する重要な写真です。

 

もう1枚、重要な写真を添付しなければなりません。

それはゼロコントロールテストの写真です。

 

ゼロコントロールテストの説明の前に写真判定システムの作動についてルールには、

第165条14⒝
写真判定システムは、スターターの合図によって自動的に作動するものとし、ピストルの発射音または同等の可視指示と計時装置の時間差が安定的に0.001秒以下であるようにする。

という記載があります。

写真判定システムは、スターターの信号器(ピストル)の合図から0.001秒以下に作動しなければならないのです。

写真判定システムで判定された記録に注目が集まりますが、システムが正しく作動されなければなりません。

そのことに関しルールに次のような記載があります。

システムが自動的にスターターの信号器の合図で承認された写真判定装置が第165条14⒝に定められた時間内(つまり0.001秒以内)で正しく作動するかどうかのゼロ・コントロールテストを、各セッション(午前の部または夜の部)の開始前に実施しなければならない。

写真判定システムがスターターの信号器(ピストル)の合図から0.001秒以下に作動することを確認することがゼロコントロールテストです。

 

ではそのテストどのように行うのか、審判員の運用マニュアル(ハンドブック)には(一部略)、

フィニッシュライン上にスタート信号器(ピストル)を置き,スタート信号器を発射(閃光を写真判定装部置で捉える)したときの閃光と計時システムが動作した時間の差を測定する。
この結果は,プリントし写真判定主任・トラック審判長がそれぞれ確認のサインをして総務に提出する。
【確認方法】
⑴ フィニッシュラインにスタート信号器(ピストル)を置く。
⑵ 写真判定装置を手動モードでスタートさせる。
⑶ スタート信号器を発射する。閃光またはフラッシュの光が撮影される。スタート信号により計時装置が0.000からスタートする。
⑷ 写真に撮影された閃光またはフラッシュの光の部分をトルソーと同じように判定する。
判定点は,光始めた位置にカーソルを合わせたときの時間表示を読みとる。時間表示が0.000秒からマイナス0.001秒の値であれば作動するまでの時間は0.001秒以下であり規定どおりと確認できる。

いろいろと書いてありますが、簡単に説明すると、

フィニッシュ地点の地面にスタート信号器(ピストル)を置いてスタート信号器を発射し、記録の判定を選手のトルソーで行うのと同じように、そのときの閃光またはフラッシュの光の部分を判定します。

つまり、スタート信号器の閃光またはフラッシュの光の部分スタートと同時フィニッシュしているということです。

その判定結果が0.000秒からマイナス0.001秒の値であれば作動するまでの時間は0.001秒以下であり規定どおりとなります。

その判定結果のイメージが次の写真です。

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写真中央辺りに白い部分がありますが、それが閃光またはフラッシュの光です。その光始めた位置にカーソルを合わせ判定します。写真縦線が判定した位置です。

判定結果は欄外下に時間(記録)として出ています。

この記録(位置)が0.000秒からマイナス0.001秒の値であればOKです。

万が一0.001秒を超える誤差が生じている場合、その要因の一つとして発光の遅れが考えられます。その対応策として、信号器(ピストル)を接続方法が異なるものにしてみる、信号器の親機本体の紙雷管挿入部分をフィニッシュライン上に設置し、発煙と発光の両方を撮影してみるなどがあります。
これらの対応でも0.001秒を超える誤差がある場合には、写真判定の記録は規則に違反しており公認されないことになります。


競技会のときフィニッシュ地点で審判員が行っているところを見かけることがあります。
フィニッシュ地点で審判員がスターターの信号器(ピストル)をフィニッシュ地点に置いている時がその時です。

ゼロコントロールテスト 公認大会では必ず行われることです。 

 

 

 

フィニッシュのこと、写真判定装置による記録測定のことなどは次の記事で説明しています。 

 

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桐生選手の9秒98、世界では?

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桐生祥秀選手(東洋大学)が100mを9秒98(+1.8m/秒)で走りました。その記録、日本人初の9秒台ですが、世界的に見るとどの程度の記録なのか・・・

 

 


福井県の福井運動公園陸上競技場で開催された第86回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)の男子100m決勝で、桐生祥秀選手(東洋大学)が日本人初の公認記録9秒台、9秒98(+1.8m/秒)というすばらしい日本新記録を樹立しました。

その記録は世界的に見てどの辺りに位置するものなのかを独自に検証してみました。

この記事で扱っている記録や人数、年齢を求めるための誕生日などは国際陸上競技連盟(IAAF)のサイトから引用しています。

国際陸上競技連盟のサイトには、100mを10秒10以下で走った選手の記録が公表されています。そこには桐生選手の9秒98も既に掲載されています。従って9月9日時点の最新のデータとして扱います。

またここで扱う記録は写真判定装置(電気計時)によるものです。手動計時は含みません。
ドーピング違反などで記録を抹消された選手も含みません。

 

まず、9秒台で走った選手の数は桐生選手を含めて陸上競技の歴史上126名です。

桐生選手の記録は9秒98は、99番目の記録です。

そして桐生選手と同じ9秒98の自己記録を持つ選手は12名います。

9秒98以下の記録で走った選手は110名です。

でもこの数字には既に引退したなど現役でない選手も含みます。現時点で現役の選手を限定するのは困難です。

そこで、歴代の人数だけでなく、単純に今年2017年の12月31日現在の選手の満年齢で人数を見てみました。
ただしボルト選手のように引退した(現役でない)選手も含まれる場合があります。

次の表です。9秒台ではなく桐生選手と同じ9秒98以下の自己記録を持つ選手の数です。

自己記録が9秒99の選手は含みません

日本と歴代の人数が複数の国は国別に数値を出しています。日本を除く国で国内に9秒98以下の自己記録を持つ選手が1名しかいない国は「他の国」としてまとめています。

 

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想像できたと思いますが、アメリカが歴代人数を含めどの年代も多数を占めています。
続いて多いのがジャマイカです。

年代別に9秒98以下の自己記録を持つ選手の数は、

35歳以下68名、
30歳以下44名、
25歳以下24名、

そして桐生選手と同年代の 22歳以下は、たった4名です。

そうです。あのアメリカでも2名ジャマイカには1名もいないのです。

 

桐生選手の記録がいかにすばらしい記録であるかがわかります。

 

 

しかしこの数字は9秒98以下の自己記録を持つ選手をひとまとめにしたものです。

記録の違いは考慮されていません

世界の歴代記録と上記の年代別の記録と順位が次の表です。

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順位がとんでいるいるところは同記録の選手がいるため。例えば25歳以下の8位の次が13位なのは8位と同記録が計5名いるため。
(赤字部分9月12日8:39 追記)

 

22歳以下が4名しかいないといってもトップとは 0.16秒 の差です。

他の各年代別を見てもトップ3とは 0.1秒以上の差があります。

それをもっとも実感しているのは桐生選手でしょう。

桐生選手、記録樹立後に、「世界のスタートラインに立ったところコンスタントに 9秒台が出せるように」と語っています。

 

日本人にとって大きな壁であった10秒00、それを見事に破った桐生選手、大きなプレッシャーからも解き放たれた瞬間だったと思います。

これから更に前進してくれることでしょう。


他の日本選手にも「日本人初」というプレッシャーはなくなりました。

桐生選手に続く選手がひとりでも多く出ることを望みます。

 

 

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桐生選手、100m 9秒98 その時の速報値は9秒99

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桐生祥秀選手(東洋大学)が100m10秒の壁を破る 9秒98(+1.8m/秒)というすばらしい記録を樹立しました。その時の速報値は9秒99、その速報値について。

 

 


福井県の福井運動公園陸上競技場で開催された第86回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)の男子100m決勝で、桐生祥秀選手(東洋大学)が日本人初の公認記録9秒台、9秒98(+1.8m/秒)というすばらしい日本新記録を樹立しました。

これまでの日本記録は、伊東浩司氏が1998年12月に記録した10秒00。

桐生選手、伊東氏共にレース後の速報値9秒99でした。

そして確定記録は桐生選手が9秒98、伊東氏が10秒00、速報値は同じなのに確定記録で明暗がわかれました。

 

 

フィニッシュのこと、写真判定装置による記録測定のことなどは次の記事で説明しています。 


 

速報値や確定記録は次のような表示盤に表示されます。

競技場や競技会によって表示盤自体があったりなかったり、置かれているものが一部であったりもします。表示内容が異なる機種もあります。

今回のインカレでは色こそ違いますが(インカレでは黄色、写真は今年の関東インカレのもの)同じ並びの表示盤が使用されています。3つの表示盤の組み合わせです。

一番左側が風力、中央左の赤数字がレーン番号、中央右の白数字がナンバーカードの番号、一番右側が記録です。

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速報値は、写真判定用のカメラで撮影された画像、確定(正式)記録とは関係ありません

下の写真のようにトラック外側に置いてある三脚に設置された機器(「ビーム」と呼ばれます)と、トラック内側の写真判定用カメラの脚に取り付けられた機器ビーム。黄色線で示した部分、右上の写真が斜め横から見た拡大写真)があります。

競技場、競技会によってはトラック内側もトラック外側と同じ三脚のものがあります。

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このふたつのビーム(機器)の間を赤外線が通っています。

その赤外線を選手が遮った(さえぎった)ときにタイマーが止まります

この記録が速報値です。

イメージ図

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陸上競技のフィニッシュは、

胴体(即ちトルソーのことで、頭、首、腕、脚、手または足とは区別される)のいずれかの部分がフィニッシュラインのスタートラインに近い端の垂直面に到達したことで決める。

です。

トルソーの位置で決まります。

速報値は赤外線を遮ったところなのでトルソーとは限りません
腕(うで)で遮ることもあります。
リレーならバトンで遮ることもあります。



このように計られた速報値は次のように表示されます。表示されるのは記録のみです。今回のインカレでの右側ふたつの表示盤です。図にはありませんが左側にある風力を表示する表示盤には風力は表示されています。この風力はレース後すぐに表示されます。の条件が公認か(追い風が2m/秒を超えていないか)はすぐにわかります。

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写真判定装置で作成された画像で判定された確定記録が決定すると次のように表示されます。

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このようにレーン番号、ナンバーカードの番号、記録が表示され速報値が確定記録の表示になったことになります(機種によりレーン番号と記録だけのものもあります)。

選手にはこの確定までの時間が長いのです。速報値と同じか良いか悪いかも大いに気になります。

桐生選手も競技後のインタービューで速報値の9秒99が10秒00にならないようにと祈っていたと言っています。

 

でもこの速報値、表示しなけらばならないというルールはありません。

ですからビームの感度や精度、設置に関するルールなどもありません。

あくまでも速報値、参考値です。

時には選手がフィニッシュラインを通過してもタイマーが停止しないこともあります。

 

では仮にフィニッシュ地点(フィニッシュラインのスタート寄りの縁)上に赤外線が通るように設置され、精度も高いとしたなら、どのようなときに速報値より確定結果が良くなり、またどのようなときに悪くなるか・・・

 

速報値より確定記録が良い時は、

選手のトルソーがフィニッシュ地点を越えてからビームの赤外線が遮断された時。

次のイメージ図はフィニッシュ時を横から見たもので青線のフィニッシュ箇所がフィニッシュライン通過後に赤丸の赤外線を遮断しているため速報値が悪くなります。左は背の高い人が胸を突き出すようにフィニッシュしたとき、右は背の低い人が身体を反る(そる)ような姿勢でフィニッシュしたときをイメージしてください。赤丸と青線の差が速報値と確定記録のタイム差です。

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速報値より確定記録が悪い時は、
前に振り出した腕(うで)でビームを遮ったときなどトルソー以外の部分が先にフィニッシュラインのビームを遮ったときです。

全日本インカレの女子100m決勝では速報値より100分の3秒確定結果の方が遅くなっています。動画を見ると手で速報値用のビームの赤外線を遮っていると思われます。

最近高校生男子などでよく見る片腕を前に突き出すような(パンチするような)姿勢でのフィニッシュでその腕先(手先)がビームを遮った場合は、腕の長さ近く分タイムが悪くなることもあります。これは速報値と確定結果の差のことで確定結果自体が悪くなるという意味ではありません。

 

今回の桐生選手の日本新記録のときは速報値が9秒99、確定記録は9秒98でした。 

 

日本人初の100m9秒台、身震いするレースでした。

改めて、桐生祥秀選手おめでとうございます。感動をありがとう。

 

※20171125 推測部分を一部削除

 

 

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2種目以上の競技に同時に出場するときは申し出ること

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同時に2種目以上の競技に出場する時は必ず申し出ましょう。競技会によっては書面の提出が必要な場合もあります。

 

 


競技会で同時にトラック競技とフィールド競技あるいは2種目以上のフィールド競技に出場する選手が、後から招集(点呼)が行われる競技の招集完了時刻までに招集に来ないで遅れて来る、あるいは招集を受けずに競技場所に行くことがあります。

これは招集を招集完了時刻までに受けていないことになるのですが、ほとんどの選手が他の種目に出場していたことを理由にします。

そのようなことは関係ありません。招集完了時刻までに招集を受けなければ競技に出場できません欠場となります。

しかし、他の競技に出場していて次の競技の招集に行けないときがあるのは事実です。

そこで競技会によっては、そのような時、定刻、例えば最初の種目の招集開始時刻前までに「2種目同時出場届」などと呼ばれる用紙を記入し招集所に提出するなど、書面で申し出る(提出する)ことを義務付けていることがあります。大きな規模の競技会で多いことです。

書面の提出がない競技会では、先に招集を受ける競技の招集の際に、他の競技に同時出場することを招集所の競技役員に申し出ます。

つまり、後から招集が行われる競技の招集を書面や申し出で先に済ませてしまうのです。

この時、後から招集が行われる競技のナンバーカードや腰ナンバー(トラック種目、この時渡されることが多い)、スパイク、ユニフォームなどを確認されることがありますので通常の招集と同じ準備をしていきましょう。

招集を受けたか否かは選手の出場の意思を確認するだけでなく、競技運営上にも必要な情報です。

ルールに、

競技者が、同時にトラック競技とフィールド競技あるいは2種目以上のフィールド競技に参加する時には、審判長は1ラウンドに一度、走高跳および棒高跳で各試技に一度、競技会に先立って決めた順序によらないで、その試技を許すことができる。もし、競技者がその後の特定の試技に不在の時、その試技時間が過ぎれば、パス扱いとなる。
〔注意〕 4ラウンド以上の試技が行われる競技会では、最終ラウンドで異なる順序で試技を行うことを認めてはならないが、それ以前のラウンドでは認めることができる。
〔国内〕 走高跳および棒高跳においては、事前に申告し無効試技扱いとすることができる。

という記載があり、同時に複数競技出場する場合、フィールド競技の試技順などを変更してもらえることがあるからです(競技規則第142条3確認のため)。

トラック競技が先に開始される場合は、トラック競技終了後ただちにフィールド競技の競技場所に移動し、移動してきたことを競技役員に申し出、また、フィールド競技の途中でトラック競技や他のフィールド競技に出場するときは、フィールド競技の競技開始前にフィールド競技の競技役員にその旨を申し出ます。

フィールド競技の途中で他の競技に移動するときや他の競技から戻ってきたときにも競技役員に伝えます。

伝えずに出て行く、戻ってきているといことがないように。
選手の試技順になってその選手がいない、どうやら他の競技に行ったようだなんてことがよくあります。その様なことがないように必ず競技役員に伝えます。

フィールド競技からトラック競技に移動するとき、腰ナンバーを付け、跳躍種目でナンバーカードを胸と背中の両方に付けていないときは両方に付けるのを忘れずに。

実はこのような選手結構います。ナンバーカードや腰ナンバーを取りに遠くまで行くことになる選手もいます。時間がなく競技の前に走らなければならないことも。このために競技開始時刻に間に合わなければ欠場となることもあります。十分注意してください。

トラック競技で組数が多く、後の方の組で競技に出場する場合、次の競技の招集までに時間があるようにみえても、実際にはほとんど時間がないことがあります。
フィールド競技は競技が終わる時間がはっきりしません。遅くなり次の競技の招集時刻になってしまうことがあります。

もしそうなりそうだと思われるタイムテーブル(競技日程)のときは先の招集の際に招集所の競技役員に確認しましょう。

ただし、明らかにはなれた時刻の競技、例えば一つ目の競技が午前中で次の競技が夕方などというときに、2種目に出場すると招集所に申し出て来る選手がいます。これは受け付けてもらえません。

2種目以上が同時に重なるときです。その日に2種目以上ではありません。

招集は余裕を持って、2種目以上同時に出場する選手もきちんと上記のような招集の手続きを。 

 

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リレーの時のユニフォームはそろっていないといけないのか・・・

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競技会でリレーに出場する際、選手4人のユニフォームがそろっているか確認されることがあります。このことに関して。 

 

 

 


リレー競技の招集(点呼)の際にメンバー4人のユニフォームがそろっているか確認された経験がある選手がいると思います。

そのことに関してルール―では、

〔国内〕 全国的な競技会でのリレー競走においては、チームの出場者は同一のユニフォームを着用する。

と記載されています。

これは日本陸上競技連盟が独自に追加した規定で、国内競技にのみ適用されるものです。

この記載を見る限り、「全国的な競技会での」と書かれており全ての競技会で必ずということではありません

 

つまり、全国的な競技会でなければ、ルールでは強制していないのです。

 

競技役員でも誤った解釈(全ての競技会だと思っている)をしていることがあります。


ルールで強制していない理由のひとつは、例えば中学生などで、新年度から学校のユニフォームを扱うメーカーがかわったりして、前年までと同系色でもデザインが異なるというように、必ずしも全学年同じにできないことがあるからです。

このため選手にわざわざ購入させるなどすることは選手に不利益、負担を掛けさせるこになり望ましくないためです。

しかし、中には全国的な競技会でなくても、ユニフォームをそろえさせる競技会があります。また、全国的な競技会でも同一ユニフォームでなくても同系色なら良い場合もあります。

例えば、
日本陸上競技選手権リレー競技大会(日本選手権リレー)はリレー競技の日本一を決める全国的な大会です。従ってルールどおり同一のユニフォームの着用であるため、大会要項や競技注意事項にもリレーのユニフォームに関する記載はありません
日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)も同様に記載はありません。


全国高等学校陸上競技対校選手権大会(インターハイでは、本来全国大会であるので記載の必要はないのですが、競技注意事項に「リレー競技に出場するチームは、同一のユニフォームで参加しなければならない。」との記載があります。

全日本中学校陸上競技選手権大会(全中)では、全国大会ですが、競技注意事項に「リレー競技においては、同色系のユニフォームを着用する。」と記載があります。これは入学年度によってユニフォームを扱うメーカーがかわったりして、前年までと同系色でもデザインが異なるという場合などを考慮してのものだと思われます。但し大会要項には関係する記載はありません。

その他、全国的な競技会でなくても、競技注意事項に、
リレー競技に参加するチームは必ず全員同一のユニフォームを着用すること。
といった記載はよく見ます。しかしそのような競技会でも大会要項に同内容のことが記載されているものは見たことがありません

また、特殊な例で、ある都県の高等学校体育連盟陸上競技専門部では、
「競技会参加の心得」という年度間通しての資料として、

リレー種目では、原則と して同一のユニフォムで出場すること。出場選手が統一されていなユニフォームでは出場はできない。最低限、ラングシャツは全員が同じものを着用すること。ランニグパンツ、タイツなどデザインが不揃いでも許容される場合があるが、色については同一にすること。

と公表している場合もあります。
従って、この都県の都県レベルの高体連の競技会では大会要項や競技注意事項に記載していなくても上記記載内容が適用されることになっています。


日本陸上競技連盟の考えは、基本的に全国的な競技会ではない競技会でのリレーの際のユニフォームをそろえさせるかについてはルール上では強制力はなく、主催者が決めることとしています。その上でリレーで選手のユニフォームをそろえさせるなら、競技注意事項での記載だけでなく大会要項にも記載すべきということです。それは、競技会へのエントリーは大会要項を見て行うもので、リレーでユニフォームをそろえなければならない場合はエントリー時点で知らせておくべき事項であるからです。また競技注意事項は競技会によっては大会当日にならなければ知ることができないこともあるため、当日知っても対応できない場合もあり得るからです。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain まとめ 

 

全国的な競技会では同じユニフォームを着用します。

全国的な競技会でも全中のように「同系色」で可となるときもあります。もしそうなる可能性があり、大会要項には記載がない場合はエントリーの際に確認を行います。過去の同競技会の大会要項や競技注意事項の記載を参考にするのも良いでしょう(ただし必ず同じになるとは限らない)。

全国的な大会でない場合は、大会要項に記載がない場合は本来そろえる必要はないのだが現実は競技注意事項にだけ記載している場合が多いです。大会要項に記載がなくエントリー時にユニフォームがそろわない可能性があるとわかっているならエントリー時に確認しましょう。過去の同競技会の大会要項や競技注意事項の記載を参考にするのも良いでしょう(ただし必ず同じになるとは限らない)。

同じユニフォームを着用としている場合、同じユニフォームでも、ランニングパンツや タイツの両方があり、それらが選手により混在する場合は、容認されることが大会要項に記載がないときはエントリーの際に確認しましょう。

全国的な競技会ではない競技会の主催者(運営者)は、ユニフォームをそろえさせるなら競技注意事項だけではなく、大会要項にも記載すべきです
これができていれば、上述のようなエントリー時の確認は必要なくなります。


全国的な競技会ではない競技会で、ユニフォームをそろえさせるという競技会のほとんどが競技注意事項にしか記載していないのは、選手に不利益、負担を掛けさせるということがあり得ることでもあり、大会要項にも記載するという正しい運用ではないということです。

私が競技役員ではなく主催者の一員として運営に関わっている全国的でない競技会では、リレーで選手がユニフォームをそろえることを強制していません。そのため大会要項、競技注意事項の何れにもそれに関する記載を行っておりません。つまり強制していないルールをそのまま適用しているのです。

この今回の記事を書くにあたって、日本陸上競技連盟にも改めて確認しております。

競技会主催者(運営者)の方にも再度開催している競技会についてご確認いただきたいことです。

 

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競技の前、脱衣のタイミングについての補足

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2017年9月3日に「競技の前に身体を冷やさないように・・・脱衣のタイミング」という記事を書きました。その記事に関する補足説明です。 

 

 


2017年9月3日の記事、 

この時の記事で、次のような記載がありました。

規模の大きな大会では、選手は競技場内に入る際にはまだジャージなどを着ていて、スターティングブロックのセットなどの後選手紹介直前に脱衣することが多いのですが、昨年のオリンピックや今年の世界選手権のリレー決勝のようなチーム紹介が行われたために早くにユニフォーム姿にさせられているということでしょうか・・・

ここでの規模の大きな大会とは国内大会国際大会を区別していないものでしたが、日本陸上競技連盟の担当者の話では、国際陸上競技連盟(IAAF)が主催する国際大会では、脱衣をさせてからスターティングブロックのセットや試走などを行わせることになったそうです。

 

選手自身は常にその場の状況を考え、競技に臨むという記事で述べたいこと自体にはかわりはありません。

 

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これからの時期に注意、競技中の衣類の重ね着~メーカーのロゴの数~

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5月にも記事にしましたが、そろそろ競技に出場する衣類(ユニフォーム)の下にTシャツやタイツ(スパッツ)などを重ね着する選手を多数見るようになってきました。

やはり守られていない、あるいは守られていないというより知られていないと言った方が正解かもしれないルールがあります。 

 

 

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昨日も競技役員を行ってきましたが、やや肌寒い時間帯もあったため、競技に出場する衣類(ユニフォーム)の下にTシャツやタイツ(スパッツ)などを重ね着する選手が多数いました。

 

衣類(ユニフォーム)に付いていても良いメーカーのロゴの数にも定めがあります。

上半身の衣類に1か所

下半身の衣類(シューズやソックスを除く)に1か所

上下一体型の衣類は1か所または2か所(2か所の場合は近すぎてはならない)

詳しくは以前の記事で確認してください。 

 

例えばユニフォームのショーツの下にタイツを重ね着していた場合、タイツのロゴが見えていると、ショーツとタイツの2か所にロゴがあることとなり、規則に反しているとされます。

これが実に多いです。

ロゴだけをテープで隠すなどしていればまだ良いのですが、やはりルールを知らないようでそのままです。

最近のタイツ(スパッツ)ではかなり大きなロゴが入っているものもあり、とてもテープで隠せる大きさでないものもあります

せっかく寒さ対策をしてきたのに脱ぐよう指示されることもあります

ときどき競技役員のテープを貼ったり場合によっては脱衣を指示を素直に聞き入れない選手がいます。

中には招集(点呼)のときには着衣しないで、招集後に着てくる選手もいます。
しかし、競技直前の最終点呼や競技の姿になったときにわかります。

競技役員も好き好んで注意や指示しているのではありません。ルールに反しているから行うのです。

寒さ対策をするなら無地のタイツ(スパッツ)などなら問題ないのです。

 

競技会における広告および展示物に関する規程」というルール、知らない選手が多いルールです。

 

今回の記事、5月に書いた記事と重なるものですが、やはり多数が守れていないために改めて記事にしました。

競技会に出場する以上はルールを知って臨みましょう。

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170517002941p:plain  

競技の前に身体を冷やさないように・・・脱衣のタイミング

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競技前にウォーミングアップを行い、身体と心の準備を行いますが、競技前に身体を冷やしてしまったりしてパフォーマンスが発揮できないということがないように。 

 

 

 


今回の記事のテーマ、ある程度意識の高い選手にしてみれば当たり前のことです。しかしできていない選手も多数います。そうしたくてもできない選手もいます。

8月に開催された世界陸上ロンドン大会の男子4×100mリレー決勝でボルト選手が走っている最中に脚を痛めて途中棄権となったことは記憶に新しいことですが、それは競技前の選手控え場所が寒く、そこでユニフォーム姿で長く待たされて身体が冷えてしまったことが原因でもあるとも言われています。

4×100mリレー日本代表選手の帰国後のインタビューでも控え場所が寒く、身体を冷やさないように体を動かしていたと言っています。
またその時海外の選手は身体が冷えてしまってから体を動かす傾向にあったとも。

選手は着衣していたかったのにそうできなかった状況だと想像します。

規模の大きな大会では、選手は競技場内に入る際にはまだジャージなどを着ていて、スターティングブロックのセットなどの後選手紹介直前に脱衣することが多いのですが、昨年のオリンピックや今年の世界選手権のリレー決勝のようなチーム紹介が行われたために早くにユニフォーム姿にさせられているということでしょうか・・・日本代表チームがリオデジャネイロオリンピックでは「侍(さむらい)」ポーズ、世界陸上では「お辞儀(おじぎ)」を行ったチーム紹介です。

 

2017年9月4日補足
国際陸上競技連盟(IAAF)主催の国際大会では基本的に脱衣をさせてからスターティングブロックのセットや試走などを行わせるようになったそうです。日本陸上競技連盟の担当者からの話です。


日本では春先や秋の大会ではかなり気温が下がることがあります。

そのような中で自分のレースまで時間があるのに早くからユニフォーム姿になっている選手を見かけます。

小中学生だけでなく高校生にも。

ウォーミングアップの効果を失うことにもなります。



しかしたいへん残念ですが、せっかく選手がきちんとしていても、競技役員がかなり早くに選手をユニフォーム姿にさせ、並ばせ時には座らせている光景を見ることがあります。

これはルールで定められたことではありません。

ルールに記載されていないことを補完するためにある、競技役員向けの運用マニュアル(ハンドブック)には、

 

5分前
400mまでの種目(4×400mリレーを含む)では スターティングブロックをセット、試走させる。
3分前
1500m~10000mの競走(競歩)では脱衣を指示。
2分前
1500m~10000mの競走(競歩)ではスタートラインに並ばせる。
レーンを使用する競走(800m以下、4×400mリレーを含む)の場合、脱衣を指示し、ただちに集合線に並ばせる。
1分30秒前
競技者の集合を再確認後,スタート準備完了をアナウンサーに連絡。
連絡を受けたアナウンサーは競技と選手の紹介を行う(中長距離種目や競歩で選手数が多い時はスタート後に選手紹介を行う場合もある)。
アナウンス終了後
スターターはスタート合図を行う。 

 

と記載されています(一部略または追記)。

詳しくは過去の記事で説明しています。 

これはスターティングブロックをセット、試走してからトレーニングウエアなどを脱衣する、どちらかというと規模の大きな大会でのことです。

多くの大会ではトレーニングウエアなどを脱衣後にスターティングブロックをセット、試走を行います。

この運用の違いや選手紹介の有無などにより異なりますが、トレーニングウエアなどを脱衣し、競技を行う衣類(姿)になるのは自分の競技開始の5分以上前ということはありません。

 

私は指導者や引率者の立場で大会に参加するときは、選手にあまりにも早くに競技役員から脱衣を指示されたときは、ハンドブックの記載を理由に着衣を認めてもらうよう指示することがあります。その時の気温などを考慮しての指示です。

競技役員の立場なら早くに脱衣をさせないようにしています。

基本は「アスリートファースト」。選手がベストパフォーマンスを発揮できるようにすることです。

 

選手自身も常にその場の状況を考え、競技に臨みましょう。 

 

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「レースの後、脚を高くしておくように」と顧問に言われた ~疲れをとる~

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脚の疲れをとるために、あお向けに寝て脚を高くすることがあります。その脚の上げ方について。 

 

 

 


小学生のときに指導していた選手が、全中(全国中学校陸上競技選手権大会)前に、私が小中学生を指導しているところに調整練習を行いに来ました。

中学生になってからは学校の部活で活動しており、直接指導する機会は減りましたが、ときどき顔を出してくれます。

その時アドバイスしたのは、最も大切なのは疲れをしっかり取りのぞくこと大会前に限らず普段の練習後大会での競技間などでも同じであると伝えました。

疲れを取り除くためにはダウンやアイシング、マッサージなどいろいろな方法があります。

私がそのとき教えたのが、あお向けに寝て脚を高くすることです。当然ダウンなども行います。それ以外の方法としていつでも簡単にできることとしてです。

選手にその話をしたとき、この前学校の顧問の先生にも大会の際に「レースの後、脚を高くしておくように」と言われたとのことでした。

しかし、どのように脚を高くするかまでは教わっていないそうでした。

この脚を高くすること、方法を誤ると逆にダメージを受けることがあります

大会のとき、選手の控え場所などで、脚を高くしている選手を見かけることがありますが、ほとんどが足首辺りの下に何かを入れて高くしている、あるいは壁などを利用して脚を高くしているのです。

次のイラストのように。


あお向けになっている人を横から見たところで右側が頭、左側が脚です。黄色の丸い部分が高くするための支えです。

 

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イラストに示してあるのでわかると思いますが、膝(ひざ)が宙に浮いているため、脚の重さが膝にかかります。

確かにふくらはぎなどは軽くなることが多いのですが、膝には負担になっているのです。

 

脚を高くするなら次のイラストの様に行います。黄色の部分が脚をのせる台です。

 

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そうです。膝(ひざ)のしたから足首または踵(かかと)までを台になるものにのせます

これで膝にかかる負担がなくなります

この時注意することは、台が高すぎてお尻が地面から浮かないようにすることです。

台の高さは身長などにより異なりますが、頭より高くなるようにしてください。

台は何でも構いません
ベンチ、スチレッチマットを数枚重ねたもの、クーラーボックス(所有者や顧問の先生などの了解を得るように)、自宅ならばダイニングチェアや、布団を数枚重ねたものなど。

 

時間もその時の疲労度により異なりますが、私の経験、選手に行わせた経験上では15分程度でも効果はあります。

この脚を高くし疲れをとる方法は、選手だけでなく立ち作業が多い人にも良いと思います。

是非試してみてください。

 

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