うさりく先生の陸上教室

 

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リレーの時のユニフォームはそろっていないといけないのか・・・

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競技会でリレーに出場する際、選手4人のユニフォームがそろっているか確認されることがあります。このことに関して。 

 

 

 


リレー競技の招集(点呼)の際にメンバー4人のユニフォームがそろっているか確認された経験がある選手がいると思います。

そのことに関してルール―では、

〔国内〕 全国的な競技会でのリレー競走においては、チームの出場者は同一のユニフォームを着用する。

と記載されています。

これは日本陸上競技連盟が独自に追加した規定で、国内競技にのみ適用されるものです。

この記載を見る限り、「全国的な競技会での」と書かれており全ての競技会で必ずということではありません

 

つまり、全国的な競技会でなければ、ルールでは強制していないのです。

 

競技役員でも誤った解釈(全ての競技会だと思っている)をしていることがあります。


ルールで強制していない理由のひとつは、例えば中学生などで、新年度から学校のユニフォームを扱うメーカーがかわったりして、前年までと同系色でもデザインが異なるというように、必ずしも全学年同じにできないことがあるからです。

このため選手にわざわざ購入させるなどすることは選手に不利益、負担を掛けさせるこになり望ましくないためです。

しかし、中には全国的な競技会でなくても、ユニフォームをそろえさせる競技会があります。また、全国的な競技会でも同一ユニフォームでなくても同系色なら良い場合もあります。

例えば、
日本陸上競技選手権リレー競技大会(日本選手権リレー)はリレー競技の日本一を決める全国的な大会です。従ってルールどおり同一のユニフォームの着用であるため、大会要項や競技注意事項にもリレーのユニフォームに関する記載はありません
日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)も同様に記載はありません。


全国高等学校陸上競技対校選手権大会(インターハイでは、本来全国大会であるので記載の必要はないのですが、競技注意事項に「リレー競技に出場するチームは、同一のユニフォームで参加しなければならない。」との記載があります。

全日本中学校陸上競技選手権大会(全中)では、全国大会ですが、競技注意事項に「リレー競技においては、同色系のユニフォームを着用する。」と記載があります。これは入学年度によってユニフォームを扱うメーカーがかわったりして、前年までと同系色でもデザインが異なるという場合などを考慮してのものだと思われます。但し大会要項には関係する記載はありません。

その他、全国的な競技会でなくても、競技注意事項に、
リレー競技に参加するチームは必ず全員同一のユニフォームを着用すること。
といった記載はよく見ます。しかしそのような競技会でも大会要項に同内容のことが記載されているものは見たことがありません

また、特殊な例で、ある都県の高等学校体育連盟陸上競技専門部では、
「競技会参加の心得」という年度間通しての資料として、

リレー種目では、原則と して同一のユニフォムで出場すること。出場選手が統一されていなユニフォームでは出場はできない。最低限、ラングシャツは全員が同じものを着用すること。ランニグパンツ、タイツなどデザインが不揃いでも許容される場合があるが、色については同一にすること。

と公表している場合もあります。
従って、この都県の都県レベルの高体連の競技会では大会要項や競技注意事項に記載していなくても上記記載内容が適用されることになっています。


日本陸上競技連盟の考えは、基本的に全国的な競技会ではない競技会でのリレーの際のユニフォームをそろえさせるかについてはルール上では強制力はなく、主催者が決めることとしています。その上でリレーで選手のユニフォームをそろえさせるなら、競技注意事項での記載だけでなく大会要項にも記載すべきということです。それは、競技会へのエントリーは大会要項を見て行うもので、リレーでユニフォームをそろえなければならない場合はエントリー時点で知らせておくべき事項であるからです。また競技注意事項は競技会によっては大会当日にならなければ知ることができないこともあるため、当日知っても対応できない場合もあり得るからです。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain まとめ 

 

全国的な競技会では同じユニフォームを着用します。

全国的な競技会でも全中のように「同系色」で可となるときもあります。もしそうなる可能性があり、大会要項には記載がない場合はエントリーの際に確認を行います。過去の同競技会の大会要項や競技注意事項の記載を参考にするのも良いでしょう(ただし必ず同じになるとは限らない)。

全国的な大会でない場合は、大会要項に記載がない場合は本来そろえる必要はないのだが現実は競技注意事項にだけ記載している場合が多いです。大会要項に記載がなくエントリー時にユニフォームがそろわない可能性があるとわかっているならエントリー時に確認しましょう。過去の同競技会の大会要項や競技注意事項の記載を参考にするのも良いでしょう(ただし必ず同じになるとは限らない)。

同じユニフォームを着用としている場合、同じユニフォームでも、ランニングパンツや タイツの両方があり、それらが選手により混在する場合は、容認されることが大会要項に記載がないときはエントリーの際に確認しましょう。

全国的な競技会ではない競技会の主催者(運営者)は、ユニフォームをそろえさせるなら競技注意事項だけではなく、大会要項にも記載すべきです
これができていれば、上述のようなエントリー時の確認は必要なくなります。


全国的な競技会ではない競技会で、ユニフォームをそろえさせるという競技会のほとんどが競技注意事項にしか記載していないのは、選手に不利益、負担を掛けさせるということがあり得ることでもあり、大会要項にも記載するという正しい運用ではないということです。

私が競技役員ではなく主催者の一員として運営に関わっている全国的でない競技会では、リレーで選手がユニフォームをそろえることを強制していません。そのため大会要項、競技注意事項の何れにもそれに関する記載を行っておりません。つまり強制していないルールをそのまま適用しているのです。

この今回の記事を書くにあたって、日本陸上競技連盟にも改めて確認しております。

競技会主催者(運営者)の方にも再度開催している競技会についてご確認いただきたいことです。

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

競技の前、脱衣のタイミングについての補足

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2017年9月3日に「競技の前に身体を冷やさないように・・・脱衣のタイミング」という記事を書きました。その記事に関する補足説明です。 

 

 


2017年9月3日の記事、 

この時の記事で、次のような記載がありました。

規模の大きな大会では、選手は競技場内に入る際にはまだジャージなどを着ていて、スターティングブロックのセットなどの後選手紹介直前に脱衣することが多いのですが、昨年のオリンピックや今年の世界選手権のリレー決勝のようなチーム紹介が行われたために早くにユニフォーム姿にさせられているということでしょうか・・・

ここでの規模の大きな大会とは国内大会国際大会を区別していないものでしたが、日本陸上競技連盟の担当者の話では、国際陸上競技連盟(IAAF)が主催する国際大会では、脱衣をさせてからスターティングブロックのセットや試走などを行わせることになったそうです。

 

選手自身は常にその場の状況を考え、競技に臨むという記事で述べたいこと自体にはかわりはありません。

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

これからの時期に注意、競技中の衣類の重ね着~メーカーのロゴの数~

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5月にも記事にしましたが、そろそろ競技に出場する衣類(ユニフォーム)の下にTシャツやタイツ(スパッツ)などを重ね着する選手を多数見るようになってきました。

やはり守られていない、あるいは守られていないというより知られていないと言った方が正解かもしれないルールがあります。 

 

 

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昨日も競技役員を行ってきましたが、やや肌寒い時間帯もあったため、競技に出場する衣類(ユニフォーム)の下にTシャツやタイツ(スパッツ)などを重ね着する選手が多数いました。

 

衣類(ユニフォーム)に付いていても良いメーカーのロゴの数にも定めがあります。

上半身の衣類に1か所

下半身の衣類(シューズやソックスを除く)に1か所

上下一体型の衣類は1か所または2か所(2か所の場合は近すぎてはならない)

詳しくは以前の記事で確認してください。 

 

例えばユニフォームのショーツの下にタイツを重ね着していた場合、タイツのロゴが見えていると、ショーツとタイツの2か所にロゴがあることとなり、規則に反しているとされます。

これが実に多いです。

ロゴだけをテープで隠すなどしていればまだ良いのですが、やはりルールを知らないようでそのままです。

最近のタイツ(スパッツ)ではかなり大きなロゴが入っているものもあり、とてもテープで隠せる大きさでないものもあります

せっかく寒さ対策をしてきたのに脱ぐよう指示されることもあります

ときどき競技役員のテープを貼ったり場合によっては脱衣を指示を素直に聞き入れない選手がいます。

中には招集(点呼)のときには着衣しないで、招集後に着てくる選手もいます。
しかし、競技直前の最終点呼や競技の姿になったときにわかります。

競技役員も好き好んで注意や指示しているのではありません。ルールに反しているから行うのです。

寒さ対策をするなら無地のタイツ(スパッツ)などなら問題ないのです。

 

競技会における広告および展示物に関する規程」というルール、知らない選手が多いルールです。

 

今回の記事、5月に書いた記事と重なるものですが、やはり多数が守れていないために改めて記事にしました。

競技会に出場する以上はルールを知って臨みましょう。

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170517002941p:plain  

競技の前に身体を冷やさないように・・・脱衣のタイミング

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競技前にウォーミングアップを行い、身体と心の準備を行いますが、競技前に身体を冷やしてしまったりしてパフォーマンスが発揮できないということがないように。 

 

 

 


今回の記事のテーマ、ある程度意識の高い選手にしてみれば当たり前のことです。しかしできていない選手も多数います。そうしたくてもできない選手もいます。

8月に開催された世界陸上ロンドン大会の男子4×100mリレー決勝でボルト選手が走っている最中に脚を痛めて途中棄権となったことは記憶に新しいことですが、それは競技前の選手控え場所が寒く、そこでユニフォーム姿で長く待たされて身体が冷えてしまったことが原因でもあるとも言われています。

4×100mリレー日本代表選手の帰国後のインタビューでも控え場所が寒く、身体を冷やさないように体を動かしていたと言っています。
またその時海外の選手は身体が冷えてしまってから体を動かす傾向にあったとも。

選手は着衣していたかったのにそうできなかった状況だと想像します。

規模の大きな大会では、選手は競技場内に入る際にはまだジャージなどを着ていて、スターティングブロックのセットなどの後選手紹介直前に脱衣することが多いのですが、昨年のオリンピックや今年の世界選手権のリレー決勝のようなチーム紹介が行われたために早くにユニフォーム姿にさせられているということでしょうか・・・日本代表チームがリオデジャネイロオリンピックでは「侍(さむらい)」ポーズ、世界陸上では「お辞儀(おじぎ)」を行ったチーム紹介です。

 

2017年9月4日補足
国際陸上競技連盟(IAAF)主催の国際大会では基本的に脱衣をさせてからスターティングブロックのセットや試走などを行わせるようになったそうです。日本陸上競技連盟の担当者からの話です。


日本では春先や秋の大会ではかなり気温が下がることがあります。

そのような中で自分のレースまで時間があるのに早くからユニフォーム姿になっている選手を見かけます。

小中学生だけでなく高校生にも。

ウォーミングアップの効果を失うことにもなります。



しかしたいへん残念ですが、せっかく選手がきちんとしていても、競技役員がかなり早くに選手をユニフォーム姿にさせ、並ばせ時には座らせている光景を見ることがあります。

これはルールで定められたことではありません。

ルールに記載されていないことを補完するためにある、競技役員向けの運用マニュアル(ハンドブック)には、

 

5分前
400mまでの種目(4×400mリレーを含む)では スターティングブロックをセット、試走させる。
3分前
1500m~10000mの競走(競歩)では脱衣を指示。
2分前
1500m~10000mの競走(競歩)ではスタートラインに並ばせる。
レーンを使用する競走(800m以下、4×400mリレーを含む)の場合、脱衣を指示し、ただちに集合線に並ばせる。
1分30秒前
競技者の集合を再確認後,スタート準備完了をアナウンサーに連絡。
連絡を受けたアナウンサーは競技と選手の紹介を行う(中長距離種目や競歩で選手数が多い時はスタート後に選手紹介を行う場合もある)。
アナウンス終了後
スターターはスタート合図を行う。 

 

と記載されています(一部略または追記)。

詳しくは過去の記事で説明しています。 

これはスターティングブロックをセット、試走してからトレーニングウエアなどを脱衣する、どちらかというと規模の大きな大会でのことです。

多くの大会ではトレーニングウエアなどを脱衣後にスターティングブロックをセット、試走を行います。

この運用の違いや選手紹介の有無などにより異なりますが、トレーニングウエアなどを脱衣し、競技を行う衣類(姿)になるのは自分の競技開始の5分以上前ということはありません。

 

私は指導者や引率者の立場で大会に参加するときは、選手にあまりにも早くに競技役員から脱衣を指示されたときは、ハンドブックの記載を理由に着衣を認めてもらうよう指示することがあります。その時の気温などを考慮しての指示です。

競技役員の立場なら早くに脱衣をさせないようにしています。

基本は「アスリートファースト」。選手がベストパフォーマンスを発揮できるようにすることです。

 

選手自身も常にその場の状況を考え、競技に臨みましょう。 

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

「レースの後、脚を高くしておくように」と顧問に言われた ~疲れをとる~

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脚の疲れをとるために、あお向けに寝て脚を高くすることがあります。その脚の上げ方について。 

 

 

 


小学生のときに指導していた選手が、全中(全国中学校陸上競技選手権大会)前に、私が小中学生を指導しているところに調整練習を行いに来ました。

中学生になってからは学校の部活で活動しており、直接指導する機会は減りましたが、ときどき顔を出してくれます。

その時アドバイスしたのは、最も大切なのは疲れをしっかり取りのぞくこと大会前に限らず普段の練習後大会での競技間などでも同じであると伝えました。

疲れを取り除くためにはダウンやアイシング、マッサージなどいろいろな方法があります。

私がそのとき教えたのが、あお向けに寝て脚を高くすることです。当然ダウンなども行います。それ以外の方法としていつでも簡単にできることとしてです。

選手にその話をしたとき、この前学校の顧問の先生にも大会の際に「レースの後、脚を高くしておくように」と言われたとのことでした。

しかし、どのように脚を高くするかまでは教わっていないそうでした。

この脚を高くすること、方法を誤ると逆にダメージを受けることがあります

大会のとき、選手の控え場所などで、脚を高くしている選手を見かけることがありますが、ほとんどが足首辺りの下に何かを入れて高くしている、あるいは壁などを利用して脚を高くしているのです。

次のイラストのように。


あお向けになっている人を横から見たところで右側が頭、左側が脚です。黄色の丸い部分が高くするための支えです。

 

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イラストに示してあるのでわかると思いますが、膝(ひざ)が宙に浮いているため、脚の重さが膝にかかります。

確かにふくらはぎなどは軽くなることが多いのですが、膝には負担になっているのです。

 

脚を高くするなら次のイラストの様に行います。黄色の部分が脚をのせる台です。

 

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そうです。膝(ひざ)のしたから足首または踵(かかと)までを台になるものにのせます

これで膝にかかる負担がなくなります

この時注意することは、台が高すぎてお尻が地面から浮かないようにすることです。

台の高さは身長などにより異なりますが、頭より高くなるようにしてください。

台は何でも構いません
ベンチ、スチレッチマットを数枚重ねたもの、クーラーボックス(所有者や顧問の先生などの了解を得るように)、自宅ならばダイニングチェアや、布団を数枚重ねたものなど。

 

時間もその時の疲労度により異なりますが、私の経験、選手に行わせた経験上では15分程度でも効果はあります。

この脚を高くし疲れをとる方法は、選手だけでなく立ち作業が多い人にも良いと思います。

是非試してみてください。

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

世界陸上ロンドン、男子4×100mリレー第四走者、藤光謙司選手

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盛り上がりを見せた世界陸上ロンドン大会、男子4×100mリレーで日本代表チームが見事銅メダルを手にしてからしばらくが経ちました。 


 

 

  

 

世界陸上ロンドン大会、男子4×100mリレーで日本代表チームが見事銅メダルを手にしてからしばらくが経ちました。

そのリレーの日本代表チーム、予選と決勝では大きく異なることがありました。

競技が行われた日、午前の予選で第4走者として出場したケンブリッジ飛鳥選手の動きが良くなかったために、同じ日の夜に行われた決勝では第4走者に藤光謙司選手を起用したのです。

この選手交代、競技開始の6時間程度前に藤光選手、その後のミーティングで他の選手たちに伝えられたようです。

心と体の準備がきちんとできていた藤光選手は見事な走りでフィニッシュラインを駆け抜けました。

 

この選手交代は、帰国後藤光選手が出演したほとんどのテレビ番組で話題として取り扱われました。

 

いくつかの番組をみましたが、次のようなリレー代表選手の100mの自己記録が紹介されていることがありました。

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目にされた方も多いと思います。

実は私、この表の100mの自己記録が何を意味しているのか理解できません。

確かにケンブリッジ選手が持つ自己記録10秒08は日本歴代8位というすばらしい記録です。藤光選手の10秒23という記録は際立って速いとは言えません・・・

しかし自己記録を紹介するならば、

 

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というように100mと200mの記録紹介であるべきです。
 

ご覧のとおり、藤光選手の200mの自己記録は20秒13です。飯塚翔太選手が持つ日本歴代2位の20秒11に続き日本歴代3位の記録です。

 

藤光選手は100mよりも200mが強い選手なのです。
つまり加速した後の減速率が少ない選手です。

 

 



 

リオデジャネイロオリンピックで銀メダルを獲得したリレーメンバーのオリンピック当時の自己記録は次のとおりです。

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飯塚選手もリオデジャネイロオリンピック当時の100mの自己記録は10秒22、藤光選手の自己記録とほとんどかわりません。200mの自己記録もわずか 0秒02の違いです。

 

100mの自己記録のみを紹介していたテレビ放映を視聴した人には、藤光選手の走力がかなり劣るように思えたかもしれませんが決してそうではありません。


藤光選手は、4×100mリレー日本代表チームのリーダー的な存在で、チームに欠かせない選手なのです。

 


陸上競技を行っていて、リレーのメンバーとして大会にエントリーされていても、当日走る4人に入れないからといって、大会当日のリレーの準備(ウォーミングアップなど)を行わない選手を見ます。

いつ走る機会がくるかわかりません。

オーダー用紙提出後でも選手のケガなどで変更が行える場合もあります。 


 

藤光選手が語ったリレーに関しての心と体の準備はきちんとできていた」という言葉、当たり前のことですができていない選手がいます。多くの選手が見習うべきことです。

 

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リレー、バトンパス(受け渡し)の開始

f:id:usariku:20170423225103p:plain4×100mリレーと4×400mリレーのバトンパス(受け渡し)関するルールを以前記事にしました。

 

 

その記事で 「バトンパスの始まりと終わり」について説明しました。

それに関する補足説明です。 

 

 

 


この記事で扱うリレーも4×100mリレーと4×400mリレーです。

その記事で、ルールブックに、
 

 バトンは競技中手でもち運ばなければならない。  

 
という記載があると書きました。

手以外で持ち運んではいけないのです。

バトンパスの際、投げ渡すことも当然いけません。

 

またルールには、「バトンパスの始まりと終わり」について、

バトンのパスは、受け取る競技者にバトンが触れた時点に始まり、受け取る競技者の手の中に完全に渡り、唯一のバトン保持者となった瞬間に成立する。それはあくまでもテイク・オーバー・ゾーン内でのバトンの位置のみが決定的なものであり、競技者の身体の位置ではない。競技者がこの規則に従わなかったときは、チームは失格となる。

 
という記述があり、バトンパスは、バトンを受け取る走者(次走者)バトンが触れた瞬間に始まり、バトンが渡す走者(前走者)手を離れ次走者の手中に収まり、次走者のみがバトンを持っている状態になった瞬間に終わりだと説明しました。


バトンは手で持たなければならず、バトンパスでは手から手に受け渡します。

 

しかし、ルールではバトンパスの開始は「受け取る競技者にバトンが触れた時点」と書かれているのみで「手に触れる」という記述はありません。

 

そうです。バトンを受け取る選手の身体のどこかに触れた時点です。

 

バトンパスの際、受け取る選手に最初に触れたのが、例えば肘(ひじ)や肩、背中などであってもバトンパスの開始です。

 

テイク・オーバー・ゾーンに入る手前で触れた時は、テイク・オーバー・ゾーン外でのバトンパスとして失格になります。

 

バトンパスの開始、必ずしも受け取る走者の「手に触れた時」とは限りません

 

 

 f:id:usariku:20170423225103p:plainルールをきちんと知り練習そして競技にのぞみましょう。

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

全中、最終日最終競技、4×100mリレー

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全中、平成29年度全国中学校体育大会・第44回全日本中学校陸上競技選手権大会は、最終競技4×100mリレーで幕を閉じました。

 

 

 

 

平成29年度全国中学校体育大会・第44回全日本中学校陸上競技選手権大会(以下「全中」)は、中学新記録というすばらしい記録が樹立された男子4×100mリレー決勝で3日間の幕を閉じました。

その4×100mリレーの男女それぞれの優勝校、共に加速ゾーンの使い方が工夫されていました。

選手の競技力などを適切に見極め、その上で練習を積み重ねてきた選手、指導者の努力の結果だと思います。おめでとうございます。


本ブログではこれまでリレーやその他陸上競技に関するルールについての記事を書いてきました。

全中の4×100mリレー決勝におけるルールの適用などを検証してみました。

尚、この検証はNHKが放映したテレビ映像を観て行ったものです。

競技運営やルールに関することがでてきますが、この全中の競技、既に確定しているため後からこのことが問われ結果がかわることはありません。

 

バトンパスのルールに関する記事 

バトンパスで目についたのは、特に女子に多かったのですが、前走者と次走者が近付き過ぎた状態(通常「詰まったバトンパス」と言います)でのバトンパスです。

恐らく次走者の走り出しが 遅い、前走者の後半の失速が大きかったなどが原因だと推測します。

そのため、テイクオーバーゾーンに入ってすぐのバトンパス開始になっている、言い換えればテイクオーバーゾーン手前でのバトンパス開始で失格になりそうなチームもありました。
このきわどいバトンパスは絶対に避けるべきだと思います。

 

優勝した女子チームの第3走者から第4走者からのバトンパスもそうでした。

 

全体的に日本代表男子チームなどがよく言う「攻めのバトンパス」にはなっていません。

しかし、確実性を重要視してわざわざ詰まったバトンパスを行うこともあります。前走者と次走者が離れすぎて前走者が追いつけないことを回避するためです。

また、全中のように予選、準決勝、決勝が全て異なる日であるために、選手のコンディションなど微妙な変化の調整が難しいことが原因である可能性もあります。

全中の予選と準決勝でバトンパスでの失格により姿を消したチームが男子5チーム、女子2チーム、全チームの7%強の数でした。これを多いと見るのか少ないと見るのか・・・

 


他のルールに関して気になった事項は、4×100mリレー決勝だけでも数点ありました。

多くは競技運営側のことでもありますが、ルールということでは選手も知っておくべきことです。

これらも過去記事に書いたことです。

まず広告に関する規定に関して、 


女子4×100mリレー決勝でスパッツ(タイツ)とランニングパンツの重ね着を行っている選手がいました。

スパッツとランニングパンツ両方のメーカーのロゴが見えているのはルールでNGです。

この選手はきちんとスパッツのロゴの部分にテープを貼り見えなくしていました。正しい対応です。

しかもこのテープ、黒色でスパッツと同色、貼っていることが目立ちません。

通常は招集(点呼)の際などに競技役員が確認します。違反を見つけた場合テープなどを貼ることもありますが、黒のテープを準備していることはありません。白色系や専用のテープ(主催者のロゴ入りなど)です。

もし、競技運営者側で複数色のテープを準備していたならば細かな配慮、中学生の大会では良い対応だと思います。

選手(学校)で準備したものならば、ルールを知り、招集時などに競技役員から指摘され動揺することがないよう考えたすばらしい対応です。

 

 

全中では4×100mリレー決勝の競技前に、世界陸上やオリンピックの時のようにゲートから出てくる方法で出場チームの紹介が1チーム毎にありました。

このこと自体は問題ではありません。

第2走者から第4走者の多くがレースで使用する粘着テープ(マーカー)をユニフォームなどに貼り付けています。

そのテープの長さ、かなり短い・・・

全中では、テープ(マーカー)は主催者が準備します。そのことは競技注意事項に記載されています。

テープの大きさルールでは 40cm×5cm以内、40cmより短いのは違反ではなく、選手が短いものを望んだ、あるいは自分で切ったなら問題ないのですが、どのチームも同じ位の長さでした。

先日開催された世界陸上の日本チームの紹介の際に選手がユニフォーム(おなか辺り)に貼っています。ジャマイカチームも貼っています。動画などで確認してください。

大人の選手でもユニフォームの左右いっぱいに近い長さです。

全中では、それほど長くないのが一目でわかります。

トラックに貼ったものを見るとレーンの幅が1m25または1m22なのでその4分の1程度、30cmあるかないかです。

もし運営者が準備した長さのままならば明らかに長さが足りません。ルールに則った対応をすべきです。

テープについては他にも問題がありました。

貼る場所です。

ルールでは「自分のレーン内」と記載されています。


レーン内側のラインにテープが触れてはいけないのです。 このテープが内側のラインに触れているチームが複数ありました。

貼った後に確認に来る競技役員もいませんでした。 


チーム紹介などの演出で会場を盛り上げるのも大切なことです。

しかしスポーツはルールがありそれに則って行わなければならないものです。

 

最近私が競技役員として関わった多くの大会では、テープの長さや貼る位置を確認し、誤っていれば直させている競技役員が多数います。

 

その競技役員同士の話によく出てくるのは「競技会に出場するならルールを知ってから」ということです。

 

この全中の競技、確定しているため後からこのことが問われ結果がかわることはありません。

もし、そうしていたチーム(学校)があればこれからは正してほしいと思います。

現にきちんとルールに則り行っているチーム(学校)も多数ありますので・・・ 

 

 

 

 

全中の競技結果などは次の記事(リンク集)で。 

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全中、女子100mの準決勝進出条件を検証

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全中、平成29年度全国中学校体育大会・第44回全日本中学校陸上競技選手権大会の女子100mの予選から準決勝への進出条件を検証してみました。

 

 

 

 

 

平成29年度全国中学校体育大会・第44回全日本中学校陸上競技選手権大会(以下「全中」)に関する以前の記事で、女子100mの予選から準決勝への進出条件が昨年から変更があったことを取り上げましたが、実際に予選が終了しましたのでその検証を行いました。

以前の記事です。 


進出条件の見方、例えば「各組1着+13」という場合は、各組1着の選手と2着以降の全選手の内記録上位13名準決勝に進出できるということです。


以前の記事で、女子100mが昨年と組数は同じ11組なのに準決勝進出条件が「各組2着+2から各組1着+13かわったため、組で3着や4着、場合によっては5着でも記録上位の中に入ることがある、記録(タイム)だけでの比較(現状では風力まで考慮しての次ラウンド進出条件を決めるのは困難)では、「各組2着+2」よりは精度が上がると判断して「各組1着+13」に変更したのだと推測できると書きました。


実際どうだったか・・・次の表のとおりです。

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水色背景は各組1着で準決勝に進出する選手、黄色背景は2着以降記録上位13名で準決勝に進出する選手です。

記録(タイム)で評価すると11組の3着の選手が5組1着の選手より記録が良いのに準決勝に進出できていません。

この様なケースはひとつで他にはありませんでした(風力は考慮していません)。

4組の様に5着の選手が記録上位13名に入って準決勝に進出しているケースもあります。

仮に昨年の準決勝進出条件「各組2着+2」のままだとすると次の表のようになります(7着以降は略)。

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桃色背景の選手が、2着の赤字の選手より記録が良いのに準決勝に進出できません(風力は考慮していません)。選手数では4名です。


この結果を見る限り、今年に関しては予選から準決勝への進出条件を変更したのは正しかったと見ることができます。

 


いよいよ全中も最終日です。

出場する選手の皆さんが最高のパフォーマンスで競技を終えますように・・・

 

 

全中のスタートリスト、競技結果速報などは次の記事(リンク集)から。 

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全中、第44回全日本中学校陸上競技選手権大会IN熊本・競技結果速報など関連リンク

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本日より全中、第44回全日本中学校陸上競技選手権大会IN熊本の競技が開始されます。  

 

 

 

第44回全日本中学校陸上競技選手権大会IN熊本の関連リンクをまとめました。 

スタートリスト・競技結果速報(熊本陸上競技協会サイト内)

熊本陸上競技協会

 

競技日程(大会公式サイト内)

競技日程

 

会場アクセス(大会公式サイト内)

えがお健康スタジアム(熊本県民総合運動公園陸上競技場)アクセスマップ

 

駐車場に関する情報(大会公式サイト内)

全体施設利用計画(駐車場)

駐車場に関する注意事項

パークドーム駐車場駐車・乗降場所全体図

 

大会公式サイト

kumamotozentyu2017.com

 

 

えがお健康スタジアム熊本県総合運動公園陸上競技場)

 

www.kspa.or.jp

 

 

大会要項・競技注意事項(大会公式サイト内)

 

大会要項
競技注意事項

 

 

その他・・・

 


 

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競技会で800m競走に初めて出場します。

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競技会で800m競走(以下「800m」)に初めて出場する選手、指導者の皆さんに確認しておいていただきたいことです。  

 

 

1周400mの競技場での競技会で初めて800mに出場する中学生や高校生などにスタートのことなどのルールを知らないで出場してくる選手が多数います。

 

スタートについて

 

スタートはレーンに分かれて行います(セパレートレーン)。

競技会によっては、レーンに分かれないグループスタートを行う場合もありますが、中学生以上の競技では大半がレーンに分かれてのスタートです。この記事はレーンに分かれて行うスタートについてです。

スタートラインは、競技場により異なりますが、または白/緑です。ただし1レーンは白のみです(フニッシュラインと同じライン)。2レーンより外のスタートラインは次のイメージです。

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800mのスタートラインの辺りは、他の競技、400m(400mH)、4×400mリレーのスタートライン、4×400mリレー第2走者のテイクオーバーゾーンなどラインが多数あります。ときどき異なるラインに着く選手がいますので間違えないようにしましょう。

また、競技会によっては、ひとつのレーンに二人の選手が入ることがあります。その場合は競技役員から指示がありますのでそれに従いレーンに入ります。

このことはルールに規定があります。次の記載です(一部略)。

800m競走は、それぞれのレーンで1人または2人の競技者が走ってもよい。
つぎのラウンドに進出する競技者の数が増えた場合を除いて、このスタート方式は予選にのみ適用することが望ましい。
競技者数よりレーン数が多い場合は、常に、内側のレーン(1レーンに限らず)を空けることが望ましい。
800m競走においては、決勝を含めて何らかの理由により利用できるレーン数より競技者が多い場合、審判長は複数の競技者をどのレーンに入れるか決定しなければならない。


小学生のときに陸上競技の800mを行っている選手、小学生ではほとんどの大会でスタートはレーンに分かれずに行うグループスタートで行うためその違いを理解していないことがあります。

 

自分のレーンを離れられるとき

 

レーンに分かれてスタートを行ったとき、曲走路の終わりで自分のレーンを離れることができます。一般的にはオープンになると呼ばれます。

このことに関するルールです(一部略、編集)。

ブレイクラインは、トラックの第1曲走路の終わりに引かれた第1レーン以外のすべてのレーンを横切る幅50㎜の円弧のラインである。競技者がブレイクラインを確認しやすいように、ブレイクラインやレーンラインとは違う色で、高さ150㎜以下のコーンまたは角柱(50㎜×50㎜)を各レーンとブレイクラインの交差する直前の各レーン上に置かねばならない。

国内競技会では、800m競走は、第1曲走路の終わりにマークされたブレイクラインまでレーンを走る。競技者はこのブレイクラインから自分のレーンを離れることが許される。

本規則に違反した場合、その競技者、リレーの場合はそのチームは失格となる。

自分のレーンを離れることができるのは、トラックの第1曲走路の終わりに引かれたブレイクラインと呼ばれるのラインのところです。スタートし曲走路が終わった地点です。

そこにはラインが引かれている以外にマーカーと呼ばれるものが置かれています。ルールに記載の「コーンや角柱」に該当するものです。

ブレイクラインの位置のイメージ図。
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ブレイクライン(緑のライン)と直前に置かれたマーカーの写真。

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1レーンは最も内側で自分のレーンを離れることないためブレイクラインは引かれていません

 

選手はこのマーカーの先、ブレイクラインから自分のレーンを離れることができます。ここがオープンになる地点ということです。

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このブレイクラインより手前(スタート寄り)で自分のレーンを離れ内側のラインを踏むあるいは内側のレーンに入ったときは失格です。これは走る距離が短くなった、実質的な利益があったためです。

外側のレーンに離れて他のレーンの選手を妨害していない場合は失格とはなりません。

スタートで、ひとつのレーンに二人の選手が入った場合もブレイクラインまでは自分のレーンを走ります。

 

 

スタートの方法

 

400mを超えるトラック競技では、「On your marks(オン・ユア・マークス:位置について)」の合図でスタートラインまで進みスタートの姿勢になり静止します。スタートライン踏んだり踏み越したりしてはいけません

身体が静止せず動いている場合はスタートのやり直しとなります。

全選手が静止したら号砲です。

Set (セット:用意)」の合図はありません

身体を静止させない選手がよくいます。腕(うで)がブラブラしているのもダメです。

 

最後に 

 

この記事に書いたこと慣れた選手にとっては当たり前のことかもしれません。

しかし、競技役員として中学や高校の1年生が多数参加している記録会などでスタート前の選手にスタートやブレークライン(オープンになる地点)などのことを把握しているか確認すると知らない選手がかなりいます。説明することもよくあります。

競技に出場する以上はルールを知って競技に臨んでほしいと思います。

また、指導者の方も指導している選手が競技会に出場するならば、ルールを覚えさせた上で出場させてください。

 

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</a大迫傑 決戦前のランニングノート (文春e-book)>

 

通称フライング、ルールでは・・・

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陸上競技で普通に使われている言葉が実は陸上競技のルールには存在していません。その言葉について。  

 

 

 

その言葉、ずばり「フライング」です。

陸上競技のルールに「フライング」という言葉はありません。

ルールでは「不正スタート」と記載されています。

英文のルールでは「False Startフォルススタート)」で「フライング」とは書かれていません。
確かに海外の大会で不正スタートをした選手が「False Start」と言っているのを聞いたことがあります。

大会のリザルト(競技結果)などにも不正スタートを行った時のコメントの略語は「FS」、「False Startを略したものです。

多くは「DQ FS」と書かれます。「DQ」は「失格:Disqualified」のことです。


この通称フライング、ヨットレースのスタートの方法、「フライングスタート」からきた言葉だと言われています。

ヨットは風の力で動くため、同じところに停止していられません。ですから並んで一斉にスタートということができません

そのためヨットレースのスタートは、スタート数分前から風や操船技術などを利用し徐々にスタートライン(地点)に向かって行き、スタートの合図でできる限りスタートライン(地点)に近付いてスタートできるようにします。もしスタートの合図より早くスタートライン(地点)を超えてしまったらヨットを旋回させてもう一度スタートラインに戻さなければならないなどのペナルティがあります。

当然、スタートの際にヨットによってスタートライン(地点)に近い、遠いが起こります。


陸上競技では静止状態から一斉にスタートを行いますが、号砲前にスタートの動作を開始してしまうなど一斉でない状態になることから、その号砲前にスタートの動作を開始してしまうことをフライングと呼ぶようになったと言われています。

フライングは通称です


陸上競技の競技会での会場内でのアナウンスや競技役員が使う言葉はフライングではなく「不正スタート」です。

ときどき選手にわかり易いように「フライング」と言う競技役員もいますが・・・


スタートのやり直しが起きた時、アナウンサーは「〇〇レーンが不正スタートで失格です」とか「不正スタートではありません。・・・」というように「不正スタート」という言葉を使います。関係記事です。 


ときどき応援している選手のご家族などから「不正」だと何か悪いことをしたように聞こえるということを聞きます。

そう言われると確かにそのように思えます・・・

競技会でアナウンサーや他の競技役員が言う「不正スタート」は通称フライング」のことです。

ですからこのブログでは「フライング」という言葉は極力使わず「不正スタート」とか(通称「フライング」)というような表現にするようにしています。


不正スタート通称フライング」、それ以上でもそれ以下でもありません。

覚えて競技会に臨んでください。

 

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100mH、110mHの競技前の試走

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競技会でハードル競技(100mH、110mH)の競技前にスターティングブロのセット、そして試走として数台のハードルを跳ぶことができます。

 

 

 

 

 

ハードル競技、100mH110mHの競技前にスターティングブロックをセットし、スタートとハードル数台を跳ぶ試走が行えます。

これはどの競技会でも行われていることですが、ルールでその台数や回数などを明記しているものではありません。

これについて日本陸上競技連盟は、「100mH、110mH のスタート練習時の留意点」として、

(ハードルの倒し方)
100mHや110mHの競技者がスターティングブロックを調整した後,スタート練習と共に何台かのハードルを跳び越えていく。この時の練習は3台までとし,4台目と5台目は倒しておくことを推奨する。
4台目だけ倒せばよいと考えがちだが,勢いのついた競技者はすぐには止まれないので5台目も倒しておくべきである。

と、ハードルの台数3台、倒しておくハードル2台を推奨しています。

競技会ではハードルの台数などの指示は競技役員出発係)が行います。

スターティングブロックをセットし、スタートからの試走は全選手が同時に行うことではありません。各自自分のペースで行います。

そのためスタート前の試走でヒヤッとした経験のある選手もいると思いますが、とっても危険な時なのです。

多いのは倒れたりズレたりしたハードルを直す競技役員との接触自分のレーン以外のレーンのハードルを直しに行く、あるいは直した後に他のレーンを横切る競技役員との接触です。

選手も注意をしているのですが、スタートの姿勢では頭が下がり、前方が見えない瞬間があります。

その間にハードルを横切る競技役員が出てくるとたいへん危険です。

競技役員がもっとも注意しなければならないのですが、ときどき自分のレーンで前に試走した選手が倒したあるいはズレさせたハードルを直している最中に試走を開始する選手がいます。十分注意しましょう。

このスタートと試走、世界陸上競技選手権大会世界陸上ロンドン)の女子100mHの準決勝と決勝でどの様に行っているか見てみました。

試走できるハードルの台数は2台、倒しているハードルは3台目の1台だけでした。
選手によっては2台目のハードルも倒し、試走の台数1台という選手もいました。

つまり、日本陸上競技連盟が推奨している台数とは異なっていたのです。

しかし、これは選手の大半がセットしたスターティングブロックでのスタートから1台目のハードルまでの確認程度で、何台もハードルを跳ぶ練習は行わないためだと思います。ハードル以外の短距離種目でのスタートと試走と同様に、あくまでも確認のための試走で、何台も跳ぶことを目的とはしていないのです。 

 

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スタートの前に並ぶ位置、集合線がなくなります。

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800m以下のトラック競技、4×400mリレーのスタートの前に並ぶ位置、集合線がなくなります。

 

 

 

レーンにわかれてスタートを行う 800m以下のトラック競技4×400mリレーのスタートの前に並ぶ位置集合位置マーク集合線)と言います。

競技役員(出発係)にスタート前の試走の後、「集合線に並んでください」とか「緑のマークに並んでください」とか言われることがあるところです。

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スタート前の選手が並ぶ前と並んでいる例(4×400mリレーのスタート)

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この集合線についてルールでは次のような記載があります。

2016年度ルール

出発係は各競技者をスタートラインの後方約3mのところ(集合線;階段的にスタートする競走では各スタートラインの後方)に集めて、競技者を正しいレーンまたは定められた位置に並べなければならない。

2017年度ルール

出発係は各競技者をスタートラインの後方約3mのところ(階段的にスタートする競走では各スタートラインの後方)に集めて、競技者を正しいレーンまたは定められた位置に並べなければならない。

 

2017年度ルールで、「集合線」という言葉が削除されました。

その削除に伴い、「陸上競技場公認に関する細則」というルールの中では、つぎのように記載されました。

集合位置マーク(集合線)(800m 以下の競走) 削除。
黄緑のマークは、競技場のマーキング塗り直し時に消去する


現在はまだ多くの競技場に集合線がありますが、今後競技場の改修工事やマーキング(トラック上のラインや印など)の塗り直しの時に消去されていくことになります。


今後集合線がなくなった競技場では、スタート前の選手はレーン番号標識の前のスタートラインの後方約3mの辺りに並ぶことになります。

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競技役員(出発係)からは「レーン番号標識の前に並んでください」などと言われるようになります。

熱戦が繰り広げられた世界陸上競技選手権大会世界陸上ロンドン)の競技場には集合線はありませんでした。

国内の中学生や高校生が多く出場する大会では、集合線がある場合でもスタートラインのところで待つ選手が多くいます。

ルールでも、「スタートライン後方約3mのところ(階段的にスタートする競走では各スタートラインの後方)」という記載があります。


スタータの「on your marks」の合図があるまでは、競技役員に促されなくても、集合線(消去されていなければ)、レーン番号標識の前(スタートライン後方約3mの辺り)で待つようにしましょう。

 

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200m日本記録保持者~末續慎吾選手~

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第16回世界陸上競技選手権大会(2017 世界陸上ロンドン)でサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(東京陸協)が日本人では7大会14年ぶりに決勝に進出し、第7位という成績を収めました。14年前に決勝を走ったのは・・・

 

 

 

 

世界選手権200m14年前決勝を走ったのは末續慎吾選手です。
 
200m日本記録末續慎吾選手(樹立当時の所属:ミズノ、1980年6月生、37歳)が、2003年6月の日本選手権で樹立した 20秒03(風力+0.6m/秒)です。

200mの日本歴代2位の記録は飯塚翔太選手(ミズノ)の 20秒11(風力+1.8m/秒)、これまで日本選手で20秒10を切ったのは末續慎吾選手だけなのです。
 
日本記録を樹立したその年2003年に開催された世界選手権パリ大会の200mではオリンピック・世界選手権を通じて短距離種目(ハードル種目を除く)で日本人初のメダル、第3位に輝きました。
 
この時の決勝の記録は 20秒38(風力+0.1m/秒)、準決勝での記録 20秒22(風力+ー0.0m/秒)は世界選手権日本人最高記録です。

末續選手の100mの自己最高記録は 10秒03(風力+1.8m/秒)山縣亮太選手と同じ日本歴代4位、2008年北京オリンピックの4×100mリレーで銅メダルを獲得しています(その後上位チームのドーピング違反で銀メダルに繰り上がっています)。

 

 長期休養を経て現役選手として国体にも熊本県代表選手で出場するなど活躍していましたが、今年日本選手権に9年ぶりエントリーし、予選ではサニブラウン・アブデル・ハキーム選手と同組で走りました。

 

末續選手、世界選手権であり得ない注意・・・

末續選手が3位に輝いた世界選手権パリ大会では、世紀の誤審ともいわれている出来事がありました。

末續選手がその年に記録した20秒03は世界選手権パリ大会時点でのシーズン世界ランキング3位、世界選手権では競技開始前から他国の選手にマークされる存在でもありました。

世界選手権の決勝でのこと。

 「位置について」(実際にはフランス語)の合図の後スタートの姿勢になりましたが、そのとき両膝(ひざ)が地面についていることをルール違反だとして片膝だけを地面につくよう注意されスタートのやり直しとなりました。

末續選手のスタートはロケットスタートと呼ばれ、「位置について」後のスタート姿勢では両膝がほとんど並び(左右の足の位置は前後3cm程度の差)、どちらも地面に着いているという独特な姿勢です。

1回目の注意後の2回目スタートでも末續選手は同じ姿勢をとりました。再び注意されスタートのやり直しとなりました。

両手を広げ「理解できない」というようなポーズをとりましたが、今度はスターティングブロックを少し調整、明らかに右膝が地面から離れている姿勢にかえました

スタートの号砲、明らかに末續選手本来のロケットスタートではありません。

リアクションタイム(号砲からの反応時間)も決勝に出場した選手中7番目で下から2番目という悪さでした。

この判定大きな疑問があります。

まず、注意されたのは決勝だけです。
決勝までに、一次予選、二次予選、準決勝と3回競技を行っています。その際も同じスタートの姿勢でしたが注意はありませんでした。

つまり同じ競技会中に判定基準がかわったということです。

他国のコーチから競技役員に違反ではないかと確認があったとも言われています。

 

このような状況でのレースでしたが、見事な3位、4位との差は100分の1秒と僅差の勝利です。

 

このスタート時の姿勢についてルールに明記されています。

 「On your marks(位置について)」の合図の後、競技者は自分の割当てられたレーン内のスタートラインの後方の位置につく。両手と少なくとも片膝がグラウンドに、両足はスターティング・ブロックと接触していなければならない。

 

そうです。「少なくとも片膝がグラウンドに接触していなければならない」のです。

両膝が地面に接触していてはいけないとは書かれていないのです。

しかも2回の注意を行ったのは異なる競技役員、複数の競技役員がルールを正しく理解していなかったのです。

この判定については後日競技役員が誤審を認めたそうです。

末續選手自身はレース後のインタビューでは「これまで注意されたことがないが気にせず、勝負にこだわった」「レース後半では脚がつりそうになったが日本代表として絶対勝つという気持ちで走った」という旨のことを言っています。

 

この強い気持ちが見事な結果につながったのです。
 

 
現在日本男子の4×100mリレーチームがオリンピックや世界選手権で活躍していますが、4×100mリレーが世界で通用するようになってきた日本代表チームの初代メンバーのひとりが末續選手です。今のリレーチームがあるのも末續選手達の活躍があったからこそです。

 
37歳になった現在でも、現役選手として日本選手権の参加資格を得て出場し競技している姿、若い選手は目標としてもらいたと思います。 

 

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