うさりく先生の陸上教室

 

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陸上競技に関する情報や基礎知識を発信します。陸上競技を始めた人、もっと知りたい人、また、指導者の皆さんにも参考になるブログです。

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リレーの種類、実はこんなにあるのです

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うさりく先生、リレーって小学生や中学生では4×100mリレーですが、他にも種類があるのですか?
オリンピックや世界選手権では4×400mリレーというのも見たような気がしますが・・・

教えてください!

 

いろいろな種類があります。

その種類、ルールでは、

4×100m,4×200m,100m-200m-300m-400m(メドレーリレー),4×400m,4×800m,1200m-400m-800m-1600m(ディスタンスメドレーリレー)、4×1500mが標準の距離である。
〔注意〕 メドレーリレーは走る距離の順番を入れ替えることができ
る。

と書いてあります。 

  

4×200mリレー、実は2000年ころまで中学男子の種目としてあったのです。その後4×100mリレーになりました。

メドレーリレーは、以前スウェーデンリレーとも呼ばれていました。スウェーデンリレーなら知っているという方、いるのでは?
私の出身高校では、体育祭でこの種目が行なわれていました。最終種目で、かなり盛り上がった種目です。

4×400mリレーは高校生以上では一般的に行われています。

4×800m,1200m-400m-800m-1600m(ディスタンスメドレーリレー)、4×1500mリレーはめったに見かけない種目です。

国際陸上競技連盟(IAAF)が主催する、世界リレー大会という大会が2014年からバハマで開催されるようになり、いろいろな種目が実施されています。
毎回実施される種目もかわり、なんと男女混合リレーも行われています。

今年は4月に開催されました。
今年実施された種目
4×100mリレー(男子、女子)
4×200mリレー(男子、女子)
4×400mリレー(男子、女子、混合)
4×800mリレー(男子、女子)


これらのリレー種目、全て陸上競技場内(トラック)で行われ、バトンを使います。4×1500mリレーでもタスキを使うことはありません。

 

   

 

         過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

リレーのテープ(マーカー)を貼る場所~知られていないルール~

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うさりく先生、4×100mリレーほとんど知られていない大事なルールがあるって本当ですか?

大会に参加するなら、細かいルールもきっちり守らないといけませんよね。

教えてください!

 

 

 

4×100mリレーで、前の走者が走ってきて、次の走者が走り出すタイミングを決めるためなどに、粘着テープをレーン(トラック)に貼りますよね。

 

あのテープ、自分と隣のレーンの境目にあるラインの内側のラインに少しでもかかっていたらNGなんですよ。外側のライン上はOK。

 

ルールでは、 

自らのレーン内に貼ることが許される。

 と書かれています。

  

自らのレーンとは、ラインだけを考えると踏んでも構わないところです。
つまり、逆に言うと踏んではいけないところは含まれていないことになります。
ですから、踏んではいけない(別のルールで規定されています)ところには貼ってはいけないのです。

貼っていたら自分がラインを踏んでいるのと同じことになるのです。

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実はこれ、かなり多くの選手が守れていません。

 

ある国体の審判を行ったとき、やはり違反している選手がいました。
国体のリレーは、都道府県代表チームで行われます。
つまり、各都道府県のトップクラスの選手が走ります。

そのクラスの選手ですら、知らない人もいるルールです。

この記事を見た皆さんは違反しないでくださいね。

周りにもし違反している選手がいたら教えてあげてください。

 

このテープ、ルールでは「マーカー」と呼びます。

この記事では4×100mリレーを例に書きましたが、他のリレー種目でもレーンでバトンパス(バトン受け渡し)を行うところ(各チーム、バトンパスを行うレーンが異なるレーンと決まっているところ)では全て同じルールです。

 

 

     過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

NISHIってなに?陸上競技場で見る用具のいろいろ

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うさりく先生!子どもが出る大会を観に、初めて 陸上競技場に来たお母さんたちから結構聞かれるんです。

競技場で一番目立つあれ、フィニッシュラインの所にあるタイマーに書いてあるアルファベットを見て・・

「NISHIってなぁに?」

日本で陸上競技をやる人ならだれでも、あらゆるところでNISHIさんにお世話になっているんですよね。みんなにもっと知ってもらいたいです。

 

 

NISHI株式会社ニシ・スポーツのこと。

1951年に創業した陸上競技専門メーカーです。社名は創業者の西貞一氏のお名前に由来、有限会社西スポーツ用具社という社名を経て、株式会社ニシ・スポーツになったとのことです(以下「ニシ・スポーツ」と書きます)。

 

本ブログの作成に際しても、ホームページや電子カタログ(PDF等)からの画像の使用、画像の切り取り等の加工までもご了承くださいました。

 

多くの競技場でニシ・スポーツの製品を多数見かけます。

画像に出てくる主にデジタル機器で青色のものが多数ありますが、これは最新のもので、現在の多くの競技場では黄色です。今後青色のものが増えてくるでしょう。

 

製品を幾つか紹介します。これもそうかというもの多数あるはずです。

 

 

スターティングブロック

短距離選手がスタートのときに使用する

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かわいい、スターティング・ブロックのキーホルダーも作っています。
これ結構選手に人気があります。
大きな大会のニシ・スポーツのブースで見つかることがあります。

          これは室内練習用

 

レーンナンバー標識

短距離種目や800m、リレーのスタート時に何レーンかを表す

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表彰台

入賞選手を表彰する

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バトン 

リレーで使用する

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スタート用警告カード

選手があまり見たくないもの。スタート時、注意グリーンカード)や失格(レッドカード)の時に出される

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投てき種目で使用する

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周回表示器

トラックを2周以上走るトラック種目で選手があと何周走るかを示す

フィニッシュ地点のトラック内側に置かれています。

先頭の選手が正面スタンド側のトラックの直線部分に来たら表示を1減らします。

最後の1周だと、その場所で1から0になります。デジタル式の電子式周回表示盤もあります。

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がありますが、最後の1周になった時に鳴らします。

 


風力速報表示器

200m以下の短距離種目や走幅跳三段跳風力を表示する

競技場によってはデジタル表示の電子式風力速報表示盤もあります。

+だと追い風、-だと向かい風

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200m以下の短距離種目の場合、直走路のトラック内側のフィニッシュラインから50mの辺りに、走幅跳三段跳の場合は助走路の横、踏切板から20mの辺りにあることが多いです。

デジタル表示の電子式風力速報表示盤はトラック種目の場合、フィニッシュ地点近く記録の表示(フィニッシュタイマー)と、走幅跳三段跳の場合はトラック内側などに、記録の表示と並べて置いてあることもあります。

 

 

フィニッシュタイマー

1着の選手がフィニッシュした時に記録を表示する

速報値や確定値が表示されます。

右側画像三脚にあるのは速報値を判定するビームを出す装置

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レーニング用品

ユニフォームやトレーニングウェアなども多数扱っています。

 

詳しくは http://www.nishi.com/category/trackfield.html

 

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今年で7回目を迎える「NISHI Athletic MEET」。ニシ・スポーツの陸上競技場用製品がたくさん見られる大会です。

 

 2017、今年は7月22日(土)東京の駒沢オリンピック公園陸上競技場にて開催します。

詳しくは http://www.nishi.com/events-2017/

大会要項によるとエントリー受付中です(6月1日締切)!
ただし定員があるようですので参加申し込みされる場合はお早めに。
大会当日、見に行くだけなら申し込みは不要です。
過去数回選手引率でこの大会に行ったことがありますが、普段見ることができない器具など多数見ることができ面白かったですよ。
参加賞なども良かったです。

     過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

マラソンやロードレースの距離の計測

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競技場の外で行われるマラソンやロードレースの距離って本当に正しいんですか?

測るの大変そうですよね。どうやって測っているんですか?

うさりく先生、教えてください。


   

 

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公認大会にするためには、記録(タイム)に関しては、トランスポンダーシステムによる計測、手動計時や写真判定システムで計測されることが条件ですが、距離の計測方法にも条件が定められています。
 
トランスポンダーシステムについての記事はこちら




コースの距離、当然ですが短くては絶対にダメです。
ルールブックでは次のように定められています。

コースの長さは種目の公式距離より短くてはいけない。 

(種目とは、例えば、20㎞、ハーフマラソン、30㎞、マラソン(42㎞195)など)


f:id:usariku:20170423184004p:plain だれが測るのか?

 

コース計測員という資格を持った計測員が測ります。



f:id:usariku:20170418121827p:plain どのように測るのか?

 

2通りあります。
自転車計測ワイヤー計測です。

 

日本陸陸上競技連盟の公認コースの認定を得るための距離計測を手伝ったことが何度かあります。私は計測員の資格は持っていないので、手伝いです。

2通り、どちらも経験しましたので、一つずつ説明していきます。

 

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自転車計測

 

 ルールでは、

自転車に「回転測定器」と呼ばれる専用のカウンターを取付け、基準の距離(概ね400m)をカウンター数に換算して自転車で計測する。
距離の減少を防止するため0.1 %を加えて計測する。

わかりやすく言い換えると、基準の距離を400mとした場合、回転測定器が示すカウンターが400m+400mの0.1%を示す様にして計測するということです。0.1%は誤差で距離が短くならない様に少し長めで計測するということです。
※ここから後の説明では誤差で短くなる考慮は含まず「400m」と書きます。

この作業はかなり大変です!

まず、測定が行われるのが早朝が多く、季節によっては夜明け前から行います。
それにも理由があります。

日が昇り気温が上がると道路の表面温度も上がるし、自転車のタイヤの空気圧にも影響が出るからです。


この自転車計測、使用する自転車の精度を確認してから開始します。

自転車は1台ではなく数台で行います。

まず直線道路に基準となる400mをメジャーで計ります。計測員が言うには、そのメジャーも日本にわずかしかない精度の高いものだそうです。
その400mを自転車で走行し、回転測定器の数値を測定します。これを数回往復し、都度タイヤの空気圧などを調整、回転測定器が示すカウンターが400mを示す様に精度を上げていきます。

この作業をカリブレーションと言います。

そして例えばスタートから全コースの5km毎にポイントを決める場合、
回転測定器が示すカウンターが400mを示す様になっているので400mの2.5倍、その5倍が5km、
回転測定器で5km毎を確認。仮ポイントとして印をつけます。
計測が終了したあと自転車すべてのデータを集計し、距離を算出します。この算出はPCで行います。

計測員の皆さんさすがです、誤差ほとんどありません(注:私が関係したときのことです)。

計測員のOKが出たら、印をつけた仮ポイントにマーキングします。金属びょうの埋め込みやペイントなどの作業です。

これが自転車計測です。

自転車計測で使用する自転車、私が関係したときの計測員の話だとかなり高級品で、計測員の個人持ち、回転測定器は決まったものが支給されるそうです。

ワイヤー計測

 

 ルールでは、

ワイヤーに真の50m を移設し、50m ごとに計測する。

「真の50mを移設」わかりにくいですね。これあとで書きますが、きちんとした50mのワイヤーを使ってということです。

  

50mのワイヤーを人が持ち、50m歩いて印をつけてはまた歩いて移動、これを繰り返して計測することです。
歩いている間はワイヤー引きずってはならず、持ち上げて歩き、止まったらしゃがみ・・・5km測るために、5km歩き100回スクワットしている様なものです。

これ経験したとき、さすがにきつかった!

この50mのワイヤーも自転車計測で使うのと同様の精度の高いメジャーで長さを確認します。
測定が行われるのも早朝が多く、季節によっては夜明け前から行うのも同じです。
ワイヤーも日が昇り気温が上がり道路の表面温度が上がると影響で長さが変わる可能性が高いからです。

あの東京マラソンの第1回大会のときもワイヤー計測。何日もかけて行なわれました。

 

 

 

 

自転車計測とワイヤー計測どう選ぶの?

 

 ルールでは、

IAAF/ AIMS認証コースでは、自転車計測としなければならない。

IAAFは国際陸上競技連盟、AIMSはマラソン・ロードレース協会のこと。
簡単に言うと国際大会では自転車計測が義務付けられています。

 

その他、日本陸上競技連盟などが主催する大会の計測でも自転車計測で行うべきとされています。


上記の国際大会のために計測を行うコース計測員は「IAAF公認コース計測員」という資格を持ち計測を行います。

日本陸上競技連盟などが主催する大会の計測でも「IAAF公認コース計測員」が計測すべきとされています。

このIAAF公認コース計測員、国内にいるのはまだ少数です。

 

今では多くの公認コースの測定で、自転車計測が採用されるようになりました。

自転車計測の登場で劇的に楽になったのです。 

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 毎回測るのか?

一度公認をとれば5年間は有効です。
公認をとるための計測は5年に一度行わなければなりません。

 

もしコースが工事などで変わったら、その都度計測のやり直しです。

*コースの大部分または全部の変更

当然すべて計測のやり直し。
公認コースの申請も新規として扱われ、その年から5年間公認コースとして有効になります。
途中変更がなければ、次の計測は5年後です

*一部分の小さなコース変更

影響のある一部を計測し、差をスタートやフィニッシュ地点で調整することもあります。
次の計測は前回公認を受けたときから5年後であって、小さなコース変更のための測定から5年後ではありません。
例えば、公認を受けてから4年目でコース変更したとすると、翌年にはもう5年に1度の更新のため、コース全体の計測が行われることになります。

 

私が運営に関わる公認大会のひとつは河川敷で行なわれるため、土手の工事などでコースが何度も変わりました。その都度計測のやり直しです(ほとんどが一部ですが、コースの半分以上の変更もありました)。
時には工事が終わり大会当日には前年とほぼ同じコースを使えそうなときもありますが、当然計測し直したコースで大会は開催されます。

参加者の皆さんに、コースがよく変わるとご指摘を受けることがありますが、それはきちんと計測した結果なのでご理解ください。

 

   

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 大会当日にも自転車計測?

実は大会当日にも自転車計測が行なわれる時があります。
選手のスタート数分前に計測開始します。

この下に書いた「距離不足で公認されなかった!」事件のふたつめ「2015年某マラソン大会の例」は距離不足が当日の自転車計測で見つかっています。

見てみたい人は国際大会をチェック!

国際大会では当日の自転車計測は必ず行なわれます。

選手が来る前に自転車が通過するのを見ることができるかもしれませんよ。


その大会が国際大会かどうかを知りたい場合は、「〇〇マラソン大会(大会名) 大会要項」で検索するとその大会の大会要項を見ることができます。

その中の主催者や後援者に「国際陸上競技連盟」が入っていたり、競技規則に「国際陸上競技連盟(IAAF)並びに日本陸上競技連盟競技規則及び本大会規定による。」の様に書いてあります。

 

 

 

「距離不足で公認されなかった!」事件

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 2016年某マラソン大会の例


ニュースにもなったので知っている人も多いと思います。

日本陸連公認のフルマラソンコース(42.195キロ)のスタート位置を、勘違いして誤った場所に設定、48メートル距離が短くなった大会があります。

スタート5分前に過ちに気付いたスタッフが修正するよう求めたのに、審判長ら競技役員4人が「多少のずれは問題ない」と判断し、大会運営を続行したようです。

そのまま競技は行われ、記録は日本陸上競技連盟から公認されないということがありました。

48メートルと言っても時間にすれば10秒前後も変わります。これを「多少のずれ」と判断した審判長ら競技役員4人は、計測の立会い経験がないのでしょうか?

これでは走った選手に失礼です。
計測員や計測に関わった人にも失礼です。

コース計測時にスタート位置を示すために道路に金属びょうを埋め込むのですが、別の大会の金属びょうをこの大会のびょうと間違えた、これが勘違いの原因だったということです。

 

道路に埋め込まれた金属びょう、確かに場所によっては色々な大会の物が埋め込まれていて間違えやすいことは確かです。特に河川敷を使うコースには多く埋め込まれています。

私が関係する大会のコースにもたくさんあります。しかもそのびょうがどれもとにかく似ているのです!色の違いはあるけれどお互いに確認しているわけではありません。

そこで私が関係する大会では金属びょう以外にペイントなどで他と区別がつくよう工夫しています。

これに関してもルールに触れられています。

”他のマーキングと間違えないように特有の色で” と。このマーキングの多くが金属びょうです。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 2015年某マラソン大会の例


もう一つ、コースの距離不足で未公認になったとして知られているのが関東の港町で有名な地名の名がついたマラソン大会、2年前の第1回大会です。詳しくは「〇〇マラソン 距離 不足」で検索すればでてきます。

この大会、大会前から公式サイトなどでは日本陸連の公認大会ではないと明記されていました。しかし「コースについては日本陸上競技連盟公認コース申請予定です」としていたのに・・・

ラソンを走った後に、実は公認になりませんと言われても・・・辛いですよね。その日を目指して頑張ってきたのですから。

大会運営が正しくなされること。

これは全て選手のためです。

 

「第1回大会」とかですと、このようなことが起こらないとも限りません。

個人的な考えですが、参加するマラソン大会を選ぶときは、数回以上開催されている公認大会を選ぶのが良いと思います。

公認大会でない場合は距離も正確でないこともあるので、参加するときは主催者に距離の計測方法も確認してみましょう。 

     過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

フィニッシュと記録測定のこと(マラソンなど競技場の外で行われる競技編)

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今回は、競技場の外で行われる競技、マラソンやロードレース、競歩などの記録測定について、うさりく先生に教えてもらいます。

競歩は競技場のトラックのみで行われるレースもあり、その場合トラック種目の記録測定方法が適用されます。こちらを参考にしてください。


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競技場の外で行われるレースはこれ


ラソンロードレースはルール上、道路競走といいます。

競技場の外で行われるレースはこの道路競争の他に競歩クロスカントリー競走マウンテンレーストレイルレースがあります。

 

ラソンロードレース競歩は皆さんお分かりかと思うので、残りの競技について簡単に説明しておきます。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain クロスカントリー競走

草で覆われた自然の障害物がある広い地域または森林地帯で行なわれます。

自然の障害物がない場合は自然の障害物に見えるようにして人工的な障害物を設置しても構いません。

障害物は走って通過できるもので、非常に高い障害物、深い溝、危険な上り坂や下り坂、下草が茂ったところなどは使用しません。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain マウンテンレース

レースにより、上り坂中心のコースだったり、上り坂と下り坂があってスタート地点とフィニッシュ地点の標高が同じであるコースだったりします。

相当な高低差の登りがある場合は砕石舗装された道路の使用が認められますが、主に道路のない地帯で行われます。

距離や標高差についての限度が設けられています。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain トレイルレース

野外(山、砂漠、森林、平野など)の自然環境のなかで行われます。

オフロード主体のさまざまな地形(泥道、森の中や1人しか通り抜けられない小道など)がコースになります。

砕石舗装またはコンクリート舗装した道路は含まれていてもかまいませんが、最小限にとどめ、コース全体の距離の20%を超えてはならないと決められています。

距離や標高差についての限度は設けられていません。

 

 

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トランスポンダーシステムとは

 

別の記事でトラック種目のタイムの測り方は二通りあると説明しました。
手動計時写真判定システムによる全自動計時(電気計時)の二通りです。

 

競技場の外で行われるレースのタイムは
手動計時、写真判定システムで計測されることもありますが、
多くはトランスポンダーシステムを使って計測されます。

 

トランスポンダー(Transponder)、聞きなれない言葉ですが、

TRANSmitter(発信器)とresPONDER(応答機)を組み合わせた合成語です。

 

ルールブックでは、選手が身に着けるチップタグと呼ばれる小型発信器のことをトランスポンダーと呼んでいます。

トランスポンダー(チップ、タグ)は数グラム程度の軽さで、ルールブックにも負担にならない重さであると書かれており、次のようなものがあります。

・シューズのひもに通して装着するもの
・シューズのひも等にビニールタイを使用して装着するもの
・マジックベルトタイプでシューズにも装着できるもの
・ナンバーカードと一体にして装着するもの


トランスポンダー
(チップ、タグ)の例:https://runnet.jp/runtes/chip/

 

トランスポンダーシステムによってどのように計測されるか


このシステムはスターターの信号器によって始動するか、スタート合図に同期していることが必要です。

フィニッシュラインには、トランスポンダーに自動的に反応する装置が設置されていて、選手がフィニッシュラインを通過するとタイムが計測される仕組みになっています。

すべてのレースは0.1秒単位で計測され、0.1秒表示がゼロでない場合は切り上げます。
例) 2:09:44.3 → 2:09:45

 

レースで使用するシステム(トランスポンダーや計測装置全て)が日本陸上競技連盟の認定を受けたものでなければ、記録は公認記録として扱われません。

 

 

 

グロスタイムネットタイム

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain グロスタイム

信号器のスタート合図(または同期したスタート信号)から競技者がフィニッシュラインに到達するまでの時間のこと。

陸上競技ではこのグロスタイムが公式記録となります。

もし、何かの大会で、日本陸上競技連盟の公認記録が参加資格として必要となる場合は、このグロスタイムで申告しなければなりません。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain ネットタイム

競技者がスタートラインを通過してからフィニッシュラインに到達するまでの時間をネットタイムといいます。

東京マラソンなどのスタートを思い浮かべてください。

参加選手が多く、スタートラインからかなり後ろまで並んで待っている大会がありますね。最前列に並んでいるのでなければ、スタートの合図があってからスタートラインを通過するまで時間がかかります。

先ほどお話ししたグロスタイムはスタートの合図から時間を測るので、必ずしも選手のスタートラインからのフィニッシュラインまでの記録ではありません。

これと比べて、ネットタイムは選手が実際に走った時間に近い結果となります。

ネットタイムが計測できる大会では、その記録を選手に教えてくれることもありますが、ネットタイムはあくまでも参考記録であり、公認記録にはなりません。

 

 

トランスポンダーシステムが使われる競技のフィニッシュ

 

フィニッシュと記録測定のこと(トラック種目編)で、トラック種目におけるフィニッシュのことを書きました。

陸上競技のルールが規定するフィニッシュは競技者の胴体(トルソー:頭、首、腕、脚、手、足を含まない部分)がフィニッシュラインのスタートラインに近い方の端の垂直面に到達した瞬間。

つまりトラック種目のフィニッシュはトルソーで判定します。

一方、トランスポンダーシステムで計測するときは、選手が身に着けている発信器、トランスポンダー(チップ、タグ)がフィニッシュラインを通過したときがフィニッシュになります。

前述のようにトランスポンダーはシューズやナンバーカード(ゼッケン)に装着されています。

ナンバーカードと一体にして装着されているときは、陸上競技のルールが規定する「トルソーで判定」にかなり近いフィニッシュになりますね。

しかし、シューズにつけている場合はトルソーからは離れています。
それでもOKなんです。公認記録になります。

ルールブックにもこのシステムによって決定された時間と着順を公認とみなしてよいと書かれています。

ただし、必要に応じて第164条2と第165条2を適用してもよいとも書かれています。この第164条2と第165条2がトルソーでの判定のことです。

 

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1位が2位、2位が1位?!


トランスポンダー(チップ、タグ)をシューズに着けて使う大会では、おかしなことが起きることがあります。

以下、実際にあった話です。

二人の選手が1位を競って走ってきたとき、フィニッシュ(着順)をトルソーで判定したところ、1位の選手と2位の選手で記録が逆転しまったことがあるのです。

・・・A選手がフィニッシュで胸をぐっと出し、
見た目ではA選手が1位
ところが、タイムではトルソーが後ろにあったB選手の方が速く、
記録ではB選手が1位

B選手が胸ではなく足を前に出してフィニッシュしたため、機械は、B選手のシューズに装着されたトランスポンダーに先に反応し、B選手が1位と判定した・・・


珍しいケースです。

決勝審判員という競技役員がトルソーでの順位をきちんと見ていたため、トルソーが先に入ったA選手が1位とされ、トルソーが後に入ったB選手が2位と判定しました。

記録は、2位の記録を1位の記録に揃え、1位2位同記録としました。

1秒で移動するのは数メートルです。それも含めて競技役員が検討した結果です。

A選手もB選手も、陸上競技のルール、トルソーでフィニッシュのことをよく知っていて、足ではなくトルソーでの判定を自ら求めてきました。

競技力だけでなくルールもきちんと理解した素晴らしい競技者でした。

 

 

この様なことも起き得るため、日本陸上競技連盟公認大会では、決勝審判員が置かれていることは当たり前で、ビデオ撮影を行っていることもあります。

規模が大きな大会では写真判定(電気計時)を導入していることもあります。判定されるのは全員ではなく上位数十名程度(大会による)ですけど。

 

トランスポンダーシステムは優れもの


トランスポンダーシステム採用で、大会によっては、途中の定められたポイント(例えば5km毎)の通過記録の計測も可能になり、携帯電話やスマートフォンで、レースの結果がリアルタイムに確認できることもあります。

また、フィニッシュ地点での即時記録証発行も可能になりました。

 

ただしネットタイムの計測や途中ポイントの通過記録は、スタートしたという個人ごとの情報が必要であり、大会によってはそれを測らないものもあるので参加に際しては注意が必要です。

大会要項や大会概要に書かれていない時は申し込み前に開催主催者に確認しましょう。

また、最近はマラソン大会がたいへん多くなりましたが、この様なシステムを使っていない場合や使っていても公認大会でない大会も多数あります。

しっかり調べてから申し込みましょう。 

 

     過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain  

フィールド種目の記録測定

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こちらの記事でトラック種目の記録測定のことを教えてもらいました。


今回はフィールド種目の記録測定について教えてもらいます。
うさりく先生よろしくお願いします。

 

トラック種目はタイムを測定しますが、
フィールド種目は長さや高さを測定します。

* 長さを競う種目

走幅跳三段跳砲丸投円盤投やり投ハンマー投ジャベリックスロージャベリックボール投

 

* 高さを競う種目

走高跳棒高跳

 

注意:種目によっては小学生、中学生でのみ実施、あるいは小学生、中学生では実施されない種目もあり

 

 

計測はメジャーを使う方法と機械(器具)を使う方法があります。

計測方法に関わらず、記録はすべて「cm」単位です。

計測方法によっては、cm以下の数字が計測できる場合もありますが、cm以下は全て切り捨てます。

タイムを計測する競技より単純でわかりやすいですね。

 

でも時には計測方法が怪しいこともあります。

メジャーを使って計測するときは、メジャーを真上から見て目盛を読まなければなりません。これはとても重要なことです。
私自身、跳躍審判員としてメジャーで計測するときは当然気を付けています。
少し斜めから見ただけでも結果が変わるのは誰でも想像できますよね。

ところがある大会の走幅跳で、計測員がメジャーを真上から見ていないことに気づきました。

それでは結果に影響する可能性があります。
わずか1cmでも大きな違いです!

その日は、私は走幅跳には関わらない他の競技役員でしたが、それ真上じゃないよと
即、競技役員の責任者に伝えました。

その後は正しく計測されました。

幸い気付いたのが競技が始まってすぐの段階でしたし、対象の選手のその後の試技内容が良く、誤った計測方法が順位や記録には影響することはありませんでした。

選手の皆さん、引率の方、または観戦者であっても、もし「おかしい」と思ったときは競技役員にすぐ確認すべきです。全ては選手のためです。

 

 


機械(器具)で計測する場合があると書きましたが、種目によって様々な計測機器があります。種類が多く説明が複雑になるなるので、今回は割愛します。

 

     過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

ナンバーカード(ビブス)ってなに? ※2020年度規則改正で「アスリートビブス」にかわりました。

     f:id:usariku:20170504075658p:plain 選手が胸や背中に着ける番号、あれはゼッケンとは言わないんですか?
2018年3月4日改定:赤字、削除(打消線)
2020年度規則修改正箇所:青字、削除(打消線)

 

 

 

選手が胸や背中につける番号、布や破けにくく加工された紙でできていますが、
ゼッケンと呼んでいる人が多いですよね。

あれは、陸上競技ではアスリートビブスナンバーカード(ビブス)と言います

昔はゼッケンと言いましたが・・・

ルールブックでは「ナンバーカード(ビブス)」と書かれているのでビブスでも間違いないのですが、実際にはナンバーカードと呼ぶことがほとんどです。

日本のルールブックではアスリートビブスナンバーカード(ビブス)」と書かれていますが、原文、英語のルールブックにもAthlete Bibs(アスリート・ビブス)」と書かれており、ナンバーカードという言葉は出てきません。

海外では「ナンバーカード」という言葉は通じません。

また最近では個人や団体、国などの識別を行うために使われますこともあります。
数字ではなく個人名であったり、リレーのときに団体名や国名であることも・・・


ビブスは他に報道関係者、医務関係者などが身に着けるメッシュでできたベストの様なものも指します。ビブスという呼び方はそちらの方で使われ、選手が着けるナンバーカードと区別しています。サッカーの国際大会などで控えの選手が身に着けているものと同様なものです。


日本陸上競技連盟が公認する大会(公認大会)の競技注意事項などでもゼッケンではなくナンバーカードとなっているはずです。

しかしゼッケンと呼ぶ競技役員はまだいます。

競技場で開催される大会で競技前に招集(点呼・コール)があり、競技役員から「ナンバーカードを確認します」と言われることが多いと思います

私もその担当の競技役員を行うことがあるのですが、
ナンバーカードを見せない選手が時々います。
ナンバーカード見える様にしてください」と改めて言いますが、
もしかしたら「ナンバーカード」って何のことかわかっていないのかもしれないと思うことがあります。

忙しい時にはなかなかできないのですが、明らかにピンと来ていない選手には陸上競技ではゼッケンではなくナンバーカードと言います」と教えます。
これも競技役員の務めです。

英語の原文では「Athlete Bibs(アスリート・ビブス)」ですが、日本のルールブックでは「ナンバーカード(ビブス)」と書かれています。


ビブスナンバーカードという言葉は競技注意事項や選手の呼び出しで使われることがあるので覚えておいてください。

もしかすると「ビブス」という言葉も使われるかもしれません。(2020年度から使われるようになりました。)


でも海外では、あるいは海外の選手には「ナンバーカード」は通じませんのでご注意を・・・


でもこの呼び方、もしかしたらゼッケンにもどるかもしれません!

国が決めたマイナンバー(個人番号)制度、まだまだ浸透していないかもしれませんが、この個人番号カードを「マイナンバーカード」と呼ぶことがあります。

それと混同するのでゼッケンにしようという話が出てきているようです。

これはまだ決定ではありません。

個人的には選手が競技注意事項をみたり招集(点呼・コール)を受ける場面で、ナンバーカードマイナンバーカードを間違えるとは思えないのですが・・・

もし大会の招集で「ナンバーカード確認しまーす」と言われて、マイナンバーカードを出す選手がいたら・・・!

マイナンバーカードは大切なカードです。競技中は身に着けることができないですし、誰かに預けるのも良くないですよね。

まさかそんなことは起こらないと思いますが、競技役員をしていてその様な場面に遭遇したときは・・・記事にするかも??

 

    過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain     

 

フィニッシュと記録測定のこと(トラック種目編)

f:id:usariku:20170504075658p:plain陸上競技は自分自身との戦い、つまり記録との戦いです。
競技の結果、気になりますよね。
トラック種目の記録のことをタイム(時間)とよく言いますが、そのタイム(時間)はどこでどうやって計っているのか知っていますか?
今日のうさりく先生のお話はタイムの測り方についてです。
※2019.6.28 追記:同タイム・着差あり(順位差あり)

 

 

フィニッシュの定義

 

計測の方法をお話しする前に、

まずフィニッシュとは何かをお話しします。

陸上競技ではゴールのことをフィニッシュといいます。

フィニッシュとは

競技者の胴体(トルソー:頭、首、腕、脚、手、足を含まない部分)がフィニッシュラインのスタートラインに近い方の端の垂直面に到達した瞬間

 です。

ルールブックにこのように記載されています。

トルソーという言葉も陸上競技の中では重要なので覚えておいてくださいね。

胴体の説明はわかるとして、

フィニッシュラインのスタートラインに近い方の端の垂直面に到達した瞬間」はちょっとわかりにくいですね。

フィニッシュラインはトラックに引かれている線ですが、幅が5cmあります。

スタートラインに近い方の端とは、すなわち5cm幅の線のスタートラインに近い縁のことです。

そこに壁があると考えましょう。

その壁に走ってきた選手のトルソーが到達した瞬間がフィニッシュです。

 

次の写真、200mのフィニッシュです。見た目はこうですが、

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フィニッシュラインのスタートラインに近い方の端の垂直面に壁がある、次の合成写真の青い部分、これがフィニッシュの壁です。

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次は上の写真のフィニッシュラインと壁の境目を拡大したものです。
数字のある方がスタートライン側、フィニッシュラインのスタートラインに近い方の端の垂直面に壁があります。

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但しマラソンなどの道路競技、自然環境などを利用したクロスカントリー競走、マウンテンレース、トレイルレースではトルソーで計測しない場合もあります。

詳しくは別の記事で説明します。


 

トラック種目のタイムの測り方は2通りあります。


手動計時写真判定システムによる全自動計時(電気計時)です。

一つずつ説明していきます。 

 

 

手動計時

 

ストップウォッチを使い人が手動で計測することです。

100分の1秒が計測できるデジタル表示の時計ですが、何でも良いというものでもありません。

日本陸上競技連盟が認めた時計でなければなりません。


この時計で計測する審判員を計時員と言います。


f:id:usariku:20170423184004p:plain 計測の方法

スターターが持つスタート信号器(ピストル)の閃光または煙を見て、人がストップウォッチのスタートボタンを押します。

f:id:usariku:20170503003217j:plain

時計を止めるのは、選手がフィニッシュした瞬間、これも目で見て止めます。

 ひとりの選手を3人の計時員が計測、3個の時計で計測しています。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 記録の判定

それでは、3人の計時員が計測した時間を
どのように記録(タイム)として判定しているのでしょうか。

 

トラックレースでは、ちょうど0.1秒で終わる(100分の1秒が0のこと)以外は次の0.1秒として変換され記録される。すなわち、10秒11は10秒2と記録される。 

 

これは、分かりにくいけれどルールブックの記述です。

簡単に言えば100分の1秒を切り上げて10分の1秒にするということです。

 

このように変換した後、次のようにタイムを決定します。

*3個の時計が一致したらその時間を公式記録とする。

*3個の時計のうち2個が一致し、1個が異なっている場合は、2個の時計が示す時間を公式記録とする。

*3個の時計がそれぞれ異なった時間を示すときは、中間の時間をもって公式記録とする。

*なんらかの理由で、2個の時計でしか計時できず異なった時間となった場合は、遅い方の時間を公式記録とする。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 順位の判定

3人の計時員の測定したタイムに基づいて記録が判定されます。

記録の測定とは別に、決勝審判員という競技役員が順位を目で見て判断しています。

つまり、記録と順位は異なる人が判定しているのです。

 

 

 

写真判定システムによる全自動計時(電気計時)

 

単に「写真判定」と呼ばれることが多いです。

 

人がストップウォッチを押しているのではなく、まさに「写真」で判定しています。

カメラを通してフィニッシュを記録し、合成画像を生成して判定します。

カメラは、フィニッシュラインの延長線上に設置されています。

見たことがない人は競技場に行ったときに探してみてくださいね。すぐわかることもありますが、かなり高いところにあったり、建物の中にあったりして見えにくいときもありますが、それらしい建物などはわかるはずです。

因みに、フィニッシュラインの両端の外側に小さなカメラの様なものが置かれていることが良くありますが、あれは速報値を出すためのもので、上に書いたカメラとは違います。

 

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 写真判定システムのしくみ

スターターの合図(スターターが持つスタート信号器)と連動し自動的に作動します。

フィニッシュをカメラで撮影し、横軸に時間、縦軸に各レーンの走者がフィニッシュラインに到達した瞬間の画像を作り出します。

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写真判定のモニターに映る写真を印刷したもの

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写真の下、横軸にある数字と目盛りがフィニッシュラインに到達した時間で、これがフィニッシュラインに到達時の選手の合成写真です。

ピンとこないかもしれませんが、写っている選手は全て同じフィニッシュラインの延長線上に設置されたカメラで撮影されており、同じところに到達した時の写真。

先頭の選手がフィニッシュする少し前から最後の選手がフィニッシュするまで撮影し続け、それを時間差にし1枚の画像にしています。

写真判定室という所に判定員がいて、モニターを見ています。

モニターには上の写真の様な形で映し出されます。

下の写真がモニターの表示例です。 

 

写真をよく見てください。

1着の選手のところに縦線が入っていますね。

       f:id:usariku:20170505230646j:plain


この線は画像が出来上がった直後にはありません。

 

まさにこの縦線がトルソー(頭、首、腕、脚、手、足を含まない胴体)がフィニッシュラインに到達した瞬間を示しているのですが、これは自動ででき上がるものではありません。

 

写真判定員という競技役員がモニターを目で見て、パソコンのマウスや左右の矢印キーでトルソーの位置に線を引くのです。

もう少し詳しく書くと、モニター上でレーンを選び、モニターに表示される線をそのレーンの選手のトルソーに合わせ確定すると線が固定されます。

その線の位置で記録が決まるのです。

判断しにくい時は、画像の拡大もできます。

レーン毎に記録を決めていくわけですが、その際、レーンの間違えがないように、選手が腰につけている番号(「腰ナンバーカード」「腰番号」「腰番」などと呼ばれる)を確認することがあります。

腰ナンバーカードは布のものを安全ピンでつける場合やシールになっていて貼る場合があります。

オリンピックなどでも同じですが、よく選手が太ももの外側に貼っているものがそれです。

多くの大会では、カメラはトラックの外側に設置されており、それに写るように腰ナンバーカードは右腰につけますが、規模の大きい大会になりますと、カメラがトラックの内側にもあることがあり、その時は腰ナンバーカードを腰の左側にもつけます。

カメラが両側にあることの理由のひとつとして、選手のフィニッシュの姿によってはトルソーが判定しにくいことがあります。より精度を高めるため両側から写すのです。

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トラックの内側にあるカメラの例、白いポールについているのがカメラ、下の三脚についている機器は速報値を出すためのもの

腰ナンバーカードに戻ります。腰ナンバーカードは腰の真横より少し後ろにつけてくださいね。その方がフィニッシュの時写真にきれいに写ります。

腰ナンバーカードをつけることがあったら試してみてください。腰ナンバーカードをつけた状態でそちら側の足を上げてみます。走っている姿の様に。特に前寄りだと腰ナンバーカードがしわになり見にくくなります。

競技の前の招集(点呼・コール)の際、腰ナンバーカードがきちんとついているか確認されます。
競技役員からつける位置を直すように言われることもあります。

また、右側につけなければならない時に、左側につけている選手がたまにいます。
気を付けてくださいね。

関係することなのでここで書きますが、スータトの前にユニフォームの上(シャツ)を
下(ランニングパンツ)に入れる様に注意されることがありますが、あれは腰ナンバーカードが隠れている、もしくは隠れそうなためです。ルールではシャツを入れなければならないとは書いてありません。

但し

不快に思われないようにデザインされ仕立てられた服装を着用しなければならない。

と書かれていますので腰ナンバーカードが見えていてもユニフォームのデザインがシャツを入れるタイプなら入れましょう。

中に入れないデザインのユニフォームならシャツを中に入れなくても構いませんが、腰ナンバーカードは見える様に。

 

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 「全自動計時」は全自動ではない

全自動計時の呼び方は一部正しくないと私は思っています。

写真判定や電気計時と呼ばれ、自動で記録が計測されている様に思われがちですが、最も重要なフィニッシュラインへの到達を判定しているのは人なのですから。

写真判定員の判定がきちんとなされて初めて記録が確定するのです。

現在のところ、機械にはどこがトルソーかまで判定できません。

私もこの写真判定員を経験したことがありますが、かなり気を遣います。

何しろ選手の大事な記録に関わっているのですから。

f:id:usariku:20170423184004p:plain 速報値と確定結果


大会でよくフィニッシュ後の結果を判定中の結果とアナウンスされることがありますね。

それはそのレースの全ての選手に対して人による判定が終わっていない状態のときです。

フィニッシュ付近に置かれているタイマーが、1着の選手の記録を表示します。

この記録はフィニッシュ直後は速報値であり、まだ確定していません。

速報値とは選手の身体の一部(大体胸辺り)がフィニッシュラインを通過した時を機械が判定し計測したタイムでしかなく、きちんとトルソーで判定されたものではありません。トルソーより先に腕や手に持つバトンが通過した時にも止まります。

 

機械が判定?

選手がフィニッシュラインさえぎったときを機械が読みっとっているだけです。その方法のひとつにフィニッシュラインの両端の外側にある小さなカメラの様なもの、あれがビーム(光電管)を出していて、それを選手がさえぎったときを機械が読みとるというものがあります。上の写真、トラックの内側にあるカメラの例に写っている三脚についている機器がビーム(光電管)を出しているもの。厳密にはトラックの両端にあるのですがひとつはビーム(光電管)の発信器、もうひとつは受信器です。

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全ての選手の判定が終わり、写真判定員が確認し、初めて確定結果となります。

確定結果を待つ時間はいつもドキドキですね!

そのうちに全自動で機械がきちんとトルソーを判断できるような日が来るのでしょうか・・・?

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 1000分の1秒の戦い


写真判定では、記録の発表は100分の1秒までですが、実際には1000分の1秒まで計測しています。

1000分の1秒を切り上げて100分の1秒にしています

 

電気計時(写真判定)の場合は1000分の1秒まで計測し、順位もその記録で確定します。

発表される記録が同じでも着差がある(順位が異なる)場合は1000分の1秒単位でみると差があるということです。

 
時々「着差なしの同着」(「同着」のこと)ということを聞きますね。これは1000分の1秒まで同じ記録の選手同士のことです。

以下、2019.6.28追記
また、「同タイム、着差あり」というときは、1000分の1秒を切り上げた100分の1秒では同タイム、でも1000分の1秒単位で見ると差があるときです。
例えば、
1000分の1秒単位では、
選手A:9秒965 で記録(100分の1秒単位)は 9秒97
選手B:9秒968 で記録(100分の1秒単位)は 9秒97
です。
記録は同タイム、順位は1000分の1秒単位でみると0秒003の差があるため選手Aの方が上位となります。
追記ここまで。

順位を決める時には、1000分の1秒単位で決めることがあるのです。

 

この1000分の1秒、どの位の距離(長さ)?

フィニッシュ時点の速度は人によって異なるので正確には言えませんが、例えば、100mを11秒で走る人が前半の50mを6秒、後半の50mを5秒で走り(前半は止まった状態から走り出すので時間が掛かります)、後半の50mの間をずっと同じスピードで走ったとすると、50mを5秒は10mが1秒、0.001秒(1000分の1秒)は1cmです。この場合の同着はわずか1cmに満たない差ということです。

ルールでは、1000分の1秒の計測で記録や順位を決めますが、精度の高いカメラでは2000分の1秒まで測定可能だそうです(記述時現在)。

      過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

 

事故防止に気を付ける~大会での練習で~

     f:id:usariku:20170504075658p:plain今日は、大会に行ったら注意すること、安全面についてです。選手だけでなく、指導者の方、引率者の方、それから競技役員の皆さんにも読んでいただきたいです。
とにかく競技場で事故を起こさないということが最も重要なことです。
うさりく先生に、競技役員、指導者、選手の経験から思ったことを聞いてみました。

 

 

事故はウォーミングアップ中に起こりやすい

 

事故で多いのは接触事故です。
大変残念なことですが、過去には取り返しのつかない事故も発生しています。

選手同士の接触、引率者や付き添いとの接触、時には競技役員と接触することもあります。

子どもから大人までが参加できる大会では子どもと大人が同時に練習することもあり大変危険な場面がみられます。

  

大会での練習はいつどこで?

 

練習は、サブトラックと呼ばれる補助競技場で行われます。

中には補助競技場が使えない、あるいは無い競技場もあり、実際に競技が行われている競技場内(主に第1曲走路の途中からバックストレート)で行なわなければならないこともあります。

※東京都には、補助競技場がある競技場はひとつもない! 

 

練習に関しては、競技注意事項に「練習について」などの項目でその大会でのルールが書かれていることがあります。

規模の大きな大会では、練習に関する事項だけで数枚の冊子になっていることも。

いつ、どこで、何の練習ができるのかが書いてあります。

例えば補助練習場の1~2レーンは周回練習に、

5~6レーンはスタート練習に、

〇〇時~△△時まで7~8レーンはハードル練習に使うなど。

もっと細かに規定している場合もあれば、大まかな記述の場合もあります。

 

事前に競技注意事項を読んでいない選手、指導者、引率者がかなり多いと感じています。
練習に関することだけでなく、その大会のみに適用される大事な規則なども書かれています。

最近では、大会主催者のホームページなどで、大会の数日前に競技注意事項が掲載されることもあります。

皆さん、タイムテーブル(競技日程)はいつもしっかりチェックしますよね。

競技注意事項はタイムテーブルと同様、もしかしたらそれ以上に大切です。

何しろ規則が書かれているのですから。

 

事前に必ず競技注意事項などを確認しましょう
わからないことは競技役員に確認し、絶対に勝手な判断をしてはいけません

 

 

練習のときのマナー

当たり前のことなのに、守れていないことをよく見かけます。

残念ですが指導者自身が守れていないこともあります。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 選手の皆さんへ

・レーンを横切るときは安全を確認してから。

走り終えた直後にこの注意を怠りがちです。

・レーンを逆走(歩くことも)しない。

・レーンを占有しない。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 指導者・引率者の皆さんへ

・小学生以下の子どもや初心者が練習する場合は必ず見守る。

選手が走り出す所だけでなく、走り終わる所にも人を配置し安全に配慮することが大切です。

・選手を見るためにレーンに入った場合、選手が走り終わってレーンの外に出たら自分も速やかに外に出る。
指導者、引率者がいつまでもレーンに留まり、他の選手が練習できないということがあります。

・練習を見るときは選手が練習しているレーンに立つ。別のレーンを占有しない。

指導者、引率者が立っているレーンでは誰も練習できません。

 

練習のときのマナーが守られていない時、競技役員として注意することがあります。

だいたいの指導者・引率者の方は理解し協力してくれますが、中には理解を得られず、逆に怒り出す指導者や引率者もいます。

また、その場では注意を聞いてくれた指導者の方が別の大会で同じマナー違反をしているのを見たこともあります。残念なことです。

競技役員はあくまでも、選手の安全のため、大会を円滑に進行させるために注意をしています。

選手を指導する立場であることを自覚していただき、理解、協力してほしいものです。

お互いに譲り合い、気を配って気持ちよく。

そして事故の無い大会にしなければなりません。

 

曲走路と直線の交わる地点が危ない!

 

事故の起きるのが多い場所は第1曲走路の終わり(第2コーナー)です。

曲走路を走ってくる選手に気付かずに直線を走り出す選手がいるからです。

その場所で4×100mリレーのバトン練習が行われることも多く、たいへん危険です。

大会によってはその地点で接触が起きないよう、コーンやバーを置いていることもあります。また、競技役員を配置していることもあります。

しかしそれを無視して(たぶん止まり切れずに)走ってくる選手もいるので、最終的には自分で自分の身を守るしかありません。

注意を怠らないようにしましょう。

 

 

 「〇レーン来まーす!」の声かけにも工夫を!

 

これは、選手、指導者・引率者だけでなく、

競技役員にも伝えたいです。

 

インターハイに繋がる地区大会に引率指導者として行った時のエピソードを紹介します。

ここで上位であればインターハイに出場できるという大切な大会です。

練習は補助競技場で行え、安全面もかなり配慮されていました。

補助競技場は6レーンのトラックです。

曲走路の走路外(選手が移動などで歩く部分)の一部が狭く、歩く人と曲走路を走る選手がかなり接近する場所がありました。

そこ(曲走路)を選手が走る時には競技役員がハンドマイクで

「6レーン来まーす」と声かけも行っていました。

 

それなのに外を歩く人が走路から離れず、6レーンを走る選手と接触しそうな場面が何回か起きていました。

競技役員は歩く人が聞いていないと思っていたようですが、そうではなくて他に理由があったのです。

通常大会が行われる競技場は8レーンまたは9レーンのトラックです。

選手はその感覚を体で覚えています。

「6レーン来まーす」

の声を聞いて、それが一番外のレーンだと反射的に判断できなかったのです。

6レーンだと、数レーン内側のレーンだから危険はないという感覚なのです。

この場合、

「一番外のレーン来まーす」「一番外来まーす」

が適切な声かけでしょう。誰もが危険を察知し、大きく離れて歩くはずです。

私はその日は指導者の立場でしたが、競技役員の方に説明しました。その後

「一番外のレーン来まーす」「一番外来まーす」

というような声かけに変わり、安全面は向上しました。

 

このような、選手のもつ感覚気持ちといった選手心理は、

選手の経験がないとなかなか理解することは難しいかもしれません。

 

選手や指導者の皆さん、リレーの練習や曲走路を走る練習では、走り出す選手が「〇レーン行きまーす」、バトンをもらう選手や指導者、近くにいる仲間が「〇レーン来まーす」と声かけすることがありますよね。

一番外のレーンで行うとき、「一番外のレーン行きまーす」「一番外行きまーす」あるいは「一番外のレーン来まーす」「一番外来まーす」といった声かけを行ってみてください。

 

練習中の選手を見守る指導者・引率者の方、

そして競技役員の皆さん、

いつでも選手の感覚や気持ちに寄り添って安全を確保してあげたいものですね。

       

f:id:usariku:20170420180429p:plain参加選手が好記録を出すことも大事ですが、事故なく帰路につけることも重要なことです。


大会で応援するときのルールとマナー
もご覧ください。

 

日本陸上競技連盟陸上競技安全ガイド( 動画)陸上競技の安全について紹介しています。

    過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain 

インターハイへの長い長い道のり

f:id:usariku:20170504075658p:plainインターハイ(全国高等学校陸上競技対抗選手権大会)、
高校生にとっては国内最高峰の競技会です。
毎年7月末から8月初めにかけて開催されます。

2017年度は山形県天童市山形県総合運動公園)で開催されます。

インターハイへの道のりは長く険しい道のりです。

都道府県を細分化した支部(地区)予選(学校数の少ない県ではこの予選がない場合もあります)から都道府県大会へ、その上の地区大会へ、そしてインターハイへと上の大会に勝ち進まなければなりません。

今日はその長い道のりをひとつひとつ見ていきます。
インターハイに近い上位大会から下位大会の順に書いあります。

 

 

インターハイに出場するには?

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 日本全国を11地区に分けて予選会(地区大会)

北海道、東北、北関東、南関東北信越、東海、近畿、中国、四国、北九州、南九州以上の11地区です。

それぞれの地区大会各種目6位走高跳棒高跳は6名)までインターハイに出場することができます。

ただし、競歩競技は4位まで。

混成競技は3位までと各地区4位~6位の選手の中から全国上位5人が出場権を得ます。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 各地区大会に出場するには?

 

上で述べた地区大会に出場するには、条件はその地区により違うことがあります。

ここでは南関東大会(千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)を例に挙げます。

各都県予選会(一般的には「都大会」や「県大会」と呼ばれる)で、次の順位の者が南関東大会に出場できます。

混成競技・競歩種目・女子三段跳・女子ハンマー投・・・4位まで

女子棒高跳・・・4名まで 

走高跳・男子棒高跳・・・6名まで

それ以外の各種目・・・6位まで

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 都道府県大会に出場するには


学校数が多い都道府県では、各都道府県をさらに細分化し、都道府県大会への出場権を得るための予選会を開催しています。

その細分化した範囲を「〇〇支部「〇〇地区」などと呼びます。

学校数が多い東京都を例に挙げます。

東京都の場合、6つの支部(1支部~6支部)に分けており、
支部予選会で、各種目8名・リレーは8チームまで都大会に出場できます。

ただし以下の種目は参加標準記録に到達していれば直接都大会に出場できます。

 (男子) 110mH 400mH 3000mSC 5000mW 棒高跳 ハンマー投 八種競技

 (女子) 100mH 400mH 5000mW 4×400mR 棒高跳 三段跳 ハンマー投 七種競技

 

ここで出てくる参加標準記録とは、
決められた期間内に決められた公認記録を出していれば、都大会に直接出場できるということ。

該当するほとんどの種目が支部予選会でも行われ、標準記録突破の最後の機会となります。

参加標準記録はほとんどの場合予選会やその上位大会の大会要項に書いてあります。大会要項は顧問の先生の手元にあるはずなので先生に聞けば分かります。

ネットで自分で調べたいときは都道府県によってそれぞれですが、
高体連都道府県の陸上競技協会のホームページで確認できることもあります。「都道府県名 高校 陸上 要項」で検索するとたいていヒットします。

 

それから、ほとんど該当者はいませんが、支部予選会当日に全国レベルの大会に出場する者は予選会に出られなくても直接都大会に出場できる場合があります。

 

 

 

「6位」と「6名」との違い

 

皆さんお気づきでしょうか。

ここまで、都道府県を細分化した支部(地区)予選から都道府県大会へ、その上の地区大会へ、そしてインターハイへと上の大会に勝ち進む条件をお話してきました。

その条件の中に、「6位まで」とか「6名まで」という異なる記述がありましたね。

実はこの記述の違い、とても重要な意味があるのです。

 

自分の出る種目が「〇位まで」なのか「〇名まで」なのかは,大会要項競技注意事項に書いてあります。

大会要項や競技注意事項はよく読みましょう。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 「6位まで」の意味

 

同順位という判定があります。

トラック種目なら、タイムが1000分の1秒まで同じ場合です。

だから、例えば6位の選手が2名いるという事態も起こり得るのです。

このような時、6位までの人数は7名です。

上の大会に行かれる条件が「6位まで」とあれば、人数の制限ではないため7名全員が出場権を得ます。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 「6名まで」の意味

 

「6名まで」とあれば6名しか権利を得ることができません

例えば 6位が2名いたら、6位までの人数は7名、6位の内1名にしか権利が与えられないのです。

誰に権利が与えられるかは次のように決められます。

 

*フィールド種目

決勝競技に引き続き、該当者だけによる出場権決定のための試技(競技)を行います。

*トラック種目

予選会期日内に、該当者だけによる出場権決定のためのレースを行うこともあります。

 

これでも決まらない場合や、出場権決定のためのレースが実施できない場合は、該当者による抽選で出場権を得る人を決定することもあります。

 

再レースを行うのか、抽選で決めるのかといった決め方は、大会の総務や審判長が最終決定します。

 

各大会(予選会)で上位大会の出場権が決まるのですが、出場の権利を得た選手が上位大会への出場を辞退(出場権を放棄)した場合は、出場権を得られなかった次点の選手が繰り上がり、出場権を得ることもあります。

ただしこれはめったに見かけないケースです。

 

 

 

競技役員として感動に立ち会う

 

春も本番、各地で予選会が行なわれ、インターハイへの長い道のりが始まっています。競技役員として、若者たちが上を目指して繰り広げる熱いドラマを目の当たりにし、私もたくさん感動をもらっています。

今年の予選会では出発係を任されました。

競技開始時刻に合わせて選手の最終点呼をする、
選手にスタートの準備をさせスタートラインに並ばせる、
スターター、監察員(競技中に違反行為がないか見る役員)、写真判定員(記録計測を行う役員)など全ての役員の準備が整ったのを確認し、アナウンサーにインカム(トランシーバー)で連絡する。

これでやっと全てのスタートの準備が整います。

アナウンサーがレースや選手の紹介を行い、いよいよスターターがスタートの合図を出します。

 

"On your marks"

 

ぐっと空気が引き締まります。

出発係はこれからレースに臨む選手の一番近いところにいる競技役員。

選手の緊張感が伝わってきます。

選手が位置についたときにスタートラインに触れていないかなどを見るのも出発係の役目です。

スタートした選手を見送り、無事フィニッシュしたらほっとするものです。

スタートのやり直しなどがあればグリーンカード(注意)を出します。
不正スタートで失格の選手には、なぜ失格なのかを説明した上でレッドカードを出します。

これは正直とてもつらい役割です。役員として冷静に行っていますが、その選手の無念を思うと胸が痛みます。

競技役員をしているとこのように時にはつらい思いをすることもあります。でもやはり感動的なシーンに多々立ち会うことができるのが競技役員の醍醐味でしょう。

今回の予選会でも多くの感動シーンに出会いましたが、中でも女子の4×400mリレーのあるレースはすばらしいものでした。

リレー種目はスタート地点がフィニッシュ地点なので、出発係はその両方を目の当たりにします。

この種目は順位(人数)で上位大会への出場権を得るのではなく、標準記録を突破すれば出場権を得る種目でした。

標準記録突破は記録との戦いです。

今回の予選会が標準記録突破のためのラストチャンスでした。

あるチーム(学校)が標準記録突破を掛けたレースの様でした・・・

 

ここからは実況中継風に書かせていただきます。

 

 

・・・さあ、最終第4走者が最後の直線に入ってきました。

ラスト約80mです!

フィニッシュ地点に置かれたタイマーは時を刻みます。

 

走り終えた3人、第1走者から第3走者は、

タイマーと走者の両方を見ながら必死の応援です!

苦しい練習も共に乗り越え、ここまでバトンをつないできました。

いま、フィニッシュ!

タイマーの表示は・・・速報値は、標準記録を僅かに突破しています!

さあ、確定結果はまだ出ない。

果たして標準記録を超えているのか・・・

 

・・・確定値が表示されました!見事標準記録突破です!

選手たちは抱き合い、涙を流し喜んでいます。

日頃の練習が報われた瞬間です!

 

 

競技役員だって冷静を装っていますが感動します。

若者たちのこの様な瞬間に立ち会えるのは陸上競技愛する人間にとって、幸せな瞬間ですね。 

 

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過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

お父さんお母さん応援に行きましょう!競技場であるといいもの

     f:id:usariku:20170504083014p:plain

 わが子が頑張ってる姿を見るのは
嬉しいものですよね。

私も子どもが小学生の時から高校3年で引退するまで
何度も競技場に通いました。

歓喜あり、悔し涙あり。たくさんのドラマを観てきました。
自分の子以外の競技でも感動シーンはいくらでもあります。

「自分はチームプレー派。陸上競技なんか全然興味なし!」

というお父さんお母さん、きっとたくさんいますよね。
お子さんが陸上を始めたのを機に陸上ファンになったひとも多いですよ。

ぜひ陸上競技を生で観てみてください。

 

高校になると、父母の会をつくっている学校が結構あるようです。

Tシャツやタオルやうちわなんかをそろえたりして

まとまってワイワイ応援している光景を多く見かけるようになりました。

 

どうです?楽しそうでしょ?
さあ、競技場へでかけましょう!

今日は競技場に持っていくといいもののお話です。 

 

フェリシモ「コレクション」

 

競技場は寒いか暑いかどちらかです


野球やサッカーなら観戦時間も2時間程度でしょうが、
陸上の場合「自分の子の出番しか観ないわ~」とは言っても、
予選、決勝、リレーとあれば、もう一日がかりです。

 

あくまでも個人的な意見ですが、陸上競技場はたいてい寒いか暑いかどちらかです。
ぽかぽか、さわやか、気持ちいい!
という時間帯もあることはありますが、
そんな日でも夕方に向けてだんだん風が冷たく、寒くなってきたりします。

 

競技場の向きによってもスタンド(観客席)のコンディションは変わってきます。

午前中から夕方までずっと陽が当たっている所もあれば、午後からはスタンドの屋根で日陰になるなど色々です。

屋根も、大きな競技場もあれば申し訳程度にしか付いていない競技場、ない競技場もあります。

 

暑い日や雨の日に屋根の下の席をとるのは、非常に競争率が高いです。

どうしても屋根下に座りたければ、朝早くでかけます。

 

暑さ、寒さ対策をしっかりしていきましょう。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 寒さ対策


4月初旬シーズンが始まったばかりの頃や、
10月下旬~11月のシーズンも終わろうとする頃は要注意です。
寒がりな人はダウンベンチコートが必要なこともあります!

さすがにダウンを着て行くのは道中ちょっと・・・という日もありますが、
最近、とてもコンパクトにまとまるダウンが売られているので、そんな時はそれをくるくる丸めてバッグに入れて行ったものです。

 

ひざ掛けも必要です。

あと温かい飲み物も。

競技場の椅子は堅くて冷たいので、大きめのタオルをたたんでお尻に敷くといいですよ。

 

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4月によく見る気がしますが、友達のお母さんに会うからなのでしょうか、
張り切って春のおしゃれをしてきてしまうお母さんがいます。

後悔しますよ~!
ぜひ暖かい服装で行ってくださいね。


私の感覚からすると、競技場の中と外では気温が全然違うような気がします。
実際はどうなのか分かりませんが。
ほんと、ずっと座って観ていると寒いんです~!

以上、寒がりのわたくしの寒さ対策に対する個人的な見解でした。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 暑さ対策


言うまでもありませんね。

日焼け止めと水分は欠かせません。

熱中症にならないように。

目が陽射しに弱い人はサングラスで守りましょう。

日傘は基本NGです。競技を観ている周囲の人の邪魔になるからです。

後ろの席の人に「すいません!傘を閉じてください!」
と言われている人、たまに見かけます。

でも、後ろに誰もいないとか、何も競技が行なわれていない時間だとか、人様にご迷惑をかけないのなら日傘をさしても大目に見てもらえるかな、と思います。

どうしても使いたい人は周りをよく確認してくださいね。

 

UVカットの長袖パーカーやストールが便利でした。

首元って結構油断してしまいませんか?

いつの間にか真っ赤に日焼けしてることが多いんです。

パーカーはちょっと肌寒い時にも使っていました。

  

  紫外線対策いろいろ

 

 

陸上の大会は雨でもやりますよ!

 

これ、結構知らない人がいます。

大雨でもやります。

でも明らかに台風が直撃、というようなときは前日に中止を決める大会もあります。

雷のときは危険なので一時中断します。

雨の日の観戦にはカッパやレインコートを持っていきましょう。

傘はやはり周囲の迷惑になるのでさせないことが多いです。

あと、雑巾にしてもいいようなタオルを何枚か持っていきましょう。

濡れたスタンドの椅子を拭くのにあるといいです。

これは、雨の翌日の大会の時にも当てはまります。

雨は上がっていても椅子は午前中いっぱい乾かない、ということもよくあるので。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain カラスに注意

 

寒さ対策、暑さ対策、雨対策について書いてきました。

ぜひ、お役立てくださいね。

 

応援の際に注意することその他です。

*お昼ごはんは用意していった方がいいかも

近くにコンビニもレストランもない競技場が多いです。下調べしておきましょう。

*カラスに注意

カラスが食べ物を狙っています。コンビニの袋からおにぎりやパンを盗んでいくのを見ました。バッグの中から箱入りのカロリーメイトを上手に抜き取って持っていったカラスを見たこともあります!

箱に入っているのになぜおいしいものだとわかるのでしょう?!

カロリーメイトなんて健康面も考えているのでしょうか?!

賢いですよ~。気を付けてくださいね。

 

今日はうさりく先生の出番はありませんでした。

 

応援の際のルールやマナーをまとめた記事があるので

こちらも合わせてお読みください。 

      過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

ケンブリッジ飛鳥 9秒台は参考記録 風のはなし

     f:id:usariku:20170504083130p:plain

ケンブリッジ飛鳥選手が2017年4月15日、米フロリダで行われた競技会の100m予選で9秒98を出しましたね!

しかし、この時の風は追い風5.1m。

記録は公認されませんでした。

 

桐生祥秀選手も2015年3月に、米テキサスの競技会で9秒87を出していますが、この時も追い風3.3メートル、公認されませんでした。

公認されなかったとは言っても人間が自分の足で走って出した記録です。

9秒台は素晴らしいパフォーマンスには違いありません。

では、陸上競技公認記録とはいったいなんでしょう?

 

公認記録として認定されるには競技場や器具類、競技役員のことなどいくつかの条件をクリアし日本陸上競技連盟が認めた大会で出した記録である必要がありますが、今日はのことだけを取り上げてみます。

 

屋外で行なわれる200m以内のトラック種目の記録は、平均秒速2mを超える風力が走る方向へ吹いていたと測定された場合、記録は公認されません。

 

つまり追い風が2mを超えると追い風参考記録です。

 

f:id:usariku:20170423225103p:plainルール上は「走る方向へ吹いていた」と書かれていて「追い風」とは書かれていない。

 
1998年に伊東浩司さんが出した10秒00(追い風1.9メートル)の日本記録はいまだ破られず。

文句なしの9秒台、日本記録更新の瞬間を早く見たいですね!

ということで今日のうさりく先生の話は、風についてです。

 

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風の測り方(トラック競技)

 

レース後、記録の発表の後に

「この時のは追い風1.2m」といったアナウンスがありますね。

このとは、そのレース中に吹いているのことです。

トラック種目では、200m以内の競技の時に測ります。

 

では、はどこでどの様に計測しているのでしょう?

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 風向風速計は直走路のすぐ内側の真ん中にある

 

風を測っている器械は風向風速計といいます。

それが設置される場所はルールブックで決められています。

直走路の第1レーンに隣接して、フィニッシュラインから50mの地点に立てる。それはトラックから2m以上離してはならず、高さは1m220であること

f:id:usariku:20170502195729j:plain

写真の風速計、ニシ・スポーツの最新型、新しいのでまだあまり見かけません
風力速報表示器は風速計で計測された風力を表示するもの

 

 すぐ近くに吹き流しも設置されています。

f:id:usariku:20170502211607j:plain

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 風速はいつ計測するのか


風速をいつ計測するかは、種目ごとにきちんと決められています。

 

スターターの信号器の発射(閃光/煙)から、

60mは5秒間

100m は10秒間

100mハードル は13秒間

110mハードル は13秒間

200mは、先頭の走者が直走路に入ったときから10秒間計る。

 

その間計測された秒速の平均値が、

小数第2位が0でない限り、秒速1mの10分の1の単位まで繰り上げる。

つまり、秒速 +2.03m は +2.1mに

-2.03m は-2.0mになります。

(+は追い風、-は向かい風)

 

100mのレース中、10秒間計測し続けるということは、

100mを9秒台で走った場合、フィニッシュ後も計測しているということになります。

ボルト選手の世界記録は9秒58。

走り終わってからもまだ0.42秒間も風を計測し続けていたんですね。

 

 

風のいたずら

 

風の計測は、フィニッシュラインから50mの地点で行われていると書きました。

つまり、スタート地点やフィニッシュ地点の風は直接関係していないのです。

追い風2.0m以下で公認記録となるレースでも、もしかしたらスタート地点やフィニッシュ地点でもっと強い神風が吹いていることもあるかも!もちろん、その逆もあります。

 

また、風は常に走路の方向にそって吹いているとも限りません。むしろ斜め方向から吹いていることの方が多いです。 

実は斜め方向から吹いている風でも、真後ろまたは正面から吹いている風に修正しています。これは風向風速計が自動で行います。

 

極端な例、強い風が真横から吹いていた場合、

選手の前からでも後ろからでもないので風速は0(+-0.0m)となります。

計測された結果が追い風2.0mの場合でも斜め後ろから吹いていたならば、

実際の風力は2.0mを超えている場合があります。

例えば斜め後ろ45度から吹いている場合、

計測結果が2.0mでも実際の風は2.7mあります。

 

 

 

風の影響はどれほど?

 

記録を見るときには、一緒にその時の風がどうだったのかも見る必要があります。

記録の後に書いてある+や-の数字、あまり気にしていない人もいるのではないでしょうか。

追い風だったのか向かい風だったのか、またその強さで記録は結構違ってきます。

 

どれほど違ってくるかというと、それは一概には言えません。選手によって様々です。

体形や走力やフォームにより風の影響を受けやすい選手、受けにくい選手がいると感じます。

 

同じ選手の同じ日の記録を比べても、気温や体調、メンタル面の影響もあるでしょうから、純粋に風の影響だけを見て取ることはできません。

でも参考にはなりますので、

100mの3選手がそれぞれ同じ日に走った記録を比較しました。

 

A選手・・・高校2年男子

B選手・・・中学2年女子

C選手・・・中学1年女子

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f:id:usariku:20170423225103p:plain単純に計算すると

10秒で走る選手の0.1秒の差は距離にすると1mです。 

 

風がない時(+-0.0m)の記録に換算できるサイトがあります。
興味のある方は参考にしてください。

 

  

f:id:usariku:20170504083213p:plain風の影響、結構大きいですね!

陸上をやっている人ならだれでも風に泣かされた経験ががありますよね。屋外では全レース平等な条件で行うのは無理な話ですけど。

皆さんに良い追い風が吹きますように・・・! 

     過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

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大会で応援するときのルールとマナー

     f:id:usariku:20170504075658p:plain 「ひとりで走って楽しいの?」と球技をやっている友達に言われたことがあります。

リレー以外は個人競技だし、陸上は孤独なスポーツに見えるかもしれません。でも、私は陸上競技もチームプレーだと思っています。

支えてくれる、応援してくれる仲間がいるからひとりでも走れる。つらくても頑張れる。そう思っています。

甲子園にも負けないくらいのあの熱い応援合戦を見れば、みんな陸上の素晴らしさを分かってくれるでしょうね。

シーズンが始まっています。今年も愛する仲間へ熱い声援を送りましょう!

今日は、応援やサポートをするときのルールとマナーです。

うさりく先生、お願いします。

 

 

 

競技者に対する助力

 

選手が招集を終えた後に行なわれる、公式の医療チーム以外の他者による介助や手助けのことを助力といいます。

 

競技中、競技場内で、助力を与えたり受けたりしている競技者は、審判長によって警告され、さらに助力を繰り返すとその競技者は失格になるということを勧告される。

とルールブックにあります。

競技場内とは、トラックの周辺を含むトラックレベルの場所です。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 助力になり得る行為

コーチや競技役員を含めた競技者以外の人すべてが対象です。

競技場内で競技者に助言またはその他の支援を提供することが助力に当たります。

具体的には次のようなことです。
 

*競技場内(トラックの周辺を含むトラックレベルの場所)での応援 

*競技場内のスタート地点やフィニッシュ地点でサポート(荷物持ち、時にはマットを敷いてケア)すること 

*競技場内で競技者に他の選手との距離や時間差を教えたり、時間(経過時刻やラップタイムなど)を読み上げること

 *競技場内で選手を指導する行為

 *走幅跳三段跳で無効試技(ファール)の場合を除き踏切地点を競技場内で示すこと(ファールの場合、選手はどの位置から踏み切ったかを審判員に確認できます。ファールでない場合にスタンド上から示すことは構いません)

 

f:id:usariku:20170504083213p:plainうさりく先生!びっくりです!

競技場によってはどれもみんな当たり前のように見かけることではないですか!

先生たちにも守れていない人、結構いますよね。

 

f:id:usariku:20170420180429p:plain応援したりラップタイムを読み上げたりはスタンドで行う。

指導者の方も要注意。競技指導はスタンドからです。

 

競技進行の妨げになることをしない

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain フィニッシュラインの先で待つ人へ

選手のサポートで、荷物をフィニッシュラインの先まで運んで来るひとにお願いです。

本来運んできた荷物も競技場内(トラックの周り、フィニッシュ地点の周りも含みます)に置くことはNGです。競技場外で待っているものです。

規模の大きな競技会(地区大会、全国大会)に出た、或いはサポートした人はお分かりですよね。招集したら選手が競技を終え、競技場外に出てくるまで会えないことがほとんどです。

 

そもそも選手以外が競技場内に入いることは禁止なのですが、競技場によっては入れて(はいれて)しまうことがあります。

走って来る選手とぶつからないような場所にいれば大丈夫という程度に考えている人もいるのではないでしょうか?

 

実はこれ、スターターにしてみるととても迷惑なんです。

 

例えば400m、800m、リレーなどではフィニッシュラインの先に人がたくさんいると、スタートする選手とかぶって選手が見えづらいのです。

近くに人がいるとスタートする選手にとっても集中できず迷惑です。

速やかにその場所から離れてください。もし競技が始まりそうになったらトラックの外、外壁の方に大きく下がって静止して待っていてください。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 競技場内を移動する人へ

また、特に補助競技場(サブトラック)が無い競技場ではバックストレートが練習場所になっていることがあります。

練習場所と行き来するため、競技(スタート)が始まっているにも関わらず、歩く人がいます。

これも選手の集中や競技進行の妨げになります。

 

スタートの時は静かに。スタート地点の周囲では静止することがマナーです。

  

 

お互いに気持ち良く

 

親御さんも含めたすべての観戦者の皆さんに。

スタンドでは座って競技を見ましょう。
通路や階段に立ってしまうと、後ろの人が競技が見えなくなってしまいます。

通路や階段を歩いている途中の人も、「On your marks」が聞こえたら止まってしゃがみましょう。

陸上の競技は一瞬ですから、見逃すと本当に残念です。

自分の家族や知り合いが出ている時だけは静かに座って応援するけどあとは関係ない、というのではなく、他の選手の競技中も気配りを忘れずにいてください。

あと、当然ですがスタートのときは

しーーっ!

選手が集中できるように静かにしてあげてください。

                

うさりく先生はこんな人です。

     過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain 

 

スタートラインに立つ ルールとマナー知っていますか?

  f:id:usariku:20170504075658p:plain  

2017年度も大会の季節が始まりました。

日本陸上競技連盟公認審判員であるうさりく先生はまた忙しくあちらこちらの大会に出かけて行くのです。

毎年春のこの時期は特に、うさりく先生には気になることがあるそうです。

陸上競技のルールとマナーを知らない人が多いなぁ・・・ということ。

初めて大会に出るひと~!

それなりに経験があるひとも?

きちんと勉強してから大会に臨みましょう!

今日はスタートラインに立つときのルールとマナーをうさりく先生にまとめてもらいます。

部活の顧問の先生にも読んでいただきたい内容です。

 

 

 

短距離のスタートのルール(混成競技では一部異なります)

f:id:usariku:20170418121827p:plain スターターの合図(スタータのかけ声)

 

 On your marks  オン・ユア・マークス

 Set  セット

 ピストルが鳴る

または・・・

 位置について

 よーい

 ピストルが鳴る

 

現在、中学生以上のレースではほとんど英語の合図が使われています。

小学生のレースではほとんど日本語の合図です。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain ブロック合わせ

 

自分の競技の順番がきたら、

競技役員の指示に従ってスターティング・ブロックを合わせて試しにスタートをしてみることができます。

f:id:usariku:20170502194629j:plainスターティング・ブロック

 

 

 f:id:usariku:20170420180429p:plain陸上競技では「ゴール」でなく「フィニッシュ」といいます。

 

これは、ブロックをセットし、正しくセットされたかどうかを見るためなので、皆さん行っています。

この時間をうまく使って、気持ちを高めたりレースに集中したりとメンタル的な効果をねらっている選手もいます。

ここで本番と同じようなかなり力の入ったスタートをする人を見かけますが、これは良くないと思います。直後に行われる本番のために瞬発力をとっておきましょう。

あくまでもブロック合わせです。

むやみに長く走ってスタートラインに戻るのが遅い選手がいます。

既に準備ができて待っている他の選手に迷惑になったり、競技会進行の妨げになるような場合はやめてもらいたいことです。

  

f:id:usariku:20170420180429p:plain大会によってはこの時間をたっぷりとってあり、問題ない場合もあります。逆に「スターティング・ブロックをセットした際に走れる距離は〇〇m以内にすること」と競技注意事項に記載し長く走ることを禁止している場合もあります。これに反すると注意を受けます。

  

スターティング・ブロックの使用はルール上必須なのですが、例えば小学生の競技会では使わなくても良いことや使えるのは決勝のみといったこともあります。競技注意事項で確認してください。
 

 f:id:usariku:20170420180429p:plain競技注意事項はその競技会の運営方法や、独自のルールが書かれた大切な資料です。おもにプログラムの中に書いてあります。必ず読みましょう。

  

f:id:usariku:20170418121827p:plain On your marks 位置について

 

スタートラインにつきます。

小学生以外はクラウチングスタートが必須です。

スタートラインの手前に両手やひざ(少なくとも一方)をつかなければいけません。

手をつく位置はラインぎりぎり過ぎないようにしましょう

なぜでしょう?

それはSet( よーい)のところで説明しますね。

 

全員が位置について動きをピタッと止めるまで、スターターは次の「Set」の合図を行いません。

なかなか静止しないと「はい、立って。」と声がかかりスタートはやり直しです。

位置についたら速やかに、しっかり静止しましょう

時間をかけ過ぎない!

あわてる必要はないのですが、なかなか位置につかず静止しないと注意警告を受けることがあります。 

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain Set よーい

 

On your marks でスタートライン手前ぎりぎりに指をついていると

Setでお尻をあげた時にぐっと前方に力がかかり、その瞬間指がラインに触れてしまうことがあります。

これはNGです。

スターターから「はい、立って。」の声がかかり、スタートはやり直しです。

実はこれ、それなりの経験者にもよくあります。

Setのとき自分の手の位置を見ることはほとんどありませんから・・・ 

スタートラインには「確実に触れていない」ようにしましょう。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 不正スタート(通称:フライング)

 

ピストルの合図が鳴る前に手が地面から離れる、あるいは足がスターティングブロックのプレートから離れると不正スタートとなります。

また、静止しないで動いたままスタートをしたときも不正スタートです。

ルール上は不正スタートを1回するとその選手は失格になります。

ただし、(主に小学生の)大会によっては2回目に不正スタートをした人が失格となることもあるので、競技注意事項をよく読みましょう。

 

 

 

 

中長距離のスタートのルール

f:id:usariku:20170418121827p:plain スターターの合図

 On your marks  オン・ユア・マークス

 ピストルが鳴る

または・・・

 位置について

 ピストルが鳴る

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain On your marks 位置について

 

中長距離のスタートはスタンディングスタートです。

on your marks の合図があるまでは、スタートラインから少し後ろに下がって待ちます。

on your marks の合図でスタートラインまでに進み、

スタートの姿勢で身体を静止させます。

手をぶらぶら動かすのもダメです。

手を地面につけるのもダメです。

足がラインを触れたり超えたりしてはいけません。

見ていると、これを守れない選手がかなりいます。

緊張していたり、焦る気持ちがあるかもしれませんが、

ルールはきちんと守りましょう。

「Set」の合図はありません。

ピストルの合図でスタートです。

800mのスタートはレーンを使用してスタートを行う場合(セパレート)とそうでない場合があります。

 

 

     過去の記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain 

 

"on your marks" いちについて!

春です。

 

進級、進学、就職などワクワク、ドキドキの季節ですね!

 

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新たなスタートラインに立ったみなさんへ

 

*中学校や高校で陸上部に入ったひと、そのご家族

*小学生で陸上を始めたいひと

*お子さんに陸上をやらせてみたいお父さんお母さん

*もしかしたら・・・経験もないのに陸上部の顧問になってしまった先生にも

 

それから、陸上ファンの方にも 

  

 

陸上競技をもっとよく知りたいそんな方々へ

役に立つ情報を発信していきます。

 

 

わが子が小学生から陸上をやってきました。

母である私は弁当を作ったり洗濯をしたり

大会で声を張り上げ応援したりしていただけです。

 

 

このブログで陸上のことを教えてくれるのは・・・

うさりく先生です。

うさりく先生はこんなひとです。

 

 

自身、全国大会出場経験あり

日本陸上競技連盟公認の指導者資格(JAAF公認ジュニアコーチ)を持ち、

小学生、中学生、高校生、時には社会人に陸上競技指導験経あり

他のスポーツ選手や指導者走り方練習方法指導経験あり

日本陸上競技連盟公認審判員の資格あり

競技会の開催・運営に関わることもあり、競技役員(審判員)も行う

とにかく陸上を愛する

 

 

     f:id:usariku:20170504083130p:plain

うさりく先生、よろしくお願いしますね。 

      記事一覧f:id:usariku:20170501233717p:plain

 

※本ブログに製品の写真やイラストなどが掲載されておりますが、各メーカ様の利用許諾を得たものです。

 

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