うさりく先生の陸上教室

 

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陸上競技に関する情報や基礎知識を発信します。陸上競技を始めた人、もっと知りたい人、また、指導者の皆さんにも参考になるブログです。

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男子100m、アジア記録であって日本記録ではない記録

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前回の記事で、1979年10月当時の男子100mの日本記録10秒48と記載していますが、おや?と思われた方がいるかもしれません。


 

 

 


確かに日本記録の変遷などを調べると、10秒34とでてくることがあります。

1968年メキシコオリンピック島秀雄選手が10秒34(電気計時)で走っています。

しかし、この時の記録は当時のルールにより100分の1秒単位を10分の1秒単位に換算した10秒3が公式記録とされました。

 

その後、国際陸上競技連盟(以下「国際陸連」)では1975年から電気計時のみ過去にさかのぼって世界記録として公認するようになりました。
アジア陸上競技連盟でも同様に過去にさかのぼって公認するようになりました。

日本陸上競技連盟(以下「日本陸連」)でも、1975年から電気計時を公認としましたが、過去にさかのぼるとはしませんでした

その後、1984年になって過去にさかのぼり公認、1993年から電気計時のみを日本記録として公認するようになりました。

国際陸連は1975年に1968年のメキシコオリンピックでジム・ハインズ選手(アメリカ)が記録した9秒95を「世界記録」とし、アジア陸上競技連盟では飯島選手10秒34を「アジア記録」として公認しました。

この時、日本陸連は過去の10秒34は日本記録と公認しなかったため、「アジア記録であって日本記録ではない記録」となったのです。

飯島選手の記録10秒34が日本記録として公認されたのは、1984年に過去にさかのぼるとなったとき、記録を出したメキシコオリンピックから16年も経ってからだったのです。

つまり、前回の記事での当時(1979年10月)の男子100mの日本記録は1975年に樹立された10秒48としました。手動計時の日本記録は10秒1でしたが、記事での記録が電気計時のものでしたので、10秒48を日本記録として記載しました。

陸上競技マガジン増刊号「1981年記録集計号」を見ると、日本記録は10秒48、日本歴代50傑の電気計時の第1位は10秒34と不思議な記載になっています。

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過去にもあった!男子100m、追い風参考ながら日本記録を上まわる記録

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多田修平選手(関西学院大学)が6月10日に開催された2017日本学生陸上競技個人選手権大会(個人インカレ、Shonan BMW スタジアム平塚)の男子100m準決勝で追い風4.5mの追い風参考記録ながら9秒94をマークしたのは記憶に新しいことですが、過去にも追い風参考記録ながら日本記録をもっと上まわる記録が出ていました。

 

 

 

多田選手の記録は日本記録を0.06秒上まわる記録、桐生祥秀選手(東洋大学)が2015年3月にアメリカのテキサス州で開催された大会で3.3mの追い風参考記録ながら日本記録を0.13秒上まわる9秒87を記録、ケンブリッジ飛鳥選手(ナイキ)が4月にアメリカのフロリダ州5.1mの追い風参考記録ながら日本記録を0.02秒上まわる9秒98を記録しましたが、過去には追い風参考記録ながら日本記録を0.26秒上まわる記録がありました。

 風力(追い風参考)については次の記事・・・


それは1979年10月に開催された国民体育大会(以後「国体」)でのこと、実はこの国体、台風が直撃し時にはその暴風雨の影響を受ける中で行われました。

その大会の陸上競技で中止になった競技は10年ぶりに復活したロードレースのみです(今はロードレースはありません)。

日本記録を上まわるといっても9秒台ではありません。当時の男子100mの日本記録10秒48、この国体の7.9mの追い風で出された記録が10秒22というものです。これを記録が公認される追い風2.0mに換算すると10秒46に相当、当時の日本記録を上まわる数字がでてきます。

なお、この時の選手の自己記録は10秒52、この国体の10日程後にその記録を出しています。当時の日本記録にかなり近い記録(0.04秒差)でした。

この大会では追い風9.9mというレースもありました。

これほどの強風、フォームを乱し逆に走りにくくなることもあります。国体に出場するほどの競技力がある選手でも良し悪し様々だったようです。

 

今年6月には女子100mH(ハードル)の木村文子選手(エディオン)が追い風参考ながら日本記録を上まわる12秒99を出すなど、男子100m以外にも風のために公認記録とならない幻の日本記録がときどき出ます。

 

「追い風参考ながら」という言葉を聞いた時、ふと台風の中の国体を思い出しました。

記録を調べようとしたのですが、国体を主催する日本体育協会では決勝の記録のみで風力表示もない資料しか残っておらず、日本陸上競技連盟も過去の国体の記録は持ってなく、開催県の陸上競技協会でも確認できなかったために国立図書館で調べました。

まず当時の開催県の地方新聞を閲覧しましたが、決勝記録のみで風力表示なし、デジタル化資料の中に陸上競技マガジンを見つけ探したところ見つかりました。
手作業でスキャニングしたと思われるものですが目次もついておりその作成には相当な労力を要したと思われます。
上記の国体の予選から決勝まで全ての結果を見ることができました。

その他にもなつかしい選手の写真や記事、記録などが多数ありました。
(私自身の記録も確認することができました←カテゴリーとは関係なし)

 

国立図書館の所在地は、
東京本館(〒100-8924千代田区永田町1-10-1)
関西館(〒619-0287京都府相楽郡精華町精華台8-1-3)
です。
満18歳以上の方であれば、だれでも入館・利用が可能です(子様を同伴しての入館はできません)。
利用方法や休館日など、詳しくは国立図書館のホームページでご確認ください。

 

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いざ山形へ インターハイ壮行会

『はばたけ世界へ 南東北総体 2017』、「平成29年度全国高等学校総合体育大会陸上競技大会 秩父宮賜杯 第70回全国高等学校陸上競技対校選手権大会」(インターハイ)まで12日、東京、駒沢オリンピック公園陸上競技場では東京選手団の壮行会が行われました。

 

 

 

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東京都からは、南関東地区予選会を勝ち抜いた、

男子個人 33名36種目

女子個人 24名30種目

男子リレー 3チーム

女子リレー 5チーム

が出場します。

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競技期日:平成29年7月29日(土)~8月2日(水)
会  場:NDソフトスタジアム山形(〒994-0000 山形県天童市山王1番1号)

 

 

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頑張れ若きアスリート!!

 

 

f:id:usariku:20170504075658p:plain 天童ってどんなところ?

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インターハイで初、スタート時の号砲音に電子音を採用

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平成29年度南東北総体山形大会(インターハイ)まで2週間を切りました、今回初めてインターハイに登場するものがあります。トラック競技にはとても大切なものです。

 

 

 

主催者からのお知らせ(一部抜粋)

南東北総体山形大会(インターハイ)で使用するスタート時の号砲音(電子音)について。
山形大会では、スタート時の号砲音として電子音を採用します。インターハイとしては初めての採用となります。



f:id:usariku:20170423184004p:plain 紙雷管による号砲

 

スタート時の号砲音は高校生が出場するほとんどの大会で雷管が使用されています。競技用火薬を使ったものです。

紙雷管による号砲は、スターターに近い選手と離れている選手では、聞こえてくる時間に差があり、有利不利があると言われていましたが、それは過去のことです。

複数台のスタート発信装置という機械を設置することにより、選手の近くで号砲は聞こえます。スタート発信装置にも紙雷管がセットされています。

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 400mのスタートでのスタート発信装置の設置例、黄色丸に設置されています。

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スターターの信号器に連動し、各箇所に設置されたスタート発信装置でも雷管が破裂し号砲がなります。

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号砲の際には煙もでます。
スタート発信装置はスピーカーと共に設置されており、スターターの声はこのスピーカーから聞こえます。
従って、過去に言われたようなスターターからの距離による有利不利はありません。

次の2枚の写真では煙が確認できます。号砲直後です。

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100mでのスタート発信装置の設置例です。レーンナンバー標識の2と3、6と7の間にスピーカーと共に設置されてます。

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しかし紙雷管の場合、レースの都度スタート発信装置の確認などが必要になり、時には不発もあります。現状は多くの大会でこの方法が採用されています。

先月行われた日本選手権もこの方法です。

 

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f:id:usariku:20170423184004p:plain 電子音による号砲


電子音の号砲音は、スピーカーを通して号砲音が聞こえてきます。紙雷管は用いません。予め準備されている音源がスピーカーをとおして聞こえてきます。

オリンピックなどでは以前から採用、昨年のリオデジャネイロオリンピックでも使われています。
国内では、セイコーゴールデングランプリで使用されています。

紙雷管を使う時のようにレースの都度スタートの発信装置の確認などは不要になり、不発もありません。

ニシ・スポーツの関係装置と接続例

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2013年に国立競技場で開催されたセイコーゴールデングランプリでのスピーカーとその一部の配置(赤丸内)、今年のものとは形状が異なっているようです。

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インターハイでは初使用のため大会HPで電子音を試聴できるように試みたようですが、視聴する環境によって同じ音を再現することが不可能だったため、現地で実際に聞く音と異なるという誤解を招く恐れが大きいと判断して大会HPでの視聴を断念したそうです。

東北地区のインターハイ予選は、本大会と同じNDソフトスタジアム山形で開催されています。
その際に電子音の号砲を使用、本大会のリハーサルも兼ねていると思われます。

東北地区のインターハイ予選での様子をインターネット上の動画サイトで見る(聞く)ことができます。

大会の前の7 月27 日(木)15:00~16:30 と7 月28 日(金)15:00~16:30 に本競技場で、電子音でのスタート練習ができるようですが、参加できない選手は、インターネット上の動画サイトで見る(聞く)のも良いかと思います。

なお、インターネット上の動画サイトでの音も現地で実際に聞く音と全く同じとは限りませんので注意が必要です。

メーカーや製造時期などにより音が多少違う気がします。興味のある方は動画サイトで、オリンピックやセイコーゴールデングランプリなど聞き比べてみてください。 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170517002941p:plain

   

NISHI Athletic MEET 2017

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株式会社ニシ・スポーツが主催の公認陸上競技大会、「NISHI Athletic MEET 2017」が7月22日(土)に開催されます。

 

 

 

陸上競技場の用器具でよく見る「NISHI」は株式会社ニシ・スポーツ(以下「ニシ・スポーツ」と書きます)のことです。

 ニシ・スポーツについては次の記事をご覧ください。 


今年で7回目を迎えるニシ・スポーツが主催する「NISHI Athletic MEET 2017」 "すべてはアスリートのために"をスローガンに、7月22日(土)、東京の駒沢オリンピック公園陸上競技場で開催されます。

「NISHI Athletic MEET 2017」は、全国大会など規模の大きな大会でしかなかなか見ることができない数々の記録計測機器や表示機器などを使用した競技会です。

しかもニシ・スポーツの新製品も多数みることができます。

写真のようなものもフィールド内を走っているかもしれません。

 

 

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これはアスレティックビークルといって、アタッチメントを装着することで、やり、ハンマー、円盤などの投てき物の運搬(返送、投げたものを投げる地点に戻す)を行います。
初めて気付きましたが、運転席があるようです。
通常は送信機で運転操作を行います。

 

 

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どうやら人は運転できないようです。
今大会では投てき種目がやり投ジャベリックスローしかありませんが、登場することを期待します。

このブログで何度か紹介しました、スタートインフォメーションシステムも過去の大会では必ず登場しています。 

 

不正スタートがなくても、スタートの信号器の号砲からの反応時間、リアクションタイムも計測され、貼り出される競技結果に記載がありました。 

 

競技でも、普段見ることがあまりないメドレーリレーが行われます。 

 

興味のある方は、ぜひ会場に!!

 

詳しくは 2017 NISHI Athletic MEET | 株式会社ニシ・スポーツ

 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170517002941p:plain

   

「腰ナンバーはやや後ろにつける」のには理由がある

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トラック競技に出場する競技者は、腰ナンバーをつけますが、なぜつけるのか、どうつけるのかについての説明です。

 

 

 

腰ナンバーはルール上には出てこないものです。その呼ばれ方も様々です。腰ナンバー腰ナンバーカード腰番腰ナンバー標識など。いずれも意味は同じです。

本記事では腰ナンバーと書きます。

腰ナンバーとは


下の写真、関東インカレ4×100mリレー第4走者の時の桐生祥秀選手です。
黄色の〇で囲まれたものが腰ナンバーです。レーンで分かれて行う(スタートする)競技ではレーン番号と同じ数字です。

 

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ほとんどの腰ナンバーは布でできています。四隅を安全ピンでとめるものや裏面が粘着シートになっていて貼り付けるものがあります。

 

この腰ナンバーについて、競技注意事項では次の例のように記載されています。それぞれ異なる競技会で記載されていた内容です(一部改編あり)。

・トラック競技に出場する競技者には、写真判定⽤の腰ナンバーを貸与するので、パンツの右側、やや後ろにつける。

・腰ナンバーを 1枚受け取り出発までに右臀部やや後方に付ける。

・腰ナンバーは競技者係で受け取り、右腰につけて最終コールを受ける。

・トラック競技に出場する競技者は、腰ナンバー(2枚)をパンツ両側、やや後ろにつけること。

・トラック競技出場者は、腰ナンバーを招集所で受け取り両腰につける。

・トラック競技のみ腰ナンバー(2枚)を受け取る。

・トラック競技出場者は、写真判定用の腰ナンバーを招集所で受け取り、下半身の横(左右後方)につけること。リレー競技については、4×100mは第4走者のみ左右後方に、4×400mは第2と第3走者は右側に、第4走者は左右後方につけること。

中には記載のない競技注意事項も時々見かけます。

この腰ナンバー、いくつかの例にも書かれていますが、写真判定で使います。

写真判定についての詳細はこちらの記事をご参照ください。 


次の写真が写真判定で使われる画像(モニタ表示)の例です。

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先頭の選手、身体の位置だけを見ていると3レーンにも見えますが、前足の位置や影の位置で4レーンとわかります。経験を積むとすぐわかるのですが、より精度を高めるため、腰ナンバーでも何レーンの選手か確認を行います。

この画像(モニタ表示)で各選手のトルソーの位置を合わせて記録を確定します。
この作業を行うのが写真判定員という競技役員です。

レーンで分かれてスタートを行わない競技、1500m以上の競技では、スタートラインの内側から整列する順番に合わせた番号がふられた腰ナンバーをつけます。オーダー順と呼ばれ、プログラムに記載の順番です。

 

腰ナンバーの数

 

先に例示した競技注意事項を見てください。

その中で、
1枚、右側右腰などの記載がある場合の腰ナンバーは1枚です。
2枚、左右両腰などの記載がある場合の腰ナンバーは2枚です。

1枚の時は、スタートからフィニッシュに向かって右側からのみ写真判定のための撮影を行っているときです。

下の写真、右側スタンドの上にある建物が写真判定室と呼ばれるカメラ(拡大写真がカメラの例)などが設置されているところで、こちら側から撮影したものが上の「写真判定で使われる画像(モニタ表示)の例」のようになり、写っているのが右側につけた腰ナンバーです。

 

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上の写真の左側、フィニッシュラインの内側にあるのも写真判定用のカメラ(黄色枠内、上の枠が拡大したもの)、こちらから撮ると、上の「写真判定で使われる画像(モニタ表示)の例」と左右対称になった、スタートからフィニッシュに向かって左側から撮影したものができます。
このカメラで写るのが左側につけた腰ナンバーです。

つまり腰ナンバーはフィニッシュラインの内側にもカメラがあれば2枚で左右、なければ1枚で右側のみにつけるのです。

より精度を高めるため、規模の大きな大会では左右両方から写真を撮ります。

 

競技注意事項の例にもありますが、4×400mリレーでは第2と第3走者も腰ナンバーをつけることがあります。これは写真判定のためではありません。
4×400mリレーでは第1走者と第2走者はレーンに分かれてバトンパスを行いますが、第2走者から第3走者と第3走者から第4走者のバトンパスはレーンに分かれていません。前走者が200m地点を通過した順番で次走者はテイク・オーバー・ゾーンの定められた位置に内側から順番に並びます。その200m地点を通過した順序は競技役員がその地点で見て、次走者が待つ位置にいる競技役員にインカム(トランシーバー)で伝えます。その時、胸につけたナンバーカードの数字やユニフォーム(色やチーム名)を見て伝えるのでは誤りが起きる可能性が高くなります。そのため腰ナンバーを利用しその番号で伝えているのです。

ただしこの方法、必ず採用しているとは限りません。規模の小さな大会では採用しないことも多々あります。

腰ナンバーをつける位置

 

例に示した競技注意事項のいくつかにはつける位置の記載があります。
・腰のやや後ろ(後方)
・臀部やや後方
・下半身の横(後方)
というような表現です。

そうです。やや後方につけるものなのです。
次の写真の選手、腰ナンバーの数字の位置とパンツのラインをみるとほぼ真横か極わずか前につけています。

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しかし、姿勢によっては次の写真のように読み取れなくなります。
この状態でフィニッシュすると写真判定用の画像でも読み取れない状態です。

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ですから、多くの競技注意事項に書いてあるように後方、あるいはやや後方なのです。
上の読み取れない例の写真でも、やや後方なら読み取れます。

競技注意事項に記載がなくてもやや後方につけましょう。

 

800m以上の競技ではフィニッシュのとき選手はレーンに分かれていません。周回や着順を見る競技役員もいますが、写真判定では上の「写真判定で使われる画像(モニタ表示)の例」のようにレーンと選手は結び付きません。判定の精度、速度を高めるためにも腰ナンバーはきちんとつけましょう。  

 

ついでに

 

腰ナンバー、安全ピンでつけるタイプのものは競技後返却する場合が多いです。
返却用のかごなどが置いてあることがあります。
返却する際に、安全ピンを閉じず、針が出たまま返却する選手が多数います。補助員などが対応してくれる場合は構わないですがそうでない場合、安全ピンは必ず閉じてください。その後、腰ナンバーや安全ピンをかごから取り出す人がいます。手に刺さることもよくあり危険です。借りたものを返す時は借りた時の状態で。
競技後で疲れていてできないなら近くにいる競技役員に申し出てください。
 

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大迫傑 決戦前のランニングノート (文春e-book)

 

大会の日のお弁当は何を持たせるか② ~アスリート食の参考書をもっとご紹介~

f:id:usariku:20170712232401p:plain 大会の日の選手は大忙し。お弁当を食べるタイミングが難しく、母たちは何を持たせるか悩むところですよね。

 

 

大会に出場する日の選手の一日のスケジュールや、アスリート食の参考書を紹介した記事を前にも書きましたが、また良い参考書を見つけたのでご紹介します。

大会の日のお弁当に限らず、普段からの食事がとても大切だということがどの本にも分かりやすく書かれていて、勉強になります。

ただ、お母さんが頑張りすぎて神経質になってしまうのもどうかなぁと思います。楽しいはずの食事の時間が、お子さんにプレッシャーを与える時間になってしまってはかわいそうです。ゆる~くでいいと思いますし、「一流を目指すのできっちりと!」と思っている方も、あくまでもさりげな~く!がいいですね。

アスリートを支える皆さん、日々のたいへんさはよく分かります。
皆さんの笑顔が選手たちの一番の栄養になるということを忘れずにいてくださいね。

 

 

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(表紙に記載)

スピード、持久力をあげる食べ物は?

ケガが治りやすい食事って、どんなもの?

コンビニ食材や電子レンジをつかった手軽なスポーツ食は?

 

<著者の紹介>

河村美樹先生 

公認スポーツ栄養士 
Jリーグ名古屋グランパスエイト所属の管理栄養士さんです。
サッカー以外でも、レスリング、バレエ、ソフトボール陸上競技などのジャンルを担当した経験を持ち、各競技で国体やオリンピックの代表選手といったトップレベルから育成年代まで幅広く栄養指導を行ってきました。

 

「食」の重要性を理解しているのとしていないのとでは、実技におけるパフォーマンスにも、大きな差が出ると書かれています。

スポーツで勝つために!という視点から、日々の食事の重要性や栄養素に関する知識を分かりやすく説明しています。

必要な栄養は年代によってどう異なるのか、とか主食や主菜にはそれぞれどんな役割があるかなど、私たち母親が気になることにも触れられています。

勝つために家庭でできる食事法を、目的別競技のタイプ別に学べます。

目的別
・スタミナがほしい
・体重をコントロールしたい
疲労回復など

競技のタイプ別 

・短距離、跳躍、ハードル
・投てき
・中距離

競技のタイプ別の食事法が書かれている章には、試合当日の食事のスケジュール例も具体的に紹介されています。
陸上競技の大会の例も出てくるのが嬉しいですね!

・トラック競技の例・・・一日に何レースもある場合の食事のスケジュール
・フィールド競技の例・・・一日に2回ラウンドがある場合の食事のスケジュール

試合2週間前~前日までの食事に関しても記述があります。

他にも、陸上競技でおすすめの補食や、マラソントライアスロン編ではグリコーゲンローデングについても書かれていて、役立つ情報がいっぱいです。

 

  

 

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<著者の紹介>

石川三知先生

Office LAC-U代表

陸上競技末續慎吾 スピードスケートの岡崎朋美フィギュアスケート荒川静香高橋大輔など多くの選手やチームをサポートしました。2004年度JOC選任強化スタッフ、2009年度JOC強化スタッフを務め、たくさんの栄養指導歴をお持ちです。
日テレの「世界一受けたい授業」にも出演されました。

 

料理制作・栄養計算は 阿部菜奈子先生

東海大学陸上部、専修大学アメフト部などの栄養サポートを担当
2010年度よりJOC強化スタッフ
ジュニアアスリート、保護者、指導者向け栄養クリニック、セミナー講師としても活動されています。

 

この本はレシピ集です。

レシピが用途別に分かれていて使いやすいです。

朝食・昼食・夕食・捕食・ドリンク・スイーツと別れていて、さらに、レーニング別メニューのインデックスが付いていて、すぐ探せるようになっています。

時間がない時のバランスメニュー」や「食後すぐ運動するときのメニュー」といった分類でもレシピを探せます。とても参考になりますね。

 

レーニング別メニューとは次のような分類になっています。

 ・パワーアップトレーニング向け

 ・スタミナアップトレーニング向け

 ・スピードアップトレーニング向け

 

 

 

10代スポーツ選手の栄養と食事―勝てるカラダをつくる!

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<著者の紹介>

川端理香先生

WATOSONIA代表 
管理栄養士 
JOC強化スタッフ アテネ五輪北島康介、女子バレーボールチームを、北京五輪で男子バレーボールチームをサポートされました。また、JリーグプロサッカーチームやVプレミアリーグチームの栄養サポートもされています。雑誌やテレビでスポーツ食のレシピを紹介したり、小学校などで食育に関する講演もされています。


色々なスポーツを3つに分けて、タイプ別に食事の摂り方を説明しています。

・瞬発力系
・持久力系 
・筋力系

何のスポーツがどのタイプなのかも解説 があって、分かりやすいです。

タイプ別のレシピが豊富に載っています。

試合前2~3日前からどのような食事をしたらいいかや、 試合後の食事のことも書かれています。

試合の当日の食事の摂り方も出ていますが、試合が一日に1回、2回のスケジュールの例で、陸上競技にはあまり当てはまらないと思いました。

スポーツを瞬発力系、持久力系、筋力系に分類し、それぞれどのような食事法がふさわしいかは、とても参考になり興味深く読めました。

 

 

 

次ラウンドまで45分以上のはずが・・・

f:id:usariku:20170423225103p:plain大会でときどきあるのが、競技の進行がタイムテーブルのとおりに進まないことです。トラック競技では、進行の遅れや、その遅れを取り戻したために次ラウンドまでの時間が変わることがあります。そのような時に知っておくべきことについて。

 

 

 

次ラウンドとは、予選から準決勝、準決勝から決勝などのことです。準決勝がない場合は予選から決勝も次ラウンドです。

そのラウンド間の時間についてもルールで定めがあります。

 

次ラウンドまでの最小時間
1つのラウンドの最後の組とつぎのラウンドの最初の組、あるいは決勝競技との間には、最小限つぎの時間をおかなければならない。
200m(含めて)まで 45分
1,000m(含めて)まで 90分
〔国内〕 1,000mを超えるレースでは、最小限3時間をおく。


続いて次の表をみてください。
この表はある都道府県で実際に開催された中学生の総合体育大会の競技日程(タイムテーブル)の一部です(一部略)。

 

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3年男子100mを見てください。
競技開始時刻は、準決勝が13時15分、決勝が14時05分です。
その間50分、ルールでは200m以下の次ラウンドまでの最小時間は45分、一見問題ないように見えますが、実は誤っています。

ルールに記載の「1つのラウンドの最後の組とつぎのラウンドの最初の組、あるいは決勝競技との間」、つまりこのタイムテーブルの場合は、男子3年100m準決勝の最後の3組目が終了してから決勝までの時間が45分以上でなければならないのです。

準決勝の競技開始時刻からではありません

準決勝は選手紹介があります。スターティグブロックのセット、試走、集合線(レーンナンバー標識の前)に戻って並び、競技種目と選手の紹介、そしてスタートの合図です。この大会の場合、スターティングブロックのセットからレースが終わるまで2分30秒~3分程度はかかっています。もしスタートのやり直しがあればそれだけで20~30秒前後更に要します
スタートのやり直しがなく、準決勝の1組目のスタートの合図が競技開始時刻だとしても5分で3組が終了できることはなくタイムテーブル上の間隔50分では前ラウンドの最終組の終了から45分以上は空いていないのです。


そして、もう一点不可解なことがあります。

調整時間10分です。次の赤字を見てください。準決勝が10分遅れ、調整時間でその遅れを取り戻した例です。

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決勝が予定どおり定刻の14時05分になっても、10分遅れていた準決勝の競技開始時刻13時25分からは40分しかありません。

これは完全に次ラウンドまでの最小時間45分に足りません

実際にこの時の大会では色々なトラブルが重なり結果的には遅れが取り戻せず更に5分遅れたため、運営上は前のラウンドの最終組から最小時間45分はかろうじて守られていたようでした。

しかし更に遅れていることを把握できていない選手には混乱がみられました。次ラウンドまでの最小時間45分のルールを大半の選手は知らないのです。

過去には準決勝がかなり遅れ、その後調整や他の競技が短縮できたなどで、決勝までに後れを取り戻し、準決勝の実際の競技終了時刻から決勝のタイムテーブル上の競技開始時刻までが35分になったこともありました。その際はルールどおり決勝を10分遅らせ最小時間45分としましたがルールを知らない選手には慌てる姿がありました。

多くの選手は次ラウンドまでの最小時間45分のルールを理解していません。

ルールを知っていれば落ち着いて行動できます。

この次ラウンドまでの最小時間、特に中学生の総体や通信では注意が必要です。全国大会の出場権がかかった大切な大会です。ここで例にあげた実際のタイムテーブルも、全国大会がかかった大会のものです。 

 

急な競技開始時刻の変更のために集中できないようことがないよう、
次ラウンドまでの最小時間、200m以下45分、200mを超え1000m以下90分、1000mを超える競技3時間、このルールも覚えておいてください。

大会運営側のみなさんも、日程に余裕がなくタイトなタイムテーブルになるのは理解できますが、選手に混乱が生じています。アスリートファーストの考えを忘れずに競技会運用をお願いします。

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周りに左右されるな ~競泳日本代表チーム平井伯昌ヘッドコーチの言葉~

f:id:usariku:20170423225103p:plain北島康介選手を指導したことでも知られる、競泳日本代表チーム平井伯昌ヘッドコーチ。育成する多くの選手がオリンピックなどの大舞台でメダルを獲得しています。今日は平井コーチの言葉を紹介します。

 

 

 

昨年のリオデジャネイロオリンピック、共栄400m個人メドレーの金メダリスト萩野公介選手がスランプ(不調)だということについて、平井ヘッドコーチがその原因のひとつは「周りに左右される」ということだと言っていました。

アテネオリンピック北京オリンピックの競泳100m平泳ぎ、200m平泳ぎの金メダリストである北島康介選手は例えライバルが出てきても動じることがなく、常に自信に満ちあふれた状態で大会にのぞんでていて、北島選手にあって萩野選手にないものが、周りに左右されるか否かということであると。

荻野選手の背負うものや常日頃のプレッシャーなどを考えると、必ずしも同じとは言えませんが、陸上競技の大会でも似たようなことがあります。

特に陸上競技のレーンに分かれて行うトラック種目、中でも100mでは似ていると思います。

そもそも順位の確定は、自分の結果(記録)が決まり、それが他の選手と比べ速いか遅いかということです。

順位は目で見てもわかる場合があります。そのため感覚的に何着、そして何秒というようにとらえてしまうようになってしまいます。

オリンピックの金メダリストとは色々背負うものが違うのですが、中学生でも明らかに周りに左右される選手とそうでない選手がいます。

私が指導した中に対照的な選手がいました。
どちらの選手も中学生の都道府県レベルの大会では決勝に進出し、中学生の全国大会(全中)に行く力を持った選手です。

ある選手は、他の選手のことを一切口にせず、常に自分のその時出せる最高の結果を求めていることが言動でも明らかな選手、100mのスタート前の試走の際にフィニッシュ方向を数秒じっと見つめます。その見つめる行為はその選手のルーティーンのひとつです。
決して体形などでは恵まれた選手ではありませんでしたが、競技結果も安定して良い結果を残すことができていました。

もう一方の選手は、他の選手がどこかの大会で何秒で走った(ネット社会のおかげ?で情報が簡単に入手できてしまいます)、予選が誰と一緒、準決勝の組み分けがわかるとそこでも誰と一緒他の選手のタイムをいつも気にしていて、レース前も落ち着きがない選手でした。でもこの選手、実はかなり神経質で緊張していたのです。それを紛らすため、また結果が悪かったときを想像して他の選手のことを口にしていたのです。でも結局は周りに左右されることになってしまっていました。
良い結果を出すことも多々ありますが、結果が安定しません。せっかくの機会を逃してしまうこともあります。

どちらのタイプの選手も緊張するのは同じですし、緊張するのは当たり前です。

前者のように周りに左右されないタイプの選手、レース(競技)に送り出す時、「行ってこい」の一言で済みます。

後者のタイプの選手、少しでも落ち着かせることが必要です。
しかし、「落ち着いて」とは言いません。その言葉で落ち着けることはありません。緊張がほぐれることもありません。
「頑張って」の一言が逆にプレッシャーを大きくすることもあります。

特に小中学生位の選手には具体的に行動をさせます。

例えば深呼吸もそのひとつです。

その大会での目標物を決め、それを見つめさせることもあります。例えば競技場に着いたらフィニッシュの先、競技場外に見える建物、鉄塔、大きな木などどれかひとつの天辺(てっぺん)をその大会での目標物と選手に決めさせます。目線が上になるようにレースの前にそれを見つめさせるようにします。その瞬間見ることに集中します。周りのことを忘れます。言い換えるとルーティーンを作ってやるのです。

練習でも同様のことを行わせても良いと思います。

ここまでは私が一指導者として小学生や中学生に行っていることです。
参考になるでしょうか・・・?


競泳の平井ヘッドコーチが萩野選手にまず行ったのは1冊の本を渡したことだそうです。
さすがあの北島選手も育てた平井ヘッドコーチだという方法です。
本のタイトルは「男の作法」、萩野選手に求めたのは男を磨くこと。
その本、まださわりしか読んでいませんが、指導者がまず読んでみる本だと思いました。内容的には大学生以上の男子向けの本だと私は思っています。 

 

男の作法 (新潮文庫)

男の作法 (新潮文庫)

 

 

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今、走っているの何組目ですか?

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大会で競技役員を行っている時に競技前の選手からよく聞かれるのが「今、走っているの何組目ですか?」ということです。その確認方法について。

 

 

 

大会で出発係という、トラック競技でレース前に選手がそろっているかの確認、ナンバーカードや腰番号が正しいかの確認、
レース前に選手にスターティングブロックのセットや試走(行うかは選手の自由、義務ではありません)を行わせ、スタートラインやレーンナンバー標識の前に並ばせ、

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スタートでは、姿勢の違犯(スタートラインに触れていないかなど)がないか、スタートで注意や失格があったときにグリーンカードやレッドカード(赤/黒カード)を出す

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などを行う競技役員を行うことがあります。

この出発係、大きく分けてふたつの役割にわかれています。

上記の説明の前半「トラック競技でレース前に選手がスタート地点に来ているかの確認、ナンバーカードや腰番号が正しいかの確認」を行う出発係とそれ以降に記述のことを行う出発係です。
前者は観客席からほとんど見えない出発係で後者はスタートライン付近にいる出発係です。

その前者、選手の確認を行う現場で選手からよく聞かれる質問が、「今、走っているの何組目ですか?」ということです。

特に100mで組数が多い時(多い時には男女合計100組を超えるなどもあります)によくある質問です。

確かに選手にとっては大事なことです。

その場にいる選手の確認、ナンバーカードの確認などを行っている出発係は、競技の進行も気にしながら行い、これから行われるレースが何組か把握していることが多いのですが、参加者数がものすごく多いなど状況によっては正確な組数まで把握できないこともあります。

そのため正確な組数が即答できないこともあります。また回答に僅かですが時間を要するときも。

そのような質問をしてくる選手の中には、実はこの数組後に始まるレースに出場する選手もいます。

慌ててスパイクを履いたりすることになります。

この質問、出発係に聞かなくてもわかる方法があります。

アナウンスに耳を傾けることです。周りがざわついているなら可能な限りスタート方面に行けば聞こえるはずです。

必ず1レース(組)ごとに競技前にアナウンスがあります。例えば「トラック競技は男子100m、第10組です。2レーンを空けて7名の出場です」など。

アナウンサーがアナウンスし実際にスタートするまでの手順、
スターターが写真判定装置の準備ができたことを(スタート付近にいる)出発係に合図、
出発係は選手がスタートラインやレーンナンバー標識の前に並んだのを確認しインカム(トランシーバーなど)でアナウンサーに準備完了を伝え、それを聞いたアナウンサーは上記のような内容のアナウンスを行い、アナウンスが終わるとスタータがスタートの合図(On your marks  オン・ユア・マークス)を行います。

そうですアナウンスの終了がスタータにスタートを開始してくださいという合図なのです。

ですから必ず1レース(組)ごとにあるのです。

これを聞けば確認できます。わただしい中、質問することもありません。

わからないことを競技役員に質問するのは良いことですが、自分で知る方法も知っておきましょう。

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走幅跳や三段跳の競技場所での練習についてのルール

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走幅跳三段跳の競技場所での練習について、ルールに記載されているのに守られていないことがあります。このルール今年新しくできたものでもありません。ルールを知らない、あるいは注意されないことが多いからでしょうか?選手の皆さんは知っておいてください。

 

 

 

ルールの記載は、

 競技が開始されたら競技者は練習の目的でつぎのものを使用することはできない。
・助走路や踏切場所

 

そうです、競技が開始されると練習として助走路や踏切場所は使用できないのです。

実際には前の選手の試技が終わり、計測や砂場をならしている時に助走路を走る選手が多数います。

踏切板まで走る選手はいませんが、かなり近くまで走って来る選手はいます。

ルールに反した行為です。このことで即失格ということはありませんが、注意を受ける行為なのです。注意も回数を重ねれば、警告や退場ということもあり得ます。

競技役員も、踏切場所近くまで来たときには注意できますが、多少の距離の場合は注意できないこともあります。

毎年、新年度が始まる前に審判講習会が行われます。日本陸上競技連盟公認審判員資格を持つ人が受講して、新年度のルール改正内容などを確認します。

この、「 競技が開始されると練習として助走路や踏切場所は使用できない」というルールに反する行為については、2015年度が始まる前に行われた審判講習会でも、特に前の選手の試技後に追いかけるような助走練習は固く禁止する、ということが確認されています。

このルール、かなり守られていないルールです。

もしかすると選手に知られていないルールなのかも知れません。

競技役員もこの違反のみを見ている役員はほとんどいませんので、注意ができていないことが多いのが現状です。

これを機にぜひ知り、守ってほしいと思います。

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時刻 ~タイムテーブル(競技日程)、競技注意事項などに記載の時刻や時間~

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選手にとっても応援する家族にとっても競技の開始時刻は気になります。大会でのタイムテーブルや競技注意事項などにはいくつかの時刻がでてきますが、どのようなもので、いつのことを言っているのでしょうか?

 

 

 

競技の日程表が競技日程、通常タイムテーブルと呼ばれるものです。

最近のタイムテーブルには競技開始時刻以外にも、招集開始時刻招集完了時刻リレーのオーダ―用紙提出締切時刻が掲載されているものもあります。
タイムテーブルに記載がなくても競技注意事項には必ず関係する記載があります。

競技注意事項には他にも時刻に関することが書かれています。重要な内容です。

その主なものについて説明します。

 

競技開始時刻 


競技開始時刻、競技が始まる時刻です。

選手はその時刻に向けてウォーミングアップを行うわけですからたいへん重要な時刻です。
応援する家族にとっても絶対に見逃せない時ですし、その前には応援席の確保やビデオのセットなどもしますから大切な時刻です。

 
f:id:usariku:20170423184004p:plain フィールド競技の競技開始時刻

第一試技者(ひとり目の跳躍選手や投擲選手)に対して、競技役員が試技開始を示す白旗を振るときが競技開始時刻ですが、ファイールド種目はその競技自体の開始を示すために、競技役員が白と赤の旗を頭上に広げてあげますのでその時刻となることもあります。その直後が第一試技者の試技ですのでほとんど差はありません。

決勝の場合に選手紹介が行われることがありますが、それは競技開始時刻前に行われます。ですから応援する家族は競技開始時刻の数分前には選手紹介が行われることもあると考慮してください。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain トラック競技の競技開始時刻

競技が複数組ある場合はその最初の組のスタートの合図が行われる時が競技開始時刻です。

しかしこの時刻については、ルール上には明記されていません。

そのため、スタートの合図のタイミングではなく、選手紹介や、例えば「トラックでは男子100m予選が6組で行われます。・・・」などのアナウンスのタイミングになっていることもあります。

ですが、ルールに記載されていないことを補完するためにある、競技役員向けの運用マニュアル(ハンドブック)には、

 

5分前
400mまでの種目(4×400mリレーを含む)では スターティングブロックをセット、試走させる。
3分前
1500m~10000mの競走(競歩)では脱衣を指示。
2分前
1500m~10000mの競走(競歩)ではスタートラインに並ばせる。
レーンを使用する競走(800m以下、4×400mリレーを含む)の場合、脱衣を指示し、ただちに集合線に並ばせる。
1分30秒前
競技者の集合を再確認後,スタート準備完了をアナウンサーに連絡。
連絡を受けたアナウンサーは競技と選手の紹介を行う(中長距離種目や競歩で選手数が多い時はスタート後に選手紹介を行う場合もある)。
アナウンス終了後
スターターはスタート合図を行う。 

 

と記載されています(一部略または追記)。

経験のある選手なら気付くと思いますが、この記載のとおりだと、スターティングブロックをセット、試走してからトレーニングウエアなどを脱衣することになっています。
少なくとも規模の大きな大会でのことです。

多くの大会ではトレーニングウエアなどを脱衣後にスターティングブロックをセット、試走を行います。その場合は3~4分前にスターティングブロックのセットを行うことになります。

そして、ここまでの内容は、選手紹介がある場合です。選手紹介がない場合は1分程度短縮します。3分程度前に競技役員の指示に従って、トレーニングウエアなどを脱衣した競技を行う衣類(姿)でスターティングブロックのセット、試走を行い集合線に並びスタートの合図を待ちます。

集合線とはレーン番号標識の前の位置です。

 

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選手紹介を準決勝や決勝では行う大会も多くあります。紹介は競技開始時刻の前に行われることだと考えましょう。
応援の家族はそのこともお忘れなく。

 

その他の主な時刻 


f:id:usariku:20170423184004p:plain 招集開始時刻と招集完了時刻

招集とは競技に出場する選手の点呼のことです。

競技毎、ラウンド(予選、準決勝、決勝など)に行います。

ナンバーカード、トラック種目では腰ナンバーの配布や正しくつけられているか、リレーでは選手のユニフォーム(衣類)が揃っているかなどの確認、スパイクのピンの長さや数、靴底の厚さなどの検査、衣類や持ち物の商標の数や大きさの検査なども行われます(大会により行われないものもあります)。

選手にとってはたいへん重要な点呼です。
招集開始時刻から招集完了時刻の間に点呼を受けます。

この時刻に遅れると競技に出場できません。遅れると欠場と見なされます。
この、招集に関することは競技注意事項に必ず書かれています。「競技開始時刻を基準とし、開始は〇〇分前完了は△△分前」などという記述です。
表になっていることもあります。
競技により時間が異なる場合もあります。

組数が多い時は組により異なる場合もあります。組数が多い時は、後の方の組が「競技開始の▽▽分」と「」になっている場合もありますので注意しましょう。
タイムテーブルに記載がある場合はタイムテーブルで確認した方が良いでしょう。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain リレーのオーダ―用紙提出締切時刻

文字どおり、リレー種目に出場する選手、走順などを記入、監督の署名が書かれた専用用紙の提出締切の時刻です。

ルールでは、そのリレー競技の第1組の招集完了時刻の1時間前が締め切り時刻です。

この時刻に提出が遅れると競技に出場できません。遅れると欠場と見なされます。

 

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain プログラム記載事項の訂正受付時刻

プログラムに記載されている氏名、学年、所属などに誤りがあることがあります。
その訂正を受け付ける時刻です。

「午前9時30分、あるいは競技開始時刻の1時間前まで」というような記述になっています。

訂正内容によっては競技結果や賞状記録証などに印刷される内容の訂正になることもあります。受け付け時刻に間に合わなければ訂正してもらえず誤ったまま印刷されます。

プログラムを 手にしたら必ず訂正がないか確認しましょう。

ほとんどの大会はエクセルなどの電子データで申し込みを行います。そのデータのままプログラムに印刷されます。その場合の誤りは大会の申し込みを行った人です。その人がどのように名前を入力したか、もし他の名簿などからコーピーし貼り付けしたならば、次の大会でも誤る可能性があります。誤っていた時は申し込みを行った人にも誤りを伝えましょう。

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain 練習場使用に関する時刻、時間

大会でのウォーミングアップなどが行える練習場の使用に関する規定が競技注意事項に記載されていることがあります。
例えばハードルの練習が可能な時間帯などです。

練習場自体の使用可能時間の記載がある時もあります。
特に補助競技場がない、あるいは使えない大会の場合で本競技場が練習場になる際には選手のウォーミングアップなどに大きく影響する時刻です。

他にも欠場届提出に関する日時などが記載されている場合もありますが、ここでは省きます。

 

時刻は選手にとって大切なものです。遅れると競技に参加できない時刻もあります。ぎりぎりになって慌てる選手をよく見ます。余裕をもってのぞみましょう。

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「組運」はどれだけ結果に影響するか~決勝進出条件を考える。準決勝2組4着か2組3着+2か~

f:id:usariku:20170423225103p:plain日本選手権では男子100mが注目されました。その100m、多くの大会では予選、準決勝、決勝があります。準決勝が2組の場合の決勝進出条件がその時によって異なることがあります。選手にとっては気になること、時には大きな影響があることです。そのことについて日本選手権とインターハイにつながる各地区大会(地区予選会)の実情を調べてみました。
※本記事の各競技会はは平成29年度のものです。 

 

 

 

この記事は100mについてです。

国際ルールでは、エントリー選手数により準決勝の組数が決められています(特別な事情がない限りはこのルールに則る)。


・選手数24名以下は準決勝は設けない。
・25名~32名、準決勝は2組
・33名~56名、準決勝は3組
・57名~80名は予選を更に一次予選、二次予選と細分化し、二次予選が4組、準決勝は2組

 

選手数がこれ以上のときも、一次予選、二次予選、準決勝となり、それぞれ組数が決められていますが、本記事では省きます。

この国際ルールは、国内大会では適用されません

国内大会では主催者が準決勝の有無、組数を決めます

日本選手権(日本陸上競技選手権大会)は年によりエントリー選手数が変動します。

選手数が少なく、予選の組数が2組または3組にできる場合は準決勝がなく、予選、決勝の2ラウンドだけになります。

平成29年の第101回日本選手権の女子100mは、エントリー選手数が29名でした。予選、準決勝、決勝の3ラウンドの予定でしたが、2名が欠場し27名となったため、予選を各組9名の3組とし、準決勝はなくなりました。
競技場が9レーンだったため9名で走ることが可能でした。国内大会でのみ適用できるルールでも、「9レーンがある場合は、これを有効に活用して、一次予選の組数を少なくしてもよい」との記載があり実現したのでしょう。

今年(平成29年)を含め過去10回の日本選手権の男子100mを調べてみました。10回のうち2回が準決勝がなく、その他8回は準決勝があり、準決勝の組数は全て2組でした。


今年(平成29年)のインターハイ(全国高等学校陸上競技対抗選手権大会)の地区大会は全部で11地区ありますが、その中の1地区は24名のエントリーで準決勝なしでした。

36名以上の3地区は準決勝3組、他の24名~31名の7地区は準決勝2組でした。
準決勝を行った地区のうち準決勝が2組の場合の決勝進出条件は、「各組3着までと4着以下の中で記録上位2名」か「各組4着」のいずれかでした。


国内大会の場合、この進出条件も主催者が決めます



進出条件や組み分けについての詳細は次の記事をご覧ください。 

 



日本選手権を主催している日本陸上競技連盟(以下「日本陸連」)の場合、ルールに掲載されているものではありませんが、次のような申し合わせ事項があります。

日本陸連主催・共催競技会 
ラウンド通過と番組編成に関する申し合わせ
A:トラック競技
1.レースの全部か一部に各自のレーンを用いる種目
⑴ 予選が2組の時のラウンド通過は着順+記録上位とするが,予選を経た準決勝が2組の時は着順のみ(4着取り)とする。


つまり日本選手権の準決勝からの決勝進出条件は「2組4着」です。

日本陸連は、記録上位を条件にすると、風力の差がある時に風力が良い組が優位になる可能性が高いため好ましくない。また予選の結果に基づき準決勝の組分けを行っており組間の走力差が小さいとみていることも理由のひとつとのことです。


それでは、「もし違う組で走っていたなら決勝に行けたのに!」というような、「組運」が結果に影響するケースは実際にどのくらい起こっているのでしょうか。

 

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過去8回の日本選手権の男子100mと今年のインターハイ地区大会の100mを検証しました。

検証は風力の差を考慮する必要があるケースがあれば、風速が(無風)0.0m/sだと仮定した記録に換算できるサイトも利用し、その結果も参考に行っています。


その結果、日本選手権では風力条件が悪い(追い風が弱い)組の5着が風力条件が良い(追い風が強い)組の4着より記録が良い時、つまり組が違えば決勝に進出できる選手が変わるのは1回だけでした。

その回の実際の結果。(Qは順位で決勝進出が決まった選手。)
1組の5着の選手がもし2組で走っていたら決勝に進出できた可能性が高い

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今年(平成29年)のインターハイの地区予選では11地区のうち7地区の準決勝が2組、決勝進出条件はそのうち3地区が2組4着」、4地区が2組3着+2」でした。

2組4着を採用した3地区の100mの男女、合計6競技、そのうちの3競技(50%)で組運が悪く決勝に進めないということが起きています。

1組の5着の選手がもし2組で走っていたら決勝に進出できた可能性が高い例(実際の結果とは異なります)Qは順位で決勝進出が決まった選手

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2組3着+2
を採用した4地区の100m男女、合計8競技、そのうち1競技(12.5%)で、風の条件が悪く決勝に進めないということが起こっていた可能性が高いことが分かりました。

1組は追い風が弱く4着が+2に入らなかった例(実際の結果とは異なります)。Qは順位で決勝進出が決まった選手、qは記録上位2名で決まった選手。1組のときに2組ほどの追い風があれば1組4着の選手は2組5着の選手より記録が良かったと推測できる。

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日本選手権はかなりの率で「2組4着」が妥当であるといえます。


一方、インターハイ地区大会では、何らかの問題がある確率は「2組4着」で50%、「2組3着+2」は12.5%です
「2組3着+2」の方が妥当
であったのです。


日本選手権
で「2組4着」が妥当なのには他に大きな理由があると私は考えます。
それは参加標準記録が設定されていることです。
エントリ―する選手はその記録に到達していなければなりません。そのため選手間で極端に大きな記録差が生じない可能性が高いのです。


一方、インターハイ地区大会に出場してくる選手はその前の大会(都県大会など)で上位6位に入った選手です。記録は関係ありません。エントリーする選手間の記録差が大きい可能性が高いのです。そのことも関係していると想像できます。


このインターハイ地区大会の検証結果、今年だからこうなったのかも知れません。

 

インターハイ本大会は日本陸連も主催団体のひとつです。
準決勝は3組ですが、もし2組なら上記の申し合わせ事項により「2組4着」になると思われます。


一方、インターハイ地区大会には日本陸連は主催も共催もしていません。各地区関係団体が主催しており、各地区で条件を決められます。


今年(平成29年)のインターハイの地区大会で実際に組運が悪く決勝に進めなかった選手を見ています。
その大会のルールですのでやむを得ないことですが、地区大会で決勝に進出するか否かもそうですが、仮に決勝に進出しインターハイの出場権も得ていたなら、その選手の今後の競技人生や進路も大きく変わっていく可能性もあったのかと想像するとすっきりしない気分になります。


区間でのインターハイ出場選手に記録差がでるのは勝ち上がりで進むためやむを得ないと思います。


また「4組2着」を採用した地区大会は、全て参加者数24名の大会です(一地区のみ特例措置または下位大会で6位同着2名などの理由で25名あり)。
予選の一組の人数を減らし準決勝を設け、準決勝進出選手の力(記録)差を減らそうとはしています。

しかし参加者数24名でも「2組3着+2」を採用している地区大会もあります。
参加者数が同じでも「2組4着」の場合と「2組3着+2」の場合が混在、この条件は同じインターハイにつながる大会ですので統一させる必要があると思います。 


高体連関係者の方、ぜひご検討を・・・

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リレーのバトンパスで多いミスなど ~バトンを渡す前走者編~

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リレーのバトンパス、ときにはミスしてしまいます。今回は4×100mリレーでバトンを渡す前走者が起こすミスについてです。

※2018年3月13日、2018年度規則(ルール)改正に伴う修正(赤字、打消し)

 

 

 

まずバトンパスに関するルール、次の記事で確認してください。 


ここでは、渡す前走者が起こすミスについて書きますが、ミスがそのまま失格となる場合とそうでない場合があります。

一番多いのがバトンを受け取る次走者に追いつけないこと。
次走者の走り出しが早い時もありますが、前走者が疲れる向かい風が強いなどで大きく失速する場合もよくあります。大きな失速は特に小学生や中学生の初心者(以下まとめて「初心者」と書きます)に見られます。

仮に次走者が早く走り出しても、次走者は走る方向を見ているため前走者の様子はわかりません

ですから前走者は追いつけない時はとにかく早く大きな声をだすことです。
待って」「早い」など予め言葉を決めておきましょう。

初心者は声を出さず、追いつこうと頑張ってしまうことが多いです。
加速する次走者、失速する前走者、ますます追いつけなくなります。
追いかけっこでもそうですが、追いつけそうでない時はかなり早くにわかります。
とにかく早く声を出しましょう。

また初心者に多いのですが追いつき渡せるタイミングに「はい」など手を出してもらうための合図を行わないことがあります。そのまま追いかけ結局渡せなくなります。
追いついていないと思っている、あるいはもっと近づいた方がよいと思っていることもあるようです。渡すのは手を伸ばした状態が有利(利得距離が長い)なのに、その理解が足りないようです。

練習で4人そろって流し(全力走ではない70~80%程度のスピード)ながらバトンパスを行うことがあると思いますが、オーバーハンドパスの場合、その際に前走者のうでがしっかり伸びていないのを多々見ます。前走者、次走者ともにうでが伸びている状態で行うようにしましょう。次走者には前走者との距離がわかりません。前走者が距離を調整(スピードを調整)します。渡す感覚、受け取る感覚を身に着けることが目的の練習です。そこできちんとできていなければ練習になりません。但し時には近づいて渡す練習も行いましょう。本番でそのような状態になることもあるからです。但しその練習だと意識して行うこと。大切なのは前走者が感じる次走者までの距離感を身に着けることです。

 

次走者にすぐに追いついてしまう時があります。
次走者の走り出しが遅いときもそうですが、前走者の体が良く動く、追い風が強いなど前走者がスピードにのって走ってくることでも追いつきます。
次走者のスピードが上がるのに合わせ前走者がスピード調整することで対応しますがこのようになってしまった時は、(テイク・オーバー・ゾーンに前走者の手が入ったら)直ぐ渡すようにします。多くの次走者、バトンを受けてからスピードが増す傾向にありますので。

次走者にすぐに追いついてしまいそうな時、極まれにしか見かけませんが、前走者が「行け」など声を出しているチームがあります。予めその様な時声をかけると決めておけば、それも有効な手段でしょう。

追いつけない、すぐ追いついてしまう、どちらの場合もバトンパスはテイク・オーバー・ゾーン内で行わなければ失格です。

失格かどうかはバトンの位置で見ます。身体の位置で見るのではありません。
テイク・オーバー・ゾーンの入口(スタート寄り、入口のライン上はゾーン内)より手前で追いついてしまっても、次走者にバトンを触れさせないよう待ちます。

そして、テイク・オーバー・ゾーンの出口より先(フィニッシュ寄り、出口のライン上はゾーン外)では、前走者がバトンに触れていてはいけません。

そうならないようにするために、大事なのは早く大きな声を出すことです。

それから、バトンを落としてしまうミス、多いのは次走者が持つ前に放してしまうミス。接近し過ぎて渡せないこともよくあります。オーバーハンドパスの場合、気を付けるのは次走者の手にしっかり押しつけること。次走者の手の出し方も要注意、特に低い位置で手のひらを上に向けるのは前走者はかなり渡しにくいです。

押しつけるように渡す

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バトンパスに集中し、内側のラインを踏む、となりのレーンに入ることがあります。
曲走路で内側のラインを踏む、あるいは踏み越すのは失格です。
曲走路の外側のレーンに入る、あるいは直走路でもとなりのレーンに入って、他のチームを妨害したら失格です。
自身のバトンパスが終わった後でも他のチームを妨害したらダメです。

 

バトンパスは、とにかく練習や大会などで経験を積むことが大切です。
次の記事に書いていることも重要です。 


大会当日の選手の調子や天候(風、雨など)によってもバトンパスのタイミング(次走者が走りだすポイントなど)は変わります
練習や選手同士のコミニュケーションを大切にタイミングについて確認しましょう。

バトンパスでのミスや失格で多いのは、テイク・オーバー・ゾーンの出口の先で渡すこと(オーバーゾーン)で、次走者の走り出しが早いなどが原因なのはよくあることですが、次走者は走る方向を見ているため前走者の様子はわかりません。バトンを渡せるかは前走者の判断や対応が重要なのです。


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スターティングブロックに、ちょっとした気配り 

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スターティングブロック、練習や大会で使用することがある人は知っていることですが、夏場はかなり熱くなります。特に手で持つための取っ手の部分に、その対策がされていました。

 

 

 

スターティングブロックは、400m以下のトラック競技のスタートで使用するものです。

スターティングブロックと収納台

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使用例(スタートの号砲直後)

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このスターティングブロック、選手が使用するときに自分の使いやすい位置に動かすのですが、実は競技役員や競技役員を補助する補助員が動かすことの方が多いのです。

使用していない時は上の写真のように台に載せてあり、400m以下の競技が始まる前に各レーンにセットし、競技が終われば台に戻します。

1周400mのトラックの場合、400mや4×100mリレー、4×400mリレーでは、選手がスタートした直後に一度取り外します。選手が1周走り、スタート地点に戻ってくるからです。

同じ競技が続く時には、選手がフィニッシュした後、再びスタート位置にセットします。

スターティングブロックは、トラックにピンで固定して使います。
次の写真は支柱の後方部を下から見たところ、ピンが左右各4本、計8本付いています。写真には写っていませんが支柱の前方部に4本が付いています。

 

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このピンをトラックに刺すことでスターティングブロックをトラックに固定させます。
このピンは、スターティングブロック用のピンとしてメーカーが販売していますが、ニシ・スポーツの製品はスパイクのピン(先端が尖ったもの)でも代用できます。
ニシ・スポーツが販売しているのは長さ12mmのピンです。

選手がスターティングブロックをセットする際に行うのが、支柱が固定されるようにピンが付いている支柱の前後を踏むことです。踏むのは踵(かかと)で行います。

 

選手が支柱の前方部を踏んでいる写真

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選手が強く踏んでいる時など、スターティングブロックを移動させるためにトラックから外すのが、かなり固いことがあります。

スターティングブロックの支柱には手で持つための取っ手が付いています。下の写真の赤矢印の部分です。青丸はトラックに固定するピンが付いている部分です。

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スターティングブロック自体も重量(写真のもので約4.5kg)がありますし、トラックに強く固定されている場合には、取っ手をかなりしっかり持たなければ外せません。

しかし、この取っ手部分、金属でできているため夏場はかなり熱くなります。
熱くて触れないこともあります。

この熱さ対策が行われているスターティングブロックがあります。

次の写真の黄色矢印部分です(青丸はトラックに固定するピンが付いている部分)。

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これはホームセンターなどでも販売されているスポンジシートのようなものを巻いたものです。

スターティングブロックなどの器具は通常競技場に備え付けのものを使用します。写真のものも競技場のスターティングブロックですが、熱さ対策を行ったのは、ニシ・スポーツの担当者です。

写真のスターティングブロックには、ニシ・スポーツのスタート・インフォメーション・システムの器具が取り付けられています。 

 

競技場に備え付けのスターティングブロックにスタート・インフォメーション・システムの器具を取り付けたのはニシ・スポーツの担当者、その際に熱さ対策として巻いたものです。

特にルールなどで定められたものなどではありません。
この熱さ対策を最近見たのは日本選手権と関東インカレのときです。日本選手権でも行われているのですからルールに反するものではないのでしょう。

熱さ対策を目的としているそうですが、もしかすると持ちやすいという利点もあるような気がします。

今度試してみようと思います。

選手だけでなく、競技役員や補助員にもやさしい、ニシ・スポーツさんの気配りでした。

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