うさりく先生の陸上教室

 

うさりく先生の陸上教室

陸上競技に関する情報や基礎知識を発信します。陸上競技を始めた人、もっと知りたい人、また、指導者の皆さんにも参考になるブログです。

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常にきれいな腕ふりをしよう!!

f:id:usariku:20170423225103p:plain練習ってどこから始まって、どこで終わりなの?見ていて、そこも練習じゃないの?と思うときがあります。

 

腕ふりについて。

 

中学生が練習を行っているのを見る機会があります。
その時よく思うこと、気になることの代表例について書きます。

 

ずばり「腕ふり」です。

 

ウォーミングアップでの腕ふり、ダウンでの腕ふり、練習途中、例えばインターバルトレーニング(決められた距離を速く走るとゆっくり走る(ジョッグ)を繰り返すトレーニング)でのジョッグ中の腕ふり、きちんとできていない選手を多数見ます。

確かに疲れた時の腕ふり、胸の前でかかえ込むようになるのはわかります。インターバルトレーニングきつくて腰に手を当てたくなるのはわかります。

 

それでもきれいな腕ふりを行いましょう。

 

疲れた時に腕ふりが小さくなる、腰に手を当てるという行為、楽になるかも知れませんが、身体に疲れていることを覚えこませていることにもなっているのです。これは悪循環です。かかえ込む様な小さな腕ふりが身についてしまいます。

 

アップやダウンも練習です。きれいな腕ふりを行いましょう。
きれいな腕ふりを身に着ける機会を自ら逃すようなもったいないことはやめましょう。

 

ものすごく簡単なことです。できている選手や学校も多数あります。

しかしできていない学校もあります。

この様子を見ただけで、競技、練習に取り組む姿勢が見えてきます。

 

一度自分がどうか、学校がどうか確認してみてください。 

 

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飯塚翔太選手(ミズノトラッククラブ)の陸上競技教室

f:id:usariku:20170423225103p:plain約2年半前、ある競技会の後に開催された陸上競技教室に、ミズノトラッククラブの現役選手数名が講師として来てくれたことがありました。その時の短距離ブロックの講師を務めたのは、飯塚翔太選手でした。
そうです。リオデジャネイロ・オリンピック、日本代表男子4×100mリレーの第2走者の飯塚選手(自己記録100m10秒22、200m20秒11日本歴代2位))です。
私はそこで、彼の手伝いをさせてもらう機会に恵まれました。

今回はその陸上競技教室で行なったトレーニングのことを記事にします。

 

 


指導対象は中高生でした(以後、「生徒」と呼びます)。

まずはステップ類やボックスジャンプなどを行いました。

一般的によく行われるトレーニングですが、飯塚選手の見せてくれたお手本は、「一般的」とはかけ離れたものでした。足の母指球(走るときに地面をとらえる大切なところ)でしっかり地面をとらえることにこだわったものだったのです。

例えばボックスジャンプ、その名のとおりボックス(箱)を利用して行うトレーニングです。基本的なものは、地面から両足でジャンプしボックスに両足で着地、ジャンプした位置に降り、またジャンプという動作を繰り返すもので、下半身の瞬発力を伸ばす効果があるとされています。

このトレーニングでボックスに着地するとき、一般的には膝を曲げて両足で優しく着地することが多いのですが、飯塚選手の着地は違います。母指球をボックスにしっかりたたきつける様に着地します。しかもピタっととまります。その音も「バン」と短く大きいものです。ジャンプするときも母指球を意識した跳び出しです。

先に生徒数名にやってもらいます。当然優しい着地です。
そして飯塚選手が「バン」と母指球でしっかりした着地を見せました。
その動作だけでもトップアスリートの強さが伝わるものでした。
その後生徒たちも挑戦しましたが飯塚選手と同様にできる生徒はいません。
簡単そうで結構難しいのです。

努力を重ねてきたトップアスリートの飯塚選手だからこそバン、ピタっときまるのです。体幹の強さも見てて感じ取れました。
でも生徒たちも回数を重ね、それぞれに進歩は見られるようになりました。

個々に応じた進歩。そこに意味があるのです。

このような陸上競技教室を行うと、特に生徒の競技力や経験に差がある場合、高度な技術や練習方法などを教えても理解できず、その動きもできないという生徒が多数がでてきます。

飯塚選手の指導は、どの様な競技力や経験を持つ生徒でも理解でき、実践できる内容で素晴らしいものでした。


ここまでは陸上競技でよく行う練習でした。さらに飯塚選手の練習は続き、ここからは、生徒にすれば目新しいことでした。でもその内容は子供でもできること。いやむしろ子供の方が得意なことです。

具体的に紹介しますね。
自宅でもできることです。2名以上で行います。

まず、5色の目印を準備します。トレーニングに使うディスクマーカー、色画用紙など何でも大丈夫です。形が不ぞろいでも構いません(立って行う時は踏んで危ないものは避けましょう)。

ここではディスクマーカーで説明します。

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イラストの様にうつ伏せになり手足を伸ばした位置の手足の横と頭の前方にマーカーを置きます。色の配置に決まりはありませんが、複数名で行うときは同じところに同じ色を置いてください。

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やることは簡単です。
イラストの様にうつ伏せになる人と色を言う人を決めます。交代で行って構いません。
色を言う人が任意の色を声に出して言います。
うつ伏せになっている人はその色のところにある手足を10~20cm程度上げます。
頭の前方の色の場合は頭を横に向けます。
ただそれだけです。

最初は1秒に1回程度のスピードで色を言い、徐々に言うスピードを上げていきます。
同じ色を続けて言ってもOKです。行う時間やセット数(回数)に決まりはありませんが、1回30秒~40秒程度で十分です。

最後は「赤黄青青白赤緑赤青緑白白黄赤黄青白緑・・・」と連呼して終えます。
当然追いつきませんが思い出しつつできるところまで行わせます。
できなくても構いません。やろうとすることが大切です。

交代するとき次に行う人は色の位置を覚えてしまうことがあります。
飯塚選手の陸上教室の時も、次に行う生徒は必死に色を覚えていました。その時飯塚選手は「次、あお向け!」と言いました。必死に覚えた人、残念でした。

この練習は、バリエーションを増やすことが可能です。あお向け、うつ伏せの他にも頭の方向を逆にする(頭の先のマーカーは移動)こともできます。屋外や体育館で行うことになりますが立ってマーカーを手でタッチする。立ってマーカーを足でタッチするなど。立った時は少しマーカーを遠くします。立ってタッチした後は必ず中央に戻ります。頭の先に置いた(ここの例では白い)マーカーを更に離れたところに置き走らせることもできます。

実はこの練習、脳のトレーニングです。脳の反応や記憶を鍛える練習です。
この練習の後、飯塚選手は言いました。「うまくできた人より、苦労した人の方が今日は脳をよく使って練習になっているよ」と。

この様な練習は家庭でもできます。
より小さい子供のころから行うのが効果的です。


 

この日、最後の練習。
飯塚選手は生徒を周りに集め「身体の硬さに自信のある人」と言い、自身があると言った生徒に前屈をさせました。確かに硬い・・・
その生徒に目を閉じさせます。生徒は何をされるかわかりません。すこし不安な様子?
飯塚選手、その生徒の耳元でささやきました。とにかく褒めるのです。
「今日の君は絶好調だ。モテモテだ。身体もきれてる。・・・・」
など陸上競技に関係ないことも含め30秒程度、とにかくプラスなことを語りかけます。直後に再度前屈をさせると柔らかくなっているのです。

飯塚選手の話では「脳に錯覚をさせる」ということです。

その後、私も教え子に実践してみましたが効果がありました。


飯塚選手の生徒に接する姿、自ら歩み寄り、自身も楽しんでいる様子、それが自然体でたいへん素晴らしいものでした。

生徒も貴重な充実した時間が過ごせたと思います。

飯塚選手、ありがとうございました。

100m 9秒台、200m 19秒台目指し頑張ってください。
 

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リオデジャネイロ・オリンピックの男子4×100mリレー決勝、山縣選手から飯塚選手へのバトンパスから学ぶ

f:id:usariku:20170423225103p:plainリオデジャネイロ・オリンピックの4×100mリレー決勝、日本チームの第1走者山縣選手と第2走者飯塚選手のバトンパスについて思うことです。

 

リオデジャネイロ・オリンピックの4×100mリレー決勝での日本チームの活躍は本当に素晴らしかったです。

そのレース中、第1走者の山縣選手から第2走者の飯塚選手へのバトンパスの際に、少したつき(すぐに手にバトンが収まらなかった)がありました。そのために、テイク・オーバー・ゾーン(バトンゾーン)の出口にかなり近い位置でバトンパスが完了したことについてです。

あくまでも個人的な見解です。

ときどきあのバトンパスはミスだと言う人がいますが、私はそうは思いません。

その理由はレース後の各選手のインタビューにあります日本陸上競技連盟ホームページ「リオ五輪帰国後インタビュー」より)


山縣選手は、「ヤバい、(飯塚)先輩の手と合わない。」みたいな感じであったと語り、一方飯塚選手は、「ちょっと(バトンを受けるまでの間が)伸びたくらいに思っていました。山縣と僕であんなにわしゃわしゃなっているっていうのは全然記憶にない。」と語っています。

更に山縣選手はそのバトンパスで「減速はしなかったので、ロスはなかったと思います。」と、第4走者のケンブリッジ飛鳥選手も、「4走のところからわかりましたよ、もたついてるの。“あーっ”と思って。でも、普通に行ったから…。」と語っています。

このインタビュー、たいへん貴重な内容です。

実はリレーのバトンパス前走者(バトンを渡す走者)は全てが見えており、感覚的に渡せる、渡せない(追いつけない)、渡すのがうまくいかないなどが分かるのですが、次走者(バトンを受け取る走者)は走り出したら全く前走者の様子が分からないのです。
そうです、飯塚選手には山縣選手の動きは分からないのです。

次走者が分かるのは、マーカー(前走者がそこに到達すれば走りだすというポイント)などに前走者が来る前に走り出してしまったと自覚があるときや、逆に走り出しが遅かったと自覚があるときくらいです。しかし、この場合も前走者が同じ感覚とは限りません。

山縣選手は飯塚選手の手と合わないと感じながらもしっかり走れている(渡せる位置にいる)ので渡すことに集中していたはずです。

飯塚選手は、渡されると信じて走っていたのです。「ちょっと(バトンを受けるまでの間が)伸びたくらい」と思っていても、スピードを落とすとことはしていません。バトンを受け取る手もバトンが収まるまでしっかり固定させています。

これは簡単そうですがなかなかできないことです。

トップ選手は1秒間に10m程度進むスピードで走ってきます。バトンパスはわずか2秒強の間に行われることで、スピードの速い選手同士であるほど短時間で行わなければならないのです。
日本チームの選手たちには、経験、競技力、練習、そして信頼関係があったからこそバトンはつながったのです。

確かに、もたつくことなくスムーズに渡していればそれに越したことはないのですが、バトンを受け取る飯塚選手がもたついていると感じていなかったのですから、それはミスではありません。

インタビューで飯塚選手も語っていますが、後で映像を「見て改めて、“かなり攻めたバトンだったんだな”と…。」思ったそうです。このことからも絶妙なバトンパスであったと思います。

※「攻めたバトン」とは安全に確実に渡すのではなく、次走者は走り出しを早くし加速の速度を上げ、前走者が渡せるぎりぎりのところでバトンパスを行うということで、そこまでしなければ決勝では勝負できないと判断し、とった策。

飯塚選手は山縣選手のことを信じ全力で加速しました。その結果、他の強豪国の選手と互角の走りができたのです。

  



f:id:usariku:20170418121827p:plain バトンパスで意識してほしいこと

★前走者(バトンを渡す走者)は、もし追いつけないなど渡せないと判断したら、できる限り早く「待って」や「早い」と声をかけます。早く言えば次走者は急激に速度を落とすことなくわずかに速度を落とすことで渡せる場合があります。

★次走者は、前走者が「待って」や「早い」と声をかけない限り、渡してもらえると信じ、全力で加速します(次走者が誤って前走者がマーカーに到達する前に走り出したと自覚があっても関係なしです)。

★次走者は前走者からの「はい」などの合図で手を出したら、自分の手にバトンが収まるまで手を動かさないことです(仮に一瞬手にバトンが当たっても、手でバトンを探すような動きはしないこと。動いている手にバトンを渡すのは難しくなります)。

★次走者に前走者がすぐに追いついてしまった時は、テイク・オーバー・ゾーン内で確実にバトンが渡せるまで、次走者は並走するあるいは多少スピードを落とすなどその時の状況に応じた対応しましょう。

本番で意識するのは難しいことです。普段の練習ではどの様な状況でも、とにかくバトンを渡すことを心掛けましょう。

次の記事も参考に・・・ 

 

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スパイクのピンに関するルール

f:id:usariku:20170504075658p:plainスパイクのピン、形や長さなどいくつかの種類がありますが、ルールではどの様に規定されているのでしょうか?

 

 

では、現行のルールを見てみましょう。

スパイクの数
3. 競技用靴の靴底および踵は、11本以内のスパイクを取りつけられる構造とする。11本以内であればスパイクは何本でもよい。
〔国内〕 靴底と踵には、スパイクの位置を変えることができるような装置は11カ所を超えてはならない。

スパイクの寸法
4. 競技用靴の靴底または踵から突出した部分のスパイクの長さは9㎜を超えてはならない。また走高跳およびやり投の場合は、12㎜を超えてはならない。スパイクは先端近くで、少なくとも長さの半分は4㎜四方の定規に適合するように作られていなければならない。トラックメーカーもしくは競技場管理者がより小さい寸法の上限を設けている場合は、これを適用する。
〔注意〕トラックの表面は、本条で認められるスパイクの使用が可能なものでなければならない。


となっています。
ここでのスパイクとはスパイクのピンのことです。またこの記述は全天候舗装(全天候型)のトラックについてのものです。

*ピンの数は11本以内なら何本でも良い(片足の数)。

長さは9mmまで、走高跳およびやり投の場合は長さは12㎜までピンの先端から長さの半分までは4mm四方の定規に収まる、簡単に言うと4mm以内の太さということです。

*ただし、使用する競技場などが規定より小さい(短い)ものを上限としている場合はそれに従わなければなりません

スパイクに関するルールはここ数年で少しずつ変わっています。


2016年度、現行ルールの次の部分が追記されました。

トラックメーカーもしくは競技場管理者がより小さい寸法の上限を設けている場合は、これを適用する。
〔注意〕トラックの表面は、本条で認められるスパイクの使用が可能なものでなければならない。


また過去には国内のみのルールとして次のような記述がありました。

[国内] 全天候舗装のトラックではスパイクの先端が鋭利なものは使用してはならない。2012年度(室内競技では2014年度)まで


2012年度(室内競技では2014年度)までは、ピン先が尖ったものは使用できませんでした
国内独自のルールで、ピン先が尖っているとトラックを傷めてしまうためそれを回避するためのものでした。

しかし国際ルールにはこのような記載はなく、海外の国際ルールに則った大会では先の尖ったピンの使用は認められていました。

最近の新たなトラックは傷付きにくいものになってきていること、国際ルールに合わせることなどの理由から2013年度(室内競技では2015年度)に記載が削除されました。

2016年度の追記では、競技場などによりルール記載の長さや太さより小さい(短い)制限を設けられることを明記しました。これ以前にも大会要項や競技注意事項などで制限を設けている大会もありましたが、ルール上でも明確にしたものです。

日本陸上競技連盟主催の「日本ジュニア室内陸上競技大阪大会」の会場は、大阪城ホールに仮設のトラック、フィールドを設営しており、厚さなどの都合で大会要項や競技注意事項に「スパイクのピンは7mm 以下のもを使用すること。」と記載しルールより短い長さを上限としています。


日本ジュニア室内陸上競技大阪大会の会場写真f:id:usariku:20170530210837j:plain

 

日本ジュニア室内陸上競技大阪大会の仮設トラック設営の様子
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まとめ

・スパイクのピンの数は11本以内(片足)
・長さは9mm以下、走高跳およびやり投の場合は長さは12㎜以下
・ピンの先端から長さの半分までは4mm以内の太さ
・使用する競技場などが規定より小さい(短い)ものを上限としている場合はそれに従わなければならない


あまり知られていないことかも知れませんが、一般的には土やアンツーカー用とされている先が尖ったピンも、長さや太さが規定以下で競技場などが禁止としていなければ、全天候型トラックで使用できます。ダメだったのは2012年度(室内競技では2014年度)までです。

でも注意、これ比較的最近本当にあった話、ミズノの人から聞きました。
ミズノの上級者向けスパイク、クロノインクス、固定ピン(スパイクにピンが固定されており取り替えができない)の7mm、先が尖ってはいないがかなり細いスパイクです。

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このスパイクをある地方の大会で使用しようとしたところ、ピン先が細く尖っていると判断され使用を認めてもらえなかったことがあったそうです。
事後に所有者からミズノに問い合わせがありました。

従って、何故禁止にされたかまでは不明なのですが、2013年度(室内競技では2015年度)以降は尖ったピンでも使用可能なので、申し込み時に見る大会要項で禁止を明記しているかいないかなどを十分確認していればこの様なトラブルは防げたはずです。

大会要項に禁止と書いてあれば選手の申込時の確認漏れで選手のミス。
書かれていなければ主催者のミスです。

時には使用できる競技場なのに競技役員の勘違い(ルール改正を忘れている)で当日その場(主に招集時)でダメだといわれることもあり得ます。
ルールをきちんと知っていたなら異なる結果になっていたかもしれませんね。

 

さて、ピンの長さや太さの規定はありますが、形状の規定はありません。
ですから例えばアシックスの「パウピラ AS-F TTP983」の様な形状のものもあるのです。

f:id:usariku:20170530214518j:plainアシックス パウピラ AS-F TTP983

  

  過去の記事一覧 f:id:usariku:20170517002941p:plain

 

 

記録の発表「0」の読み方

 f:id:usariku:20170423225103p:plainアナウンサーが記録などを発表するときの数字の読み方について説明します。
結果には影響ありませんが、きちんと決まりがあります。

 

陸上競技の競技役員に「アナウンサー」という役職があります。大会会場で選手紹介や記録の発表などを読み上げます。

テレビ放映がある大会では当然テレビの実況アナウンサーもいます。

ーー男子100m決勝、1着の記録は「10秒24」

 

この記録の読み方ですが、10年位前までは、テレビのアナウンサーがニュースなどで「じゅうびょうにじゅうよん」なんて言っているのを聞くことがありました。さすがに今ではなくなりましたが・・・

では、このリザルト(競技結果)は、どのように読むのが正しいのでしょうか。

 

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1着の記録、40秒00
2着の記録、40秒08

1着の記録の読み方「よんじゅうびょうれいれい」、2着の記録は「よんじゅうびょうれいはち」です。

間違えやすいのは2着の記録、「よんじゅうびょうぜろはち」と読んでしまいそうです。

「ぜろ(ゼロ=ZERO)」は英語ですね。他の数字は日本語で読んでいるので、それに揃えて「れい(零)」と日本語読みをします。

リオデジャネイロ・オリンピック、男子日本チームの記録は、「37秒60」。そのときのテレビの実況アナウンサーは、やや興奮状態ながらも「さんじゅうななびょうろくれい」ときちんと言っていました。

先日行われた、ゴールデングランプリのやり投で、途中トップの記録85m08がでたときには、テレビの実況アナウンサーは思わず「はちじゅうごめーとるぜろはち」と言ってしまいました。
一般的には誤りではありませんが陸上競技では「はちじゅうごめーとるれいはち」が正しい読み方です。ついうっかりということもありますよね。

時々このような「ついうっかり」もありますが、テレビの実況アナウンサーも、陸上競技の競技役員のアナウンサーと同様の読み方を行うようにしているのですね。


ルールではありませんが、競技役員のアナウンサー向けのマニュアルがあります。 一部抜粋します。

アナウンスの用語
(1) 男子は「君」、女子は「さん」。
(2) 4は「よん」、7は「なな」、9は「きゅう」、0は「れい」、8分は「はちふん」(「はっぷん」ではない)


大会で競技役員のアナウンサー以外、例えば走幅跳の競技役員が記録を計測した際に読み上げるときも同じです。

 

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水分補給の方法が運動強度や環境により異なる理由~熱中症対策~

f:id:usariku:20170504075658p:plain熱中症対策としての水分補給の記事に「スポーツにより運動強度や運動の継続時間、運動環境などが異なり、水分補給の方法も違ってくることがある」と書いてありましたが、どういう意味なのでしょうか?

  

 

 


こちらの記事では、陸上競技の練習を2~3時間程度行う場合の水分補給と限定して書きました。休憩を入れながらもしっかりした内容のハードな練習が前提です。


競技を限定したのは、スポーツにより運動強度や運動の継続時間、運動環境などが異なり、水分補給の方法も違ってくることがあるからです。

簡単に説明しますと、短時間に激しい運動か、激しくはないが長時間をかけて行う運動とでは適切な水分補給の方法が異なるということです。
直射日光が当たる、体育館内で蒸すなどの練習場所の環境も関係します。

 

運動のタイプ別水分補給の方法


f:id:usariku:20170418121827p:plain「短時間に激しい運動」タイプ


バスケットボールの試合サッカーの試合などは、短時間にかなり激しい動きをするスポーツです。発汗が多いだけでなくエネルギーも消費します。

市販のスポーツドリンクを薄めず飲むことを推奨します。


市販のスポーツドリンクは成分表示で確認できますが、ほとんどのものが100ml中、ナトリウムが40mg程度入っています。塩分濃度にすれば0.1%程度です。
必要とする塩分濃度は0.1~0.2%ですから、それをクリアしています。
(「食塩相当量0.1g」(約0.1%)というような表示のものもあります。)

また、エネルギー補給のために糖分4~8%程度を含んだものを摂る必要があります。糖分は、成分表示では炭水化物と表示されている場合が多く、ほとんどが2~5g(約2~5%)、中には6%を超えるものもあります。
十分なエネルギー補給が行えます。

陸上競技の練習もこのタイプに当てはまります。また陸上競技の大会の時(トラック競技)も、アップから競技までの運動量を考えると、水分補給の方法は「短時間で激しい運動」タイプと同じと考えて良いでしょう。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 「激しくはないが長時間をかけて行う運動」タイプ

このタイプの運動には、野球の試合が挙げられます。

バスケットボールなどの様に常に動き回っていることはなく、静止時間や攻撃時にベンチに座れる(日陰の場合もある)ときもあります。

特に1日に数試合行う様な場合、市販のスポーツドリンクを飲み続けると糖分の摂り過ぎになることがあります。

そのため、薄めて飲むということを行うこともあるようですが、やはり薄めるのはすすめません。スポーツドリンクは体内に吸収しやすような成分、濃度を考慮してつくられているのに、その濃度を変えてしまうと体内への吸収が適切に行われなくなるからです。


スポーツドリンクによる糖分の摂り過ぎが心配されるときの対応策としては、麦茶などと併用する方法があります。

また最近では糖分を抑えたスポーツドリンクも市販されています。

例えば、「アクエリアス・ゼロ」。

塩分は約0.1%と他のスポーツドリンクとかわりません。一方炭水化物は0.7gと一般的なものの2~5gと比べるとかなり少量です。
この様なものを使い分けて飲むのも良いと思います。

 

アクエリアス・ゼロの成分表示(記事記載時点)

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アクエリアスの成分表示(記事記載時点)

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運動時以外、日常の水分補給の方法


スポーツとは関係しませんが、最近日常的な飲み物としてスポーツドリンクを飲むことがあると聞きます。
熱中症対策としてこまめに水分と塩分の補給を行うようにという呼びかけに答え、スポーツドリンクを選ぶ人がいるようです。


日常生活ではスポーツをしているときと比べ、発汗量やエネルギーの消費量が少ない傾向があります。
スポーツドリンクばかりでは、糖分(炭水化物)の摂取量が多くなる可能性があります。やはり麦茶などとの併用をおすすめします。


また、お茶の種類によっては利尿作用の高いものもあるようです。
せっかく水分補給を行っているつもりなのに水分の排泄量が増え、結果として水分不足となることもあるようです。

 

水分補給と聞いて水ばかりを飲む人もいるようです。これでは塩分補給になりません。水だけでは体液の濃度も薄くなり、ふらつきや吐き気を起こすことも・・・

 

f:id:usariku:20170423225103p:plain水分補給は重要です。適切な補給を行いましょう。

 

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第96回関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ) 

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第96回関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)、表示ボードを活用していました。

 

活用例を紹介します。

その前に、ご存知2選手。

桐生選手、1部男子100m優勝(10秒24 -0.5m)

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ケンブリッジ飛鳥選手、今日は観戦。
会場内でインタビューを受けていました。

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では表示ボードです。

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競技中の記録表示(1部女子走幅跳

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表彰時の記録表示(1部女子やり投・大会新記録)
おめでとうございます!

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1部男子4×100mリレー決勝・選手紹介
1チーム毎に紹介され登場、多くのチームがポーズ・・・
全チームの写真です。

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次のチームの時、表示に誤りが・・・正しくは、
東洋大(選手名は走順)
森下 祐樹、与那原 良貴、北村 将大、桐生 祥秀

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リレー競技中、第4走者、自身の画像の前を走る・・・

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演出にもいろいろと工夫が感じられる大会です。

学生の大会、応援も面白い。おなじみ某農大の応援席の後ろには「大根」の箱がありました。

28日まで、新横浜の日産スタジアムで開催されています。 

  過去の記事一覧f:id:usariku:20170517002941p:plain

リレーのマーカー(テープ)きちんと貼らないとこうなります

f:id:usariku:20170423225103p:plainリレーのマーカー(テープ)のサイズや貼り方についての記事を書きましたが、やはり知らない選手が多いようです・・・

 

リレーのマーカー(テープ)について、そのサイズ・貼り方についてや過去の国際大会でもミスがあったことを記事にしましたが、関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)では・・・ 


 


知らない選手はいました。
競技役員、きちんと注意し、正しく貼り直しさせていました。

以下、その時の状況です。

各チーム、歩数(足の大きさを1歩としてそれぞれ何歩と決めているもの)を数えマーカーを貼っています。

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競技役員が貼ったものを確認、このとき選手はまだ知らずに、スタート(走り出し)の練習をしています。

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3レーンと4レーンがNG。マーカーが内側のラインに触れています。4レーンはかなり上にかかっています。

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 競技役員に呼ばれ、貼り直しです。

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他のチームの選手は走る方向を見て集中しています。

このとき注意された選手、大学でも上級生、それなりの競技経験があると思うのですが・・・
これまで注意される機会なかったのでしょうか?
それ以前に自分が出場する種目のルールは知っておきましょう。

 

f:id:usariku:20170423225103p:plainこのマーカー(テープ)の件、かなり多くの記事で書きました。
この件で貼り直しが起きた時、最も良くないことは、きちんとしている他のチームの選手を待たせること、迷惑をかけていることです。

競技役員が注意することがありますが、できれば注意することがない方が良いのです。

 

  過去の記事一覧 f:id:usariku:20170517002941p:plain 

「自ら進んでやる!!」それとも「やらされている・・・」 ~保護者は選手の応援者~

 

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小学生や中学生を指導している時、この子は陸上競技を楽しんでいるのだろうかと疑問に思うときがあります。

今回は、少しスポーツ心理学っぽいことも含め、選手のやる気(動機づけ)や保護者の接し方について書きます。

 

動機づけ=やる気 

やる気を持って練習や競技会に臨んでいますか?
 よく耳や目にするのは・・・「えーっ」「やだぁ」、そして、おしゃべり・遊び

練習する、競技会に出場するという「行動」には何らかの理由、つまり「動機」が存在します。

行動は同じであっても、行動の理由、すなわち動機は異なることがあります
その動議づけ、おおきく分けてふたつあります。

・内発的動機づけ(自ら進んでやる!!)

f:id:usariku:20170526030716j:plain「なんだろう、面白そう」(好奇)、「もっとうまくなりたい」(有能さ)


・外発的動機づけ
(やらされている・・・)

f:id:usariku:20170526031043j:plain「怒られたくない」(恐怖・不安)、「認められたい」(承認)

 

 動機づけ=やる気⇒目標⇒成功

 

「動機」があり「行動」を起こしますが、「行動」の目指すところが目標」です。

内発的動機づけ(自ら進んでやる!!)では、
「なんだろう、面白そう」、「もっとうまくなりたい」ということから、
「行動」を起こし、
「わかった!楽しい」「できた!」という目標に到達するのです。

外発的動機づけ(やらされている・・・)では、
「怒られたくない」、「認められたい」ということから、
「行動」を起こし、
「失敗しないこと」「目立たないこと」他者から賞賛を受けること」ということが到達する目標になるのです。

目標への到達が、成功した(うまくいった)と感じることにつながります。
「内発的動機づけ」であろうが、「外発的動機づけ」であろうが、「目標」への到達が「うまくいったと感じるときです。

成功の捉え方

 

「考えや気持ちが目指す方向」を「志向」といいます。

★「上達、努力」などを目指す「課題志向」、これは「自分を基準」に成功を捉えることです。
・練習に一生懸命取り組めた
・難しいことができるようになる
・もっと練習したい 
・新しいことに挑戦する 
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・活動自体が楽しい、やりがいがある
・困難に直面したときも継続する
・例え競技会で結果が良くなくても新たな課題を見つけ努力を繰り返す


★「勝利、賞賛、他者より優れていること」などを目指す「自我志向(じがしこう)」、これは「他者の評価や優劣を基準」に成功を捉えることです。
・他の人よりうまくできた
・自分が一番いい記録、成績
・友達や先生からほめられる
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・報酬がないと行動が生じない
・行動が長続きしない
・結果が得られないとあきらめる
・指導者が見ていないと怠ける

 

成功の捉え方・志向と動機づけ

 

課題志向」は「内発的動機づけ」と強い関係を持ち、「自我志向」は「外発的動機づけ」を強める要因です。 

より望ましいとされる競技への取り組みは「内発的動機づけ」によるところが大きく、上達や進歩、あるいは挑戦こそが成功です。

 

ジュニア選手の志向性は親の志向性に影響を受けやすく、小学生の頃にはすでに形成されているともいわれます。保護者の極端な勝利へのこだわりや特に金銭や物品などの物理的報酬(「競技会で勝ったら、これを買ってあげるね」など)は選手本来の内発的な意欲を奪ってしまいます。  

 

では「外発的動機づけ」は悪いのでしょうか?
きっかけは外発的動機づけでも内発的動機づけに移行していくことがあります。結果として望ましい姿になったといえます。

 

 

まとめ

こどもは興味があること、楽しいことをやりたいのに、親はこどもに期待し、記録や結果(順位)を求めている。

これは絶対にNGです。

保護者はコーチや評論家ではなく、「応援者」です。応援者としてできることは次のことです。

★見守る:保護者が見ていてくれれば、子供は安心し、守られている安心感が勇気となり、挑戦につながっていきます。

★励ます:大会などで子供自身が納得しない結果となることもあります。結果だけを見るのではなくそこまでの頑張りなどを認めてあげ励ましてあげましょう。

★褒める:大会などの結果が良かったときはもちろん、普段の頑張りなども褒めてあげましょう。誉められれば、楽しいと感じ、継続の力となります。

★支える:規則正しい日常生活、食事、健康管理などは親だからこそサポートできることです。

f:id:usariku:20170423225103p:plain保護者は選手(こども)の応援者、このことを忘れず接しましょう。

 

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リオ・オリンピック 男子4×100mリレー決勝 ~話題にならないミス~

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リオデジャネイロオリンピックの男子4×100mリレーについて主に話題となったことに関しての記事を書きましたが、今回はほとんど話題にならなかったことに触れてみたいと思います。
※2018年3月13日、2018年度規則(ルール)修改正に伴う修正(赤字)

既に書いた記事はこちらです。

  


リオデジャネイロオリンピックの男子4×100mリレー、感動とともに興味深いレースであったことは既に書いた記事のとおりです。

その内容、ネットでも話題になるなどかなり知られたことでした。

今回は話題にならなかったミスが起きていたことに触れます。
このことはどちらかと言うと運営側のミスです。

陸上競技のルール上、既にこのレースは確定しています。仮にルール違反が起きていたとしても結果は変わりません。

そのミスとは、以前書いた「リレーのマーカー(テープ)」に関することです。 

 

少し時間はさかのぼります。

リオデジャネイロ・オリンピックより数年前の国際大会で、マーカー(テープ)がルールで定められた大きさ(最大5cm×40cm)より大きい(長い)ことがありました。
それをきっかけに次のようなルールができました。

 

競技役員は、第170条4(マーカーの数とサイズ)が確実に遵守されるようにしなければならない。

 

そうです。それまでサイズの規定はあったのですが、競技役員が確認することまでは書かれていなかったのです。

通常ルールに反する行為があると競技役員が指摘するのが当然です。わざわざ「遵守されるようにしなければならない」ということまでルールに盛り込まれることはあまりありません。


マーカーの大きさについては、リレーでは重要なことであるのに見落とされることが多いので、盛り込まれたものだと思います。

しかし、そのルールができた翌年に開催されたある国際大会では、主催者が準備したマーカー(テープ)が短い(20cm程度、規定の半分)ということが起きました。短ければ見にくい(使いにくい)のは当たり前です。出場チームも困ります。配布後すぐに出場チームからクレームが出てレースでは規定通りのものが使われました。

たかだかマーカー(テープ)だと思う方もいらっしゃるかも知れませんが、選手が走り出すポイントなどに使用する重要なものです。練習で使用するものと異なり、短い場合は見にくくなります。長過ぎる場合は視界に多く入るため見やすくなるかもしれません。

しかしルール通りに行っているチームが不利になるのは許されることではありません


そして、リオデジャネイロ・オリンピック、お察しのとおりまたマーカー(テープ)に問題がありました。

動画サイトで確認できます。
リオ 男子 リレー 陸上 NHK」などで検索してご覧ください。

スタート直前にケンブリッジ飛鳥選手とボルト選手が大きく映っている場面があります。その画面の中に外側2レーンのチームのマーカーが映ります。
また、レースの映像では、第3走者から第4走者のバトンパスの時の映像で全チームのマーカーが確認できます。

レーンの幅は1m22cmです。ルールではマーカー(テープ)の長さは最大40cmレーンの約3分の1です。これが長さの目安です。

明らかにレーンの半分(約60cm)以上のチームが多数あります。

このレース、マーカーを規定の長さで主催者が準備したのではなく、選手が自身でマーカーを切ったそうです。

しかも、

競技役員は、第170条4(マーカーの数とサイズ)が確実に遵守されるようにしなければならない。

が行われなかった。明らかに運営側のミスです。

そのままレースは確定しましたので、このことで結果が変わることはありません。

この事実、日本陸上競技連盟も当然ですが問題視しており、国際陸上競技連盟の会合などの場で競技役員による確認を徹底するよう申し入れるそうです(既に申し入れた後かも知れません)。

日本代表選手に対しても合宿などの場で、国際大会でもこのようなことがある、まずはルールを守るということを再確認しているそうです。
レース直前、レースに向けて集中しているときに競技役員から注意をされるようなことがあると集中が途切れることもあり得るのでそれを避けたいということです。

 

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更に2018年度規則(ルール)修改正で、

規則に反しているマーカーがあれば、規則に合わせるよう、あるいは剥がすよう、審判員は当該競技者を指導する。指導に従わない場合は、審判員が剥がさなくてはならない。
〔注意〕悪質な場合、第145条2を適用することができる。

という追記があります。
第145条2とは警告や失格に関する条項です。

この競技役員がマーカーに問題ないかを確認するというルール、反しているからといってレースに出場できないということではありません。その場で是正すれば大丈夫です。

是正しなければ・・・ルールのとおりです。

是正したとしても、レース直前に注意されるのは良いことではありません。
ルールを知り、きちんと守ってレースにのぞみましょう。

  

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リオデジャネイロ・オリンピック 男子4×100mリレー決勝

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リオデジャネイロ・オリンピック、男子4×100mリレー決勝、何度見ても感動します。改めて日本代表男子チーム、おめでとう!そして、ありがとう!

 

日本代表チームの見事な銀メダルでしたが、ネットの質問サイトや他の方のブログなどを見ると、ルール違反を心配している人が多数いたようですね。

日本チームに関しては、ケンブリッジ飛鳥選手がフィニッシュ直前に内側のラインを踏んだ様に見えること、またインタビューでケンブリッジ飛鳥選手が明かしたことですが、走っている時に隣のレーン(内側のレーン)のボルト選手側に自分が近寄り、バトンが接触したことが妨害に当たるのではないかということでした。

陸上競技では、ルール違反かもしれない行為があったとき、競技役員が違反に当たると判断して失格になる場合もありますが、逆に競技役員が違反と判断しない場合もありえます。

公式な結果が発表され、その判断に納得しないチームや選手がいれば、決勝種目の場合、結果発表から30分以内に抗議を申し入れることができます。講義を申し入れることができるは、そのレースに参加したチーム、選手に限ります。

もし、30分以内に 抗議をしない場合は、例え違反かもしれない行為があったとしてもレースは成立し、その結果は確定したものになるのです。

一度確定した結果がその後変わることは、ドーピングに関する違反が見つかった場合くらいです。


つまり、多くの方がネット上で心配されている時は、既にレースが確定しており、日本の銀メダルはゆるぎないものであったのです。


とはいえ、疑問に思うことはすなわちルールを知ることにもつながりますので、リオのリレーはそのような視点で見ると大変興味深いレースでもありました。

 

リオのリレーでは他にも色々なことが起きていた!


まずは、男子4×100mリレーのアメリカチームの失格です。

レース後しばらく時間が経ってから失格が発表されました。テレビ放映の解説者も理由がわからず、テレビで発表されたリザルト(競技結果)には失格としか表示されませんでした。

発表まで時間が掛かったのは、ビデオ監察という映像での確認を慎重に行っていたためでしょう。アメリカチームには失格理由は告げられているはずです。

その理由に納得したため抗議は行わなかったのでしょう。

その時のアメリカチームの失格理由は、第1走者から第2走者へのバトンパスの際にテイク・オーバー・ゾーンの手前で次走者の手にバトンが触れたための失格でした。バトンパスはテイク・オーバー・ゾーン内で始まり、完結しなければならないというルールに抵触したのです。

2018年度規則(ルール)修改正で、テイク・オーバー・ゾーンの長さが30mになりました。 

もしリオデジャネイロオリンピックの際に、テイク・オーバー・ゾーンの長さが30mになっていたならアメリカチームは失格にはなっていません。


バトンパスのルールについて詳細は別の記事をご覧ください。


リオの時アメリカチームの失格理由は、IAAF(国際陸上競技連盟)のホームページ内オリンピックのページにレポートとして記載がありました。


日本については、ケンブリッジ飛鳥選手がフィニッシュ直前に内側のレーンとの境目のラインを踏んだように見えることがあります。
これに関するルールは(一部略)、

実質的な利益がなく、他の競技者を押しのけたり塞いだりして進行を妨害していなければ、失格とはならない。
(b) 直走路において自分のレーン外を踏んだり走ったりした場合
〔注意〕実質的な利益とは、あらゆる方法で順位を上げること

要するに直走路では、他の競技者への妨害となっていなければ自分のレーン外を踏んでも走っても失格とはならないということです。
直走路は自分のレーン外を踏んだり走ったりしても自身の走る距離が短くならず利益になっていないこともあります。

ですから、ケンブリッジ飛鳥選手の前を走っている内側のレーンのボルト選手には妨害となっていないので違反とはなりません。

これらについては、当時幾つかの質問サイトやブログに理由を書き込みましたのでご覧になった方もいらっしゃるのでは・・・

さて、ケンブリッジ飛鳥選手が、ボルト選手の方に近寄りバトンが当たったことは、映像でも確認できます。
これに対してジャマイカチームが抗議をしていたら・・・

個人的な考えですが、まず抗議はしません。もし抗議が認められ、ジャマイカチームに不利になったからと再レースにでもなったら、再レースでジャマイカチームが確実にバトンを渡し再び一着でフィニッシュするとは限りません。ならば1着でレースが確定する方が良いはずです。

つまり抗議せずにレースを確定させることを選択。ジャマイカチームにとって最善の策です。

もし接触した時にジャマイカチームがバトンを落とすなどしていて1着でフィニッシュできていなかったなら、確実にジャマイカチームは抗議していたでしょう。



その結果はどうなっていたかはわかりませんが、似たようなケースが女子4×100mリレーの予選で起きています。

女子アメリカチームのバトンパスの際に外側のレーンの選手が接触し、アメリカチームがバトンを落としています。その時はアメリカチームの抗議が認められアメリカチームは再レース、相手チームは失格となっています。

ケンブリッジ飛鳥選手が、ボルト選手の方に近寄りバトンが当たったことをインタビューで話したこと、私は素晴らしいことだと思います。現実に起きたことを自分がその時感じたことも含めきちんと話しています。
映像でも確認できることですしその状況を説明したことは代表選手としての責任を果たしたことにもなります。
既にレースは確定しています。この発言で結果が変わることもありません。

 

他にも失格となったチームがいました。トリニダードトバゴです。

失格の理由は、ルールの、

レーンで行うレースでは、各競技者はスタートからフィニッシュまで、自分に割り当てられたレーンを走らなければならない。 

とういう条項に反したからです。
自分に割り当てられたレーンとはレーンの内側の線の外側のふち(内側の線は含まない)から外側の線までです。その範囲外を走ったための失格ということです。

IAAFがホームページで公表しているリザルト(競技結果)ではここまでしかわかりません。ですからこれから先は想像になりますが、他の競技者への妨害が理由ではないことから、曲走路で内側の線を踏むまたは踏み越えて走った、つまり走る距離が短くなったということで、実質的な利益があったと判断されたのだと思います。

 

 

f:id:usariku:20170423225103p:plain日本代表チームが素晴らしい成績を収めたからこそ、色々なことが話題になったのだと思います。
日本代表チームは感動を与えてくれただけでなく、陸上競技に興味を持つ人が増えたということでも 大きな貢献を果たしてくれました。

※2018年3月13日、2018年度規則(ルール)修改正に伴う追記(赤字部分)

 

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水分補給 ~熱中症対策~

f:id:usariku:20170504075658p:plain熱中症がニュースになる季節がやってきました。ニュースでも「熱中症の方が多数病院に搬送されました。こまめな水分補給を・・・」と熱中症対策を促していました。スポーツの時にも水分補給が重要だと思うのですが、具体的にどうすれば良いのでしょうか? 

 

 

 


普段陸上競技を指導している小中学生の保護者に機会があれば水分補給などについて説明しているのですが、その際に聞くのが「水分補給を」とよく聞くけど何をどの程度とれば良いのかわからないということです。
ご存知の方も多いと思いますが、その方は確認のつもりで読んでください。

 

今回の記事は、陸上競技の練習を2~3時間程度行う場合の水分補給についてです。
(休憩を入れながらの練習ですが、しっかりした練習内容です。ダラダラとした練習ではありません。)
競技を限定したのは、スポーツにより運動強度や運動の継続時間、運動環境などが異なり、水分補給の方法も違ってくることがあるからです。

 

 

練習中の水分補給のポイント

 

・飲み物は、市販のスポーツドリンク。

・飲料の温度は5~15度。

・飲水休憩を定期的にとるだけでなく自由飲水(自由に水分補給できる)環境を整える。「喉のかわき」に応じて自由に補給することで適量を補給します。

 


f:id:usariku:20170423184004p:plain スポーツドリンクは薄めない!塩分も糖分も必要量含まれています。


市販のスポーツドリンクは、必要な塩分が適量含まれています。また体内に吸収しやすような成分、濃度でできています。

但し、薄めて飲むのはやめましょう。味が濃いなどの理由で薄めるということを聞く時がありますが、濃度をかえることになりますので行わないように。メーカーも薄めて飲まないことをすすめています。

粉末状のものを水で溶く場合も決められた水の量を守ってください。


塩分濃度は0.1~0.2%のものを選びます。市販のスポーツドリンクでは成分表示で確認できます。100ml中、ナトリウムが40~80mg入っていれば塩分濃度0.1~0.2%です。「食塩相当量0.1g」(約0.1%)というような表示のものもあります。

また、1時間を超える練習などではエネルギー補給のために糖分4~8%程度を含んだものをとるのも良いでしょう。成分表示では炭水化物と表示されている場合が多いです。

成分表示の例(記事記載時点のもの)

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水だけを飲むことは避けましょう発汗で塩分が体外にでます(汗がしょっぱいことは知っていますよね)。水だけでは塩分を補うことがでません。水だけの飲みすぎで、だるくなったり、吐き気がしたりすることもあります。残念ながら最悪の状態になった事例もあります。
水分補給=水ではありません。飴など塩分補給ができるものもありますが、それらの利用は練習後に。

 


f:id:usariku:20170418121827p:plain 飲料は凍らせない、冷やしすぎない


飲料の温度は5~15度
、凍らすことは避けてください。
暑さ対策として凍らすことがあるようですが、体内に冷えたものを急に入れると腹痛を起こすなど、体調をくずす原因にもなります。

ちょっと余談ですが、ある日本トップクラスの短距離選手、練習以外の日常でも冷えたものを飲みません。ほとんどの場合常温です。飲み水で体内を冷やすことを徹底して避けるそうです。水分補給に「冷えは不要」というのがその選手の考えです。偉大な結果を出した選手です。

 


f:id:usariku:20170418121827p:plain 暑さしのぎのためのがぶ飲みはしない、他の方法で暑さ対策を


飲む量は個人差
があります。発汗量に見合った量、体重減少が体重の2%以内に収まるようにするのが基本です。全体量は発汗量や運動継続時間により異なります。

自由飲水(自由に水分補給できる)をすすめますが、小学生の場合、のどの渇きより暑さしのぎのため、何度もがぶ飲みする子供がいます。その結果飲み過ぎで走れなくなることも。

暑さ対策はぬれタオルで顔を拭くなど異なる方法を行いましょう。
最近は冷感グッズもいろいろと発売されています。その様なものも活用しましょう。

帽子も有効ですが、かぶりっぱなしはやめましょう。熱が帽子内部にこもります。
ときどき帽子をとり、パタパタあおぎましょう。

 

熱中症対策グッズいろいろ   

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain 体調の悪い時は無理をしない、エアコンの使い方にも注意


この時期、急に暑くなることがあります。身体が暑さに慣れていません。急に無理はせず徐々に身体を動かすことも心がけましょう。

体調が悪い時は練習を休むことも大切です。暑く、体調が悪い時に練習を行っても練習の良い効果は得られません。万全な体調で練習にのぞみましょう。

 

ここ数年、小学生を指導していて感じることがあります。
夏場の練習は夕方に行うことが多いのですが、練習に来るなり「暑い、暑い」と水分をがぶ飲み。練習が始まってからも同じです。
そして、体調不良となるケースもよくあります。
子供たちに、練習に来る前どこにいたかを聞くと、多くの子供は練習に来る直前までエアコンが効いた部屋にいたと・・・

エアコンの効いたところから暑い屋外、温度差は?練習場所に来た段階で暑さバテ、練習する状態ではありません。

練習前はエアコンを弱くする、練習場所に多少早く来てそこの暑さなどの環境に身体を慣らすことも練習の準備です。
小学生に教えても、次の練習時には忘れていることも多々。
保護者の方が指導できることのひとつです。こどもの安全のためでもあります。

 

 f:id:usariku:20170423225103p:plain熱中症、十分な準備や対策を行い「予防」をしましょう!!

 

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4×100mリレーのバトンパス、日本語と英語では呼び方が逆???

f:id:usariku:20170423225103p:plainリオデジャネイロ五輪4×100mリレーで、男子日本代表が見事な銀メダルをとりました。男子日本代表はバトンパスアンダーハンドパスを採用しています。

そのアンダーハンドバスという呼び方、海外では通じない?!

 

 

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4×100mリレーのバトンパスには、二通りの方法があります。

日本では多くのチームが採用しているオーバーハンドパス

そしてリオデジャネイロ五輪で見事な銀メダルに輝いた男子日本代表が採用しているアンダーハンドパスです。

(男子日本代表のバトンパスは、厳密にいうとアンダーハンドパスの改良版で、従来よりも受け手が少し手を後方に出すという方法です。)

 

実はこの2種類のパスの呼び方は、英語と日本語では大きく違うんです。

 

オーバーハンドパス、英語では「down sweep pass」(ダウン・スゥイープ・パス)

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アンダーハンドパス
、英語では「up sweep pass」(アップ・スゥイープ・パス)

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そうなんです!
オーバーなのに「down」(下へ)、アンダーなのに「up」(上へ)なのです。

 

「sweep」の主な意味は、掃く、払う、(掃くように)(…を)押し流すなど・・・

 

日本語では、バトンを受け取る選手側からみて、バトンを上からもらうからオーバーハンドであり、下からもらうからアンダーハンドなのです。


一方英語では、バトンを渡す選手側からみた動きなのです。
次走者に渡す手の動きが上から押し付ける様になるから「down」、
次走者の手に下から払うように上に入れるから「up」です。

 

f:id:usariku:20170423225103p:plainちょっとした豆知識でした。

 

    過去の記事一覧f:id:usariku:20170517002941p:plain

 

リレー、バトンパス(受け渡し)のルール

f:id:usariku:20170423225103p:plainリレーのマーカー(テープ)を貼る位置や大きさなどを別の記事で書いてきました。どちらかと言えば、あまり知られていないルールに関するものでした。

 

 

 

今回は、ズバリ、リレーのバトンパス(受け渡し)に関するルールです。

 

2020年度ルール改正により「落としたバトンを拾う」ときのルールが改正されました。(2020年4月18日)。

2018年度ルール改正により一部内容が変更になります。

本記事は2017年度のルールに基づいています。

2018年度・2020年度ルール改正後のリレーのバトンパス(受け渡し)に関するルールは次の記事でご覧いただけます(2018年4月2日・2020年4月18日)。 

 

 

www.usariku.com

 

 

 


この記事で扱うリレーは4×100mリレーと4×400mリレーです。

他のリレー種目でも考え方は同じですが、適用される走者(第1走者から第4走者の誰か)がかわる場合がありますので説明から省きます。

 

4×100mリレーと4×400mリレー共通事項

ルールブックから関連する記述を引用し、それぞれ詳しくみていきます。

 

 バトンは競技中手でもち運ばなければならない。  

 

レース中、競技者が他チームのバトンを使ったり拾い上げた場合、そのチームは失格となる。相手チームは、有利にならない限り失格とはならない。


これらは説明するまでもないこと、当たり前ですね。 

 

f:id:usariku:20170423184004p:plain バトンパス(受け渡し)の区間「テイク・オーバー・ゾーン」

バトンは、テイク・オーバー・ゾーン内で受け渡されなければならない。

 

一般的にはバトンゾーンといわれます。ルール上ではテイク・オーバー・ゾーンです。 バトンパスはこの区間内で行います

 

2018年度ルール改正でテイク・オーバー・ゾーンの長さがリレー種目によりかわります。次の記事がその内容です。 

 

4×100mリレーのテイク・オーバー・ゾーン

      イメージ

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*テイク・オーバー・ゾーンの出口を示すライン
下の写真の白の横ラインです。
このラインの境目はスタート地点寄りのふちライン上はゾーンに含まれませんf:id:usariku:20170518021718j:plain

 

*テイク・オーバー・ゾーンの入口を示すライン
下の写真の白の横ラインです。
このラインの境目はスタート地点寄りのふち。このライン上はゾーンに含まれます
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最近は下図のようにテイク・オーバー・ゾーンの入口、出口を示すマーキング(ライン)が黄色矢印の競技場もあります。考え方は同じです。入口の黄色ラインはテイク・オーバー・ゾーンーに含まれ、出口の黄色ラインは含まれません

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4×400mリレーのテイク・オーバー・ゾーン


<第1走者から第2走者がバトンパスを行うテイク・オーバー・ゾーン>

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これも入口のライン上はゾーンに含まれ出口のライン上は含まれません


<第2走者から第3走者、第3走者から第4走者がバトンパスを行うテイク・オーバー・ゾーン>

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これも入口のラインはゾーンに含まれ出口のラインは含まれません

 

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain バトンパスの始まりと終わり

バトンのパスは、受け取る競技者にバトンが触れた時点に始まり、受け取る競技者の手の中に完全に渡り、唯一のバトン保持者となった瞬間に成立する。それはあくまでもテイク・オーバー・ゾーン内でのバトンの位置のみが決定的なものであり、競技者の身体の位置ではない。競技者がこの規則に従わなかったときは、チームは失格となる。

 
バトンパスは、バトンを受け取る走者(次走者)バトンが触れた瞬間に始まり、バトンが渡す走者(前走者)手を離れ次走者の手中に収まり、次走者のみがバトンを持っている状態になった瞬間に終わりです。


そのバトンパスは、テイク・オーバー・ゾーン内で行われなければならず、選手の身体の位置には関係なく、バトンの位置で決まるということです。
この通りに行われないバトンパスは違反と見なされチームは失格になります。

ポイントは「バトンの位置」で決まるということです。選手の身体がテイク・オーバー・ゾーンの外であってもバトン全体がゾーンの中にあり、正しく受け渡しが行われていれば問題はありません。

 

f:id:usariku:20170418121827p:plain バトンを落としたとき

もしバトンを落した場合、落とした競技者がバトンを拾って継続しなければならない。この場合、競技者は距離が短くならないことを条件にバトンを拾うために自分のレーンから離れてもよい。加えて、そのような状況でバトンを落としたとき、バトンが横や進行方向(フィニッシュラインの先も含む)に転がり、拾い上げた後、競技者はバトンを落とした地点に戻ってレースを再開しなければならない。上記の手続きが適正になされ、他の競技者を妨害しない限りは、バトンを落としても失格とはならない。一方、競技者がこの規則に従わなかった時、チームは失格となる。

ポイントは、落とした選手が拾うこと。
バトンパスの行為が始まってから(次走者にバトンに触れた時が行為の始まり)次走者だけがバトンを持っている状態になるまでにバトンを落とした場合は前走者,次走者のどちらが拾ってもよいのです。
ただ、本当に次走者にバトンが触れたのかどうかで問題になることがあります。
もし競技役員に「触れていない」と判断されれば、バトンを落とした選手は前走者なので、前走者が拾わなければ失格となります。
「次走者に触れた」ことが明らかでないときは、渡す走者(前走者)が拾うようにすることです。

落としたバトンが他のレーンに転がり出たときは、他のレーンの選手のじゃまをしないように拾い、バトンが転がり出たところから自分のレーンに戻ります。 

 

 

 

4×100mリレーのみに関係する事項


 f:id:usariku:20170418121827p:plain 加速ゾーン

 

※2018年度ルール改正で加速ゾーンはなくなります。

ルールの記載です(一部関係しない部分は略)。 

4×100mリレーでは第1走者以外のチームの走者はテイク・オーバー・ゾーンの前10m以内のところから走り始めてもよい。この延長した範囲を示すために、各レーンに明瞭なマークが表示されなくてはならない。もし競技者がこの規則に従わない場合、そのチームは失格となる。

 
これは上にある4×100mリレーのテイク・オーバー・ゾーンのイメージに記載の10mの加速ゾーンのことです。ルール上は加速ゾーン、一般的にはブルーゾーンといいます。

文字通り次走者が静止状態から走り出し、加速に使われる区間
この区間バトンパスは行えません

次走者はこの区間を使わなくてもいいし、途中から使っても構いません。

 

加速ゾーンの開始位置を明確にするためのラインが引かれています。

*加速ゾーンの入口(開始部分)を示すライン(ルールでは「助走マーク」)

 f:id:usariku:20170518021846j:plain

上の写真の水色のラインです。このラインの境目もスタート地点寄りのふちです。

つまりラインの上は加速ゾーンになるのでバトンをもらうために待つ選手はこのラインを踏んでも構わないのです。 

でもラインより進行方向の逆側(スタート地点寄りのふち)に踏み越すのはNGです。

 

2018年度ルール改正で加速ゾーンはなくなります。
詳しくは次の記事です。 

www.usariku.com

 

 

 

 

4×400mリレーのみに関係する事項


ルールの記載です(一部関係しない部分は略)。 

4×400mリレーのバトンパスにおいては、テイク・オーバー・ゾーン外から走り出してはならず、そのゾーンの中でスタートしなければならない。この規則に従わなければ、そのチームは失格となる。


簡単に言うと、加速ゾーンはないということ。 

次のふたつのルールは関係する内容です。

4×400mリレーの第3、第4走者は審判員の指示に従い、前走者が第2曲走路入り口を通過した順序で、内側より並び待機する。その後、待機している走者は、この順序を維持しなくてはならず、バトンを受け取るまで入れ替わることは認められない。違反した場合は、そのチームを失格とする。


4×400mリレーの第2走者から第3走者と第3走者から第4走者へのバトンパスは、レーンが使用されませんレーンが分かれていないということです。

次走者は前走者が第2曲走路入り口(1レーンの200mスタート地点=400mトラックの半周の地点)を通過した順序で並び、その後前走者の順位が入れ替わっても、次走者は入れ替わってはならないということです。

下のイメージ、テイク・オーバー・ゾーン入口の ● のところに内側(1レーン側)から順に並びます。このときラインを踏んでも構いませんが、前走者の方に踏み越してはNGです。

f:id:usariku:20170520053453j:plain

 

4×400mリレーも含めたどのリレー競走においても、レーンが使用されていない場合は、次走者は、他の走者の進行をじゃまするために妨害したり押しのけたりしないならば、走って来るチーム走者が近づくにつれてトラックの内側に移動できる。4×400mリレーの場合には、次走者は第170条20で規定された順番を維持する。もし競技者が、この規則に従わないならば、そのチームは失格となる。


4×400mリレーの第2走者から第3走者と第3走者から第4走者へのバトンパスのために次走者がテイク・オーバー・ゾーンの入口に前ルールのとおりに並んでいますが、内側のチームがバトンパスを行い、走路があいたときには、内側に詰めても構わないということです。
ただし、前ルールで決まった並び順をかえることはできません

 

 

 

 

まとめ

 

★バトンのパス(受け渡し)はテイク・オーバー・ゾーン内で始まり終えること。
★テイク・オーバー・ゾーン内か外かはバトン全体の位置できまる。選手の身体の位置ではない。
★テイク・オーバー・ゾーンには入口のラインは含まれるが出口のラインは含まれない。
★4×100mリレーには加速ゾーンが設けられている。そのゾーンは使用してもしなくても構わない。また次走者は加速ゾーン、テイク・オーバー・ゾーン内のどの位置で待っていても構わない。※赤字部分は2018年度ルール改正により削除となります。
★4×400mリレーの第2走者から第3走者と第3走者から第4走者へのバトンパスは、レーンが分かれていない。次走者が並ぶ順番は前走者が第2曲走路入り口を通過した順序で以後かえてはならない。
★バトンを落とした時でも、落とした選手が拾い、他のレーンにバトンが転がり出た時は、他のレーンの選手のじゃまをせず、バトンが出た場所から自分のレーンに戻れば構わない。

かなり細かいことまで書かれていますが、競技役員(監察員という審判)が見ています。
また、大会によっては、ビデオ監察ということも行っており、バトンパスが正しく行われているか、違反はないかを別室で確認することも 行われています。

実際に人がレースを見て判断が難しい違反が、ビデオ監察で確認できたという例もあります。

4×100mリレーでのテイク・オーバー・ゾーン外でのバトンパスによる失格は良く見ますが、4×400mリレーでもテイク・オーバー・ゾーン外でのバトンパスによるミスが起きています。

前走者がゾーン手前で転倒、バトンがゾーン内に入っていないのに次走者が手を出し受け取ってしまう失格、第3走者、第4走者が決められた順序で並んでいたのに、最後の直線で前走者の順位がかわったために待つ順番をかえてしまい失格。

ルールを知らずに行ってしまったこともあるようです。

 f:id:usariku:20170423225103p:plainルールをきちんと知り練習そして競技にのぞみましょう。

 

大迫傑 決戦前のランニングノート (文春e-book)

    過去の記事一覧f:id:usariku:20170517002941p:plain

 

大会の日のお弁当は何を持たせるか

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うさりく先生も高校時代陸上部だったわけですが、大会のときはいつもお母さんがカツサンド弁当を作ってくれたそうです。

だいぶ昔のお話ですが・・・

うさりく先生のお母さんは今でもそのことをよく話してくれます。

カツサンド、一所懸命作っても全然食べてくれへんかったんよ。」(なぜ関西弁??)

 

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うさりく先生のお母さんは管理栄養士でした。大事な大会の日、スタミナが付くものをと思ってカツサンドを作ったのでしょう。それともちろん、勝負に「勝つ」ようにという「げん担ぎ」の意味もあったのでしょうね。

愛情を感じますね~!

 

では、なぜうさりく先生はその母の愛情カツサンド弁当を食べなかったのでしょう?

うさりく先生のお母さんは仕事がら料理の腕前も相当なものですから、それはそれはとってもおいしいカツサンドだったことは間違いありません。

 

うちの子もまた、うさりく先生と同じでした。競技がある日は弁当を食べられず、帰りの車の中で食べるなんてことがしょっちゅうでした。

 

「頑張ってほしいから気合入れてお弁当作ったのに・・・なぜ食べてくれないの?!」

うさりく先生のお母さんと同じ疑問を抱えているお母さん、多いのではないでしょうか。

一体なぜなんでしょう?

 

それを理解するためにまず、ある選手の、ある大会の日の一日を見てください。

 

 <出場種目>

200m(予選・準決勝・決勝)、走幅跳(予選・決勝)、

4×100mリレー(決勝)、4×400mリレー(予選)

 
:軽食(補助食) :食事

 

 7:30 競技場着

 7:45 アップ

 9:20 200m予選

   競技後即次の競技に移動

10:00 走幅跳予選

   競技後即次の競技に移動

11:30 200m準決勝

   競技後即ダウン

   20分程度休憩 

   アップ・バトン練習

12:55 200m決勝

   競技後即次の競技に移動

13:15 走幅跳決勝

   競技後即次の競技に移動

14:30 4×100mリレー決勝

   競技後即ダウン

   30分程度休憩 

   アップ

16:00  4×400mリレー予選

   競技後即ダウン 

 

 

陸上競技を全く知らない友人に、大会の日の大変さを話したことがありました。

「たった100m走るだけでしょ?」

息子さんが野球をやっていて、トレーニングでよく5キロや10キロのジョグをするということです。だから100mなんてそんなに大変ではないだろう、のように言っていました。

確かに「たったの100m」ですが、100mのジョグをするわけではありません。記録をねらってベストなパフォーマンスをするために、どれだけのことをしなければならないか・・・。

 

より速く、より高く、より遠くに。

陸上競技って単純なんですが、魅力とか大変さが知らない人にはなかなか通じないなぁと感じることがあります。

 

うちの子は短距離選手でした。

中学校の運動会で100m走に出場しました。

「かけっこ速いのに100mしか走らないの?もったいない!1500m走に出てくれればよかったのに!」

なんて言ってくれる同じクラスのお母さんもいましたよ。(笑)

 

 

 

大会の日の選手は大忙し

 

話を元に戻して・・・お弁当のことでしたね。

 

上の大会の日の一日を見ればお弁当を残してくる理由が分かりますね。

まずは食べる時間がないのです。

食べたものが胃で消化されるまでに個人差はありますが2時間~4時間かかると言います。食べてすぐ走ってもあまり支障を感じない人もいるようですが、食べたばかりだとお腹が重くて走れないと感じる人の方が多いでしょう。

アスリートの食事についての本を読むと、どの本にも「試合のときは2~3時間前までに食事を済ませておく」と書かれています。

それを考えると食べるタイミングを考えるのが本当に難しいのです。

また、食べるタイミングはあっても、緊張や暑さでのどを通らないということもよくあることです。

 

大会の日の弁当、何を持たせるか

 

食べる時間がないと言っても、全く食べないわけにはいきません。

ではいったい、何を持たせれば良いのでしょう。

短いすき間時間にパクッと食べられるおにぎりがいいですね。

 

私の場合、せっかく作ったお弁当ですが、食べてもらえなくても仕方がない、という軽い気持ちで持たせていました。また、夕方遅い時間に食べることを想定して、保冷剤や保冷バッグを使っていました。 

 <ご参考まで>

  わが家の大会の日のお弁当はいつもこんな感じでした。

  小さめのおにぎりを4~5個(コンビニおにぎりの半分位の大きさ)

  消化の悪いものを避けて好きなおかずを2品ほど

  果物

  予備に、ゼリー飲料や栄養補助食品

  油は消化に悪いので、揚げ物などは大会の前から避けていました。

 

 

 

 

 

アスリート食の参考書をご紹介します


何冊か読んで得た印象は、大会の日のお弁当は特別な内容でなくて良い、ということです。普段から食べ慣れている物がいちばん!

・消化に悪いもの、ガスが溜まりそうなものは避ける

・食べやすいように小分けにする

・傷まないように工夫する

これだけ気を付ければあまり気負わなくてもよい、という感想です。むしろ、普段の食生活の方が重要な気がします。

アスリートのための「食」。知っているのといないのとでは全く違うと思うので、ぜひ読んでみてください。頑張る子どもたちのために私たち母親ができることと言えば、まず「食」の部分で支えることですものね。

  

f:id:usariku:20170418121827p:plain 立命館大学教授 海老久美子先生の著書です。

アスリートの1年を準備期、試合期、オフ期と分けて、それぞれの時期の食事の摂り方をどうするかが書かれています。栄養のことに留まらず、生活習慣のことにも触れられていて勉強になります。

試合の日のお弁当の内容や食べるタイミングやこと、水分の摂り方も詳しく書かれているのでぜひ参考にしてください。当日のお弁当は、「小分け」「手軽」がキーワードだそうです。

 

     

 

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f:id:usariku:20170418121827p:plain 鹿屋体育大学でスポーツ栄養学の講師をされている長島未央子先生の著書です。

長島先生は高校時代、陸上部だったそうです。
スポーツをする人には、糖質も脂質も必要不可欠など、栄養のことが素人にも分かりやすく書かれています。参考になるレシピもたくさん載っています。 

 

     

 

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本以外にもザバス大塚製薬など、栄養補助食品やスポーツドリンクを作っている企業のホームページがとても参考になります。

    

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